【感想・ネタバレ】感情天皇論のレビュー

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Posted by ブクログ

著者は現代の天皇の被災地訪問などを「感情労働」と説明している。戦後、象徴天皇制となったが、憲法にその職務が記述されているわけではないなかで、天皇自らが考えて行うことにしたのが、国民に寄り添う気持ちを示す「感情労働」だという。その上で、平成天皇の成婚と退位を中心に解説している。大江健三郎の「セブンティーン」「政治少年死す」を読み、その当時の出版界での扱いについてを知った上で読んだので、成婚当時の部分は理解できたが、退位当時の部分は、話の核となる「シン・ゴジラ」「平成くん、さようなら」の両方を知らないので、よくわからなかった。特に「平成くん」については、論点が天皇制から離れているように感じた。三島、石原、大江の対比などはわかりやすく、面白く読んだ。一方で全体に、江藤淳への言及が多いのだが、私は彼の評論を読んだことがないので、立ち位置がよくわからなかった。「セカイ系」のような、まだ定義が浸透していない言葉が説明なしに用いられるのも不親切だと思った。皇后や皇太子妃の文学やメディアでの扱いについて1章設けられており、非常に良かった。

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2023年10月29日

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