【感想・ネタバレ】「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文のレビュー

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Posted by ブクログ

結論から言うと「能動的に本を読む」という読み方です。  一方向的に、著者の考えを「ふーん、そうなんだ」と受け入れるのではなく、読み手も能動的になって、「本当にそうなの?」「これってどういうこと?」とツッコミを入れながら文章を読むのです。  そうやって文章を読むことで、「自分の頭で考える」という訓練ができるようになり、読む力も地頭も同時に鍛えることに成功したのです。

自分が一方向的に書くのをやめて、相手も能動的になれるような、双方向的な文章を書く」ことで、伝わる文章を書くことができ、また地頭も鍛えることができるようになるのです。

相手に伝わらない作文というのは、相手のことを考えない「一方向的」な文章です。  逆に、相手に自分の意図が伝わる作文というのは、「双方向的(インタラクティブ)」という魔法がかかっています。  自分の考えをしっかり表明しつつも、相手のことまで推し量りながら文章を書くのです。自分から相手への矢印だけでなく、相手から自分への矢印も想定している。

人によっていろんな答えがあると思いますが、逆に「これをはじめにやっておかないと失敗する」という行為があります。  それは、「あとがき作り」です。最後を先に決めておかないと、実は作文することができないんです。

実は古今東西、すべての作文には共通項があります。みなさん、何だかわかりますか?  それは、「最後に自分の言いたいことを持ってくる」ということです。

最後に「要するに何が言いたかったのか」をまとめて終わるというのが、作文における絶対の原則なんです。

「最後」 =「言いたいこと」の原則は重要

なぜ「最後」 =「言いたいこと」でなければならないのか。これには 2つの理由があります。   1つは、読み手側の理由です。実は人間は、誰しも最後に言っていることのほうが頭に残りやすい
人間の印象は、実際の時間より、「最後がどうだったか」で決まってくる
最初でも途中でもなく、「最後」で言わないと、読者の印象に残りにくい。

実は、最後に言いたいことを持ってくるほうが、圧倒的に文章が書きやすいのです。

「目的地」が見えていたほうが、読者に伝わりやすい文章になります。

「目的地」が見えていたほうが、読者に伝わりやすい文章になります。

「目的地」が見えていたほうが、読者に伝わりやすい文章になります。

東大は、この「論理の貫通」をめちゃくちゃ重視する大学です。

結局何が言いたいのか」が明確じゃないと、どんなに言葉を尽くして説明しても、どんなに身振り手振りを使って話をしても、「なんとなく」しか相手に伝わらないんです。

「このノートがどんな目的で書かれているのか」「結論として何を覚えればいいのか」がすごく明確に書かれている。だからこそ、時間を無駄にせずに重要なことだけを吸収できる。そういうノート作りができる東大生が非常に多いのです。

実は「主張」になるには、 2つの条件があります。   1つ目は「未知のものであること」、 2つ目は「短くまとまっていること」。

主張とは、相手や世の中に対して「これを言いたい!」という自分の意見のことです。

世の中のみんなが知っているような既知の情報ではなく、思いもよらない未知の情報だからこそ、聞く意味が生まれ、主張する価値が生じます。

未知」の部分があるからこそ、読者も文章を読んでくれる。「何だよこれ、もう全部知ってるよ!」と思われるようなものは、たぶん読者は面白くは感じません。「これ知らなかった!」「なるほど、こういうことなのか!」と思えるような何かがあるからこそ、読者も文章を読んでくれるのです。

主張が長いと情報が多くなってしまい、重要な部分・本当に相手に伝えたい部分が見えにくくなってしまう

難しくて一言で言えないことを相手に理解してもらうことは不可能です。自分の中で嚙み砕いて、自分でも「難しい」と感じていない、一言で言い表せるほどに明確なものでないと、理解してもらえない

