【感想・ネタバレ】世界標準の経営理論のレビュー

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Posted by ブクログ

初版(2019年12月)で購入し、時折読み返している。当時の帯には「主要な経営理論を完全網羅」と謳われているが、まさに看板に偽りなし。版を重ねているのも納得の名著。
古びない理論を解説し、読者に「思考の軸を提供する」という著者の狙いは十分に果たされている。

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

キングダムで60巻以上かけて描ききれない李信将軍を3コマで片付けたり、宮城谷昌光の長編を5ページくらいで片付ける横山光輝と同じノリ。
巷に溢れるビジネス書を1ページ未満で片付けていくのは痛快。サラッと通読すると経営理論を理解した気にさせてくれる。

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2023年02月25日

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最前線の経営学者からすると疑問符のつく箇所もあるようだが、ビジネスパーソンが体系だったアカデミックな経営学を学ぶ入口としては最高峰なのではないだろうか。

【メモ】
・世界標準の経営理論は、世界中でビジネスを長い間研究してきた経営学者の集大成であり、ビジネス・経営の真理法則に肉薄している
・理論とは経営・ビジネスのhow,when,whyに応えることを目指すもの
・理論そのものは抽象的で、実務で使いやすいとは限らない。実践のためにフレームワークに落とし込む必要がある
・実証的な理論=ある現象のメカニズムそのものを説明する理論
ex「~という条件下では、企業は~のように行動する」
・経営理論とは「人・あるいは人が織りなす組織が、普段から何をどう考え、どう意思決定し、どう行動するか」を突き詰めたもの

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2023年01月18日

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過去、これ程までに私の疑問に答えを示してくれた書籍はなかった。
この内容、この厚みでこの値段は超お得。

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2022年09月12日

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広く経営理論が網羅された良書。体系だった理論を学びたい社会人や大学生でも分かりやすい文章ながら、重要なポイントはしっかり解説されている。何度も読み直したい。

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2022年04月16日

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2022年1冊目。累計803ページ。満足度★★★★★

本書はタイトル通り世界で標準的なものとして通用する経営理論を可能な限り網羅・体系的にわかりやすくまとめたもの。本書があれば、ビジネス、投資などを考える際の「思考の軸」になることは間違いなし

滅多に出現しない星5つを付与

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2022年01月05日

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網羅して概要を学ぶのに最適な一冊。
過去、各ディシプリン界隈のビジネス書を読んだことある方には重複感や聞き覚えある単語が出てきそうだが、理論と歴史を紐解きつつ体系的に網羅されているため、百冊読むよりこの一冊。

一通りの理論と、理論を軸にしやすい分野をマトリクスにした一覧は困ったときに軸にできそう。

あと、この本を読破したという事実は話のネタになるはず。

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2021年12月14日

H

購入済み

解り易い

社会人としてこれまで色々な経営に関する本を読みましたが、体系的に書かれており、これまでに読んだ経営学関連の書籍の位置付けが良く解りました。もっと早く出版して欲しかったというのが、偽らざる感情です。

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2021年11月27日

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800ページ60万字の鈍器本。
経営理論を学ぶのにこれ以上の良書はないであろう。意思決定する際の考え方の軸やフレームワークと理論の違い等わかりやすく解説されていて、経営者は手元に置いておかないといけない一冊。

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2021年09月23日

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800ページ、世界の主要経営理論30を完全網羅。いやー、読み切った。経営理論を800ページって、聞いただけでも堅苦しいですが、文章がわかりやすく、理論がそれぞれ噛み砕かれていて、とても読みやすかったです(それでも800ページは長かったが)。

世の中に出ているビジネス書は、ビジネスにおける現象を、経営学のさわりともいえるフレームワークに当てはめて解説しているだけで、なぜそう考えるべきなのかは説明していない。しかし、経営学もまた、(曖昧で、気分屋な)人間が行うビジネスを論じるものである以上、単独で理論を構築できるものではない。経営学に理論的根拠を与えているのは、経済学、心理学、社会学であり、この3つに基づいて、ビジネス現象のなぜ?を考えるの必要がある。
というわけで、経済学、心理学、社会学をベースにした30の経営理論が解説されています。

たしかに流行のビジネス書って、昔どこかで読んだ考え方を、表現や対象を変えて描きなおしているだけって印象はあります(自分がそれなりの長さの読書経験を積んできたせいもあるだろうけど)。著者の言う、この本読んだら、もうビジネス書は読む必要はなく、以後は、経済学、心理学、社会学のしっかりとした本を読み、人間とは何かを考えていくことが、ビジネスにも役に立つという意見には、かなり納得感があります。

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2021年09月21日

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ネタバレ

入山教授による「経営理論の事典のような本」。最新の理論が網羅されており、大変勉強になった。

キーコンセプトは何か
・現時点での経営理論と称されるものの中から「標準理論」とでもいうべきものを約30選定して解説。ビジネスパーソンにとっての「思考の軸」とすることを推奨。あくまで博士課程向けの題材
・理論ディシプリンとしては、経済学、心理学、社会学の3分野。

当該理論がおいている前提条件や時代背景は何か
・2019年の出版
・理論は「どのように」=因果関係「いつ」=理論が通用する範囲「なぜ」=なぜそうなのか、に応えるものという前提で、「何が」を主とする(MBA的な)現象ドリブンのアプローチを排している(ある意味MBAアプローチの否定)

当該理論を活用すると企業はどう業績を向上できるのか
・カバーされている理論は多かれ少なかれ有効なので、戦略、組織両面で業績向上の必要十分条件を充足させることが可能ではないか

書籍の限界・問題点
・経営理論の事典のようなものなので、より具体的な実践案は、当たり前だがカバーされていない。

自分なりに価値があった点(引用、気付き)
・結局、経営理論は、人や組織の話。人や組織がどう動くかを仮説立てて実証することが学者には求められる
・実務者にとって見れば、実証されているかどうかはどうでもよくて、いかに経験則を積み上げるかに尽きる・・・その意味では経験則というのは、ある種のラーニングに他ならないので、ラーニング理論が一番有効のような気がする。「両利きの経営」はその意味ではしっくりくる。
・経営理論独自の基盤などない。所詮、経済学、社会学、心理学の話を応用したものというのは爽やかな説明
・理論とフレームワークは混在すべきではない。理論に基づくフレームワークへの落とし込みは重要

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2021年09月18日

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1年以上かけて、空いている時間にノートにまとめながら読んだ。びっくりするくらい分かりやすかった。経営層なので日々の意思決定の際に思考の軸となり、また引き出しが増えたと思う。課題や問題に対しても前向きに建設的に取り組むのにこれからも役に立つ知識が積めたと思います。繰り返し読んでいきたい。

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2021年09月15日

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あと何回か読み返したい。わかりやすい。時間をかけても通読した方がいいです。その上で必要なところを読み返す順番がいいと思います。

