【感想・ネタバレ】愛と欲望のナチズムのレビュー

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Posted by ブクログ

「ナチズムが始まり、人々の性道徳は取り締まられた」と一般的には考えられそうだか、そうではなかったということを示した本。ナチズムにとって人口増大は国家の強化にとって重要であり、キリスト教的な性道徳を批判し、「生の肯定」つまり「性」を肯定するという文脈で、性の解放が進んでいったと筆者は述べる。ナチズムは、20世紀の性の解放の先駆けとなるものであった。ただし、性の解放といっても生殖と関わる異性間の男女の性は比較的自由化された一方、同性愛については細心の注意が払われていった(強制収容所で殺されるものもいた)のは、これまで様々な研究でも言われてきたとおりである。売買春についても、人種間の接触を禁じ、性病予防の目的もあり、公的に管理された施設が作られたが、結局、ナチズムによる人種間の性の交わりは管理しきれなかった。この本を読むと、いくら国が性を自由化したり管理していわゆる「純潔」を守ろうとしても、そううまくはいかなかったということである。とても面白かった。それにしても青少年の性の状況(笑)、戦争時代はすさまじかったのだなあと思った。

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2016年08月04日

Posted by ブクログ

歴史社会学者によるナチズムとエロチシズムとの関係についての研究書。当時の史料に基づき理論を展開しているが、根底に反ナチス的思考があり、すんなりと論理展開がなされていない。「当時の戦時体制下における判断」を現在の基準を適用して批判しているようでならない。当時の措置を「理解しがたい」と評価するのは、研究が浅い証拠であると思う。
「無思慮で自分勝手な享楽主義も、不自然で弱々しい禁欲主義も、どちらも誤りである」p52
「(メンタルヘルスの必要性について)わが民族の存亡がかかっている戦争の間は、成果と何の関係もないのに、そのような生やさしい方法を追求し、何人かの逸脱したならず者のために人員を費やすようなことは認められない」p57
「ともかくも子供を産んだ母親は民族に対する義務を果たしたのであり、国家は彼女たちを手厚く保護すべきである」p89

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2018年11月04日

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