自分が感じたことを言いたいときには、この「感情型」で伝えましょう。

相手に何かを知ってほしい・理解してほしいときに書くのが「共有型」です。

何かを買ってほしい!」「こうしてほしい!」と相手に対してお願いしたいことがある場合に書くのが「要望型」

多くの人が当たり前に思っていることに対して一石を投じたり、多くの人が知らないことを言って意識を変えてもらいたい場合などに書くのが「警鐘型」です。

「これ」と決めた主張の型に沿って「主張作り」をしないと、主張がブレて相手に伝わらなくなってしまう

「目的作り」は、その「言いたいこと」を伝えた相手にどうなってほしいのかを考えるというものです。

報告書で書くのは「報告」ではありません。「共有」です。「共」の字が入っているからわかると思いますが、「双方向的」なものなんです。

「主張作り」は、「自分が言いたいことを明確化すること」でした。それに対して「目的作り」は、「相手にどうなってほしいかを明確化すること」なんです。

・①「主張作り」で選んだ型を確認する
・②次の図に沿って、「目的」と「手段」を確認する。
【感情型】 →「理解」「共感」
【共有型】 →「理解」「納得」
【要望型】 →「変化」「共感」
【警鐘型】 →「変化」「納得」
・③「主張作り」で作った付箋を見ながら、「目的」と「手段」を言葉にして付箋にまとめる

・目的 ①:変化(アウトプット)
「主張作り」では「お願い」と表現していたものです。「相手に何か変わってほしい」という目的です。
・目的 ②:理解(インプット)  
「主張作り」でも「理解」と表現していましたね。「相手に知ってほしい」という目的です。「この文章を読んだ人に、文章の内容をわかってもらう」という状態が理想です。

・手段 ①:納得(論理的に訴える)  
「主張作り」では「客観的」と表現していたものです。「相手に納得感を与える」ことを指します。「この文章を読んだ人が、『たしかにそのとおりだ』と納得する」状態が理想です。
・手段 ②:共感(感情に訴える)  
「主張作り」では「主観的」と表現していたものです。「相手に共感してもらう」ことを指します。「この文章を読んだ人が、『それ、すごくよくわかるな』と共感する」状態が理想です。

「目的作り」の 2つのポイント
・ポイント 1:「共感」にはかならず「自分の感情」を入れよう!  共感は、相手に感情的に訴えることだと説明しました。なので、主張にあまり「自分の感情」が入っていなかったら、ここで付け足してみましょう。
・ポイント 2:「変化」は、かならず「変化前」と「変化後」を意識しよう!

一言で説明すると、「つながり」です。「論や文章・話のつながり」が論理であり、「物事のつなげ方」が「論理的思考力」です。
相手に伝わる論理的な文章を書きたかったら、「つながり」を意識する必要がある

王道の 3つの型 
・①同格型
主張を何度も言い換えながら繰り返し語ることで相手にわかってもらうのが「同格型」です。  たとえば、まずは「こんなことが言えるんです!」と主張を言い、その主張の理由や具体例、その主張の詳しい説明などを述べていきます。そして最後に、「ということで、やっぱりこうなんです!」ともう一度主張を言う……という方式です。  最初と最後に同じ主張を述べるので、プレゼンの世界では「サンドイッチフォーマット」とも呼ばれます。
・②因果型
原因になる事実を並べていき、最後に「ということで、こうなんです!」と結果である自分の主張を持ってくるのが「因果型」
・③対比型
2つ以上の対立する概念、 2つ以上ある選択肢を述べます。「肉と魚」「きのこ派かたけのこ派か」「ソース派か醬油派か」「愛か金か」など、対比できる事例がはじめに述べられるのです。  その後、双方の具体的な説明と具体的な例が述べられ、比較した後で、主張が出現します。「というわけで肉がいいです」と一方の肩を持つ場合もあれば、「みんな違ってみんないいと思います」など新しい概念、 2つが融合した提案などが主張されることもあります。  比較することで一方をわかりやすくしたり、議論がどこで分かれているのかを整理するなど、 3つの型の中でいちばん論理的な型です。

迷ったときは Ⅰを選びましょう。なぜなら、 Ⅰがいちばん作文しやすいからです。ストレートに何度も自分の主張をぶつけることで理解してもらう形ですから、難しく考えなくていいのです。
より深く相手に理解してもらいたい場合や、相手に行動させるところまでやってもらいたい場合は Ⅲを選んでみましょう。

いったいどうして「双方向性」が大事で、「相手 →自分」の矢印が大切なのか。  それは、あなたの文章を読む人を、「読者」から「記者」にするためです。  作文を読んだ相手に、あなたの言いたいことを深く理解してもらい、あなたの作文で相手を変えたいと思うのであれば、目指すべきは読む人を「読者」から「記者」に変貌させることなのです。