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2021年06月20日

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・経営理論の目的は、経営・ビジネスのHow, When, Whyに応えること。特に重要なのはWhyであり、経済学、心理学、社会学の何れかの人間・組織の思考・行動の根本原理から、「なぜそうなるのか」を説明するのが理論の目的だ
・SCP理論:ある産業が完全競争から離れるほど(=独占に近づくほど)企業の収益率は高まる
・ライバルからの模倣を困難にするには、複雑で一貫性のあるアクティビティ・システム(Mechanism、Fly Wheel)を描くべき
・ネットワーク効果の帰結は「独占に近づくほうが望ましい」というSCPと整合する。ただし、ポーター=ケイブスの主張との違いは、ティッピングポイントを超えた後は、差別化戦略ではなく、このネットワーク効果で独占に向かうことだ
・差別化戦略は、競争環境を完全競争から遠ざけることで、独占できるグループで勝負することを目的としている
・完全競争の3条件
1.市場に無数の小さな企業がいて、どの企業も市場価格に影響を与えられない
2.その市場似た企業が新しく参入する際の障壁がない、その市場から撤退する障壁もない
3.企業の提供する製品・サービスが、同業他社と同質である。すなわち、差別化がなされていない
・「価値があるリソース」というのはアウトプット市場に大きく左右される
・アドバースセレクション(情報の非対称性から起きる売り手と買い手の問題)→スクリーニング:私的情報を持っていないプレイヤーのとりうる手段で保険やクーポンで利用されている。保険であれば、1)保険料は安いが事故になったときの補償額も安い保険、2) 保険料が高いが保証額も高い額の2つを用意することで顧客をスクリーニングできる。クーポン券であっても、「ハンバーガーへの価格意識」は個人によって違うが、価格に敏感な層は価格を意識してクーポンを使うし、そうでない人はクーポンを使わないことで、顧客に応じた値引きを提供できる仕組みのこと
・私的情報を持っているプレイヤーは「自分の情報が本当だと相手に信じてもらえない」ことが問題であり、学歴であったり、会計の開示などにより、私的情報を裏付けするシグナリングが対処法
・インセンティブによる解消法とは、それまでプリンシパルと目的の不一致があったエージェントに、プリンシパルと同じ目的を達成する(やる気を起こさせる)組織デザイン・ルールを与えることだ。
・同族企業は主要株主(プリンシパル)と経営者(エージェント)が一枚岩で、両社がビジョンを共有しているので「目的の不一致」がなく、大胆な手が打ちやすい
・価格競争を避けるためには差別化が重要。初期投資が必要なビジネスでは多くの投資が行われるが、それにより供給過多になることで価格競争に移らざるを得なくなる。
・ゲーム理論では、先に宣言することで「同時ゲーム」を「逐次ゲーム」に変え、自社に有利な状況を生み出すことができる
・数量を軸にした戦略は「強気な戦略」のほうが、相手が供給過剰を恐れるため優位に立ちやすい。価格を軸にすると、強気な値下げは両者の値下げを生み利益を下げるため、「弱気な戦略(価格を下げすぎない宣言)」のほうが、相手も価格を下げないことで有効になりやすい。
・両者は価格競争を無限に続けるだろうか、両社が合理的であるほど「無限に価格競争を続けて利益を落とし続けるのは不毛だし、相手もそう思っているはずだ」と考えるはずだ。その結果、両社は合理的な判断の帰結としてむしろ価格を下げなくなるのである
・リアルオプション:不確実性を生かす。当初計画より小さい初期費用で工場を作ってとりあえず事業を始める。数年後に不確実性が下がったタイミングで投資の判断を行う
・リアルオプションの学習効果:不確実性の高い状況で将来オプションを意図的に作り出し、逆に不確実性を生かす。事業を始めなければ学習ができないので不確実性が下がらない
・意思決定者は限られた認知の中で選択をして行動に移す。行動することで認知が広がり、新しい選択肢が見えることで、より満足な選択ができるようになる
・うまくいっている時こそ、さらに目線を高くせよ
・経営者の過去の成功体験が、時代が変わって新しい仕事を始めるときに大きな妨げになる
・両利きの経営:人・組織には認知に限界があるので、知の探索(Exploration)をして認知の範囲に出て、知土地を新しく組み合わせる必要がある(シュンペーターの新結合)。一方、そこで生まれた値は徹底的に深掘りされて収益化につなげる必要もある(知の深化:Exploitation)。この探索と深化が高いレベルでバランスよくできることを両利きの経営という
・イントラパーソナルダイバーシティ:個人内多様性は知の探索になる
・イノベーションとは認知の範囲にあるお客様の問題を解決すること=幅広い認知視野をはぐくむことが重要
・TMS(Transactional Memory System:組織のメンバーがWho know whatをしっていること) TMSを最も高められたのはやはり「直接対話によるコミュニケーション頻度が高いチーム」だった。逆にTMSが一番低かったのは、「メール・電話によるコミュニケーション頻度が高いチーム」だったのだ
・人は暗黙知のほうが豊かであり、それを取りこまない知識創造はあり得ない
・SECI Model
1)共同化(Socialization) : 暗黙知→暗黙知 個人が他社との直接対面による共感や、環境との相互作用を通じて暗黙知を獲得する
2)表出化(Externalization):暗黙知→形式知 個人間の暗黙知を対話・施策・メタファーなどを通して、概念や図像、仮説などを作り、集団の形式知に変換する
3)連結化(Combination):形式知→形式知 集団レベルの形式知を組み合わせて、物語や理論に体系化する
4)内面化(Internalization):形式知→暗黙知 組織レベルの形式知を実践し、成果として新たな価値を生み出すとともに、新たな暗黙知として個人・集団・組織レベルのノウハウとして「体得」する
・ナラティブは「まだ具現化していないが、これから起こる」ことの構造である。例えば「会社の方向性」といった形式知の塊は、過去から引き継がれ、未来に続いて「これから起こる」ものだから物語でなければならない。現場の知ならマニュアル化も機能するが、会社の心情、方向性、戦略のような「認知的な暗黙知」を形式知化させる場合はナラティブが必要である。
・進化のためのルーティン:「マニュアルを常に見直す」ことを前提にした暗黙の行動パターンがルーティン化されるとともに、形式知としてのマニュアルが蓄積され、常に現場が進化・成長を続けるのである
・ハイパーコンペティションの時代には、そもそも「持続的な競争優位」という前提が成立しない。むしろ企業に求められるのは「業績が落ちかけてもすぐに新しい対応策を打って業績を回復できる力」すなわち「変化する力」である。変化を繰り返すことで、「一時的な競争優位を連鎖して獲得する」ことが、これからの企業に求められるのだ
・ダイナミックケイパビリティはカニバリを推奨する→大手航空会社がLCCを行う事例
・全員をひいきできるリーダーが最強
1)部下の悩みや課題を聞き出す、アクティブリスニング
2)アクティブリスニングを通じて部下が出してきた課題に対して、自分の考えを押し付けない
3)部下への期待を部下自身とシェアする
