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Posted by ブクログ
ずっと理由のわからない不穏な空気が漂い続け、少しずつ謎が解けていってもすっきりすることはなく、最後の最後までおそろしいまま終わった。
読み終えた瞬間、「こわっ」と声が出て体がぞぞぞっとなり両手が震えて本を落としそうになった。
Posted by ブクログ
中学生で妊娠に中絶。恋人と友人が自分のせいで自死。。美和の身に起きたことが重すぎて、物語でも辛すぎた。
…でも、最後のページは。。美和にとって、新たな不幸につながるだけなのに。。遼子の「大丈夫」が本当に大丈夫になりますように。
Posted by ブクログ
内容も何も知らずに読みました。
仲の良かった家族に一体何が起きたのか、真実が明らかになって行く度に、胸がギュッと痛みました。
「愛する人が、もう生きたくないと思うほど絶望して死んでしまった。そんな世界で自分も生きていくなんてつらすぎる試練だ」
妹の美和が抱えた試練は、そんなレベルのものではなかった。
今別の著書も読んでおりますが、近藤史恵さんは、どの立場の人間に対しても、すごく気持ちに寄り添った書き方をされる方だと思った。
姉である遼子が、妹の美和の味方でいてくれて本当に良かった。
「母は明らかに動揺していた。自分のことばを信じていない。いや、それともこの期に及んで、まだ信じているのだろうか。美和には責められる理由があって、わたしにはないと。」
「祝福するのもしないのも、大人のさじ加減ひとつだ」
「父と母のことを優しい人だと思っていた。だが、その優しさは自分たちが認めるガイドラインを守った人だけに向けられるものだった。そのことがどうしようもなくつらかった。いまだにふたりは、自分たちが悪いとは思っていない」
私はこの最後の言葉に救われた。
でも、他の方の感想を読み、一部の人にはやはり伝えたいことを理解はしてもらえないのだと悲しくなりました。
どんな状況であれ、赤ちゃん個体の命の重みは同じはずなのに、"どこに宿ったか"で、もはや命としてすら扱われないのが現実なのだと。
自称「ちゃんとしている人」は、登場人物が浅はかで愚かで無責任な行動を繰り広げていることに、腹を立てるのでしょう。
でも、事実、こういう不幸を招いて繰り広げるのは、そういう「ちゃんとしている人」なのです。
想定外のことが起きた時、まともな判断ができなくなるのです。
私は美和そのものだった。
幼い頃からしっかりもので成績優秀で親からも信用されていた。
若くして妊娠なんて愚かだと思ったし、その結果中絶なんてもってのほかだと思ってた。
女性の身体のしくみをしっかり勉強し、16歳から基礎体温を毎朝計って自分の体を管理していた。
避妊だってしっかりしていたし、危険日前後は行為自体避けてた。
私の周りの友達に、私ほど徹底して避妊している子なんていなかった。
それなのにも関わらず、私は未成年で妊娠した。
この世の中には、100%完璧な避妊などないのだ。
その現実を知っている人間は、とてもとても少ない。
どんなにしっかり避妊していたとしても、結果的に「若いのに避妊もせず中出しして、なんて浅はかで無責任なんだ、当然の報いだ」とみなされてしまう。
妊娠が分かった時、私は心の底から「産みたい」と思った。
自分に宿った命が愛しくて愛しくて、とても堕胎なんて考えられなかったし、堕胎してまで守りたいものなんてなかった。
私は学生だったけれど、相手は社会人だったし、万が一妊娠した時は結婚して産むという話し合いまでして、そういう関係を持っていたし、親も理解してくれると思った。
だけど、理解あるはずの両親は、一気に態度を変えた。
"今ここにある命"や"娘の意志や選択"よりも、"自慢の娘像"や"世間体"を守りたいだけだった。
私は母親に連れられ、堕胎手術を受け、麻酔もしっかりかかってない状態で、搔爬され、手術中、医者から顔に暴力も受けた。
私はそれがきっかけで、子どもが産めない体になってしまった。
愛する命を犠牲にして立たされた、それからの人生は、重過ぎて本当に生きるのが辛かった。
身の回りには、誰一人として、私に寄り添ってくれる人などいなかった。
何も考えずにのほほんと遼子のような平和な人生を送っている人と会うと、身が引き裂かれるように辛かった。
私はどうしたら良かったのだろう。
これが私の招いた禍いに対する当然の報いだったのだろうか。
それから25年経つけれど、私と母親は完全に絶縁している。
それでも、親は今でも、自分が正しいと思ってる。
美和は更に、彼氏と親友を失っている。
3人の命の上に立たされた人生を生きることが、どれだけ過酷なのか。
なぜ一番側にいるはずの親が、美和を支えてあげることができないのか。
親が、自分の間違いに気付き、謝ってくれたのなら、少しは人生が救われるのに。
Posted by ブクログ
読みやすい文章でさくさく読めた。
最後の最後に、どう考えてもうまく行っていないこの状況に対して盲目的な遼子が疑問だったが、作中の
「立派なお父さんに育てられた自分が誇らしくて、父の独善的な部分や、自分勝手な部分から目をそらしてきた。
仲のいい家族が自慢だった。家族とうまくいっていない友達を見ると、少しだけ優越感を覚えた。そうやって、自分の目にフィルターをかけてきた。
自分が見たい父の姿だけ見て、それを誇りにしてきた。
情けないのは父だけではない。わたしも同じだ。」
という部分が、全てを物語っているのだと思う。遼子はいまだに自分の目にフィルターをかけている。結局人は変われないということなんだろうな。
Posted by ブクログ
近藤史恵さんの本を久々に読んだ。
今作もページを捲る手が止まらずに一気読みした。
命の重さってなんだろうと考えさせられた。
ラストは丸く収まったと思いきや…
えっ!?どうなるのという意味深な結末だった。
Posted by ブクログ
なぜこんなに家族が変わってしまったのかということがすごく気になりました。
主人公が実家から離れている際に多くのことが起こり、自分も知らないことがあってもおかしくはないなと考えました。
最後の2ページが恐ろしく、信用している人は本当に信用できるのかと感じました。
Posted by ブクログ
出産を控えた矢先に、夫と海外転勤が決まり、止むを得ず里帰り出産を決めた遼子。
久々に帰った実家では、両親と年の離れた妹の美和の様子が、どこかおかしかった。
初めての出産に不安や神経質になる遼子だったが、徐々にわかってくる不自然だと思っていた家族の真相。
中学生で妊娠、中絶をした妹の美和。
父に責められ、ついには自殺した美和の恋人。
仲の良かった家族にできた溝。
結婚して子供を産む遼子と
中学生という年齢で妊娠した美和。
同じ命だけど、異なった扱いを受けた命の行方。
失踪した美和から遼子に連絡があり、
東京の遼子の家に一時的に住まわせることになり
遼子の出産後、両親と離れて暮らすことで、どん底だった関係も少しずつ和らいでいった。
ディープな話からハッピーエンドかと思ったら、不穏な未来を想像させる終わり方。
遼子の夫と美和の関係。
なんとも昼ドラか?!