ただ読者になっている人は「相槌もメモも取らない人」です。逆に、あなたの話に興味を示し、相槌やメモ、時には質問までしてくれる人は、読者ではなく記者。「読んでいる」のではなく「取材している」のと同じなのです。  目指すべきは、相手に「読書」をしてもらうのではなく「取材」をしてもらうこと。相手を記者にする作文こそが必要なのです。

・読者を「記者」にする 2ステップ
1  まず、相手に「説得力があるな」と思ってもらう
2  次に、相手に「会話したい」と思ってもらう

断言するというのは、リスクを取ること。リスクを取るということは、責任感を持つということ。  責任ある文章は、説得力がある。

「ツッコミ作り」のやり方は簡単です。
1主張の付箋をもう一度見直す
2 その主張に対して、以下で説明する 3つのツッコミをしてみる
3 作ったツッコミを、 1枚ずつ付箋に書いて残しておく

・①証明できる?  例:ホントにそうなの?  なぜそう言えるの?  それが本当に正しいかどうか、証明することができるか?  という問いです。主張の根拠を問うツッコミですね。
・②反例・例外はある?  ツッコミ例:この場合はどうなの?  これには当てはまらなくない?  それが当てはまらない場合もあるのではないか?  というツッコミです。主張を別の事実と比べてツッコむの
・③弱点はある?
 最後は「ダメなポイントはないの?」です。主張を認めた上で、それが 1 0 0パーセント完璧な主張なのかを問うのです。

 譲歩とは、「たしかにこういうこともある。でも、……」と、自分の非や自分の主張の穴を相手に見せる行為です。これって文章において、どういう役割のものなんでしょうか。  はっきり申し上げますが、「譲歩」は自分の考えを主張する上において、何の意味もない行為です。

「弁論にあえて穴を作っておく」ことこそが重要なのだとか。  話の中に、「それ、ホントに正しいの?」「証拠はあるの?」とツッコまれそうなポイントを作っておき、それに対する反論をあらかじめ用意しておく。そして、弁論が終わった後の質問の時間で、あえて人からその質問を引き出し、自信満々でその反論を述べるのだそうです。

「質問トラップ」とは、こういう「あえて相手からのツッコミを想定した文を作る」というものです。こちらとしては、相手がそう質問することはわかった上で会話をしているので、言うならば「トラップ」です。

「問いかけ作り」は、次の 3ステップでできます。 ①「譲歩作り」「インパクト作り」の付箋を用意する ②文章のはじめと、「譲歩」「インパクト文」を使うタイミングで、以下の型に当てはめて問いかけを作る。 ③ 4 0 0 ~ 5 0 0字に一度、問いかけが挟まっていればクリア

最初のタイミングで、「みなさん、これ知ってますか?」「これって疑問に思ったことありませんか?」と問いかける型です。会話に入れない友だちを入れてあげるイメージの言葉なので、主に文章の最初で使われます。

相手が疑問に思いそうなこと、つまり「ツッコミ」を、先にこちらで封殺するというものです。「今、こう思った人いたでしょ!」というやつですね。  これは、「 1人ディベート」の「ツッコミ作り」で考えたことを「  」に入れて、「『〇〇』って思った人いたでしょ?」という形に直せばそれだけで完成です。

「インパクト文」や「譲歩」の前に選択式の問題を出すのが、この「正解はどれ?」型です。  「 Aと B、どちらだと思いますか?」と問いかけておき、その後で「 Bだと思った人も多いと思いますが、実は Aなんです!」と持ってくることで、譲歩やインパクト文の効果を倍増させることができます。

「ポジション作り」は、次の 2ステップ
①「主張」と「目的」の付箋を取り出す ②自分が、次の 4つのうちどのポジションにいるのかを考える

Ⅰ「横」を選んだら、自分の「主張に対する自分の思い」を書く。
Ⅱ「上」を選んだら、「横」に立てる経験を探し、書いてみる。
Ⅲ「下」を選んだら、自分が「下」だと表明した上で、「主張に対する自分の思い」を書く。
Ⅳ「外」を選んだら、「上」「横」「下」のどれかに自分の立ち位置を定めてみる。 →「横」「上」「下」なら、 ⅠⅡⅢへ。

