【感想・ネタバレ】今昔百鬼拾遺 河童のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 京極堂シリーズ、中禅寺敦子と呉美由紀の冒険、第2段です。なんと今回は多々良先生も加わります。お久しぶりで相変わらずの人の話を聞かない感じ、好きですね。
 今回のシリーズは3大妖怪とよばれる鬼、河童、天狗が題材なので、妖怪のうんちくが面白いです。わからないことも多いですが、面白いです笑
 この厚さのページ数では河童の一部しか書かれていないのだと思いますが、多々良先生のおかげで京極さんがいるような蘊蓄が聞けて面白かったです。ただし、京極さんの語りより読みにくいのですが、多々良先生の語りは・・・

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2021年04月12日

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ネタバレ

クイズ正解者の名前が作中で使われているなんて面白い企画。冒頭から女子高生が河童と尻の話をしているのはちょっとウケる。第五福竜丸、原子力の平和利用の話などがあり、ある程度現実世界と地続きなのだと実感した。磯部が指鉄砲で撃つ真似をして増田がそれを受けて打たれたふりをし、それを敦子が冷めた目で見ている場面はくすっときた。

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2020年11月03日

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出版社横断のシリーズ。中禅寺敦子と呉美由紀のバディもの(?)なのだろうか??なんにしても、とにかく登場人物の会話が素晴らしく面白い。煮え切らない探偵益田といい、途中登場する研究者多々良先生といい、こう言うもの言いの人って本当にいる。その会話から立ち上がる物語は金儲けやら、人の好さやらから地域伝承にめぐりめぐっていく。その先に「河童」がいる。一つ前に読んだ「鬼」でも感じたのは、この作者は根本で戦争を嫌っているのだなということ。突然に接収された財宝。何の為なのか?その後どういう経緯を辿ったのか。それが鍵になっていて、悲しい人たちへと繋がっていく。でも、救われるのは・・最期は奥さんが好きだったというロマンチックな話だ。

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2020年01月23日

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ネタバレ

 3ヵ月連続刊行の『今昔百鬼拾遺』シリーズの第2弾。前作の「鬼」に続いて、今回は「河童」だという。「鬼」と同様に、「河童」も日本人には馴染みがあり、ステレオタイプのイメージが出来上がっているが…。

 序盤から、呉美由紀と級友たちの河童談義が延々と続くが、どうやら覗き魔が出没しているらしい。男が男の尻を覗くのだという。その理由は読み進めばわかるが、本題に入るまでが長いなおい。一応、河童談義にも意味はあったわけだが。

 一方、中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田から相談を受けるのだが、益田の話がとにかく要領を得ない。キーワードは、「宝石泥棒」と「尻」?ん?「尻」でさっきの話と繋がったのか?千葉県の川で、尻を出した男性の遺体が発見されたとか…。

 河童の話なのか尻の話なのかどっちやねん。河童が尻小玉を取るという伝承は聞いたことがあるけども。美由紀が木更津に帰省中、従姉妹を訪ねると、そこになぜか多々良勝五郎先生が現れる。京極堂シリーズっぽくなってきたじゃない。

 多々良先生は「稀譚月報」の取材で来ていたため、結局敦子も千葉へ出向き、そこで美由紀と会うことに。事件の発端は、戦後の混乱に乗じた悪巧みにあるようなのだが、尻を出した死体ばかりがどんどん増えていく。いや、笑っちゃいけないのだが。

 すべての真相は、ある場所にあった。戦時という時代背景があるにしろ、現代にも置き換えられるテーマだろう。このような境遇にあって、彼の心の根底にあったのは…。偶然の産物とはいえ、これは肝が据わった悪党でも驚いただろうなあ。

 今回の舞台装置は、京極堂シリーズ本編用にアレンジすることも可能だったのではないか。手ごろな文庫にまとめたのは、嬉しいような惜しいような。前作よりもシリーズの「らしさ」が増えている感があり、今後がますます楽しみになってきた。

 それにしても、夷隅川って本当にものすごく蛇行しているな。

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2023年09月27日

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今回も面白かったです。
とにかくとっちらかった情報?を少しずつまとめていく、
その道筋が面白かった。

テーブルの上に物が散乱している感じで始まるので、最初は何がなんだか分からないのですが、徐々に形が見えてくるともうのめり込みます。
多々良先生とても面白い人でした。
次は天狗ですね。来月が楽しみです

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2021年11月04日

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思ったより内容が河童だった

冒頭の上品な女子高生たちの河童談義が面白くて、かわいい。そのあとの益田くんのおちゃらけ語りがうざいオッサンに感じられるのは、計算通りなのか計算外なのか。
令和にもなると、人のいない集落などは人里からずいぶん離れてしまったようだが、戦後数年という時代では存外にたどり着けるところにあるのだな、と思った。
河童とは?と古くから知っている馴染みの妖怪の存在を改めて考えた。
ミステリー部分ももちろんの面白さ。
でも、ついつい河童の越し方に思い巡らせてしまうのも、計算どおりなのかどうか、京極夏彦先生に訊いてみたい。

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2024年05月21日

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久々の京極夏彦!!!
堪能しました。あーーさすがの京極夏彦さんです!期待したとーり、楽しませてもらいました!!!

以前に比べると四字熟語が減ったかな?笑

そんな感想から、会話がとにかく面白く、ふと赤川次郎のミステリーを連想しそうになるものの、京極夏彦のほうが、リズムがいい。
会話のリズムと、言葉のチョイスが秀逸で、話しを前に進みつつ、軽快に解決に導くヒントが、みんなのそれぞれの言動から拾って導かれている感じが読んでて気持ちいい!!!!!!

たまに、関係ない話もあるんだけど、そんな話に惑わされずになんとかゴールに辿り着けた暁には、思わずニヤリとさせられます。

なんだろ、ほんと気楽に読めて楽しめる妖怪ミステリー。カッパ。
京極夏彦ならではです!!!!おススメ!
一気読み必須!