・Transformational Leadershipでは、リーダーは「自分の率いる組織が、部下(フォロワー)の目指していることといかに親和性があるか」を啓蒙する。するとフォロワーは、自身の組織への帰属意識を高め、そのリーダーのビジョンを自身の中に取り込むようになり、リーダーのビジョンに沿って行動するようになる。一方でリーダーも、そういったフォロワーを承認し、称賛する。これにより、フォロワーは自身がその組織で「働く意義」「存在価値」をさらに認めるようになり、さらに積極的に組織での義務を果たすようになる
・利用可能性バイアス:簡単に想起しやすい情報を優先的に引き出し、それを頼ってしまうバイアス
・検索容易性:とりあえずいつものものを買っておけばまちがいがない
・具体性:身近な人から聞いた情報を「あの人が言うなら間違いない」と評価してしまうこと
・対応バイアス:他者が何か事件に巻き込まれたときに、その本当の理由は周辺環境などにあるのに、理由を当事者の人柄・資質などに帰属させてしまうバイアス
・代表性バイアス:典型例と類似している事項の確率を過大評価しやすいバイアス(よくしゃべる=関西人)
・不確実性の高い事業環境では、優れた企業ほどルールをシンプルにすることで、変化に対応できる。ルールをシンプルにすることで、企業の認知におけるヴァライアンスを減らし、結果として変化の激しい世界での予測の精度を高め、だから優れた意志決定ができて変化に対応できると解釈できる
・ポジティブな感情は「自分はこのままでいいのだ」という現状維持を促す可能性がある。結果として、サーチが滞る。したがって、満足度が高すぎて組織が緩んでいるときは、むしろネガティブ感情を取り込んで危機感を高め、サーチを促すことも必要だ
・ディープアクティング:人が何かの外部刺激に直面した時に、「まず自分の意識・注意・支店の方向を変化させることで、感情そのものを自分が表現したい方向に変化させてから、それに合わせて自然に表現する」ことをさす。たとえば、CAが理不尽な理由で怒っている顧客に対し、その顧客の態度の捉え方を変え、「初めて飛行機に乗る顧客」という認識を起点とすることで、「とまどい」「嫌悪」から「同情」へと感情を変化さえて対応することができた
・認知を動かし、感情を動かす:あの客が怒っているのには、実は妥当な理由があるのではないか
・センスメイキング(腹落ち・納得)理論:正確さよりも納得性を重視する。全員が方向性に納得していることが正確に何かを行うよりも実現度が高まる。人とその対象(事業機会)は決して切り離せず、その人が行動して環境に働きかける(イナクトメント)することにより、やがて事業機会が浮かび上がり、結果としてあとからその事象をセンスメイク(納得)する
・まずは行動なのである。行動をして試行錯誤を重ね、もがいていくうちに、やがて納得できるストーリーが出てくる。そしてそのストーリーに腹落ちしながら、さらに前進するのだ
・主観的だからこそストーリーがあり、だからこそ多くの人をセンスメイクして、かれらの足並みをそろえ、巻き込めるのである
・センスメイキングの7大要素
1)アイデンティティ:センスメイキングは常に「自身が何であるか」のアイデンティティに基づく
2)回想・振り返り:人は物事を経験するその瞬間にはそれをメイクセンスできず、事後的に振り返ることで飲みセンスメイクできる
3)行為:人は行動することで環境に働きかけることができる
4)社会性:主体(自身)と周囲の人々を含む「客体」は常に切り離せないので、センスメイキングは常に他社との関連性の中で起きる
5)継続性:センスメイキングは繰り返される循環プロセスである
6)環境情報の部分的感知:人は認識のフィルターを通してしか事象が認識できないので、認識・解釈されたものは常に全体の一部でしかない
7)説得性・納得性:人は「正確性」ではなく、「説得性」をもって、自身や他者をセンスメイクできる
・弱いつながりのソーシャルネットワークのほうが、自分の目の前ではなく、自分から離れた、遠くの知を幅広く探索し、それを今自分が持つ知と新しく組み合わせることになり、幅広い知と知を組み合わせることができる
・イノベーションを生み出すには弱いつながりが必要だが、イノベーションを製品化・実行するには強いつながりが必要
・シェアがシェアの連鎖を呼ぶのは、弱いつながり(強いつながり内だとシェアした情報が同じようなものである可能性が高く、シェアされにくい)
・ストラクチャルホール:高密度なネットワーク間のハブになっている人は、各クラスターから情報があつまり、それをコントロールできる
・越境を実現する人はクラスターとクラスターの結節点となり、ブローカーとなり、SH(Structural Hole)を活用し、SHを埋めて、新しい価値を生む
・資源依存理論:企業は軽減(競合をM&Aすることで規模を大きくし取引先からの圧力を軽減する)、取り込み(影響力のある人物を経営陣に取り込む)、吸収(被買収企業が所有する鉱山も含めて買うことで鉄鉱石まで調達する)の何れかの戦術を選び、あるいは組み合わせることで、外部抑圧を軽減することが可能
・M&Aが発生しやすいのはMutual Dependence(双方向の依存度の合計)が高く、Power Imbalance(両者の依存度の差)が小さい環境。依存度の合計が大きくても、どちらかの依存度が相対的に低ければM&Aは起きにくい(他の取引先との機会ロスなども生まれる)
・スタートアップへのCVCに関しても、大企業側が技術を取り込むことでスタートアップへの依存度が低くなり、スタートアップが苦戦するという構図が生まれている。
・業界内でゼネラリスト企業間の競合度が高まるほど、その業界にいるスペシャリスト企業の死亡率が低下する(業界が活性化する、その中でのスペシャリストの付加価値が相対的に受け入れられる面積が増える、基礎技術のコストが下がるなどの効果がありそう)
・メガトレンドに基づき、様々な業界の生態系変化を見越す習慣をコンサルに丸投げした単発作業として行わない
・新レッドクイーン理論:真の競争相手は、ライバル企業ではなく、自分のビジョン。環境が大きく変化するほど(チェンバレン型ではなくシュンペーター型の環境に移るほど)、企業の目的は「競争」になってはならないのだ。
・これからの戦略に不可欠なのは「魅力的な未来を描き出し、イノベーションを引き起こし、投資家・従業員・顧客に対して大きな未来を提示し心理的な期待感を高められる企業」になる
・AIが得意なのは「学習」「知識」「推論」「予測」だが、AIにできないことは「問題認識」「メタ認知」「定型的でない意思決定」「感情表現」などだ。そうであれば、人間にはこれからますます「問いを立てる」能力が求められることになる。
・企業の存在目的は、株主にもうけさせることだけにあるのではない。世界の在り方をよりよくしなければならないし、それによって一般人の価値も上げなければならないのだ
・アントレプレナー:不確実性に直面した時に意思決定をする人
・創造型は様々な試行錯誤・行動を繰り返し、事業機会が事後的に、徐々に浮かび上がってくる
・革新的な起業家の思考パターン
1)Questioning:現状に常に疑問を投げかける
2)Observing:興味を持ったことを徹底的にしつこく観察する
3)Experimenting:それらの疑問・観察から、仮説を立てて実験する
4)Idea Networking:他者の知恵を活用する
・株式会社の仕組みにより「企業は(目的を達成しても)死んではいけない」という前提になっている
・ビジネスで議論をし、相手と根本的に話がかみ合わない場合、「そもそも人とはどう考えるのか」の前提が異なっているから、ということが多い
・戦略:企業を取り巻く環境(Environment)を前提に、業績(Performance)を向上させるための、経営資源(Resource)を使った、企業の行動・アクション(Action, Initiative)のこと