「相手の立場に立つ」というのは、言い換えると「相手との共通点を探す」ということでもあります。  「自分も昔はこうだったんだ」という過去との共通点でもいいですし、「こういうことをしがちなのは自分もそうだ」という、相手と共通する自分の弱みを出してもいいです。

「外」というのは客観的に距離を取って見ている状態です。ですが、何度も申し上げているとおり、距離が遠かったら誰にも伝わらないのです。まずは相手と近づかなくてはならない。相手を見定めて、それから語るようにしなければならないのです。  まずは自分が近づかないと、自己紹介なんてできない。知識を持っているなら「上」でいいです。まったく知識を知らない、何の関係もないことを話すのなら「下」でいいです。対等に話しかけたいのなら「横」でいいです。

どれかを選んで、かならず「外」から「内」に入ってから話すようにしましょう。今まで「外」から語っていた人は、ぜひ試してみてください。たったこれだけのことで、文章は劇的に改善されますよ。

最後に養老孟司先生のこの言葉で締めさせていただければと思います。  
「他人は互いにわかり合えないものです。わかり合えないからこそ、言葉があるのです」

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2020年04月20日

Posted by ブクログ

相手にいくら説明しても伝わらなくて、結局何が言いたいの?と言われて悩み続けている人は多くいると思う。もちろん私もその一人。子供には嫌味と捉えられて無視されることだってある。

でも、「東大作文」を読んで相手に何を言いたいのか、聞いた相手にどうなって欲しいのかと根幹をしっかり持つ大切さを学んだことで、相手にまっすぐ伝えられるようになったと思う。

「作文」とあるので、伝わる文章が書けるようになると想像するけど、話し言葉も「作文」。相手のことを想う文を考えると、話す言葉も変わってくるのを感じる。

仕事や家庭で、相手に伝わらなくて困っているならぜひ読んで、何度も練習して、文章から会話まで幅広く変わるのを実感してほしいと思うおすすめの本です。

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2023年10月26日

Posted by ブクログ

『自分の文章が、相手に伝わっているかわからない』そんな人にオススメです。
この本は、主張したい目的によって文書の構造『型』を決め、論理的に書く技術がまとめられています。伝えたい相手との距離感や文章の種類に従って型の選び方まで書かれており、すぐ取り入れやすいです。
慣れるまでは型を意識する必要があると思い、自分で本書を参考にフォーマットを作ってみました。今後は、それを用いて文書作成を楽しみたいと思います。
個人的に、あとがきの著者とお父様のエピソードにぐっと来ました。『伝え方を変えようと努力することで、自分の道が拓けることも、たくさんある』、私もそう思います。この型を自分のモノにしたい、モチベーションにも繋がりました。

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2022年04月21日

Posted by ブクログ

文章術を体系化してくれている。

以下の要点押さえる
文章の目的
•主張•目的の型(感情•要望•共有•警鐘)

文章構成
•3つの型(同格•因果•対比)

+α
説明力•会話力
→主張(ツッコミ)(断言すること大切):まじ?
→譲歩:確かに•••しかし!
→インパクト:主張+譲歩

これからは読書する時、自分で文章を書く時含め、文章と接する機会がある時には、文章の目的、構成を意識して接する。そうすることで文章力を向上させる?

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2021年07月08日

Posted by ブクログ

☆双方向的な文章が読者を引きつける

分かりやすく、伝わる文章とはどんなものか?論理展開に対して敏感になってレポートやプレゼンを作っていたが、自分の相手の共感を呼べるものとは言えないものが多い気がした。そこで自分の文章を振り返ると、一方的なものが多いと感じた。著者によると、双方向的な文章を前提として作らないと、そもそも読者は読んでくれないし、読者は論理の飛躍に対して対応できないようだ。そのため、自分の文章の主張、目的、自分と読者の立場など様々な事を考える必要がある。一つ一つの文の役割を自分で把握しながら書くことでよりムダのない、伝わりやすい文章が作れる。レポートやプレゼンのスクリプトだけでなく、普段のノートやSNSでの文章作りもここで解説されてるポイントを一つ一つ実践しながら作ってみようと思う。より多くの人に読んでもらえるように。

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2021年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