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2023年05月10日

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おそらくシリーズの途中から読んでしまった。しかしシリーズでも登場人物の紹介も軽く入っており、どこからでも読めると感じた。
途中までは物語の進みと共に民俗学的な信仰の話が多くあり、学生時代を思い出しとても面白かった。
最後一気に終盤に向かっていく所で緩急があり最後まで読み切ってしまった。

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2022年02月11日

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次々上がる尻を出した水死体。その謎と河童と盗難事件が、登場人物たちの喋くりによって絡み合い解きほぐされる。
いやまあ喋る喋る脱線する横道に逸れる。かと思いきやそれが本筋へと繋がる快感。
ドタバタ喜劇と思いきやの静かで美しい終盤。楽しみました。

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2021年10月23日

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覗き魔、模造宝石の盗難事件、謎多き男達、そして尻。
それらを繋ぐものは蛇行する川であり、河童だった。
多々良先生が相変わらずで何より。

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2021年03月15日

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読んでいるうちに河童の知識が身についてしまうかも。
がらっと場面展開して散らかりそうなところだけれど、最後にまとまるので読後もスッキリ。

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2020年09月14日

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お兄さんのシリーズに比べてウンチクや回りくどい言い回しが少なく、ミステリーとしてとても楽しめます。

敦子さんの名探偵振りや益田さんとの掛け合いよかったです。

最後もまとまっていて、情景が浮かぶようでした。

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2020年08月06日

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前作と同じ出版社じゃない!?え?どゆうこと?三作目も出版社違う?え!え?
装丁もタイトルも同じなのに、ほぼ同時期に別の出版社から刊行されてる。この謎が気になって、本編に入る前にググりました。

さてさて、鬼の次は河童です。やっぱり蘊蓄語れる人が出てきた。よく喋る研究者だなぁ。中禅寺敦子と美由紀のコンビは読んでて楽しい。校長先生の外孫といい、団子屋の女将といい、女性がたくさん出てくる。京極夏彦の女性感が卓越してて、書き手が男性なのに読んでて違和感を感じない。女性の心理(しかも現代の!)よくわかるなぁ、、、この人。

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2023年11月23日

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★僕は生きてますよ(p.348)
3つの魅力(1)基本的にはうだうだした会話で構成されているので、例によっておもろいキャラクタたちを楽しめばいいかと。冒頭の女生徒たちの河童談義もなかなかおもしろかったりする。(2)事件と河童の強引な結びつけかたが楽しい。(3)今回は多々良先生も参戦したので特異なそのキャラクタも楽しい。

■河童についての簡単なメモ
【一行目】「何て品のないお話なの――」

【敦子】中禅寺敦子。京極堂の妹。「稀譚月報」編集者。
【池田進/いけだ・すすむ】総元駐在所の巡査。
【夷隅川】千葉にある川。ぐにゃぐにゃと気合いを入れて蛇行している。
【磯部/いそべ】掲示。
【市成裕美/いちなり・ひろみ】美由紀の友人。祖母は岩手の人。
【稲葉麻佑/いなば・まゆ】総元村の小学校の前校長の外孫。
【入川芽生/いりかわ・めい】浅草の団子屋のおかみさんの宿六の兄の娘。
【亀山智嗣/かめやま・ともつぐ】水死体。
【川瀬敏男/かわせ・としお】痩せた男。偶然池田巡査の知っていた。住んでいた場所の近くに龍王池というのがあった。行方不明。
【川瀬香奈男/かわせ・かなお】川瀬の息子。行方不明。
【キーワード】河童。尻。覗き魔。宝石偽造。隠退蔵物資。水死体。龍。河伯神。猿。河童の薬。
【久保田悠介/くぼた・ゆうすけ】三好彰に宝石の偽造を依頼した。川で尻丸出し死体として発見された。
【小泉清花/こいずみ・さやか】美由紀のクラスメート。
【古谷】「稀譚月報」編集者。臨時に多々良の担当をやっている。
【幸江/さちえ】浅草の団子屋のおかみ。実はまだ二十九歳。
【菅原市祐/すがわら・いちすけ】亀山を訪ねてきた人相の悪い男。
【第五福竜丸事件】敦子が担当している。
【多々良】準レギュラーの妖怪研究家。普段は敦子が担当者。今回は古谷が代わっている。
【南雲淳子/なぐも・じゅんこ】美由紀の従姉妹。母の姉の長女。総元(ふさもと)在住。役場勤務。
【覗き魔】男ばっかり覗く覗き魔が浅草あたりに出没中。
【橋本佳奈/はしもと・かな】美由紀の友人。「尻」という言葉を口に出すのが恥ずかしいタイプ。宮崎に六歳までいた。
【比嘉宏美/ひが・ひろみ】千葉県警の婦警。まだ珍しかった。
【廣田豊/ひろた・ゆたか】川で尻丸出し死体として発見された。水泳が上手でカッパのヒロさんとか呼ばれてた鑢職人。久保田や三好と知り合い。腕はけっこうよかったが素行はあまりよくなく、入川芽生さんによると、亀山さん(たぶん)や、スなんとかさんや、川瀬さん(たぶん)と悪巧みしていたようだ。
【美由紀】呉美由紀。「絡新婦」登場人物。「今昔百鬼拾遺」シリーズではレギュラーになったようだ。
【三好彰/みよし・あきら】薔薇十字探偵社への依頼人。食品模型職人。宝石の偽造を頼まれた。

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..関口や京極堂や榎木津に関する簡単なリスト(周辺の話も含む)。

