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霜川事件、三鷹事件、松川事件をうまく織り交ぜつつ、戦後史の裏面を鮮やかに綴った手塚治虫の裏代表作のひとつ。どこまでもどこまでも暗い話に関わらず読者をまったく離さないのは、確実に漫画の神様・手塚治虫の力の成せる技です。文庫本に収録されている橋本治の解説「少年だった大人はグロテスクを獲得することが出来るか?」も必見(『奇子』に触れられているのはごく一部ですが)。
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閉鎖的な農村の庄屋一家の物語。
ひとりひとりは自分の「正しさ」に則って動いており、その「ツケ」がすべてひとりの幼子に降りかかる。
読むべき作品。
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黒手塚を代表する作品
手塚治虫のかわいらしい絵柄だから最後まで読めるのだと思う。
白手塚しか知らない人にしてみたら驚くことばかりの作品だと思う。でも読んで欲しい。
手塚先生は本当に人について深く考えていた人なんだな〜と思う。
Posted by ブクログ
手塚治虫の問題作として知られる、村社会を中心に戦後日本の暗部を描いた作品。
青森の地方旧家である天外家は、かつて大地主であったが戦後の農地改革によりその繁栄は衰退の一途にあった。天外家の次男である仁郎は戦場から復員し、四女として「奇子」が生まれたことを聞かされるが、奇子が不義の子であることに気付き、一族に近親相姦や封建的な慣習が蔓延ることに強い嫌悪感を覚える。
そんな仁郎もまた、GHQのスパイとして殺人事件に関わることになるが、証拠を隠滅する現場を奇子に見られてしまう。家名が汚されることを恐れた天外家は、奇子を生きたまま土蔵の地下室に幽閉することを決め、奇子は閉ざされた空間で1人生きることを余儀なくされる…
「八つ墓村」と「日本の黒い霧」を合わせたような作品で、すげぇドロドロやけどめちゃくち面白い。正義感が強く好青年に描かれてる三男の伺郎も奇子のことを犯し続けるあたり業の深さが感じられる…あと詳細に描かれている田舎の古い慣習はリアリティがあって勉強になる。(昔は近親相姦とか幽閉とか割とあった話らしい。。)
ただ終盤は若干消化不良的。
どうやら打ち切りの様な形で終わらせざるを得なかったのが原因で、本当は成長した奇子の目を通して戦後の裏社会を描こうとしていたらしいが、肝心の奇子にスポットが当たり切らないまま終わってしまったのが残念。
あとこの年齢になって気付いたんやけど、手塚治虫って絵めちゃくちゃ上手いのな…
Posted by ブクログ
思いの外面白かった。3冊まとめて買っておけば良かったと後悔。この終わり方は先が気になりますよぅ……
タイトルにもなっている奇子がこのあと一体どんな女性に成長していくんだろう。