装丁読み
伝える力と地力頭が高まる
ムダなく書き、相手に正確に伝わり、相手を引き込む文章術が身につく。
メール、SNS、企画書、報告書などあらゆる場面で使える。
東大生がみんなやっている「書き方」について書かれている。

目標
ムダなく相手に伝わる文章術とは何かが分かるようになる。
→論理が飛躍していないこと。まず主張と目的を明確にし、相手に何を求めるかによって型を使い分ける。論理を同格、因果、比較のどのパターンで展開するのがベストなのかを見極め、読者との会話を意識した文章作りを心がける。

正しい文章術を身につけることで、自分の思考力を高める。
→相手に伝わる、相手を動かす文章を書こうと思ったら、深い思考をせざるをえない。

作文だけではなく、相手に伝わる話し方も身につける。
→この作文の方法はコミュニケーションの場でも応用可能である。主張と目的、アプローチ方法など通ずるものがある。

要約
作文は自分だけでなく読む人の立場に立って書く必要がある。
相手が分かってくれるように意識して文章を書くことは思考力や地頭を良くする。
まず結論を考える。結局自分は何を言いたいのかというゴールを最初に決めて、それに向かう必要がある。自分が言いたいことを自分が分かっていなければ相手にも伝わらない。
相手の話を聞く時も、結局何が言いたかったのか自分でまとめる必要があるのだ。
相手にどうなってほしいかという目的に合わせて4つの型を使い分ける。共感を手段に相手に理解を求める「感情型」と共感を手段に相手に変化を求める「要望型」、納得を手段に相手に理解を求める「共有型」と納得を手段に相手に変化を求める「警鐘型」である。
複数の型を含むと主観と客観が混ざって主張が伝わりにくくなるので注意する。
相手に変化を求めるのか、それとも理解を求めるのか。その目的のための手段として論理的に訴えるか、感情に訴えるかを型に合わせて使い分ける。

論理とはつながりである。
読者が作者の主張に対してどれくらいの位置にいるのかを判断し、それぞれに合った型で論じていく。
1つ目は同格型である。主張と同じような内容を表現を変えて繰り返し述べていく型である。これは主張と距離の近い相手に使う。
2つ目は因果型である。主張と距離のある相手に使う。客観的事実から主張に繋げる型である。
3つ目は対比型である。主張に対して疑問を持っている相手に使う。複数のものを比較しながら自分の主張に帰結させる型である。

読者を記者に変える方法
主張を断言することが大切だ。断言することは間違えられないというリスクがある一方で、責任感が生まれ正しい文章にしようと努力することにつながる。
断言することは読者からの批判を生む。
その批判(ツッコミ)を予め予想して反論を準備しておくのだ。読者がツッコむポイントはその主張が証明できるかどうか、例外はあるか、弱点はあるかである。ツッコミポイントを見極めた後、次に譲歩について考える。譲歩の後には譲歩を否定する主張がくるからだ。1度譲歩することでギャップが生まれ、主張にインパクトを与えることができるのだ。
人は客観的な意見や、信じてもマイナスが少ない場合、あるいは信じることで自分にプラスになる場合に、意見を受け入れる傾向にあるのだ。

読者がつい質問したくなるようなトラップを仕掛けることが読者を文章に引き込むためには不可欠だ。読者が質問するだろうことを予測し、答えを準備して反論する。違う視点からも物事を見ていることを読者にアピールすることで読者は納得するのだ。
相手をトラップに掛けるためには随所に問いかけを作る必要がある。
相手との距離が近い場合は「これ疑問に思ったことありませんか」型を使う。相手との距離が遠い場合は「相手の言葉を先回り」型を使う。相手の疑問を封殺し納得感を与えることで、文章への興味を引き出すことができる。「正解はどれ」型を使い、読者が間違えるように誘導することで、読者に本を深く読むように導くこともできるのだ。これらの型は読者と会話をするための方法なのである。
相手から質問してもらうためには自己紹介のような自分の主観を語ることも必要である。主観的な表現は相手との距離を縮める。
ポイントはどのポジションから自分が話をしているのかを明確にすることである。自分の立場が相手にとって上なのか下なのか、あるいは横(対等)なのか、それ以外の外(そと)にあるのかを見極めて話す必要がある。
注意すべきことは横(対等)になれるポイントを探すことである。人間は対等な相手との会話以外入ってこないのである。
相手に興味を持ってもらうためにはどうやったら相手と自分を対等にできるのかを考える必要があるのだ。