...あ
【相沢】神奈川県警察本部刑事と思われる。
【愛情】《愛情は常に一方通行なのだ。そして一切の強要は出来ないものだ。そして無上の愛とは、対象を信頼することである。》邪魅p.140
【青木文蔵/あおき・ぶんぞう】こけしのような頭の、警視庁刑事。木場衆太郎の後輩。降格させられて「邪魅」では当初交番勤務の制服警官。木場から教わったという「百聴いて一使えれば大収穫だ」という言葉を信条にしている(木場自身は覚えていないが)。組織の中に組み込まれて初めて機能するタイプという自己分析。中禅寺敦子に好意を抱いてはいるが恋愛感情と言えるかは微妙。敦子にとっては兄の友人の戦友の元部下。
【浅草】《浅草は、江戸とは別の町だったのだ。》今昔百鬼拾遺/河童p.65
【敦子】→中禅寺敦子
【洗い越し】沈下橋、潜水橋のこと。川に沈んでおり普段は多少濡れるが渡ることができる。
【石井寛爾/いしい・かんじ】津久井署の警察署長。どこかで関口や益田とからんでいたようだ。邪魅の画家の幼馴染みで奇妙な質問をされた。
【石井四郎】戦時中、軍医中将だった。石井式濾水器を考案した。彼は伝染病予防のための部隊、防疫給水部隊「石井部隊」を設立した。医学を兵科と同等の地位に引き上げるため生物学的兵器、具体的には細菌兵器の研究もしていた。七三一部隊も率いていたようだ。
【磯部/いそべ】巨漢の千葉県警刑事。『今昔百鬼拾遺 河童』に登場したが中禅寺の名に反応したので百鬼夜行シリーズのどこかで出てたのかも。
【今川雅澄】骨董屋「待古庵」の主人。口元のしまりがないのと顎がほとんどないのを除けば男前らしい。ていねいな言葉遣いをする。
【今出川欽一/いまでがわ・きんいち】榎木津礼二郎の従兄。礼二郎の探偵業には批判的で早く身を固めて堅実な仕事に就いてほしいと思っている・・・そりゃ無理というものでしょう。
【隠退蔵物資/いんたいぞうぶっし】日本軍が戦時中に民間から接収した物資。貴金属についてはほとんどが行方不明。
【絵】藤村《捜査に限らずどんな場合でも、出来過ぎた絵は思い込みだ。思い込みはどんな些細なもんでも、何の役にも立ちやせんぞ。》邪魅p.234
【榎木津総一郎/えのきづ・そういちろう】礼二郎の兄。商才がありホテルなどを経営している。
【榎木津礼二郎★/えのきづ・れいじろう】天下無敵の薔薇十字探偵。って、なんじゃいな? 推理もへったくれもなく「いきなりわかってしまう」特殊能力を持つ探偵。具体的には見た相手の視覚的記憶が脳内に展開されてしまう。超美形でスタイルもよく見栄えは良いし、強い。ほぼ無敵。傍若無人・傲岸不遜な性格、粗暴で非常識で支離滅裂な言動がすべてを台無しにしている。作中でも最も印象の強いキャラクタではある。反社会的ではなく脱世間的。金持ちのボンボンだが現在実家の支援は受けていない。《榎木津にとって敵対者を除く凡ての人間は、下僕なのである》邪魅p.42。京極堂の友人だが《榎木津絡みの話は凡て遠慮する。》邪魅p.176。《榎木津の凄いところは――余り褒めたくはないのだけど――その非常識な能力自体ではなく、世界を社会や世間や個人と強引に接続してしまう生き方にこそあるのだと思う。》邪魅p.289
【榎木津礼二郎の父】礼二郎と総一郎の父。財閥のトップで元子爵。
【大垣喜一郎/おおがき・きいちろう】研師。連続辻斬りをした刀を研いだかもしれない。
【大鷹篤志/おおたか・あつし】自分が莫迦だと気づいた元刑事。反応が遅れたり微妙にズレている発言のせいで他者からはまじめにやってないように見え、笑われるか、怒られるか、呆れられる。自暴自棄で楽天的。悪意なく厚かましい。凡百(あらゆる)局面に於て不適切な判断を下す男。
【鬼】《兄に依れば、鬼とはないものだと云う。存在しないのではなく、ないという形であるものだと云う。ならば虚無こそが鬼だ。》『今昔百鬼拾遺/鬼』p.91
【面白い】榎木津と思われる男が江藤に《面白くないのは面白がらないからだ。面白いと思えば大抵のものはオモシロい。面白がれない疾でもあるまいに》邪魅p.448
【小山田/おやまだ】千葉県警捜査一課刑事。
...か
【賀川太一/かがわ・たいち】玉川署刑事課捜査一係刑事。登場時二十九歳。青木とは同期のような間柄。
【刀】大垣喜一郎《俺が研いでるのは、これは殺意だ》『今昔百鬼拾遺/鬼』p.149
【河童】河童のキーワードは、川、尻、相撲、片腕、皿、薬。江戸時代の創作物であるという説もあり、文献だけはたくさんあり、類似品(ないしは河童と結びつけられた土地土地の妖怪や神様や伝説)も全国にあるので、いろいろ議論ができるようです。誰か他の作家の小説でも考察されているものがありました。岩手ではメドツとかメドチとかフチザルとかいうらしく、猿が進化しフッタチ(経立)になりさらにメドチになるということで顔は赤いらしい。それが家に住み付くとザシキワラシになる。宮崎では褐色でヒョウズンボとかセコンボとかカリコンボとかいうらしくひょうひょうと鳴いて空を飛べ冬は山で暮らしこちらでは猿と仲が悪い。元は式神のような魔力をこめられた人形(案山子的な?)が化けたものだとか。なので左右の腕がつながっていてあちらを引っ張れば反対側が短くなったり。いずれにせよどちらの地方も馬を川に引きずり込もうとはする。相撲好きなのもいっしょ。どうやらエッチなことも共通しているらしい。毛もある。呉美由紀の認識では河童は緑色で毛がなくぬるぬるしている。
【河伯】大陸に伝わる神。河童の起源である可能性はあると多々良は言う。
【亀井/かめい】神奈川県警察本部の刑事。益田の後輩だった。
【川島新造/かわしま・しんぞう】京極堂の知人のようだ。青木も面識があると書かれてあるのでどっかに出演してたっけ? 満州で映画を作っていたらしい。
【稀譚月報】中禅寺敦子が記者をしている雑誌。怪しげだが科学雑誌なんだとか。
【木下圀治/きのした・くにはる】警視庁の刑事。青木と同年齢で同じ課に配属され親しくしていた。
【木場修太郎★】こわもてでガラッパチな刑事。通称「キバシュウ」。関口は「旦那」と呼ぶ。京極堂や関口の学友(だっけ?)。主要人物中もっともまとまな人。でも京極堂や榎木津にほぼ同等に対していられるのだからじつはかなりすごい人なのだ。警察の中では極めて異端。