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2021年06月06日

購入済み

素晴らしい名著

今まで数百冊(もしかしたら1000超え)のビジネス書に目を通してきたが、間違いなくトップ3に入る名著。入山先生の講演を聴いて買ってみたものの、電子書籍だったのでボリューム感が分からずこんなに読むのに時間がかかるとは思わなかった。
読み終えて思ったのは、こんなに素晴らしい本は紙版も買おうということでした。

#タメになる

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2021年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

入山氏の著名な名著。
世界中の経営理論を網羅的に解説した本とのこと。
不確実性が高く、正解のないなか、思考の軸となるべきものにしうるのが世界標準の経営理論とのこと。

メモ
・ビジネスパーソンに経営理論が必要な理由
 説得性、汎用性、不変性
・SCP理論 需要と供給の関係、独占性(参入障壁・優位性構築)で利潤は決まる。現在は静的でなく、部分的にしか成立しなくなりつつある。
・プリンシパルエージェント理論。経営者と管理者のモラルハザードなどのこと。株主と経営者間でも成り立つ。目的の不一致に関する問題。インセンティブ設計やモニタリングによる解消法がある。
・不確実性の4分類 確実に見通せる、他の可能性、可能性の範囲が見えている、全く読めない未来
・トランザクティ部メモリーを高めるためには、コミュニケーション手段はいかようであれ、顔が見えることが重要
・ダイナミックケイパビリティ
 センシングとサイジング。事業機会驚異を感知し、とらえること。
 シンプルルール。数を絞ったシンプルルールだけを組織日徹底し、柔軟意思決定すべし。
・弱いつながりがクリエイティビティにつながり、強いつながりが実践につながる。

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2021年05月15日

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◾️概要
経営理論を学び、実務に生かすため読みました。理論とは「経営・ビジネスのhow, when, whyに応えること」
です。ビジネスパーソンに経営理論が必要なのは、納得性・汎用性・普遍性が理由だからです。わかるわかる、なるほど、と思いながら読み進められました。

◾️所感
30の理論のうち、どこから目を通してもいいと思います。特に印象的だったのは、ダイナミックケイパビリティとで「急激な事業変化に合わせて、企業が内外のリソースを組み合わせ直し続ける、企業固有の能力・ルーティン」を問う理論のことです。手元に置き、事あるごとに読み返したい一冊です。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

フレームワークというツール(本来、思考を整理するのが目的)に頼るのではなく、理論(本書で網羅的に分かりやすく解説している)を思考の軸として、ビジネスという現象についてのwhyを深く考察するうえで、本書は唯一無二の名著である。
非常にボリューミーだが、スラスラ読み進められる。おもしろい。すべての章を読む必要はなく、自分の関心のある分野のみを読んでいき、その章で紹介される数々の論文を読んでいけば、知識は必ず深まるなと思う。参考書であり、積読書である。

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2021年02月01日

Posted by ブクログ

もやもやっとしていた世の中の流れや新しい動きが体系的に理解できました。
今、中小企業診断士の勉強をしているのですが、企業経営理論の分野が現実の動きに沿ってなるほどと具体的に頭に入っていきました。
ビジネスって究極の目標は、関係する人そして世の中全体を幸せにすることですね

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2021年01月11日

Posted by ブクログ

コスパがとても良い本。
読みやすく書かれた刺激ある800ページの本が、2900円である。
辞書みたいだけど、何かの雑誌向けに何年もかけて書いたものを集めたからか、とても読みやすい。

理論は、how、when、whyに応えるものというのは、学生にも読ませたい一文である。多くの研究者が再現性ある真理を求めて研究しているのだから、多くの気づきがあって当然ではあるが、なにより、今自分が興味があるのは何かということが俯瞰して読むことでわかるのは大きい。

例えば、企業に勤めている中でアドバース・セレクション、エージェンシー問題は本質的な問題だが、どのような対応があるのか。企業のビジョンを考える際、どのようにモチベートしていくのか。

今後、SH理論とか、業績が上がっている経営者を分析した結果から、違う業界に転職し、イントラパーソナル・ダイバーシティを高める必要があるのではないかとと考えたり。

3日位読むのに時間はかかるが、毎年読めば、毎年異なる気づきが得られるかもと思わせる良い本でした。

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2020年12月31日

Posted by ブクログ

読み始めてすぐ衝撃。フレームワークを使って経営コンサルを13年もやってきたことを恥ずかしく思った。ここは学び直すタイミングだと、地道に読み進めることとする。クリステンセンが、理論を大量に服用せよ、と言っていたけれど、この本はまさに大量服用が実現できる希少な手段となるだろう。2020.8.27

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2020年08月27日

Posted by ブクログ

800ページ超、60万字超、という、写真でお見せした人には伝わると思うが、まさに『辞書』のような本。 すごい本でした。

「世界標準」と判断してよい30程度の経営理論(メインは32章)を「経済学ディシプリン」「マクロ心理学ディシプリン」「ミクロ心理学ディシプリン」「社会学ディシプリン」の4つの体系に整理し、『「世界で標準となっている経営理論」を可能な限り網羅・体系的に、そしてわかりやすくまとめて皆さんに紹介する、世界初の書籍である。』(本書はじめの2行)

いや、すごい本でした。辞書のような本、と書いたが、そうだね、辞書だね、と思って意識して、辞書のように今後何年もこの本にも戻ってきたり、参考文献も探してみたり、そうした『使う本』にしていくのがいいんだなぁと思いながら読み切りました。 当然俯瞰的に記載を行っているため、それぞれの章においては専門の本のほうが詳しいわけで、でもそんな中で、2020年現在での理論の状況をわかりやすく補足してくださり、さらに今後出てくる(実証が期待される)方向性を提示してくださったり、入山先生ならではの見解も章末に記載してくださっているところが、ほんとに今後長い付き合いになる本なんだろうな、と思いました。

個人的には、いくつか20年かけて読んできたビジネス本たちが、あぁこういう位置づけになるのね、と気づかせてもらったり(特に野中先生部分およびEQリーダシップ他)、また自分の生き方にも強いインパクトをあたえてくださっている社会起業家の方々(フローレンス駒崎さんやマザーハウスの山口さん、(働きながら、社会を変える。の)慎泰俊さん)が紹介されていたところもなんかほっとした。