最後に体裁を整える枝葉切りを行う。
文章は木と同じである。文章の根幹にあたる目的や主張は木の根や幹にあたる。幹には主張を方向づける型、木で言う枝が付いている。型の中には読み手が興味を抱くようなインパクトや相手を引きつける問いかけがある。これは木で言う葉や花である。文章を整える際にはそれぞれの文がどのような役割を担っているのか見直すことが大切である。
役割のない情報や長すぎる例、よく似た例など、省いても主張に影響しないものは極力省くようにする。
いらない文は再利用できないか考える。主張と繋がるように変化させられないか考えるのだ。
人間は他人の長話は不快に感じるのに自分のことに関しては長々と語ってしまいがちな生き物である。他者の目線に立ち、短く簡潔な文章を書くことを、心がけるべきである。

実践編
メールやチャット
主張を明らかにする。目的は要望型、共感を手段とし相手に変化を求める。
同格型で主張を言い換えて伝える。

報告書
目的によって共有型と要望型の2パターンを使い分ける。情報を共有したい場合は納得を手段に相手に理解を求める。相手に変化を求めるなら共感を手段にする。

企画書
求められるのは説得力である。背景、内容、メリットが論理的に繋がっている必要がある。
警鐘型で書き、納得を手段に相手に変化を求める。論理の型は同格型でも因果型でも対比型でもOK。

SNS
ポイントは共感。
要望型で共感を手段に変化を求める。
ポジションを対等にすることを忘れずに。
相手との距離が遠ければ因果型で書く。

謝罪文
双方向性を最大限に求められる。
相手のツッコミを予想し、主張の論拠となるポイントを含めることが大事である。
要望型を使い、共感を手段に相手に変化を求める。同格型で主張を言い換え続ける。

帯コメント
作文とは一方向に書くものではなく双方向で書くものであった。

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2021年01月28日

Posted by ブクログ

たまたまプレゼンが近く、いくつものヒントを貰えた。
逆から辿る大切さは目から鱗だった。
また、読者は著者が思うほど頭が良くない!と言うのも笑えたし納得だ。

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2020年07月11日

Posted by ブクログ

作文は特別な事ではなく日常的な行為であること。
そして作文に限らずアウトプットは、相手の事を考えて行わないといけない事。

最近、説明力の低下を感じている自分にとって、改めて気づかせてくれました。

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2020年05月04日

Posted by ブクログ

相手に伝える文章は目的をしっかり決めてから、4つの型を使い分ける。目的や型が混同してしまうとわかりにくい文になっているのがよくわかる。文章だけでなく会話の内容にも同じ事が言えると思う。

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2020年01月21日

Posted by ブクログ

私自身とても役に立ちました。
相手との距離を考えることが必要であり文章の型が紹介されていましたが会社の業務説明で上司との距離を考えて資料を作ることに活用しています。

文の型について記載がありますが、改めて世の中の本の文章を見ると確かに型がある事に気づかされました。

相手に伝える為にはどうするか?そんな答えも見つかるかもしれません。

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2019年12月20日

Posted by ブクログ

なぜ文章を書くのかという、目的(相手に変化してほしいのか、自分の気持ちをわかってほしいのか)をはっきりさせて書く重要性を再認識できました!
そして、目的を達成するためには、主張の型を決めなければいけないということも。目的(変化と理解)と手段(共有と納得)の2軸で分類する主張のポジショニングである本当に参考になりました。

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2019年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
はじめに  偏差値35だった僕を救ってくれた「東大作文」
第1章   「伝える力」と「地頭力」がいっきに身につく「東大作文」
第2章   5つのシチュエーションに対応!「東大作文」実践編

<内容>
相変わらず西岡さんの本は読みやすいし、わかりやすい。「東大」の名を冠さないと読者の手には取られにくいのかもしれないが、彼の文は譬えにしても、高校生レベルを納得させる文だと思う。「あとがき作り」「目次作り」「一人ディベート」「質問トラップ」。これだけ見ても「なんのこっちゃ」だけど、読めば納得です。

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2019年04月08日

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書き始める前に、最後に何を書くかを決める
主張は未知のことを短く
主張の型は感情、共有、要望、警笛の4つしかなく、必ず1つに決めなくてはならない
説得力はツッコミ作り、譲歩作り(確かに、もちろん、なんじゃないか)、インパクト作りから生まれる

