【感想・ネタバレ】謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)のレビュー

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Posted by ブクログ

再読しているときは、それこそ夢中で読み終えた『風と共に去りぬ』。
その謎とき、深掘りに本書は大成功している。

何が書かれているかではなく、どう書かれているかに注目するのは翻訳者ならではの視点。そこに注目するとき、とびっきりのドライブ感がなぜ生まれるか明かされる。

スカーレット/メラニーの分裂・協調、アシュリの性欲への着目、エンディングの評価、そして主要4人の密接度などどどれも冴えている。全体的におぼろげに夢中で読んだ原著の輪郭がはっきりした。

結語の「この傑作のテクストの下に、発動機の危うい喘ぎや細かい震えを、いまのわたしは感じざるを得ない」には、わたしは恐れをも抱いた。

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2021年06月22日

Posted by ブクログ

映画の印象が強すぎる作品を読み解いていく面白さ。10代の頃読んだ時は映画のシーンを思い返すだけであったことを痛感(映画に出ない人物の存在すら読み飛ばしていた模様)鴻巣訳も買い揃えたので近々読み返す。

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2021年02月08日

Posted by ブクログ

真面目な真面目な「風と共に去りぬ」評。
これまでの通説を覆す、世間の評価は間違ってる、との評論だけどこれまでの通説を知らないのだから、その辺はなんとも感情移入しにくい。
でも、まぁ、面白かったよ。

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2019年07月29日

Posted by ブクログ

100分de名著で観てとても面白かったのでこちらも。映画は観たけど原作は読んでないので読みたい。鴻巣さん訳で!

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2019年03月11日

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風と共に去りぬは疾走感溢れる大作で、主人公スカーレットの魅力と相まって、あの長大なボリュームをものともせずあっという間に読める小説だ。もし映画を先に観ていれば、スカーレットとレットの恋物語が最も印象的だろう。しかし本を読んでみると気づく、「あれ、レットってなかなか出てこないな」というほんの小さな違和感… 本書は、翻訳者ならではの丁寧さで、それら違和感を拾い上げ、風と共に去りぬの新たな側面を開いてみせる。読み終わったら、同作がもう一度読みたくなること間違いなし!

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

私の中で風と共に去りぬフィーバーが来たものの語り合える人もなく、ただただエンディングに喪失感を覚え、私なりの答えが欲しくて購入。
この一冊を読んで何だか風と共に去りぬについて人と意見を交わしている感覚になって満足です。またいつだって人からの影響を受けるにしても自分の解釈でしか物語は消化できないものなのだと改めて感じました。
私は岩波文庫で読んだので、著者の新潮の方にもいつかチャレンジしたいです。

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2020年06月25日

Posted by ブクログ

鴻巣訳じゃないけど原作も読んでるのに、やっぱり映画の印象が強いんだなあ。「え、そうだっけ」「あれ、そんなこと書いてあったっけ」というのが多かった。物語に対してもだけど、アシュレの見方がちょっと変わった。

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2019年10月13日

Posted by ブクログ

おなじみ、NHK「100分de名著」で取り上げられていた『風と共に去りぬ』。
その解説をしていた著者による、より詳しく知りたい人のための本だ。
これだけの名作を読んだことがなく、映画も見たことがなかった。
だからなんとなくのイメージで、南部のわがままな金持ちの美人さんがニヒルな男性に惚れて振られる話、だと思っていた。
そもそもからしてほとんど間違っているのだが、なんと!
スカーレット・オハラはヴィヴィアン・リーのような容姿ではない!
四角い顔で、つり目、浅緑の目、猪首、低めの身長。
何も知らない私ですら、ヴィヴィアン・リーの姿は見たことがあり、あのイメージだったのだが。
著者はコンパクトグラマーと表す魅力のある女性が、原作のスカーレットだ。

さて、一体何がスカーレットの魅力か。
それは偏に、彼女の持つ強さと、幼さと、自己中心的な性格にある。
ヒロインのライバル、あるいは対をなす、対極にいるかのように見えたメラニーが、実は原作の中ではWヒロインとして扱われている。
聖女、手弱女、純朴。
そんなメラニーのイメージは覆される。
182頁からの「黒のヒロイン、聖愚者メラニー・ウィルクスの闇」の章は驚きを禁じ得ない。
スカーレット、メラニー。
そもそもこの二人の名前が表すもの、そして、ここぞの場面で発揮される強さや暗さ。
イメージとは、「幻」だ。

著者は257頁で「これは恋愛小説ではない」と言い切っている。
悲恋、泥沼、三角関係。
そんなイメージばかりが先行しているが、実は全く違う姿がそこにあった。
フェミニズム的な観点からすれば、「女の敵は女だし、女は弱々しいし、わがまま女は男から捨てられる」というイメージを作ったのはだーれだ、と言いたくなるのだが、またそれは論点がずれるので、指摘に止める。

面白いのは、67頁。
『風と共に去りぬ』は壮大なる萌えの物語で、このセリフを誰に言わせるか、なる評論もあるそうだ。
私なら、ルパン三世の中のキャラクターなら次元大介がぴったりだと思う。