そんな中での超個人的なところの引用としては、自分が大事にしている価値観が入山先生の「知の探索」「知の深化」の真骨頂の部分に記載されていた箇所を抜粋したい。(ほんとはこんなにいい本だからあとがきから抜粋すべきだとは思うが…)
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P244
知の探索・深化の理論に基づけば、ダイバーシティの本質は、知の探索を促すためにある。 だとすれば、先のように「一つの組織に多様な人がいる」(=組織ダイバーシティ)ことも重要だが、「一人の人間が多様な、幅広い知見や経験を持っている」のなら、その人の中で離れた知と知の組み合わせが進み、新しい知が創造できるのだ。 これを経営学ではイントラパーソナル・ダイバーシティ(intrapersonal diversity)と呼ぶ。「個人内多様性」という意味だ。筆者は「一人ダイバーシティ」と呼んでいる。ダイバーシティは、一人でもできるのだ。これが、個人レベルの知の探索である。
 イントラパーソナル・ダイバーシティという言葉は、初めて知った方も多いだろう。それもそのはずで、ここ10数年くらいの間で、経営学で注目されている新しい概念だからだ。 近年は実証研究が進んできており、そして多くの研究で「イントラパーソナル・ダイバーシティが高い人は様々な側面でパフォーマンスが高い」という結果が得られている。
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2020年07月29日

Posted by ブクログ

史上初の世界の主要経営理論30を完全網羅した解説書です。
ビジネスパーソンが考え抜くための羅針盤になること必至。
とにかく分かりやすく、面白いです。
800ページの大著ですが、一気に読めてしまいます。
世界の最高レベルの経営学者の英知の結集が、初めて完全に体系化された本です。
経営理論の教科書となる本です。
本書の最後の方にある、「現代の経営理論はビジネスを説明できない」という事実には衝撃でした。
超お勧めです。
面白かった!

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2020年06月26日

Posted by ブクログ

最高の書。5段階評価で10をつけたいくらい。この本で経営学の面白さを知った。様々な思考に視座を与えてくれる。経済学、心理学、社会学と、さらに深掘りして学びたくなった。

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2020年06月06日

Posted by ブクログ

世界の主要な経営理論30を完全網羅との表紙記載の通り、膨大な量の文字数、ページ数であるが、素人にもわかり易い言葉で解説されている為、思った以上に、スムーズに読み進める事が出来た。
経営者と対話するときなど、経営理論を幅広く理解して、会話についていく事が必要な場面もある為、その観点で自身の仕事にも役立つのではないかと感じた。

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2020年05月04日

Posted by ブクログ

従前から興味あったものの、その分厚さから購読をためらっていたが、本制度を機に購入した。組織論、社会学、経済学等様々な視点からの経営理論がまとめてあり非常に勉強になった。前項のフレーズは読み飛ばした序章に書かれていたが、全編読んだ後にこれを読み、本書の使い方を間違えていたのか、と意味で衝撃を受け印象に残った。今後は推奨されているように辞書的な使い方をするために手元に置いておこうと思う。

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2023年09月09日

Posted by ブクログ

超分厚い本ですが、自分の気になる理論を目次から当たりをつけるような見方でも面白いと思います。
私は結局気になるものしか頭に残りませんでしたが、気になるものの最近の理論が知れる、ということが非常に意義深いと思います。
気になった理論の本を読みたいと思っています

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2023年02月10日

Posted by ブクログ

入山先生が主要な経営理論をまとめられた書籍です。800ページで42章に及ぶ量ですが、過去に知っていることの再構築も含めて得られるところは多かったと思います。今後、この知識をいかに活用していくかも大切と思いながら読み進めていました。一度読んで終わりではなく、何度も、適宜関係するところを参照する使い方がいいのかなと思っています。

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2022年10月02日

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経営学は経済学・心理学・社会学からの借り物で出来ているという着眼点を軸に、それぞれの視点の違いを活かして多角的な「経営学」像を浮かび上がらせる。

中でも新旧レッドクイーン理論を、3つの視点の交差点として描いているのがきわめて鮮やか。「競争を避けよ」のポーターでもなく、「競争に勝て」のバーニーでもなく、「競争こそが強さをもたらし、競争こそが脆さをもたらす」という東洋思想のような解釈に唸らされる。

小学生のようなまとめ方をしてしまえば、両利きの経営により「地に足のついた大ボラ」=センスメイキングするのが最強ということになるだろうか。

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2021年02月28日

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経済学の出発点である「完全競争」の概念の説明に始まり、時代とともに進歩してきた経営理論を時系列・段階的に学ぶことができる。

経営理論の特に重要な目的は、即ち経済学、心理学、社会学のいずれかの人間・組織の思考・行動の根本原理をもって、経営・ビジネスにおける「なぜそうなるのか(why)」を説明することであると、筆者は述べている。

まさに本書で述べられている理論はその通りで、日々のビジネスを思い浮かべながら読み進める中で、所属する組織の状態や自分の思考を客観的に捉えることが出来たことは有意義だった。

特に、イノベーションを起こすためには、「(未知の領域ねな)知の探索」を進める必要があるが、企業・組織は「(既知の)知の深化」に傾斜する傾向がある、という内容は、自分が行動したいと思っていることの後押しともなった。

800ページ超の大作ながら個人的にはその内200ページ程(特に後半)はパラパラ読みで良かったと感じる内容もあったこともあり、星は4つ。

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2020年05月06日

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世界標準の経営理論
 『世界標準の経営理論』を手にされた方へ

 序章 経営理論とは何か
 いまこそビジネスに経営理論が求められる、3つの理由
  理論とはHow、When、Whyに応えること
  理由1:Whyの「説明」「納得」がなければ、人は動かないから
  理由2:「理論ドリブンの思考」の方が、圧倒的に汎用性が高いから
  理由3:経営理論の説明力は、時代を超えて不変だから
  本書を貫く3つのディシプリン
  なぜ本書の執筆が可能なのか
  column1 理論とフレームワークの違い
   フレームワークは理論ではない
   何が「理論でない」のか
   経営学が実務に貢献するルートは2つ
   MBAの教科書は混乱している
   経営理論をビジネスパーソンに直接届け、Whyの腹落ちを目指す
  column2 世界の経営学のトップ学術誌
   学術誌にはランク付けがある
   「Aジャーナル」以外の学術誌の価値とは

 第1部 経済学ディシプリンの経営理論
  合理性をもとに、戦略・組織の本質に切り込む
  競争戦略の理論
  組織の経済学
  ゲーム理論
  リアル・オプション

  第1章 SCP理論
  「ポーターの戦略」の根底にあるものは何か
   SCP理論とポーターの戦略フレームワーク
   儲かる業界、儲からない業界
   すべては完全競争から始まる
   完全競争は、まったく儲からない
   完全競争の対極にある「独占」
   あなたの業界も「完全競争」と「完全独占」の間のどこかにある
   寡占はなぜ儲かるのか
   ベインの参入障壁の視点
   ケイブスとポーターの「企業グループ」の視点
   「ポーターの競争戦略」の起源
   プラットフォーマーが生み出す、新時代の「独占」

