【感想・ネタバレ】オリンピックの身代金(上)のレビュー

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Posted by ブクログ

プロレタリアートに敢えて飛び込んでいく青年の心理や時代背景がとても丁寧に描かれている。オリンピック景気に沸く人もいれば過酷な労働環境に身をおいている人、都市部と田舎の経済格差等々様々な視点から物語が進行していく。身代金を要求するに至るまで何があったのか、深くえぐっていくさまが刑事の目線だったり、伏線回収の匠さでどんどん引き込まれてあっという間に上巻読み終えてしまった。伊良部先生と同じ物語を書く人とはとても思えない(笑)

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2024年01月29日

購入済み

あの頃の情景がありありと浮かぶ

1964年 自分が小学校5年だったころの思い出が小説の情景と重なる。
平易で見事な描写である。
構成もすばらしい。
伊良部シリーズも昔読んだが、さすが著者の最高傑作の呼び名にふさわしい。

#感動する #深い #タメになる

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2023年06月24日

Posted by ブクログ

タイトル、どういうことかと思ったけど、途中であぁそういうことか!と腑に落ちる瞬間が。
時系列も順番に行ったり来たりするから、どう繋がるのかと思ったら上巻ラストでまた腑に落ちて。
戦後日本の経済格差にびっくりするし、すごいリアリティ。
頭が良ければ勉強できるけど、できなければ出稼ぎに行くしかない貧しい村。
そんな格差への反発でオリンピックの開催で沸く東京の人たちへの脅迫。
最初疑われた学生がどうしてそんな大それたこと?と思ったけど、読み進めると納得というかなるべくしてというか。
下巻でどうなるか楽しみ

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2023年06月07日

Posted by ブクログ

東京オリンピックの時代の街並み、流行など当時の描写がリアルに描かれ、当時の様子を脳内で再生する面白みがあった。また、高度経済成長の背景には、低賃金で過酷な労働を強いられる出稼ぎ労働者、東京を発展させるためにないがしろにされる郊外の犠牲があったこと、見える部分のみを大事にする警察の黒い部分など、国の裏事情の描写が鮮明で、今の二極化社会、政府の国民に都合の悪い内容を隠す体制など今にも繋がる内容になっているように感じた。
主人公がよくモテる。

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2023年05月24日

Posted by ブクログ

『罪の轍』、『リバー』に続いて奥田さん作品3作め。

早い段階で犯人がわかります。
頭脳明晰、容姿もよくて、性格も穏やか。そして、女性にモテる…。
きっと将来も安泰なのに、どんどん道を踏み外していく彼が、どうなるのか夢中で読みました。
彼は、自分に好意的な人を見抜いて、利用できるだけ利用する。そんな残酷な一面を持ちながらも、同じぐらい優しさも持っている。

彼の運がどこまで続くのか…下巻も楽しみです。

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2023年03月06日

Posted by ブクログ

よくオリンピックは「平和の祭典」って言葉を使われるけれど、多くの部分で権力の行使が蔓延ってることを体現した本だと思う。
外国人には見せられない汚い部分を隠してるみたいなこと書いてあったと思うが、一昨年のオリンピックもやってること変わらないなと感じた。(オリンピックの選考会の時に、「東京は福島から遠いから放射能の心配はない」ってアピールしてたような記憶がある。)
平和の祭典の裏に隠された闇を見せられた感じがしました。
物語の構想もなかなか面白かったです。
下巻もきっと一気読みでしょう。

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2023年01月09日

購入済み

奥田英朗さんをここのところ

奥田英朗さんをここのところ読んでいます。
奥田英朗さんを読むと、そうだよな、日本は本来こうだったんだよなと、決して悲観でなく、むしろ安心します。日本の斜陽を日々感じながら、あの頃に戻るだけだとむしろ踏ん切りがつく感じ。さあ、下巻読もう。

