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Posted by ブクログ
『あらすじで読み解く古事記神話』(2012年、文藝春秋)の加筆改題版です。
著者は、『古事記講義』(文春文庫)や『古事記を読みなおす』(2010年、ちくま新書)など、古事記の入門書を数多く執筆していますが、そのなかでも本書は、著者が「中学生以上ならだれにでも楽しんでいただけよう」と述べているように、とくにわかりやすく書かれている印象です。
古事記の上巻から、親しみやすいエピソードを紹介し、それをめぐっての著者の解説がつづくという構成になっています。他方で、「一般的な解釈とは違う新説も随所に加わっているので、古事記研究を専門とする人にも読んでほしい」と著者が述べるように、著者自身の見解も前面に打ち出されています。
とくに、ヤマト王権とは異なる観点から古代史を考える必要性を訴え、「日本海文化圏」にかんする研究が進展することへの期待を表明したり、あるいは出雲神話の重要性について語っているところなどには、古事記と古代史をめぐる研究が現在でもホットなトピックでありつづけていることがうかがえて、おもしろく読むことができました。