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Posted by ブクログ
一橋大学卒で現役電通社員でもある松中権氏が作者。氏は限定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」の代表も務める凄い人。
副題に『LGBT初級講座』ともあるように、LGBT初心者向けに分かりやすく記述されている。
LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)・ゲイ(男性同性愛者)・バイセクシャル(両性愛者)・トランスジェンダー(生まれた時のカラダの性別にとらわれない生き方を選ぶ人)の頭文字を合わせた呼び方である。
本書の一番の特徴は、前述した分かりやすさの他に、著者自身がゲイであるとまえがきでカミングアウトしたことを受け、一貫してゲイバーでオネェ言葉を使うマスターのような口調で語りかけるような文体であることである。
真面目にジェンダーを論じてしまうと、内容が固くなり、社会学的な知識が必要となったり、哲学的に足を踏み入れた難解な文体になってしまうのだろう。著者が大手広告代理店の現役社員だけに、多分にマーケティングを意識した結果だと思われる。
しかし、この手の本に必須となっている著者自身の生い立ちや性への意識、LGBTが社会へ認知されるまでの歴史的な過程、LGBTの基礎知識は完全に網羅されており、それに加え前述のNPO法人の立ち上げに関するよもやま話など、次々と落語家の高座のように畳みかける構成に読み手は大満足するに違いない。
特に第一章「セクシャリティはグラデーション」は秀逸。
30ページの図1に「セクシャリティの12分類」とあり、カラダの性(男性・女性)、ココロの性(男性・女性)、好きになる性(男性・女性・両性)のそれぞれの組み合わせの枝分れが表示されている。これは非常に分かりやすいだけでなく、LBGTへの偏見や差別を減らす上で非常に有効だと思う。
驚いたのは、この後の36ページ。ここからは抜粋。
『第三段階、「好きになる性」も、男性と女性だけが選択肢ではありません。両方ともが恋愛対象になるのはバイセクシャルでしたが、「男性とか女性とか、トランスジェンダーとかは関係なくて、好きになる人が好き」という人がいます。それが「パンセクシャル(全性愛者)」です。「カメラをパンする」というときに使うパン=全ての、という意味からきています。
また、この他にも、「好きになる性」つまり誰かへの恋愛感情はあり得たとしても、恒常的に性的欲求を持たない「ノンセクシャル」(非性愛者)、そもそもの「好きになる性」の対象さえも持たない「Aセクシャル」(エーセクシャルあるいはアセクシャル。無性愛者)という人もいます。』
セクシャリティは機械のスイッチのように、きっかりと分れるものでなく、境界があいまいなグラデーションということなのだ。
この事実を知ることだけでも、人間の奥深さを知るきっかけになると思う。
LGBTに興味のある人もない人も、老若男女読んでほしい良書である。
Posted by ブクログ
ゲイである電通マンの告白&生き方指南。
まえがき
第一章 セクシャリティはグラデーション
第二章 自分へようこそ!
第三章 同じ人生はひとつもない
第四章 身につければハッピーなゲイのチカラ
第五章 未来のためにカミングアウトしよう
第六章 ゲイの友だちをつくる醍醐味
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あとがき
作者が自分の性に気づき、親にカミングアウトするまでの過程や、LGBTの人たちの思考や特徴を作者視点で描いている。
差別をなくそうとか、LGBTの人は特別とか、そういいう主張ではなく、人類が平等に生きられないか提案し、その中でもLGBTの人たちの視点や考え方にもっと目を向けては?と提案している。
ノーマライゼーションから発展する時代への提言。