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2022年11月26日

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文庫を購入して再読シリーズ第三弾。圧倒的な臨場感、登場人物のリアリティ、巧みな筆致、どれをとっても素晴らしい。

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2021年11月09日

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前から読みたいと思っていた一冊。
いつもの奥田英朗さんとは別人のような内容です。
時系列はバラバラですが、読み始めると違和感なく内容が頭に入ってきました。
東大院生の島崎国男。
同級でテレビ局に就職した須賀忠。
警視庁の落合昌夫。
3人の視点から語られます。
何も怖い描写があるわけでもないのに怖いような気持ちになりながら読み進めました。朗らかさが返って怖い。そして今のこの時代にも当てはまることが多すぎて尚更怖い気持ちです。
この後どうなっていくのか下巻が気になります。

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2021年05月02日

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続きが本当に気になって面白かった
時系列がバラバラになりすぎておらず混乱しないですむちょうどいい塩梅だったので読んでいて楽しい

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2020年10月31日

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ネタバレ

『オリンピックの身代金』上・下巻


先日読んだ『罪の轍』にも登場していた
警視庁捜査一課5係の面々

数年前に読んだ
『オリンピックの身代金』にも登場してたということなんだけど
もの凄く面白かったという以外
殆ど記憶に無かったので、意を決して再読


本書も、文庫で上下巻
新刊に至っては、2段組みの分厚いハードカバーだったなぁーと


長い道のりに、少し腰が引けたけど…
結果、再読して正解!


えぇー!こんな結末だったっけー⁈

私の記憶とは、こんなモンです…笑



昭和39年10月10日に
アジア初のオリンピック開催を控えた日本

敗戦から約20年が経ち
先進国の仲間入りが果たせると
日本中が湧き上がる


主人公である、島崎国雄は
東京大学で、マルクス経済学を学ぶ大学院生

ある日、秋田の貧村から
東京に出稼ぎに来ていた兄の死の知らせを受け、両親に代わって身柄を引き取に行く


別人のように変わり果てた姿の兄と対面し

ただ勉強ができると言うだけで
違う生き方をさせてもらっていたという現実に絶望を感じる


地方から、出稼ぎをせざるを得ない
プロレタリア層の実態を、体験すべく
工事現場での過酷な肉体労働を始める


全国から集められた、出稼ぎ労働者の中でも
ヒエラルキーがあり
賭博やヒロポンの売買が横行している

最下層の労働者内ですら
搾取が行われている現実を目の当たりにした国雄は

「東京だけが、富を享受するなんて、断じて許せない」と
オリンピック開催を阻むべく、一人テロ活動へと突き進む



当時、鳴りを潜めていた爆弾魔「草加次郎」の名前を使い
都内各所で、爆弾を仕掛けるも
全く記事にも話題にもならず

諸外国や、オリンピックムードに沸き立つ国内に対して
報道規制が掛かってるコトに、更なる苛立ちを覚える

公安、警視庁、全学連、やくざなど、全てを敵に回し
運を味方につけて、緻密な計画を
着々と実行していく国雄


そんな中
とても印象的だった、国雄の独白



「いったいオリンピックの開催が決まってから、東京でどれだけの人夫が死んだのか
ビルの建設現場で、橋や道路の工事で、次々と犠牲者を出していった
新幹線の工事を入れれば、数百人に上回るだろう
それは、東京を近代都市として取り繕うための、地方が差し出した生贄だ」



