【感想・ネタバレ】新装版 最後の伊賀者のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

mac

ネタバレ 購入済み

天明の絵師

・「お前の絵については、わしが認めている。
あるいは器用貧乏で終わるのかもしれないが、一つ間違えば、ひょっとすると画壇の大宝になるかもしれない」
「思いもよらぬことでございます。元来があさはかでございますから。
いっそ、自分の器用を捨てればよろしゅうございましょうか?」
「捨てる?…若いのだな。世に浅いとでも言うか。
つまり、自分を含め、人間というものがわかっていないから、そのように、
わかったような、田舎寺の和尚のようなことを言うのだ。
人間、持って生まれたものを捨てられるはずもなく、また捨てる必要もない。
死ぬまで持ち越して行くものさ」
「先生…」
「旅に出るかね?10年、旅に出るがよいだろう。本来、芸術とは漂泊者のものではないか。
心が刃物のように研げてくる。旅に出れば、自分の心の奥にある、あったとも思えぬ、意外な琴が、意外に鳴り出すこともある。
その琴の音を聴く。聴くことが旅というものだ。その音だけが自分を高めてくれる」

0
2022年09月30日

Posted by ブクログ

司馬遼太郎の短編七作品集。
全部忍者モノの話かと思いきや、この中の3つだけで他は違う題材。
総じて面白い。
そもそも、忍者話を読もうと思って読み始めたけど
なんやかんやでそこではない話(天明の絵師、けろりの道頓)が個人的にはとても良かった
道頓堀って道頓が作ってた堀だから道頓堀とな…と
また新たなことを学んだ。

0
2020年11月25日

Posted by ブクログ

京都画壇四条派の呉春を題材にした短編(『天明の絵師』)が目当てで読みましたが、それよりも、長沢蘆雪が主人公の作品(『蘆雪を殺す』)が入ってたことにびっくりしました。
何より、両作とも軽く四、五十年前の作品のはずなのに、つい最近「発見」されたはずの「奇想画の系譜」のイメージにぴったりの人物造形っていうのが凄いです。

道頓堀の由来が「道頓さん」というのも初めて知って面白かった(『けろりの道頓』)。しかも、構想は太閤だけど、実現は完全に民間有志って、いかにも古き良き「大坂」って感じで素敵。
前半三作の忍術活劇、夢枕獏かと思わる『外法仏』とバラエティ豊かで一粒で何度もおいしい一冊です。

0
2020年04月26日

Posted by ブクログ

恐らくいずれも初期の(梟の城の頃の)作品でしょうね。当然ながら、再読(何回目でしょうか)です。
名前のように最初の三篇がこの時代に流行った忍者物。いささか古臭さ(荒唐無稽さ)は感じさせますが、なかなかです。「外法仏」は密教の修法を題材にした作品で、ある意味忍者物に通じるものがあります。「天明の絵師」「蘆雪を殺す」「けろりの道頓」はいずれも実在の人物をベースにした歴史物です。
何れにせよ、司馬史観などという物が入らない、純粋な物語としての面白さを目指した作品です。若さゆえの粗さもありますが、後期の長大な作品のような説教臭さがない分、読みやすい作品です。

0
2017年10月30日

Posted by ブクログ

忍者がなぜそのような暮らしをして、術を身に着けたのかを勉強するため。
司馬遼太郎が地元関西の郷土史家の側面を持っていたことが印象的。

0
2020年04月03日

Posted by ブクログ

*いろんなテイストの短編集。忍者ものはファンタジーっぽいし、絵師ものは淡々と、平安ものはグロかったり。幅広いなあ。
*忍者というとNARUTOが思い浮かぶ私ですが、人物名やら術やら制度やら、忍者ものの源流を見た思い。
*半蔵門の半蔵は服部半蔵の半蔵。
*けろりの道頓。これが読みたくてこの本を読んだのだ。道頓堀は町人が作った!というような話をよく聞くので、どこかの資産家が経済効果を見込んで計略的にぽーんと私財を投じて作ったのかな、と思っていたが、この物語においては、けろりとして野望も欲もない朴訥で人望の厚い久宝寺の道頓さんが、太閤さんに頼まれて、わりと軽いノリで作り始める(頼れる参謀はちゃんといる)。道頓さんは大坂の陣で豊臣側について死ぬ。徳川の世になって新・大坂城主が工事の続きをし、完成後、道頓堀と名付ける。徳川からしたら反乱軍に加わった男の名をつけたわけだから、大坂での人気取りのためか知らないが、英断と言えよう、という司馬さん考。
*けろりの道頓で、信貴山に登って河内を見下ろすシーンがある。最近紅葉狩りにまさに同じことをしたので、ちょっと感激。

0
2013年12月05日

Posted by ブクログ

筒井順慶についてはもう少し勉強が必要か。長澤蘆雪、呉春(松村溪月)、表題とは関係なく絵師の話は面白かった。円山応挙の弟子。与謝蕪村その弟子。司馬遼太郎さんか、この分野もカバーしていたのを知らず。

0
2016年08月16日

Posted by ブクログ

書名となっている「最後の伊賀者」の他に六篇の短編がおさめられている。
始めからの三編は「伊賀者」がテーマであるが、むしろ「伊賀者」がテーマではない最後の三編「天明の絵師」、「盧雪を殺す」、「けろりの道頓」が私的には楽しめた。
難しい表現も少なくて読みやすい短編集だ。

0
2015年08月26日

Posted by ブクログ

伊賀忍者もの3編と他4編。漫画ヒーローにあるような格好良さとは裏腹の忍者の扱われ方が身近に感じる。同じ講談社文庫の「おれは権現」にも本書収録の「けろりの道頓」が収められているのはいかがなものか。11.2.11

0
2011年02月11日

「歴史・時代」ランキング