【京極堂】→中禅寺秋彦
【偶然】《世の中で起きることは凡て偶然だ》邪魅p.285
【呉美由紀/くれ・みゆき】十四、五の娘。中禅寺敦子よりも背が高く手足が長い。甘味屋よりも駄菓子屋の「子供屋」が好み。同調圧力には屈しないタイプ。『絡新婦の理』の登場人物と思われる。『今昔百鬼拾遺/鬼』にも登場。祖父は千葉で漁師をしていたがすでにやめている。新しい学校での友人、片倉ハル子が交際相手である「昭和の辻斬り」宇野憲一に殺され、京極堂か榎木津に相談するつもりだったが彼らは別の事件に駆り出されていたので中禅寺敦子にお鉢がまわってきた。
【呉美由紀の祖父】漁師をしていたが廃業し子ども(美由紀の両親)の家に身を寄せ現在は木更津在住。勝浦の学校での事件(絡新婦)のとき美由紀と再会し守ってくれた(らしい。読んでるけど忘れてました)。
【苦労】《苦労は無意味なのだ。》邪魅p.288
【月刊實録犯罪】カストリ雑誌の生き残り。金満家が趣味でやってるので廃刊にならない。鳥口守彦がいる。
【豪徳寺】世田谷の寺で招き猫発祥の地で井伊家の菩提寺でもあるらしい。
【古谷祐由/こたに・すけみち】「稀譚月報」編集者。
【五徳猫】7つの徳のうち2つを忘れているらしい。
【言葉】《言葉は凡て嘘である。受け取る側次第で如何とでもなるものだ。真理ではあり得ない。発せられたあらゆる言葉は、受け取った者の数だけ別な意味を持つのだ。解釈は――遍く恣意的なものだ。/ だから。/ 言葉は便利だ。》邪魅p.143。京極堂《言葉は内側から発せられて、外側に向かうものだね。内側に於て言葉は全能だ。世界そのものでもある。しかし、外に出た段階でそれは世間と云う膜に吸収され、大した効果を持たないものになってしまう。社会にも届かない。勿論、世界になど届く訳もない。》邪魅p.173。京極堂《言葉と云うのは全部嘘だ。だから言葉で綴られた物語も全部嘘だ。現実じゃない。正邪や善悪と云った概念は、この嘘の世界にあるものなんだ。僕は最初に云った通り――世界を騙る者ですよ。》邪魅p.809
【近藤有嶽/こんどう・ゆうがく】紙芝居の絵を描くことをなりわいとしている男でいかつい髭男。子供が泣き出すようなおどろおどろしい絵しか描きたくない。他人の年齢を値踏みするのが得意。
...さ
【斉藤/さいとう】小松川署の新米刑事。背広を着ると弥次郎兵衛みたいだということで「ヤジ」と呼ばれている。
【茶川/さがわ】平塚署の刑事。
【崎坂/さきさか】神奈川県警察本部の刑事。
【殺人】大垣喜一郎《「人が人を殺すな、どうしてだと思う」(中略)「簡単なことだ。殺せるからよ」》『今昔百鬼拾遺/鬼』p.145。《どれだけ理路整然とした骨子があろうとも、殺人は悪手でしかない。》邪魅p.298。・・・ということは殺人は結局殺したいから殺すということになるか?
【郷嶋郡治/さとじま・ぐんじ】公安一課刑事。木場をして目付きの悪い悪党面と言わせる。戦時中は山辺機関に配属されており京極堂の同僚だった。中野学校設立を隠密裡に支援した。
【里村】元気な人でも解剖したがる医師。
【猿回し】もともとは芸能というより、厩祓い(うまやばらい)という職種の役目で一種の宗教者だったらしい。
【事件】《事件と云うものは、関わった人間凡てに対して起きている。当然、関係者の数だけ違った事件がある筈なのだ。》邪魅p.286。「犯罪」と「事件」は異なるものだ。当然犯罪者の検挙と事件の解決も異なるものだ。犯人は逮捕されても事件が終わらないことも多い。《どうも、ここ数年のややこしい事件の数数が、ややこしい人脈を築きつつあるようである。》今昔百鬼拾遺/河童p.93
【雫】『邪魅の雫』の「雫」とは具体的には青酸カリか何かその辺の毒薬のことと途中で察せられ、抽象的には殺意のことかと。そして、その毒薬が新たな殺意を呼ぶという京極夏彦さんふうの展開。妖怪をからめなければ『邪悪の雫』とかいう題でもいいのかもしれません。別の話『今昔百鬼拾遺 鬼』の「刀」みたいな位置づけか。
【自分の真ん中】《自分の真ん中に、役立たずの砂粒がぽつんとひと粒あるだけなのだ。》邪魅p.9
【渋沢】神奈川県警察と思われる管理官。
【邪魅】妖怪のひとつ。《妖邪の惡氣なるべし》邪魅p.5
【主夜神】夜の世界を司る神らしい。その使いは猫。
【小説】京極堂《小説は読まれるために書かれるものだし、読んだ者の解釈は凡て正解だ。小説の場合、誤読と云うものはないからね》邪魅p.157
【浄玻璃の鏡】神無月の一族が閻魔大王からもらったと言うやはり主人と同じくパチもんくさい魔鏡。
【情報開示】敦子《情報開示は順番が肝心なのだと兄は云う。兄の真意は量れないけれど、慥かにそうだと思うこともある。》今昔百鬼拾遺/河童p.169
【食品模型】事業として成功させたのは大阪の岩崎瀧三という人らしい。
【書評】『邪魅の雫』の160ページあたりで関口センセは京極堂にあれこれ言われている。まあ、ぼくも常々、書評や評論は元の作品の何かを明らかにできるようなもんではなく、書評を書いた人による新たなフィクションだと思っているのでけっこう同意したりしました。書評はじつは解説とかそういうものではなく書評を書いた人自身の作品であり、その人自身のことを書いてるんやろうなと。で、やからうまくできたものは作品として面白いわけです。北上次郎さんの書評や、本に対してではないけど淀川長治さんの映画評なんか、つい元の作品を読みたくなったり、観たくなったりして鑑賞してみたら言うほどおもろなかったということもあるわけで、それは北上次郎さんや淀川長治さんが凄かったということになるでしょう。
【青酸加哩】青酸加哩と呼ばれるものの中には別物である青酸曹達もかなりの率で含まれているが用途も近く同一視されることが多い。青酸加哩は非常に入手しにくい薬品であり工場などでも使われているものは青酸曹達であることが多い。どちらと判断するかによって入手経路の捜査など事件の様相は変化することもある。なお、毒薬として改良された「ニトリール」というものがある。と京極堂は言う。
【世界】《人は皆、一人ひとり異った世界を見て、見たものを異った世間として理解している筈である。それでも、誰もが自分の見ているものは他人が見ているものと同じだと思い込んでいる。》邪魅p.86。京極堂《世界を遺すためには、世界は語られなくてはなりません。語られ、そして記されることなくして歴史は生まれない。語ることで世界は嘘になる。嘘になった世界こそが歴史なのです》邪魅p.694