なんともやり切れない気持ちにさせる



オリンピック開会式当日
2回目の身代金受け渡しから
最後の爆弾を仕掛ける場面では
手に汗握る、刑事との攻防戦


勧善懲悪を嫌い、作品内では
決して人を裁かないコトをポリシーとしてる著者らしい展開で

登場人物全ての事情を、余すコトなく丁寧に描いている


本書は、もちろん犯罪小説ではあるものの、細かい時代描写も秀逸


刑事と公安の確執
とか
当時のBG(ビジネスガール)の生態
とか
地方と東京の激しい格差社会
とか
若い夫婦の文化的生活
とか


当時のカルチャーも、ふんだんに散りばめられているので
どのシーンをとっても、充分に楽しめる



2020年
56年振りに、日本で開催される東京オリンピック

個人的には、全く思い入れはありませんが
開催直前に、本書を再読できたコトに関しては
なかなか感慨深いモノがあるなーと




#オリンピックの身代金
#奥田英朗
#読書好き

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2020年08月19日

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東京オリンピックに沸く日本の陰で確かに存在しただろう闇の部分を、暗くなりすぎずテンポよく、陽の部分と共に見事に描かれている気がした。

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2023年05月14日

Posted by ブクログ

東京オリンピックを通して再興する戦後の日本が舞台ではあるものの、利権争いが蔓延る国家のあり方はついこないだの2020東京オリンピックの話と聞いても違和感がない。東京オリンピックが終わって続々と不正疑惑、汚職などのニュースが出てくる中で読んだため、日本も成長しないなあと他人事のような感想を抱いた。

爆破事件を起こすことで、オリンピックで浮き彫りになる階級格差、地域格差な一矢を報いようとする主人公はびっくりするほど純粋で正義感が強く、なぜか嫌いになれない。

出稼ぎの描写、これから衰退していく日本ではどんどんこういう家庭が増えていくのでは、、と怖くなった。

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2023年03月08日

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1964東京五輪直前の東京での話。建設業界のヒエラルキー、格差社会など、2020東京五輪後とさほど変わらない部分もあって、昔話という感じがあまりしない。
東大の学生さんを中心に話が展開していくが、なんというか残念な部分が多くて感情移入しづらい。貧乏なのに文系の院生で、学問を究めたいわけでもない。確たる信念が見えないというか何も無さそう。人をダメにするアレに手を出す。お騒がせな行為の疑い。
若気の至りには賛成できないが、今後の展開は気になるので早めに下巻に手を出そう。

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

真面目な東大生が罪を犯すまでの心情変化が良く絵ががれており、読み応えがあった。奥田英朗のサスペンスはいつも終わり方が物足りないが、人間の心理描写を描くのはとても上手い。ただ毎度ながらオチが弱い。

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2020年12月28日

Posted by ブクログ

うん、面白い。
国男がいい人故に、その正義感から
悪い方に進んでいるのが読んでいて苦しい。
日本はこんな風に復興してきたのか。
2011/11/1

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2020年05月07日

Posted by ブクログ

オリンピックイヤーということで、昔読んだこれを文庫で。

オリンピックイヤー、なんて言いつつも、私はオリンピックに全く興味がないし、「今やることかなあ?」と疑問にすら思っている方なので、国男くんの言う「国民に夢を与えることで、現実から目をそらさせようとしている」というのがすごく腑に落ちてしまった。
地方が苦しんでるのに東京だけウキウキしてて、なんなの? と国男くんが思う気持ち、現代にも通じるものがないだろうか。

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2020年03月04日

Posted by ブクログ

前回の東京オリンピック開催前を描いていて、オリンピック主催に沸く当時の日本の国民全体での高揚感が読んでいて興味深かった。

本作は犯人が最初から分かっているので、何故犯人が犯行に及んだかの経緯を追う形だが、その心理が丁寧に描かれており、当時の日本の貧富の格差を読むにつれ犯人の動機には納得してしまう。ただ薬物に手を出す辺りからあまり共感出来なくなった。

後半がどのような展開になるのか楽しみだ。

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2019年09月03日

Posted by ブクログ

犯人、刑事など、複数の登場人物の視点で描かれています。「あの時は、そうだったのか。」と読むにつれて、引き込まれました。
書かれている時間が、前後するので、途中、何度も前のページに戻って日付を確認してしまいました。オリンピックの光と影。社会の光と影。この犯人、嫌いになれません。