  第2章 SCP理論をベースにした戦略フレームワーク
  ポーターのフレームワークを覚えるよりも大切なこと
   SCP理論とフレームワーク
   SCPフレームワーク①:ファイブフォース
   ファイブ・フォースの正しい使い方
   SCPフレームワーク②:戦略グループ
   SCPフレームワーク③:ジェネリック戦略
   ファイブ・フォースを細かく覚える必要はない
   SCPを超えて①:収益性は産業構造だけで決まるのか
   SCPの「戦略グループ」の行き詰まり
   SCPを超えて②:心理的な戦略グループ
   SCPを超えて③:一時的な競争優位
   SCPフレームワークの限界の背景

  第3章 リソース・ベースト・ビュー(RBV)
  バーニーの理論をようやく使えるものにしたのは誰か
   そもそもRBVとは何か
   RBVの起源となる4つの論文
   バーニーの論文(1991年)の骨子
   RBVの現実妥当性
   RBVは問題だらけ
   なぜRBVは実務で使えないのか
   アクティビティ・システム
   また、ポーターに戻る

  第4章 SCP対RBV、および競争の型
  ポーター vs. バーニー論争に決着はついている
   重要なのはSCPか、RBVか
   決着1:両方とも重要
   決着2:そもそも「競争の型」が異なる
   「日本企業に戦略はない」は本当か
   競争環境を見分けよ
   必要なのは「鷹の目」

  第5章 情報の経済学①
  「悪貨が良貨を駆逐する」のはビジネスの本質である
   組織の経済学とは
   出発点は、やはり完全競争を崩すことから
   アカロフのレモン市場
   アドバース・セレクションとは何か
   ビジネスにつきまとうアドバース・セレクション
   アドバース・セレクションの理解は、さらに重要になる
   アドバース・セレクションを巧みに解消する企業とは
   私的情報を持たないプレーヤーの対処法:スクリーニング
   私的情報を持つプレーヤーの対処法:シグナリング
   情報の非対称性はチャンスになりうる
   情報の非対称性を味方につけよ

  第6章 情報の経済学②(エージェンシー理論)
  人が合理的だからこそ、組織の問題は起きる
   モラルハザード問題
   企業組織はすべてモラルハザード問題を持つ
   プリンシパル=エージェント関係は、株式会社の本質
   精神論的な解決法からの脱却を目指せ
   モニタリングによる解消法
   インセンティブによる解消法
   エージェンシー問題の解消法は、万能ではない
   日本でいちばん業績がよい、企業統治のパターンとは
   組織メカニズムの理解に、エージェンシー理論は欠かせない

  第7章 取引費用理論(TCE)
  100年前も現在も、企業のあり方は「取引コスト」で決まる
   限定された合理性
   GM vs.フィッシャーボディ
   ホールドアップ問題の要因とその帰結
   TCEは「なぜ企業が存在するか」を説明する
   実証的か、規範的か
   ハイブリッド・ガバナンスに潜むトレードオフ
   TCEから見る企業の国際化戦略
   世界的な取引コストの低下圧力が、企業のあり方を変える

  第8章 ゲーム理論 ①
  この世のかなりの部分はゲーム理論で説明できる
   そもそもゲーム理論とは何か
   クールノー競争
   ナッシュ均衡
   クールノー競争の含意
   ベルトラン競争
   ベルトラン・パラドックス
   ベルトラン・パラドックスは避けられるのか
   エスカレーターで立つのは、左か、右か
   ゲーム理論は、社会の多くを説明しうる

  第9章 ゲーム理論 ②
  我々は人を「無償」で信じるか、それとも「合理的な計算」で信じるか
   同時ゲームと逐次ゲーム
   復習:ゲーム1(同時ゲーム)
   ゲーム2(逐次ゲーム:B社がリーダーの場合)
   ゲーム3(同時ゲームと逐次ゲーム)
   ゲームのルールは変えられる
   逐次ゲームのリーダーになるための2つのポイント
   ベルトラン・パラドックスが起きない第3の条件
   米シリアル業界で起きた異変の結末
   人を信頼する、とはどういうことか

  第10章 リアル・オプション理論
  不確実性を恐れない状況は、みずからの手でつくり出せる
   リアル・オプション理論の背景
   事業評価法・計画法としてのリアル・オプション
   リアル・オプションと不確実性
   経営理論としてのリアル・オプション
   リアル・オプションは日本でさらに重要になる
   リアル・オプション戦略はいつ有効なのか
   不確実性は1種類ではない
   そして心理学ディシプリンへ

 第2部 マクロ心理学ディシプリンの経営理論
  人の認知を基礎に、組織の学習・変化・イノベーションに多大な視座を与える
  カーネギー学派の理論
  組織の記憶の理論と、組織の知識創造理論
  組織の変化の理論

  第11章 カーネギー学派の企業行動理論(BTF)
  経営理論は名経営者の教訓を裏付ける
   カーネギー学派とは
   経済学への批判
   サイモンの「限定された合理性」
   ホンダ幹部は、米市場での勝ち方を事前に知っていたのか
   マーチ=サイモンの「サーチ」と「アスピレーション」
   人・組織は合理的であるがゆえに、慢心する
   うまくいっている時に、目標を高く保てるか
   サイアートとマーチの企業行動理論
   BTFは名経営者の教訓を裏付ける
   column アッパーエシュロン理論

  第12章 知の探索・知の深化の理論①
  「両利き」を目指すことこそ、経営の本質である
   イノベーションと組織学習
   組織学習の循環プロセス
   知の探索・知の深化とは何か
   マーチが打ち立てたイノベーション研究の金字塔
   両利きの経営
   コンピテンシー・トラップ

  第13章 知の探索・知の深化の理論②
  「両利き」は戦略、組織、人材、経営者のすべてにおいて求められる
   両利きの経営を進めるには
   オープン・イノベーション戦略とCVC投資
   「日本の大企業型」の知の探索とは
   出島組織には、異なるルールを
   ダイバーシティは、一人でもできる
   知の探索に「適切な幅」はあるか
   経営者の知の探索は広く、広く
   column その他のレベルの「両利き」の研究

  第14章 組織の記憶の理論
  日本企業が「組織の記憶力」を取り戻す術は何か
   組織学習とイノベーション
   シェアード・メンタル・モデル
   航空交通管制官が共有する基本認識
   「世界一のイノベーション企業」で共有されるメンタルモデル
   トランザクティブ・メモリー・システム
   トランザクティブ・メモリー・システムを高める条件
   顔を合わせてのインフォーマルな交流を促す仕掛け
   ブレストは、アイデアを出すためにやるのではない
   組織の記憶は、本当に全員で共有すべきか
   あなたの組織が目指すべきは米IBM型か、IDEO型か

  第15章 組織の知識創造理論(SECIモデル)
  これからの時代こそ、「野中理論」が圧倒的に必要になる
   世界唯一の、知の創造の理論
   情報と知識は同じではない
   人格的知識としての暗黙知
   SECIモデル
   共感と知的コンバット
   これからが「野中理論」の時代
   column ナレッジ・ベースト・ビュー

  第16章 認知心理学ベースの進化理論
  組織の成長は「進化するルーティン」で決まる
   組織の継続的な変化・進化を説明する理論
   ルーティンとは
   デュポンの社員は駅の階段の隅を歩く
   ルーティンが組織にもたらす効果
   良品計画の「進化するルーティン」
   ルーティンの進化は、漸進的になる
   ルーティンが進化を止める危険性
   変化対応で怖いのは、リソースではなくルーティン
   ルーティンをつくり直せ

