【感想・ネタバレ】インディアンとカジノ ──アメリカの光と影のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「インディアン保留地は「国内依存国家」であり、条約締結関係を結んだ当事者であるアメリカは、後見的立場で部族とその国家としての地位を保護する義務がある。」
1831年にインディアン所有地は国家であるとしたマーシャル判決が、米国におけるインディアンの存在を端的に表している。
面白かった

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2022年04月17日

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最近観た映画「ウィンドリバー」で、インディアンが今もなお貧困の中で生きざるを得ないことを知って衝撃を受けた。
小さい頃アリゾナでインディアンが昔住んでいたという石造りの家の遺跡を見たけど、なんとなくもうインディアンは非インディアンと格差なく暮らしているものと思っていた。
そんな中でたまたまこの本の存在を知って、いまの仕事とも関連があったので手に取った。

不利な条件で土地を奪われ、差別と貧困の中を生きなければならなくなったインディアンによる、自立を手に入れるための連邦との戦いを取り上げたもの。連邦から自立するために連邦と戦わなければならなかったインディアンの長い道のりと諦めなかった心を思うと尊敬の念を感じた。そして全てのインディアンがカジノで収益を上げられているわけではない(必ずしも経済的に自立していない)こと、収益を上げているとしてもそれが永遠に約束されたわけではないことを踏まえると、インディアンが進まなければならない道のりはまだ長いのだと感じた。
そして、カジノによる売り上げをもとに経済的に自立し、ようやく自らによる自治を手に入れたインディアンではあるけれど、カジノ収益の分配をめぐり非成員化という部族成員の選抜が進むなど、経済的に自立するだけで全てが好転するわけではないことに現実の難しさを痛感させられる。

この本の中では、インディアンとヨーロッパからの移民の出会いから書かれているので、インディアンがなぜ貧困の中に暮らさなければならなくなったかの背景も知ることができる。

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2021年02月19日

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ラスベガスを超える収益を上げていると言われるインディアン保留地におけるインディアンカジノについて、アメリカ大陸の先住民、インディアンとアメリカ合衆国独立から現代に至るませの歴史を俯瞰しつつ、インディアンがカジノ経営に至ったその軌跡を紹介した新書。

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2020年07月24日

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【インディアン・カジノ時代は、インディアンが異なる価値観や世界観を具体的な形で実践することを可能にする時代でもある。それはまた、アメリカ人が、あるいはそれを見つめる我々が、アメリカで展開される「異なる価値観、社会、自由」の実践を、より鮮明に目撃する時代でもある】(文中より引用)

アメリカの連邦政府とインディアンとの間の「契約」などを振り返りながら、その歴史的歩みの現在地として「インディアン・カジノ時代」を描き出す作品。著者は、アメリカ先住民研究で博士号を取得した野口久美子。

タイトルを見たときに「なんでこの2つの単語が並び立つの?」と感じて思わず手にとってしまったのですが、両者の結びつきを切り口としてアメリカの知られざる一面を垣間見ることができました。著者がなぜ一般的に使用が憚られるイメージの「インディアン」という単語を用いているかについての説明もなるほどと思わせてくれるところがあります。

生き抜くためのカジノという形もあるようで☆5つ

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2020年01月15日

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コロンブスが新大陸に到達し、ヨーロッパから移動した人々とネイティブ・アメリカンが接触を始めてからの歴史を繙いていく好著だ.当初は信託管理という形で、「インディアンの各部族は、土地をアメリカから取り戻すことはできないが、自治権はアメリカが土地を返却しない限り永久に消滅することはない.」という原則ができた.アメリカには移民が増えたことから、インディアン強制移住法が成立し、インディアンにとって苦渋に満ちた状況が続く.ただ、インディアンの側も法廷闘争で得るものは獲得してきている.そこで彼らが考え出したのがカジノ産業への進出だ.特にカリフォルニアの場合、車で数時間で行ける場所にある保留地が最高の立地条件だったことから、急速にカジノが林立した.インディアン・カジノ時代だ.当初は州当局から締め付けがあったが、法廷闘争で勝利してカジノで儲けて、医療、教育、インフラの充実等に利益を使っており、インディアンの生活環境、社会的地位、政治的発言力を格段に向上させた.このような状況が起きていることは知らなかったが、インディアンに対する「アメリカの良心」が根底にあるようだ.面白かった.

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2020年07月18日

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タイトルに?を感じて読むこととした。前半は、先住民族のインディアンの歴史を、対立から同化政策、保護、補助金等の支援までの間で様々に変遷してきた、連邦や州との関係について叙述される。後半は、インディアン居留地におけるカジノ導入を巡っての州政府との法廷闘争から、収益による生活環境の変化その他の影響について、インタビュー等により紹介がされる。
カジノについては賛否あるだろうが、カジノ導入から一世代の間に、著しい変化が生じていることに驚いたし、自立のためには経済的な裏打ちが必須であることが良く分かった。

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2020年05月25日

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海外ドラマ『バンシー』に、インディアン カジノが出てました。
アメリカのカジノと言ったら、ラスベガスとアトランティックシティしか知らなくて、何でだろう? と思ってるところで、この本を見かけて読みました。

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2020年05月12日

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アメリカ先住民について知らないこと、アメリカの白人的ステレオタイプしか持っていなかったことを痛感した。
「アメリカの良心」により、白人がインディアンを駆逐して土地を奪ったのではなく、少なくとも形の上では土地を譲ってもらう代わりに保留地を確保して守ると言う国家間の条約を結んだと言うことであった。つまり、インディアンの保留地は自治国なのである。ただし、政治的、経済的、文化的に自治を実現できたのは、1980年代からカジノにより経済的な自立を果たしたことによる。

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2020年06月25日

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