感情タグBEST3
Posted by ブクログ
物語は鳥羽伏見の戦いあたりからはじまります。
いきなり局長近藤勇が銃撃されるシーンです。
多摩時代や、新選組が京で活躍する場面はあえて描かれず、
衰退していくところから始まります。
だからか、自分の中の映像的イメージは全体的に薄灰色。
ここの土方さんは男度・クール度高めです。
冷静、自分の信じた道に真っ直ぐに生きる、という感じ。
優しさが滲み出る、照れる、といった土方スタンダードはもちろんあり
お美乃さんという女性が登場します。
あらすじのイメージよりはそんなに登場場面は多くないです。
初めはお美乃さんに嫉妬心でいっぱいヽ(;´Д`)ノ の私ですら、後半の雪のシーンはじんときました。
二人が素直じゃないのが余計に切なくて・・・
戦の場面もたくさんあります。
そこはさすが土方さん、いちいちかっこいいんです
――歳三は全身に返り血を浴びていた。皆斬って捨てた。斬り、走り、おめいてはまた斬るすさまじさに、怯えて逃げようとする自分の従者をも大喝して斬った――
なんて場面もあり。ぞく・・・・・。
医師の松本良順がいい味だしていて、歳三とのやりとりが好きです。
張りつめた場面が多いだけに、良順の前では気が休まるような歳三の気持ちが会話から伝わってきます。
それから京時代からの隊士、蟻通勘吾とのシーンもいいです。
池田屋のときから、敵を前にすると怖くて怯えていた勘吾。
新選組に入ったのが間違いだったな、と言う歳三に、
逃げたいと思ったのが間違いだった、逃げては歩いてきた自分の道を消すことになる、そんなことはしたくない・・・と蝦夷まで共に戦い続ける。
――最後に箱館で会った勘吾の顔からひ弱さが消えていたことに気づいた歳三。
「よかったな」
思わず言った歳三。脈絡のない言葉だったが勘吾には通じたようだ。
「よかったです。有難うございました」――
ラストシーンもかっこよかった。
潔くて男・土方の人生が表れているようで好きです。
そしてそして、最期のセリフ。
「新選組副長、土方歳三」
他のどんな肩書きでもなく、彼はずっとずっと“新選組副長 土方歳三”として戦ってきたのです。
ありがとう。
(私のツボも押さえてくれてありがとう・・・)
Posted by ブクログ
あとがきに、はじめて書いた長編に加筆したものだとあるのを見て、なるほどそういうことかと納得。そうと分かれば、北原さんにもそんな頃があったのかと、それはそれで貴重な体験になった。
Posted by ブクログ
鬼の副長として斬り捨てまくっていた土方歳三ではなく、潮目が変わり負け組になりつつ北へと活路を見出だす時代が描かれて、新しい土方歳三を知れた感じだ。ある意味悪役でもある彼が今も人の心を惹き付けるのは、自分の中で筋を通しまくって散っていく生き様が魅力的に映るからなのでしょう。
もっと幕末の人物や歴史を掘り下げたい気持ちにまりました。