  第17章 ダイナミック・ケイパビリティ理論
  企業が変わる力は組織に宿るのか、個人に宿るのか
   変化し続ける企業
   ハイパーコンペティションの時代
   ダイナミック・ケイパビリティとは
   センシングとサイジング
   IBMの持つダイナミック・ケイパビリティ
   ジェフ・ベゾスは「共食い」を推奨する
   シンプル・ルール戦略
   ダイナミック・ケイパビリティを育てるのは個人か、組織か

 第3部 ミクロ心理学ディシプリンの経営理論
  ビジネスパーソンの身近な課題への指針となる理論
  リーダーシップとモチベーションの理論
  認知バイアス、意思決定、感情の理論
  センスメイキング理論

  第18章 リーダーシップの理論
  半世紀を超える研究が行き着いた「リーダーシップの境地」
   そもそもリーダーシップとは何か
   理論1:リーダーの個性(trait)の理論(1940年代~)
   理論2:リーダーの行動(behavior)の理論(1960年代~)
   理論3:コンティンジェンシー理論(contingency theory)(1960・70年代~)
   理論4:リーダー・メンバー・エクスチェンジ(Leader-Member-Exchange:LMX)(1970・80年代~)
   リーダーは全員を「えこひいき」できるか
   理論5:トランザクショナル・リーダーシップ(TSL)とトランスフォーメーショナル・リーダーシップ(TFL)(1980・90年代~)
   これからさらに求められるトランスフォーメーショナル型
   シェアード・リーダーシップ(Shared Leadership:SL)(2000年代~)
   なぜいま「マッキンゼー卒業生」が大活躍するのか
   あなたのリーダーシップに「ビジョン」はあるか
   column その他のリーダーシップ視点

  第19章 モチベーションの理論
  半世紀を超えてたどり着いた新時代のモチベーションとは
   モチベーションの仕組みは、人類の関心事
   モチベーションとは何か
   理論1:ニーズ理論(needs theory)(1940年代~)
   理論2:職務特性理論(job characteristics theory)(1970年代~)
   大企業から飛び出すとモチベーションが高まる理由
   理論3:期待理論(expectancy-valence theory)(1960年代~)
   理論4:ゴール設定理論(goal setting theory)(1960年代~)
   星野リゾートのモチベーションの高め方
   理論5:社会認知理論(Social Cognitive Theory)(1960・70年代~)
   理論6:プロソーシャル・モチベーション(prosocial motivation)(2000年代~)
   リクルートが徹底する、内発的動機×PSM
   これからの人材輩出企業の条件とは

  第20章 認知バイアスの理論
  認知の歪みは、組織で乗り越える
   認知バイアスは、時に悲惨な結果を招く
   個人レベル:パフォーマンス・アプレイザル
   組織レベルの認知バイアス:社会アイデンティティ理論と社会分類理論
   ダイバーシティ経営はなぜ失敗するのか
   グーグルですら、ダイバーシティは容易ではない
   個人のバイアスは組織で乗り越える
   column マインドフルネス

  第21章 意思決定の理論
  意思決定の未来は、「直感」にある
   規範的な意思決定、意思決定のバイアス、直感
   規範的な意思決定論:期待効用理論
   リスク選好の違いは、エージェンシー問題を引き起こす
   意思決定バイアスの理論:プロスペクト理論
   企業が「損切り」をできない理由
   フレーミングだけで人の意思決定は変えられる
   直感の理論の基本:二重過程理論
   バイアスとヴァライアンスのジレンマ
   不確実性の高い世界では、直感は熟慮に勝る
   「直感」研究の進展が、経営学の未来を切り開く

  第22章 感情の理論
  感情のメカニズムを理解してこそ、組織は動き出す
   なぜ「感情のメカニズム」を知ることが重要なのか
   感情は3種類ある
   感情の理論メカニズム
   感情が人・組織に与える複雑な効果
   感情ディスプレーを巧みに操れ
   感情表現の理論:感情労働理論
   認知を動かし、感情を動かす

  第23章 センスメイキング理論
  「未来はつくり出せる」は、けっして妄信ではない
   センスメイキングこそが、いま求められている
   哲学的背景:現実は一つか
   プロセス①:環境の感知
   プロセス②:解釈を揃える
   求められるのは、ストーリーを語り、腹落ちさせられるリーダー
   プロセス③:イナクトメント
   センスメイキングがあるから危機を乗り越えられる
   セルフ・フルフィリング:未来は本当に生み出せる

 第4部 社会学ディシプリンの経営理論
  ビジネスの「つながり」「社会性」のメカニズムを解き明かす
  ソーシャルネットワークの理論群
  「社会的なつながり」を前提とした、その他の主要理論
  エコロジーベースの理論

  第24章 エンベデッドネス理論
  ソーシャルネットワークの本質はいまも昔も変わらない
   科学科が進むソーシャルネットワーク研究
   社会学から経済学への、2つの批判
   エンベデッドネス(embeddedness)
   「埋め込まれたつながり」の法則
   日本はつながりの宝庫である
   新しい時代の「つながり」も、本質は変わらない
   企業の存在は薄れ、ネットワークというアクターが台頭する

  第25章 「弱いつながりの強さ」理論
  弱いつながりこそが、革新を引き起こす
   マーク・グラノヴェッターの功績
   ソーシャルネットワークの役割は、伝播・感染にある
   ブリッジはいつ生まれるか
   広範なソーシャルネットワークへの拡張
   弱いつながりが、縁故採用を復活させる
   弱いつながりこそが、イノベーションを引き起こす
   多くのイノベーターは、チャラ男・チャラ娘である
   イノベーションは、やはり「辺境」からやってくる
   強いつながりが、イノベーションを実践に落とし込む
   スモールワールド現象
   世界はさらに小さくなっていく

  第26章 ストラクチャル・ホール理論
  「越境人材」が世界を変える、そのメカニズムとは
   ソーシャルネットワークの3つのレベル
   ブローカレッジ
   ストラクチャル・ホール
   ストラクチャル・ホールは商売の基本である
   ストラクチャル・ホールはイノベーションの突破口である
   ストラクチャル・ホールを活かし切る条件
   バウンダリー・スパナー
   H型になり、境界を超えよ

  第27章 ソーシャルキャピタル理論
  リアルとデジタルのネットワークで働く、真逆の力
   ソーシャルキャピタルとは
   復習:ブリッジング型のソーシャルキャピタル
   新しい視点:ボンディング型のソーシャルキャピタル
   ボンディング型のソーシャルキャピタルは至る所にある
   デジタル時代こそ、健全なソーシャルキャピタル運営が課題になる
   リアルとデジタルのネットワークで働く、真逆の圧力

