【感想・ネタバレ】ゴーマニズム宣言 2nd Season 第4巻のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ゴーマニズム宣言 2nd Season 第4巻
2020年5月30日初版第1刷発行

小林よしのり氏による著作。
(初出 週刊SPA2019年10月1日号~2020年4月14日号)
コロナが本格的に世界を襲う直前の作品ばかりが収録されている。
その頃のゴー宣ではこのような議論をしていたのかと。
そしてコロナによってあまりにも変わってしまったんだなと。
冒頭で小林よしのり氏は新型コロナでの死亡者数が
交通事故死亡者数より少ないことを引き合いに経済自粛はおかしいと指摘している。交通事故死者をこれ以上一人も出さないために自動車を無くせとは言わないのにと。
これは鋭い指摘だ。
この論理は池田信夫氏が原子力発電の必要性を説明した時にも使った方法だ。
この指摘を小林よしのり氏も覚えていたのだろうか。

巻末には2003年7月発行のわしズムVol.7に掲載された中村哲医師との対談が掲載されている。その中に米軍が撤退したらカルザイ政権は一日ともたないと書かれている。中村氏は一日は言い過ぎだとしてもそう長くもたないと発言している。
しかし2021年8月の米軍完全撤退でタリバンがアフガニスタンを掌握するなど、現実は2003年の中村医師の予想以上であった。
本当に一日ももたないとは・・・・

当時戦争論3を出しアメリカ軍の動きを批判していた小林よしのり氏はネトウヨや自称保守派に叩かれたものの、最終的には小林よしのり氏の指摘が正しかったわけだ。むしろ戦争論シリーズでは3の価値が
むしろ1や2より高いかもしれない。

印象に残った点

わしはイラク戦争に反対し、SAPIO誌に連載していた
「新ゴー宣」で「イラクに大量破壊兵器はない」
「この戦争は必ず失敗し、中東はカオスになる」と予言した。
そしてイラク戦争大賛成の外交評論家・岡崎久彦や
杏林大学客員教授(当時)田久保忠衛、産経新聞などを
親米ポチと批判し、対米自立・自主防衛を主張した。

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岡崎は「アングロサクソンについていけば100年安泰」が持論(というか信仰)で、開戦前はこんなことを断言していた。
(産経新聞2002・9・14)
米国がイラクを攻撃すればパレスチナ問題も解決する
イランも大きく影響され中東全体が変わる
北朝鮮も中国もおとなしくなる
確率90%で世界史的な「アメリカ帝国」ができあがり、
米国が全世界を支配する「パックス・アメリカーナ」の時代が来る
米国は世界の秩序を守るため自国民の命を犠牲にしても
世界のどこへでも派兵するだろう

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すごいだろ?何一つ当たってないだろ。
バカ丸出しだよな。

アメリカはイラクの次は北朝鮮をやってくれるという
自称保守派の期待も見事に裏切られた。
その後、岡崎久彦とテレビ番組で同席する機会があった。
そこでわしが「米国についていけば100年安泰と言っていたじゃないか」
と問うと岡崎は呆れたことにこう答えたのだった。
「世の中は、なるようにしかならないものですよ」(岡崎久彦)

岡崎はその後も「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書返済に
関わり「原爆投下によって終戦が早まった」と取れる親米記述を加え
「反米記述を削除して非常にバランスがよくなった」と豪語した。

レイプの被害者に対して「被害に遭った方にも非があるんじゃない?」
ということが、よく言われるが、これは完全に間違いだ。
被害者にも非があったなんてあり得ない。
加害者が100%悪いに決まっているのだ。
強盗の被害者が「被害者にも、非があった」と言われることなどまずない。

レイプというと見ず知らずの人にいきなり襲われるというイメージが強いが、実際には被害の8割が「顔見知り」による犯行だという。
(性暴力救援センター日赤なごやなごみ調査)
まさかそんなことをする人とは思いもせず、信用して顔を合わせていた相手からレイプされてしまった被害者は、まず自分の身に何が起こったのかを認識するまでに時間がかかる。

内閣府調査では性暴力の被害者で被害を誰にも相談しなかった人は56.1%にも上る。

もう一度言う。「合意」のない性行為は性暴力・レイプである。

加害者がより身近な人物で、肉親などに日常的にレイプされていたような人にはもっと深刻な事態が発生する。
自分がレイプされているという事実を認めたくないがためにレイプされている自分は本当の自分じゃない、断じて違う
そのように自分で自分の人格を切り離し「幽体離脱」のような状態になり、傍観者のごとくレイプされている自分を眺めるもう一人の自分が出現してしまい、多重人格症状になってしまう例もある。
実際に親からレイプされた人には多重人格者が多いらしい。