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2019年05月06日

Posted by ブクログ

犯罪者の方に肩入れしてしまうのは、「レディジョーカー」に似ている。でもあちらの読後があっぱれ、清々しいのに対し、こちらは胸が締め付けられるように切ない。

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2019年04月27日

購入済み

近代史を違った視点から見る小説

私自身は中学1年生として経験した先の東京オリンピック、周りの大人たちを含めてほとんどの国民は無邪気に団結し、これで一流国の仲間入りをしたと言い合っていたように思います。海外から多くのお客さんが来るのだから恥ずかしいところは見せられない、ということで近代的インフラの東京一極集中についても多くの人は疑問を持っていませんでした。東京オリンピック支援のための寄付金付き記念切手を九州の小学校の教室で児童たちに売っていました。今となってみれば戦争中の「進め一億火の玉だ」とあまり変わらなかったのではないでしょうか。そんなことに気づかされた好著でした。

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2018年08月16日

Posted by ブクログ

東京オリンピック目前、過去に確かにあった街や人の空気を味わえる気持ち良さがある。
なぜか一気に読めず推進力は弱かったが読書中の気持ちの昂りはかなりあった。

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2017年11月26日

Posted by ブクログ

物語の中には想像も出来ない日本、そして東京が登場する。
「昭和」という時代は、まさに激動という表現が似合う時代だったのかもしれない。
他国に負けまいと必死に背伸びし、勝ち目のない戦いを挑んで敗れ、それでも焼け野原の中から復興を果たした日本という国。
その過渡期において、国民にとって大きな自信となったものがオリンピックだった・・・と物語を通して伝わってくる。
昭和39年、東京オリンピック開催直前。
爆破事件が起き、秘密裏に必死で警察は捜査を続ける。
しかし、容疑者は特定出来たものの、何度も後一歩のところで逃げられてしまう。
東大大学院に在籍する島崎は、亡くなった兄の代わりにオリンピック会場の工事現場で働くようになる。
考えられないほどの格差社会がそこには存在した。
たぶん奥田さんは綿密な取材のもとに小説を書かれたと思う。
だとすると、物語の中に登場する多くの工事現場での死者や、立派な会場の陰で虐げられていた多くの人たちがいたことは現実にあったことなんだろう。
国立競技場も日本武道館も、首都高速も代々木体育館も、すべてこの時に造られたのだと初めて知った。
その国立競技場も、来るべきオリンピックに備えて全面的に造り直される。
今までまったく知らなかった・・・知ろうともしなかった・・・過渡期の東京(日本)がこの物語の中にはある。
とても不思議な感じがした。
オリンピック開催に向かって急ピッチで進んでいた他の国の様子をみて、目に触れるところだけきれいにして・・・と笑ったりしていたけれど、前回のオリンピックではこの日本でも同じようなことが行われていたのだ。
知らないということは恥ずかしいことだ。
けっして他国のことなど笑えないというのに・・・。
再び東京でオリンピックが開催される。
当時のように日本国中を巻き込んだような熱気は、今の日本では無理かもしれない。
きっと冷ややかに眺める人たちだっているだろう。
けれど、それでもやはりオリンピックは特別なイベントであることに変わりはない。
村田の島崎を思う気持ちが切ない。
島崎の本当の目的は何だったのか。
理不尽な社会(国)への怒りなのか、反逆なのか、哀しみなのか。
もしかしたら島崎にも明確な答えはわからなかったのかもしれない。

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2017年03月01日

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時系列がバラバラなので最初は一瞬戸惑うけれど、慣れてくるにつれ、ひとつの事象を複数の視点から描いているのがとても効果的。
1964年の東京オリンピックを前に、草加次郎を名乗る爆弾魔がオリンピックを狙うというお話なのだけれど、そのバックグラウンドにある地方出身の人夫、格差、東京一極集中の経済などがきめ細かく描かれている。たった50年ほど前のことなのに、こんなにも日本は今と違っていたのかと、驚いてしまう。

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2016年07月19日

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ネタバレ

複数の視点から時間が前後して進行していく構成が面白いし、作者の巧さだと思う。
ラストは、島崎と村田のその後まで書いてほしかった。

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2016年04月12日

Posted by ブクログ

素晴らしい作品です。☆5以外ありえない…んですが個人的好みで4。
5年後に東京オリンピックを控えた今、読むタイミングは完璧でした!!