  第28章 社会学ベースの制度理論
  「常識という幻想」に従うか、活用するか、それとも塗り替えるか
   現代ビジネスの課題解明に欠かせない理論
   人は「合理性」よりも、「正統性」で行動する
   マクロ視点で、人・組織・企業は同質化する
   アイソモーフィズムを促す、3種類のプレッシャー
   自フィールドの常識は、他フィールドの非常識である
   国際化する企業の課題は、レジティマシーの衝突にある
   非市場戦略で、制度に働きかけろ
   インスティテューショナル・アントプレナーが世界を変える

  第29章 資源依存理論
  小企業が大企業を抑え、飛躍する「パワー」のメカニズム
   企業の「パワー」を説明する理論
   企業パワーの源泉
   パワーの弱い企業が、外部抑制に対抗する戦術
   column 産業連関表
   資源依存理論は現代に甦る
   資源依存を脱却し、飛躍する日本の下請け企業

  第30章 組織エコロジー理論
  変化の時代にこそ不可欠な「超長期」の時間軸
   生物学を応用する経営理論
   組織エコロジー理論の前提
   派生1:密度依存(density dependence)理論
   求められるのは、時間軸への意識
   派生2:年齢依存(age dependence)仮説
   派生3:捕食範囲の理論(niche-width dynamics)
   メガトレンドを持って、生態系を渡り歩け

  第31章 エコロジーベースの進化理論
  生態系の相互作用が、企業進化を加速する
   変化に関する4つの類型
   VSRSメカニズム
   企業内人材のVSRSメカニズム
   人にも存在するホモフィリー・プレッシャー
   企業内戦略形成のVSRSメカニズム
   企業は生まれた瞬間から進化が起こせなくなる
   共進化のVSRSメカニズム
   他の生態系のダイナミズムを取り込め

  第32章 レッドクイーン理論
  競争が激化する世界で、競争すべきは競争相手ではない
   「鏡の国のアリス」から来た理論
   キツネとウサギはなぜ足が速くなり続けるのか
   企業間の生存競争が共進化をもたらす
   切磋琢磨が進化を促す
   切磋琢磨が、ガラパゴス化を生む
   レッドクイーン理論は「チェンバレン型競争の罠」を説明する
   大変化の時代における、本当の「競争相手」は誰か

 第5部 ビジネス現象と理論のマトリックス
  現象領域とのマトリックスから興味ある「理論」を見つけ、未来を予測する

  第33章 戦略とイノベーションと経営理論
  近未来に戦略とイノベーションは融合し、理論も重層化する
   戦略とは何か
   戦略という研究領域の構造
   一つの現象は、複数の理論から見つめられる
   戦略とイノベーション戦略が融合する時代
   戦略に心理学ディシプリンを取り込め
   これから勝つ企業は、相反する理論を高次に内包する

  第34章 組織行動・人事と経営理論
  これから人事がさらに面白くなる、5つの背景
   組織行動と人的資源管理のマトリックス
   階層1:個人レベル
   階層2:チームレベル
   階層3:組織レベル
   
  第35章 企業ガバナンスと経営理論
  あるべきガバナンスを考え抜く時代に、必要な理論は何か
   企業ガバナンスが世界で関心を集める理由
   企業ガバナンス領域の構造
   エージェンシー理論は企業ガバナンスの必修理論
   株主だけが第1の時代は、終わりつつある
   新時代のガバナンス理論は社会学ベースである
   スチュワードシップ理論
   自社が求めるガバナンスを考え抜け
   column 企業倫理と経営理論

  第36章 グローバル経営と経営理論
  「国境」の本質を見直すことが、グローバル経営の未来を映し出す
   グローバル経営には理論がない
   グローバル経営の2大「理論のようなもの」
   グローバル経営を説明する理論は、国内経営と変わらない
   国境とは何か
   グローバル経営の5つの展望

  第37章 アントレプレナーシップと経営理論
  アントレ領域が拡張する未来に、起業家をどう育てるべきか
   経営学で台頭するアントレプレナーシップ領域
   アントレプレナーシップとは何か
   ヒト・コト・カネのマトリックス
   新時代のアントレプレナーシップ領域
   事業機会は見つけるものか、つくり出すものか
   起業家は、本当に育てられるのか
   column 起業家の個性・特性に関する実証研究

  第38章 企業組織のあり方と経営理論
  「5つのドライビングフォース」が示す、未来の企業組織の姿
   経営学とは組織の学問である
   組織とは、企業とは
   企業の存在範囲を決める5つのドライビングフォース
   時代とともに変化する、あるべき組織の姿
   中心のない自律分散ネットワークの組織
   企業は死んではいけないのか

  第39章 ビジネスと経営理論
  現代の経営理論はビジネスを説明できない
   経営理論は、ビジネスを説明できない
   ビジネスプランニングと経営理論
   ビジネスモデルと経営理論
   経営理論は全体像を描けない
   全体主義と還元主義
   ビジネスを説明できる理論がない
   我々がビジネスで生み出すべき「価値」は何か

 第6部 経営理論の組み立て方・実証の仕方
  学術的な理解を深めるだけでなく、ビジネスにも有益な知見

  第40章 経営理論の組み立て方
  ロジックの賢人ほど、「人とは何か」を突き詰める
   誰もが、「経営理論っぽい話」をしている
   一般理論と理論的記述の構築
   理論構築の流れと、理論の構成要素
   日本企業のローテーション人事は意味があるのか
   自然言語の理論で、曖昧さをなくすには
   Whyを突き詰めた先にあるもの
   column さらに知っておくべき理論構築のチェックポイント

  第41章 世界標準の実証分析
  ビジネスの実証分析は想像以上に身近で、とてつもなく深い
   理論と実証は不可分である
   演繹法と帰納法
   現代経営学の実証分析の6大手法
   実証分析の手法を選ぶ基準
   現代ビジネスに浸透し始めた実証分析
   実証分析は、あなたでもできる
   経営学の実証分析の未来は大変化する

  終章 経営理論のさらなる視座
  経営理論こそが、あなたの思考を解放する
   本書の狙いは実現できたか
   本書の目的は達成できたのか
   さらなる視座①:本当の意味で「経営理論」は存在しない
   さらなる視座②:経営理論を深く知るのに、これ以上の経営学書は必要ない
   さらなる視座③:経営理論を信じてはいけない
   経営理論こそが、あなたの思考を解放する

 『世界標準の経営理論』を読んでくださった方へ
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 2014年9月~18年5月に加筆修正

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

ふぅ、なんとか最後まで読み終わった、というのが正直なところ。たしか出口治明氏の『還暦からの底力』で紹介されていて、興味を持ったのだった。参考になる部分は多々あったと思うけど、なにせ800ページの大著。一口で説明することはできない。経営学って、よくわからないなという思いは、必ずしも今も払拭されたわけではないんだけどね。ただ、変化が激しく、どうしたらいいかわからない場面においても、判断、決断はくださないといけない。そうした場合の軸になるものを与えてくれる枠組み、くらいな感じなのかな。一応、通読はしたので、今後は参考になりそうなところを拾うリファレンスとして手元に置こう。

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2021年02月25日

「ビジネス・経済」ランキング