感情タグBEST3
Posted by ブクログ
売れっ子脚本家だったモリ。50代の妻子持ち、レオと出会って仕事を減らし、彼との生活に没頭する。
この生活がまったりとしていて楽しげでゆるやかで、思わず「かくありたい」と思わせるところがお見事。
自分の価値観、彼の価値観、それがぴったりと一致して、二人の暮らしは桃源郷のようだ。
けれどもそれが崩れ始める。
物書きとしてのモリの欲求、認められたいという思い。
レオとの仲は軋み、不穏な空気が漂い始めたところで物語は唐突に終わる。
実際に「カモカのおっちゃん」との暮らしを大切にしていた著者にとって、それ以上は書けなかったというのが本当のところかもしれない。書いたら現実になってしまう、つるかめつるかめ、と背中を丸めて指に息を吹きかける、少女のような著者の姿が目に浮かぶ。けれどもその小さな体の中には、「書きたい」という欲求が、とめようもなくあふれていたのではないだろうか。
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綱渡りの幸福に、はらはらしながら感情移入して、この作品も一気に読んでしまった。 切なくて胸がきゅんとなるんだけど、決して不幸せさは感じさせない、田辺聖子さんの作品が好きな理由かもしれない。
Posted by ブクログ
相変わらず、時代を感じさせない、田辺さんの作品。
角田さんの解説がまた、とっても共感できる。
山田詠美さんの解説もそうだったけれど、田辺本は、解説がこちらの気持ちを代弁してくれることが多い。
なので、解説を読み終えて改めて、読後の満足に浸れたりする。
ただ、この作品のラストは、今まで読んできた田辺本とは、ちょっとちがうかな。
わたしにとっては、ちょっと物足りないラストだった。
あれ?終わりなの?という感じ。
角田さんの解説が、足してくれました。
幸せってなんだ?
こんなに好きな人と巡り会えて、なんて幸せなんだろうと主人公のことを思ったけど、考え方を含めてその人に振り回されるのは、やっぱり嫌だな。
自分で選んだことでも…