【関口巽★/せきぐち・たつみ】陰鬱な小説家。百鬼夜行シリーズの、個人的には主役かもしれない。情けなさが異常なまでに高まっているある意味すごい人。まったく無関係でも「お前が犯人やろ!」と言われたら「僕が犯人だったのかも」と思うような人。しかもそういうのを呼び寄せてしまう。一応作家で世間的には「先生」と呼ばれているところが恐ろしい。京極堂や榎木津の古い友人。学友だっけ? 超美形だったりするとさらにおもしろいんやけどな。なんと妻帯者。《歩いてるとこ見ただけで、駄目だなあと思うでしょうに。何だか攻撃しなきゃ悪いような気になる》by益田(百器徒然草風p.249)。《小説家であることに行き詰まっているようだった。それでなくとも関口は、能く人間で居ることに行き詰まるのだ。》邪魅p.397。《僕が駄目なのは、何もかも個人的なことに置き替わってしまうことなんだな》邪魅p.589。益田《関口さんは犯人顔なんですよ》邪魅p.590
【関口雪絵/せきぐち・ゆきえ】関口巽の妻。どうやらとてもよくできた美人らしい
【世間】《世間は法で律することが出来ない。世間は興味で成り立っている。》邪魅p.34。《世間と云うのは実体がないものだからだ。》邪魅p.35
【世間話】話芸の祖。伝説や昔話や、歴史の祖。
【戦争責任】《一口に戦争責任と云っても、立場や見解に依ってその意味合いは大きく変わるものだ。法律的な責任、政治的な責任、倫理的な責任はそれぞれ分けて考えねばならないだろうし、そう云う意味では、広義の戦争責任などと云うものはなくて――あるとするなら国民凡てに敷延すべきものとなるのかもしれず――幾つもの狭義の戦争責任が重層的にあるだけなのだと敦子は考える。》今昔百鬼拾遺/河童p.310
【相】すべてのものごとには多くの「相」があり、いっしょくたにはしにくい。それぞれの「相」を個別に判断するしかないとも言える。京極堂の憑物落しはそういう理を利用しているのかもしれない?
...た
【大局】藤村《大局に立てと誰が云うた。そんな偉そうな場所には立てんよ。》邪魅p.237
【大佐】京極堂が「あの男」と呼んで「世界一嫌っている」相手。伊豆騒動の黒幕だった。
【多々良勝五郎★/たたら・かつごろう】全国を行脚して民話や伝説を蒐集している。主役の話も持っている。妖怪研究家と呼ばれているがそれだけではなくなんかよくわからないがいろいろとヲタク。《多々良は森羅万象凡百ものに興味を持ち、熱心に探求を続けている。ただ問題なのは、社会通念のようなものに対してだけは何の興味も持っていないと云うところである。また多々良は学究の成果として様様な事柄に対して該博な知識を有してもいるのだ。但し一般常識と呼ばれるものごとに関してだけは、甚だ心許ない。》今昔百鬼拾遺/河童p.162。《多々良はものを沢山知っている。ただ、知識と知識の接続の仕方が独創的なのだ。》今昔百鬼拾遺/河童p.177。本当に地団駄を踏んで悔しがることのできる人。固有名詞を忘れてしまったら「ぬ」と言う。
【探偵】愉快なことならなにをしてもいいらしい。変装したりすんのも趣味でやってるということで。《榎木津曰く、探偵と云うのは世界の秘密を暴く特権的な立場にある者だけに与えられる、一種の称号なのだそうだ。》邪魅p.42。《探偵は――事件の主役にならなければいけないものなのである。》邪魅p.286。《探偵は個的な階層から社会的な階層まで、否、更にその上の階層に於てまで、遍く事件の中心に居なければならないもの》邪魅p.287
【中心】藤村《中心ってのは何処にでもあるし、だから何処にもねえようなもんなんだ》邪魅p.226
【中禅寺秋彦★】古本屋にして祓い師(家業が神主でで副業が憑き物落としの拝み屋)。博覧強記のクールな男。榎木津の対等な友人。百鬼夜行シリーズではの探偵役、というかコトを解決する役。悪魔的に弁が立つ。《まるで怪しい魔術のようである。》《いつも死ぬ程機嫌が悪そうな顔をしている。》(by本島 百器徒然袋 風p.81)。敦子は《兄は多分、言葉で出来ている。》と思う(今昔百鬼拾遺/鬼p.7)。《僕は嘘しか云いませんよ》邪魅p.809。敦子《兄が出張るから解決するのではなく、解決の目処が立ったからこそ兄は出張るのである。》(今昔百鬼拾遺/河童p.62)。
【中禅寺敦子★/ちゅうぜんじ・あつこ】京極堂=中禅寺秋彦の妹。雑誌『稀譚月報』記者。堅い性格で《何ごとにも杓子定規で何につけあそびのない人生を歩んでいる》『今昔百鬼拾遺/鬼』p.12。自分も若い娘だが若い娘が苦手。ついでに明治大正あたりの時代も苦手。京極堂のことを「お兄様」と呼ぶ。
【中禅寺千鶴子/ちゅうぜんじ・ちづこ】はっきり覚えていないけど京極堂の妻やったかと。最近陶芸に凝っているらしい。関口の妻の雪絵と仲がいいようだ。
【憑物落し】京極堂は言葉を重ね重ねてコトを治めてしまう。当事者(たち)を納得させてしまう。ある意味煙に巻いてだまくらかしている。それでも言葉程度でコトは解決するのだからよいのだ。《かの拝み屋は、社会と世間の、世間と個人の関係を一旦反故にして、事件の起きている場そのものを解体してしまうのだ。》《そして関係者個人に直接世界を見せ付けるのである。》《そうやって、個個の事件を限りなく無効にしてしまってから、拝み屋は再度世間を、社会を、個人個人に組み直してやるのである。そうすることで事件は全く別なものに変質してしまう。》邪魅p.290
【伝説】《伝説の場合は真実(ほんとう)かどうかと云うことは問題にならないんです。事実として伝えられて売ること、そして伝えられていると云う事実の方こそが問題になるのですよ。》邪魅p.709。《信じられていたと云う事実を認めればいいのであって、信じる必要はありません》邪魅p.710
【動機】関口《明快な動機は後付けだと思うのさ》邪魅p.408。《否、愛情も――時に凶器となるのさ》邪魅p.409。おー、関口さんがマトモや。青木《動機って――どんなに奇態に見えても、どれもみんな当たり前なんじゃないですか、山下さん。その人の――中では》邪魅p.762
