【感想・ネタバレ】獅子渡り鼻のレビュー

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Posted by ブクログ

映画「誰も知らない」を彷彿とさせる都会の子捨ての話を背景に、だが作家は人と社会の温かさを信じている人だ。
何があったか、詳細はわからぬまま、厳しい経験を経た10歳の尊はいま、消息の知れない母の故郷、南の小さな漁村にいる。
いつまでも続くかのような夏休み、掃き清められてしんと静かな神社、老人が毎日参る墓、縁側で食べるスイカ、遠慮なく出入りする近所の人たち。
都会に暮らし外国でも暮らした作者が故郷を思う時の風景はこういうものなのだろうか。
そして、母がつぶやいていた「こんなところ、早く出て行きたかった」という言葉もまた作者の言葉か。
幻を見る尊の目から彼らが消える日はくるのか。
なまなましい暗さをたたえながらも見えるものは明るい、この作品の続きが読みたい。

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2017年12月28日

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