東京オリンピック開催妨害と引き換えに、国家に身代金を要求する東大生・島崎国男。
章ごとに変わる視点と場面で、社会の底辺と、繁栄する日本を思う存分に楽しむ東京の若者たちの対比が痛いくらいに表現されます。

島崎を追う刑事たちも富を享受する側であり、貧困に窮する地方とは大きくかけ離れた生活を送っている様子が描かれていますが、彼らにその自覚は無く、この話では誰を憎めばいいのか……

島崎の思いが国家に届くことが無いのなら、せめて身代金を無事受け取ってほしい、そんな思いで読み進めました。

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2015年10月19日

Posted by ブクログ

東大生がダークサイドに墜ちすぎ。
オリンピックの裏で蠢く華やかさとは異なる深い人の闇が描かれていると思う。それが人間味のある。

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2015年10月08日

Posted by ブクログ

なぜ?
ドがつくMなの?

私には国男が何故そこへ向かうのか わからなかった。
お兄さんの事がなければ、彼はそのまま何も抱かず生きていたのか。

それはただのキッカケで、遅かれ早かれ彼はそこへ向かってたのか。

揉み消されてる事は沢山あるんだろう。
危なかった事もあったんじゃないだろうか。
私たちは何も知らずにいるけれど。

自国で大きな催しがある時、無事に終わってほしいと願ってしまう気持ちはすごくわかる。
大多数の人がそうだとも思う。

見えていないものは沢山ある。

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2023年01月03日

Posted by ブクログ

大人しげで好青年だったのに、自ら過酷な労働者となり、自ら薬や更なる苦労を背負って自爆の道へ進んでいるような気がした。
わずかなのか長期になるのか1ヶ月で豹変して行くのは納得がいかない。
国男はどうなってしまうのだろうか。

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2022年04月12日

Posted by ブクログ

これは面白かった。オリンピックに向かう日本、前のオリンピックのときはこんな感じだったのだろうなぁ。と思いながら読んだ。首都高速、新幹線、国立競技場を作る工事現場の出稼ぎ労働者たちの姿も非常にリアル(と思われる)で興味深かった。

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2021年06月08日

Posted by ブクログ

上巻なので評価が難しいですが、やっと物語が動いてきた感じがします。
戦後どのようにして東京オリンピックが開催されたのか、その時代背景や人々の暮らしなど垣間見れます。
今年の夏に東京オリンピックが行われる前によみたかった作品でした。
話が日付ごとに区切られていて、さらに前後するため、簡単にメモするとより小説を楽しめるかもしれません。
基本として、主人公のターン、警察のターン、マスコミのターン。という構成ですね。

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2020年01月27日

Posted by ブクログ

内容(「BOOK」データベースより)

小生 東京オリンピックのカイサイをボウガイします―兄の死を契機に、社会の底辺ともいうべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。爆破テロをほのめかし、国家に挑んだ青年の行き着く先は?吉川英治文学賞受賞作。

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2015年10月21日

Posted by ブクログ

東京オリンピックを中心に据えた、戦後日本のテロリストサスペンス。
犯人と、捜査陣や周辺人物の視点を交えて物語を進める構図が巧み。
後者は事件初日から、前者はその約一ヶ月前から語りを始め、徐々に間がつまり、ラストのオリンピック開会式で交わる。おそらく著者の狙い通りの、緊迫感と疾走感の加速が味わえてよかった。
ただ、テーマに据えてる戦後日本のプロレタリアートに対するオチが、見当たらないのが気に少しなる。
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2015年09月23日

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