【徳】儒教では「温、良、恭、倹、譲」を五徳とする。部門では「暴を禁じ、兵をおさめ、大を保ち、功を定め、民を安んじ、財を豊かにする」を七徳とする。また徳とは「生まれつきそなわっている」という意味らしい。(by京極堂 百器徒然草 風p.167)
【鳥口守彦/とりぐち・もりひこ】『月刊實録犯罪』の記者。大柄で逞しい。中禅寺敦子とは縁がある。元カストリ雑誌とはいえ、鳥口自身はけっこう誠実な記者。
...な
【長門】警視庁のヴェテラン刑事。腹芸の通じる人物。
【奈美木セツ】気の強い娘。二十歳前。通いの家政婦。誰もが中華そばのどんぶりの模様の童子を想起するらしい。京極堂と知らない仲ではないらしいがどっかで出たっけ?
【楢木/ならき】国家地方警察長野県本部警部補。
【人間関係】京極堂《僕等にとっての君は、君個人とはあまり関係のないものさ》邪魅p.154
【沼上】アノ多々良大先生の助手ということになるか。
【猫】猫肉は陸河豚と呼ばれて美味らしい。
【呪い】《 信じた者の中では。/ 真実になる。》『今昔百鬼拾遺/鬼』p.217
...は
【羽田隆三】羽田製鉄の顧問で関西弁の助平そうな爺さんらしい。どっかの話に出てたみたいやけどどれやったっけ?鉄鼠あらり?
【薔薇十字探偵社】神田神保町の一画に建つ堅牢な建物に入っている探偵社。所長は榎木津礼二郎。榎木津が特殊な仕事を受け、世間一般の探偵たちがやるような仕事は益田が勝手に受けて稼いでいる。榎木津自身の実績は高く、稼ぎも非常に大きい。
【比嘉宏美/ひが・ひろみ】千葉県警の婦警。制服巡査。この当時婦警はまだ珍しかったようだ。
【不思議】《この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君――》《謎とは解らないこと、不思議とは誤った解釈。解らないことを解らないと云うのは良いのです。しかし不思議だと云ってしまった途端――それは解釈になってしまう。》邪魅p.715
【藤村】小松川署の古株刑事。署内で最も人望と信頼がある。
【経立/ふったち】岩手では長生きした動物が化ける。ポケモン的な進化かな。さらに、元が猿の場合はメドチ(河童)になり、家に住み付くとザシキワラシになるんだとか。
【文化】多々良《文化のようなものは、忘れられることで殺されるんです!》今昔百鬼拾遺/河童p.212。多々良《速すぎますよ、この変化。そうした地域色って、かなり長い年月をかけて醸成されたものですよ。時代時代で更新されて来たのだとしても、それもまた積み重ねでしょ。五年十年でがらっと変わっちゃうものじゃないよ。江戸明治大正と、それくらいまでは地続きで、この間まで地方の特色はまだ生きていたでしょ?》今昔百鬼拾遺/河童p.218。敦子の考えでは流布したものの印象と伝わってきたものが比較的近いから上書きされるのであって、オリジナリティが強ければそれでもある程度は残るはずでは、と。
【法律】《法律と云うのは、その社会とやらの中でのみ通用する約款であり、社会秩序とやらを維持するためだけにのみ貢献するものなのだ。》邪魅p.33
...ま
【益田龍一/ますだ・りゅういち】薔薇十字探偵社の探偵見習い。実質は下僕。元神奈川県捜査一課一係の刑事だったが榎木津と出会い退職し、探偵社に勝手に入った。特に拒絶はされなかったのでそのまま居着いている。あらゆる暴力を嫌う。世間一般の探偵が受ける仕事を受けて調査し、報酬を得て、自分の給金を捻出している。幇間のように軽薄な振る舞いをしているが本来の下降指向を隠すためという面が強い。「マスカマ」と呼ばれている。《益田は、既に何かを諦めていたのである。》邪魅p.503。団子屋のおかみ《あんあたね、なってないよ。他人の話の腰を折る奴ってのはいるけど、自分の話の腰を折り続ける奴なんていやしないからね。あんたの話の腰は折れっ放しだよ。》今昔百鬼拾遺/河童p.98
【まとも】京極堂《まともな人間など居ません》邪魅p.805
【招き猫】右手を上げていれば福を招き左手を上げていると人を招くのだとか。
【美由紀】→呉美由紀
【民俗学】「記憶」されたものをひもとく学問。「歴史」とは異なり正反対の手法。
【本島/もとしま】とある探偵の手下にして電気工事会社の図面描き。巻き込まれて被害を受けるタイプ。自ら小物とか雑魚とか三下とか小人物とか鈍感とか凡庸とか常識人とか思っている。会社を休んでまで警察に自分にとって不利な証言ををしにいく。京極堂の周辺にいる中で関口の次に弱そう(by益田)。
...や
【安和寅吉/やすかず・とらきち】薔薇十字探偵事務所の秘書兼給仕。榎木津の実家の使用人の息子で今は小間使い的存在になっている。それなりに堅実なタイプ。通称「和寅/かずとら」。
【山下徳一郎/やました・とくいちろう】神奈川県警察本部の警部補。歌舞伎役者のような顔。後頭部に火傷の跡がある。榎木津は山下のことを「社長」と呼ぶ。
【山辺機関】戦時中京極堂が関与していた内務省の極秘機関。伊豆の騒動の根源的なきっかけとなった。公安の郷嶋(さとじま)は京極堂の同僚に近い関係だった。京極堂は陸軍科学研究所付きで極秘だった十二研に配属されていたということなのでそこらへんと関係のある機関?
【世論】《世間は真理では動かない。それは概ね雰囲気で動く。だがその無責任な世間こそが正論を吐くことも多い。だがそうした世論は、どれだけ正しくとも正しいだけだ。世間は社会を動かせない。》今昔百鬼拾遺/河童p.80。《世間の吐く正論は、時に行き過ぎて暴走する。》今昔百鬼拾遺/河童p.81
...ら
【藍童子】霊感で悪人を暴いていた少年。
【龍】古語で「おかみ」とも。貴船神社の祭神は「高おかみの神」
【流行】京極堂《流行は世間が作る。厚みの全くない世間を無限の深さを持つ世界に見せかけることが出来る事象こそが流行だ。でもそりゃ勘違いだからすぐに廃れる。》邪魅p.168
【量】《重要なのはひと粒の砂そのものではなく、その量なのだ。》邪魅p.7
【凌雲閣】関東大震災で崩壊する以前からすでにほぼ廃墟となっていた。その廃墟にすまうものは虚無=鬼ではないかと敦子は考えた。消滅した後にもいまだ亡霊の塔として遺っているのではないかとも。
【歴史】「公的」に「記録」されたもの。