素晴らしき名作は、母と娘の物語、女同士の友情、力強さを持ってたくましく生き抜く女性の物語だ。
ってことは、最近の少女漫画、ディズニー作品に通じるんじゃないか?
今度、原作を読んでみよう。

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2019年07月14日

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2015年に新潮文庫からマーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」(Gone With The Wind→GWTW)全5巻の新訳を行った鴻巣友紀子氏が、翻訳を通して見えてきたGWTWと、作者マーガレット・ミッチェルがこの大ベストセラー小説に込めた想いを分析した評論。

GWTWはマーガレット・ミッチェルが10年をかけて書き上げ、発売と同時にベストセラーとなりピュリッツアー賞を受賞した。しかしながら、それだけの功績を挙げながらもこの作品はベストセラーになった→大衆小説という扱いを受けてアメリカの文学史においてもあまり顧みられなかったばかりか、作者であるマーガレット・ミッチェル自身の生い立ちや、作品の時代背景(南北戦争前後)から生まれる人種差別等に対する記述などにばかり注目がいき、その複雑かつ精緻な文体の構成といったテクスト批評がほとんど行われなかったと筆者は言う。
鴻巣友紀子氏は別のエッセイの中でも翻訳という作業は訳を書くのは全体の作業のごくごく一部でしかなく、翻訳作業のほとんどは繰り返し繰り返し深く原文を読み込み、深く理解する事であるという。
だから、翻訳するにあたって作品を何度も読み込むことによって、自分自身のGWTW感も大きく変わり、実はこの作品の真のヒロインは強気で強引なスカーレット・オハラではなく、無垢でか弱いと思われがちなメリー、メアリー・ウィルクスではないかと思うに至ったという。
原文も引きながらの解析は是非新潮文庫版全五巻を横に置きながら読んでもらいたい。
一度読み終えた「風と共に去りぬ」をもう一度楽しむための一冊。

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2021年07月20日

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初めて読んだのは確か小5くらいのときで、家にあった河出書房の世界文学全集の、なので大久保康雄訳。他のがグリーンなのになぜか「風と共に」と一部の小説が白い表紙で、その乙女っぽい装丁にときめいた記憶がある。その後、高校生くらいまで何度か再読した。映画のほうはたぶんNHKで観たと思う。ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルのビジュアルは本を読む前から知っていて、そのイメージで本も読んだ…かもしれないけど、映画は原作の良さが全然入ってなくて退屈だな…と思った記憶がある。なので私の中では映画はあまり印象にない。
鴻巣さんが手がけた新訳版は読んでないが、この本は読書リストには入れていた。なんといっても暗記するくらい読んだ「風共」だから。最近はこういう評論は読まなくなって久しいのだけど、BLMの動きで一瞬「風共」に注目が集まり、その流れで手に取った。
本の中には鴻巣さんによる新訳が随所に引用される。それを見ると私の読んだ訳よりずいぶんとカジュアルな感じがする。私自身はこの本に相当のめり込んで、登場人物が勝手に生き生きと躍動していたので、当時の翻訳がどうこうというのはなかった。またあまりにも子供だったから、「風共」がはらんでいる問題を全然意識してなかった。地の文と登場人物の心の声が地続きになっているなんてこと気づかずに、かといってミッチェルが差別主義者だなんてまったく思わずに、これは登場人物の心理だと思って当然のように読みこなしていた。本が作者の考えを表すなんてこと、その頃は意識したことなかったのだ。物語の中の登場人物がすべて。神の視点で語られる場面もあるが、それを当然のように受け止めていた頃、なんて幸福な時代の読書体験だったんだろう。でも優れた小説はすべてそういうものじゃないか。鴻巣さんが発見するいろいろなことは1人の作者としてこのテクストを読まざるを得なかった結果から導き出されたことで、純粋な読者はそんなことは思いもせずに、ただ物語の中に浸り、登場人物の声を聞く。
なので、私にはあまり解くべき謎もなかったし、知ったところで「風共」の読書体験に変化はまったくないのだけれど、以前から感じていたメラニーの存在感(私には彼女はグレーでイメージされている)が言語化されたのはすっきりしたのと、スカーレットの目からしか描かれていなかったアシュレーが肉欲もある一人の男性であるという気づきは久しぶりに再読しようかなという気持ちをそそった。そう、本当に再読しようかな、今度は鴻巣さんの新訳で。

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2020年07月26日

Posted by ブクログ

よく知らなかったミッチェルのことを知れたのは、良かった。メラニーが真の主人公だったんだね。まあ、た確かに一番深みはあったのかなあ。でも、彼女も嫉妬心があったみたいなくだりはよく分からなかった…。

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2019年06月25日

Posted by ブクログ

どうしても映画版にひきずられること含め、いろいろ看破された感じ。さすがご慧眼! 鴻巣訳で再読しようかという気持ちになりました。

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2019年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かぜともファンには垂涎ものの本だろう。
時間がなくて飛ばし読みだったけど、スカーレットより、
メラニーの方がいざとなったら腹が据わっていて度胸があるというのは新しい視点。

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2019年03月01日

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