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ゾロアスター教やイランイスラーム教を専門とする著者による,マニ教についての概要。教祖であるマーニーの生涯について,その後世界各地での拡大と衰退について書かれている。
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軽妙な筆致で、マニ教文献の再現過程、マーニーの生涯とその思想、マーニー後の歴史等がつづられる。特にマーニーの生涯と思想の件(くだり)は、筆者の目線によるツッコミが随所にちりばめられ、読みながらフイてしまうこともしばしば。たしかに時代も文化背景も違う現代のわれわれからは、古い宗教的要素は珍妙に見えることもあるものだが。
だが、マニ教の神話などは現代人の目から見ても興味深く、壮大なファンタジー物語のようだ。というよりたぶん、現代人の思い描くファンタジー物語にも、その根底に古い時代からの宗教的イメージと同じものが流れているのであろう。
若きマーニーの孤独と苦悩から発せられるメッセージは、世界から疎外されたように感じている現代のわれわれに差し込む、一条の光のようである。
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アウグスティヌスが若いころに入信していたとは聞くが、なかなかその全貌が分かりにくマニ教についての本。なかなかここまで全体像を解説した本も少ないのではないだろうか。
内容は、マニ教の史料の発見史、マーニーの生涯を追い、その教理を説明するととともに、さまざまな宗教を飲み込みながら成立し、人工の宗教といわれるようにその限界性にも追及している。
マーニーの死後、マニ教の教会史として、発展とともに、中国で残っていく様子も書いてある。
ゾロアスター教やマニ教に興味がある人は一読すべき本。
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アウグスティヌスの「告白」を読んで以来、マニ教については気になっていたが、無精して辞典を引いた程度にしか調べなかった。
今回、入門書として本書を購入し、一読。マニ教の教義をはじめ、開祖マーニー・ハイイェーの生涯、マニ教教会の歴史と各地への伝播の様子を知ることができた。
マニ教が、この世界を「光と闇の闘争の歴史」として描いたのは知っていたが、その神話の内容がこれほど面白いとは思わなかった。
「闇の勢力」が〝光の要素〟を取り込み、その回収を図った「光の勢力」その闇を封じ込めるため、この宇宙を創造。光の勢力が差し向けた神々たちが、封じ込められた闇に迫り、はき出されたのが、いま存在する人間を含めた生物たちだという。したがって肉体という闇の要素が滅ぶことで、光の要素が回収されるという、ペシミスティックな筋書きが内蔵されている。
教祖マーニーはこういった神話を独力で完成し、人々に説いただけでなく、自ら数々の聖典を執筆。最終的な預言者を意味する〝預言者の封印〟を自称した。弟子たちはそれら聖典を書写し、世界各地の文化や地域性にあわせ内容を改変し、教えを広めていった。キリスト教圏では当然ながら異端扱いされ、イスラーム教とも相容れず、迫害の憂き目にあう。ウイグル国では国教とされるも、遠く中国で細々と命脈を保った信者も16世紀には完全にいなくなり、滅亡する。
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マニ教についての概説本。マニ教についての研究、マニ教の概説、教祖マーニーの生涯、マニ教の盛衰まで書かれている入門書。
マニ教を知るうえでは便利な本だと思う。今まで、あまり語られていない宗教だが、中世のアラブ圏、欧州圏の宗教、文化の理解には必要なものかもしれないと、この本を読んで思った。
個人的には、マニ教の教えが面白く読めた。こんな時代にこんな厭世的な考え方を持った宗教があったとは驚きだ。
面白い本。歴史が好きな方はどうぞ。