※ リストが大きくなってきたので次からはその巻だけのリストにしましょう…

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2023年10月31日

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★3.5
刺激の強いミステリーを続けて読んでいる時、箸休めとしてちょうど良い作品だった。できれば元のシリーズものを読んでから読み始めたかったけれど。

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2022年07月25日

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河童を探して
遺体を見つける
カッパ研究家
河童の村には、
河童の息子がいた。
河童は屈折して精一杯生きていた。
中禅寺敦子が謎を解く。
兄も、その友人も、探偵も出てこないので寂しい限り。
一通り流れを思い返すと、
最後に父の遺体が発見されたが、連続殺人ではなかった。
京極夏彦で屍蝋オチはほかになかったでしょうか?

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2021年10月07日

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ネタバレ

ひっさびさの京極夏彦先生
社会人の時に読むのが疲れて長いあいだ手にしてない
登場人物は新しい人主役であるものの、時代も関係性
も昔のまま、古本屋店主・薔薇十字探偵社をとりまく
世界ですんなり読める

事件はすんなりではない、登場人物の語りが右往左往
して本筋をわざと外し続けて嫌気がさしたと読んでい
ると、実は関係があったという陥穽まみれの作品

だって、京極夏彦だもん
この設定を考えた作家の力は凄い (´・ω・`)

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2021年08月21日

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上塗りにより習俗・文化は忘れられる…確かに。情報伝播の速さが文化の更新を進めるのかしらん。多々良の力説が心にささった。

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2021年05月26日

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益田さんってこんなに嫌われ者でしたっけ?
私は結構好きなキャラなんですがw

前回よりも少し多めのページ数ですが、
特に蘊蓄とかは無く。
河童の河童たる所以みたいなのって前にも
何処かで読んだような……

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2020年11月23日

Posted by ブクログ

相変わらず面白いです。
敦子さんの益田への扱いが特に雑な回。
益田がより軽薄な回とも言える。

香奈男くんを勝手に薄幸の美少年のイメージで読んでしまう。
最後が割と映像的というか、綺麗なビジュアル(といってもホラー感はありますが)で終わるのが、珍しい気がする。

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2020年08月02日

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のっけからウンチクの洪水に気持ち良く飲まれました。京極夏彦はこういう作品が好きです。妖怪関連もさることながら戦後の日本の様子も本筋とは直接関係なくても興味深く読めました。もう忘れましたが姑獲鳥の夏を読んだときもこんな感覚を覚えたのではないかと。ミステリとしても面白かったです。

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2020年07月18日

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次々とお尻を人為的に丸出しにされた水死体が発見されていく。
そして、河童の伝承と共に膨らんでいく謎。立ち向かうのは女学生の美由紀と貴社の敦子コンビ。ミステリーなんだけど、妖怪の伝承と絡め、神秘的な印象なのがこのシリーズの魅力だ。

河童と天狗を同時に借りたのだが順番を完全に間違えてしまった。
昨年出版されたもので、京極先生の代表作として知られる百鬼夜行シリーズの一部。
物語の節目で敦子の口から出てくる、「兄」なる人物が初期の主人公で、この作品にも度々登場する妖怪研究家の多々良先生なども初期からのメインキャラクターの1人らしい。(Wikipedia調べ)
京極先生を知るためにも、私も百鬼夜行シリーズを最初から読み進めてみようと思う。京極ワールドにハマる予感がする。調べたら、長編短編合わせて20作はあるのね!先は長い。

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2020年07月12日

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久々の百鬼夜行シリーズ。

今昔百鬼拾遺 鬼、河童、天狗の3作が、
3ヵ月連続でそれぞれ異なる出版社で発売されました。

いずれも中禅寺敦子と「絡新婦の理」に登場する呉美由紀がペアで解決する物語となってます。

1作1話の長編ですが、百鬼夜行本体と比べると短く、内容もポップ? なので、気軽に読めます

一応、鬼・河童・天狗の順で読んだ方がいいでしょう。

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2020年06月12日

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ネタバレ

百鬼夜行シリーズのスピンオフ。

「鬼」に続き、テーマの妖怪の知名度に比べ、事件の大きさと謎は本編と比べて控えめ。

田園風景が続く場面では、少し間延びしてしまった。

河童の正体と、犯人というか仕掛けの怪しさはさすが

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2020年04月27日

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ネタバレ

今昔百鬼拾遺シリーズの2作目。「鬼」に続いて「河童」である。タイトル通り「河童」についての談議が冒頭で繰り広げられるが、女子学生が黄色い声で河童談義を長々と続けているのは、いかにもリアリティがない。戦後間もない頃、という時代設定であったにせよ、女子学生がそれぞれ己の出身地に伝わる河童像や逸話を披露しあうとは思えない。この部分がそれほど長くなく、物語への導入として簡潔に語られたのならまだよかったのかもしれないが、いかにも長く続く談義を読まされると違和感を覚えるのみである。