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2022年03月12日

Posted by ブクログ

文章を書くことの基礎が分かりやすく書かれている。
書く時だけでなく、プレゼンや人に何かを伝える時にもこの基礎は役立ってくるだろう。
当たり前のことしか書かれていないと書評している方はしっかりと文章の書き方を学んできた人だなぁ。
この当たり前をどう伝えるかが教える側としては難しいところ。
中高生に読んでもらいたい。
いや、
中高生を教える人が読むとより良い本だと思う。

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2021年08月03日

Posted by ブクログ

文章の書き方、構成の本質は理解出来る箇所はあったが、書いてあることを意識して読書するのは、覚えることが多く全てを頭に叩きこんで実践するのは、なかなかハードルが高いので、必要な箇所を要所要所で引用し、自分のモノにしていきたい。

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2021年02月02日

Posted by ブクログ

作文をする機会は万人が持つと思うが、指摘されたことや、自分で上手くかけているとは思えない、と言った経験はある人が多いと思う。西岡壱成さんが書く著者は、すぐに実践できる内容ばかりなので、こういった学校では教えられなかったことを1から教えてもらえるのは本当に助かる。

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2020年11月17日

Posted by ブクログ

‪文章書くのが苦手ってありませんか?私はありました。その悩みを解消する本がありました。その内容は読者を意識するということ。当然って思うかも。けれど、読者がどうなって欲しいか考えてなかった。共感なのか?警報なのか?私は伝えることのみ考えてた。なので読者がどうなって欲しいのか意識したい‬

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2020年09月01日

Posted by ブクログ

筆者は、「双方向的」な作文を提唱している。作文を読む相手も能動的に読める文章が良い作文というわけだ。一番印象的だったのは、「枝葉切り」のテクニックである。自分の書いた文章を読み、この一文の役割は何か、浮いている、不必要な文はないか、推敲することで、必要なことだけが書いてある作文を書くことができる。営業日報やブックレビュー作成の際に、一文一文を意識して書くようになった。社会人、学生におすすめです。

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2020年06月01日

Posted by ブクログ

心に残ったこと3つ

①作文するときは相手の身になって書く事、相手の事を考えて書く事が大事。
②話が飛躍しているから伝わらない。
③文章や話のつながりが論理であり、「物事のつなげ方」が「論理的思考」

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2019年12月18日

Posted by ブクログ

ライティングの本を読んだことがないので相対的な評価はできないですが、
大変参考になりました。
文章作成に苦手意識を持っている方は読む価値ありかと。

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2019年05月09日

Posted by ブクログ

あらゆる場面で一生使える「スゴい文章術」当時の現役東大生がかいた本です。

本書の中で、よいなと思ったのは、次のとおりです。

・相手に伝わらない作文というのは、相手のことを考えない「一方向的」な文章です。

・東大作文で身につく「5つの力」 ①要約力 ②論理的思考力 ③客観的思考力 ④コミュニケーション能力 ⑤批判的思考力

・「最後に聞いたほう」が記憶や印象に残りやすい

・論理が貫通している文章こそ、読むに値する文章


・主張はかならず、短くまとまっていなければならない。

・人に説明してみること。説明すれば自分が本当に理解しているかどうかがわかる。

・ただ報告するだけの文章を作文してはならない。なぜならば、そこには「意図」がないから。

・相手に理解してもらうよりも、相手を変化させることのほうが、何倍も難しい。

・あなたが思っているほど、読者は頭がよくない

・相手に伝わる論理的な文章を書きたかったら、「つながり」を意識する必要がある

・文章の3つの型 
 ①同格型:最初と最後に同じことを述べる、主張を何度も言い換えながら繰り返し語ることで相手にわかってもらう
 ②因果型:原因になる事実を述べていき、最後に「ということで、こうなんです!」と結果である自分の主張をもってくる
 ③対比型:2つ以上の対立する概念を述べ、比較した後で、自分の主張に帰着させる