物語は、薔薇十字探偵社の探偵と中善寺敦子が邂逅し、それぞれが追いかけている事件の話をすることで、互いの事件は呼応し、さらにそこに河童が絡んでくるというものだ。これらの事件を追いかけるのは、一作目に続き中善寺敦子と主人公の一角を務める呉美由紀だ。妖怪研究家の多々良も加わり、ドタバタ劇の雰囲気をまとって物語は進んでゆく。

一作目の「鬼」はそれほど際立ったキャラクターはいなかったように思うが、今回は薔薇十字探偵社の探偵である益田にせよ、やたらと喚く妖怪研究家多々良にせよ、いずれも賑やかだ。特異なキャラクターを持つ彼らの登場は、京極夏彦の真骨頂である(と思っている)京極堂シリーズを髣髴とさせる。懐かしさを感じながら読み進めることができた。

明治維新以来、打ち続く戦争の集大成たる第二次大戦(物語の中では「先の戦争」と表現されている)で日本は破れ、国内は混沌と化した。敗戦、降伏、GHQ占領という混沌とした社会の中で、どさくさで発生した事件が端緒となり、河童になぞらえた水死体が揚がる。尻子玉を抜くという河童にちなんで、やたらと「尻」にこだわりながら、事件は端緒となった7年前の宝石にまつわる出来事と関連し、それらの因縁を解きほぐしながら大団円に向かう。京極作品のいわば定番化されたプロセスであり、読んでいて安定感はある。

本作では、物語に戦後の社会問題となった事件や時代背景が織り込まれている。これらは奇想天外とも思える物語にリアリティを与えることに寄与している。第五福竜丸、差別、女性の社会進出……いずれも河童と絡み合いながら、大団円を迎えるための重大なパーツとなっている。冒頭の河童にまつわるガールズトークにしても、日本各地に伝わる河童伝承をまとめたものと読めば、河童に関する百科事典としての読み方もできるかもしれない。

返すがえすも、なぜ河童伝承をガールズトークの形式で語らせたのだろう。しかも、物語の冒頭で。内容が奇想天外なのは京極作品の特徴だし、テーマである「河童」が物語の通奏低音となっていることも理解できる。だが、これが仮に明治時代の物語だったとしても、さすがに15歳、16歳くらいの女子学生が河童談義をし合い、長広舌を繰り広げるであろうか? 本来は、このトークは中善寺明彦の役回りのような気がしてならない。

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2020年04月22日

Posted by ブクログ

久しぶりに京極作品を読んだ。
全体のストーリーがあまり好み
でなく、集中して一気に読めな
かった。

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2020年02月15日

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2020年、6冊目は、京極夏彦、「百鬼夜行」シリーズ連続刊行の2作目。

千葉県、夷隅川水系で連続して、奇妙な水死体が発見される。三体目の第一発見者は、女学生、呉美由紀。そして、妖怪研究家、多々良勝五郎。多々良の担当編集員として、中禅寺敦子は現地へ向かう。

京極夏彦作品、オリジナル長編(「京極堂」シリーズは未読)、「百鬼夜行」シリーズ『鬼』に続き2作目。展開の予想の出来なさ。そこに、クライマックス&謎解きで人の本質的なコトと、けっこう盛り込まれた作り。

嫌いじゃない。でも、何だか、会話メインの第1、第2章が、いきなり読み憎く感じて、3章以降のドライブ感とマッチしてないような(1、2章がまどろっこしいから、ドライブ感あったのかもしれないが……)。

今回も★★★☆☆評価。あくまで好みで言うと、「河童」>「鬼」かな⁉️

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2020年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

関東の地名が多くて、馴染みがないので話に入り込むのに時間がかかった。
多々良は今で言う発達障害者に感じるなぁ……。
戦後にまつわる話が多くて、遠い過去の話にも感じた。
結局、連続水死体は宝石を探そうとした、ただの水死体でしかなくて残念。
川瀬香奈男は様々な金や名誉によるゴタゴタを見てきて、諦観しているようにも感じる。
最後に、遺体となった父と母を池から掬い出そうと決心した香奈男は、やっぱり両親への愛情はあったんだなぁ、とやっと香奈男が救われた気がした。
関東の風景の描写が多くて、前の「鬼」のほうが面白かった。

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2019年12月31日

Posted by ブクログ

尻、尻、尻!
お下の話ばっかりだったのに、終わりは爽やかで切ない夏を感じさせるという、情緒が不安定になりそうな小説。笑

益田くんって、ここまで面倒くさいキャラでしたっけ?ちょっとホント、黙っててくださいって言われても仕方ないやつ。
しかも多々良先生まで出てきてこりゃ本格的に話が進まない。

このシリーズ所々「ここらへんもっとサラッと進んでほしいなぁ」って感じの遅々として話が進まん部分があるのが気になりところです。
面白いんだけどね。
特に今回のこれは、人も多けりゃ時系列もごっちゃで、わかりやすく整理してくれる古本屋も出ないから、結構読むのが難儀だったです。
面白いんだけどね。

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2019年12月29日

Posted by ブクログ

百鬼夜行シリーズのスピンオフ三部作第二弾。ややこしいな。
なんかこう、尻まるだしにされた男性という奇妙な水死体が発見される事件が連続。というかなりキャッチー・・ではないけども、「この尻まるだしにちゃんとした整合性のある結末はあるんだろうか?」という部分ではとても気になるお話ではありました。そこにまあ、「尻子玉を抜く河童」とからめてうんぬんではありますが、当たり前ですが河童はでてきません。河童をひたすら語り続ける女子高生というのもある意味ではとても趣深いものがありましたが。
個人的にはもっと馬鹿馬鹿しいくらいのお話が三部作で一つくらいあるといいなあと期待したんですが、下品下品言われ続けた前半を裏切るかのようにちょっと物悲しいちょっと綺麗なラストで・・・

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2019年12月24日

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