・不要な文があると、読む気をなくす。不要な枝葉を切ることで、必要な情報だけで、構成された論理的で伝わりやすい文章を作る

・メール、チャットは、短く端的に が最重要

目次

はじめに 偏差値35だった僕を救ってくれた「東大作文」

PART1 「伝える力」と「地頭力」がいっきに身につく「東大作文」
 STEP1 あとがき作りで「言いたいこと」がまっすぐ伝わる
 STEP2 目次作りで「見違えるほど読みやすい文章」になる
 STEP3 1人ディベートで「説得力のある文章」が書ける
 STEP4 質問トラップ作りで、「読者を引き込む文章」が書ける
 STEP5 枝葉切りで「スマートな文章」が書ける

PART2 5つのシチューエーションに対応!「東大作文」実践編
 CASE0 作文が厄介なのは、「失敗した感覚」がないこと
 CASE1 メール、チャット 必要なことを「短く端的に」伝える技術
 CASE2 議事録・報告書・レポート 分かりやすい説明の技術
 CASE3 企画書・提案書 説得力を高める技術
 CASE4 SNS・ブログ・メモ 共感される技術
 CASE5 応用編・謝罪文 すべての力が求められる

特別付録 「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文のポイントを一挙に掲載!

ISBN:9784492046395
出版社:東洋経済新報社
判型:4-6
ページ数:282ページ
定価:1400円(本体)
発行年月日:2019年04月03日

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2023年02月15日

Posted by ブクログ

他人に伝えるための文章を書く際に考えるべきことを改めて整理してもらえる。
要領よく文章を書けない人はこのスキームを試してみるとよいだろう。もし、自分はできていると思う人でも改善に使える要素は見つかりそう。
もちろん普段の会話にも十分に応用できる話なので、あまり文章を書かない人にも役立つだろう。
と、そのスキームを無視して書いてみた。いずれスキームに沿って直してみよう。

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2022年01月03日

Posted by ブクログ

「作文で伝わる文を書くには、相手(読み手)を常に意識して書くこと(双方性)が大切ですよー!」と書かれており、伝わる文の具体的な書き方を教えてくれる本です。
たくさん方法が、論理的に書かれていますので参考になりましたー。
ぜひぜひ読んでみてください

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2021年06月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東大生による作文の書き方の本。

主張を作る…「感情型」「共有型」「要望型」
「警鐘型」のどれか1つを選ぶ

それぞれの方の目的と手段
「感情型」…理解、共感
「共有型」…理解、納得
「要望型」…変化、共感
「警鐘型」…変化、納得

文のつながりに気をつける

P49の「本についての作文」が私にとって必要な
情報なので該当部分のみ抜粋。

1、自分の「書きたいこと」から、型を選ぶ
2、感情を具体化して列挙する
3、列挙したものから「これがいちばん
言いたい!」というものを選ぶ。

内容はわりと散漫な印象を受けました。
うーん...

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2020年11月16日

Posted by ブクログ

筆者は現役の東大生。
東大の国語の問題を解くために必要なスキルは、作文スキルとして役に立つ。

東大に受かる人はどのような作文を意識しているか、という観点で書かれた本。

要旨は
・文章の目的を決める。

・目的に沿った『主張の型』を決める。
 「感情型」、「共有型」、「要望型」、「継承型」
 →読者にどうなって欲しいのか。

・読者との距離感によって、どのように読者を導くかのルート『文章の型』を決める。
 「同格型」「因果型」「対比型」

・読者との距離を確かめる
 上下横 → 横の位置が読者が一番理解する

・文章が論理でつながっていること。


要素として、なるほどと思うことも多く、内容的には確かだと思う。

ただ、プロの書いたビジネス本と比較すると、意外と分かりづらいところも多い。
それは、簡潔にまとまっていない、筆者独自の用語(それとも受験用語?)が自分にはしっくりこなかった、(「譲歩」と「つっこみ」によるインパクトを作るという点)。それが、すっと理解しにくい部分なのかもしれない。
作文の本なので、少しそこに興ざめを感じた。

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2020年04月05日

Posted by ブクログ

ある事柄を別の言い方、分かりやすい言い方をすることで価値が出るが、まさにそのような本の典型。著者のCredibilityという点で、その他類似本より劣るか。

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2019年10月25日

Posted by ブクログ

著者も書いているように、
相手に伝わるように作文するって
本当に難しいのです。

その事実を実践したような本だった。
正直、読みづらかった・・・

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2019年09月09日

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