レイプは「魂の殺人」と言われるが、その言葉でも表しきれない複雑な心の傷を生涯にわたって残すような、ものすごい恐怖をもたらすものである。

山口敬之(やまぐちのりゆき)はレイプをしたと裁判で
明確に認められたのだ

表現の自由は待っていたら与えられるものじゃなく、自分で動き回って獲得するものですからね。

「あいちトリエンナーレ」は抗議に屈してはいけなかった。
抗議・恫喝・脅迫などに屈していたら、表現はどんどん不自由になっていく。
警察を100人呼んででも展示会は続けねばならなかった。

表現に対する「批判」はいくらやってもいいが、
「抗議、恫喝、脅迫」は出版社や主催者が恐れて
「表現の萎縮」「表現の不自由」につながる。
「表現の自由」は民主主義の基盤である。
「抗議・恫喝・脅迫」は民主主義へのテロ行為なのだ。

特定のメディアを「廃刊にしろ!」と叫ぶ奴はダメだ。
内田樹は「出版社に覚悟がない」とか言っているが、誤魔化しの理屈である。

今では過去の時代を舞台にしてドラマでも、現代の感覚が当時もそっくりそのまま通用していたかのように描かないと視聴者が感情移入できないようだ。
「時代考証」というものが消滅しつつある。

(これは同意できる。鬼滅の刃でもやたらに誰も死なせないとか明らかに今の時代の価値観でしか大正時代が描かれていない)

身売りか間引きしかないという、極限の貧困の時代を描いたドラマが今後、作られることがないなら、「おしん」は小学校で毎朝見せることにした方がいい。

当時には、当時の感覚があり、現在とは全く違った常識があったという当たり前の事も分からないほど、人々の想像力は劣化してしまった。

青木理や玉川徹は「韓国併合」を絶対悪と考え、
日本は加害者、韓国は一点の非もない被害者という
「韓国無謬論」に洗脳されている。だから中二病なのだ。
現代の価値観を過去に適用して「韓国併合=悪」と思い込む愚
彼らは韓国併合が当時の国際法では合法だったことを知らないのである。

当時、朝鮮にいたイギリス人旅行家イザベラ・バードは(1831~1904)
「朝鮮には二つの階級しかない。盗む側(王族・両班)と盗まれる側(平民・奴隷)だ」と書いている。
朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)より

李朝末期の朝鮮はソウルを除くほとんどの地域で強盗がはびこり内乱も頻発し道にころがる死体を見るのは日常的だったのだ。

日本は韓国併合に一切、罪悪感を持つ必要はない!

イザベラ・バードは決して親日家だったわけではない。
むしろ逆で日本人のことを度々「矮人(こびと)」という蔑称で記している。
日本嫌いで朝鮮好きのイザベラ・バードにして
日本の朝鮮改革を評価せざるを得なかったのだ。

もし韓国が近代化する必要がなかった、
国民を奴隷状態のままにしていて良かったというなら
日本は単なるおせっかいだったかもしれない。
しかしそれではロシアに吸収されて、韓国も含め
朝鮮半島全体が赤化していただろう。

ケネス・ルオフ
たぶん人間は社会ができた時からどの伝統を守るか、
どの伝統を捨てるかということを決めてきたはずですよね。
そうすると、良く考えて守った方がいい伝統もあるし、
もう時代に合わなくなってきた伝統を捨てた方がいい時もあります。

全くその通り。
伝統は「型」を延々と守ることではない。
エートス(魂)を守ることだ。
「型」を守るのだったら、今でも男はチョンマゲをしなきゃいけないし女は結婚したらお歯黒をしなきゃならない。
部屋は畳敷きでトイレは和式でなきゃならない。
型なんか何もかも壊れているじゃないか。

男系男子限定による血統の存続は、必ず「側室」とセットなのだ。
一夫一婦制で必ず男子が生まれるなんて不可能!
側室がとっくに廃止されている以上、それと不可分である男系男子継承は直ちに廃止されなければならない。

「伝統」という言葉の魔術に縛られてはいけない。
「伝統」とは問答無用で思考停止させるためのマジックワードなのだ。

皇統は男系男子というのは伝統ではない
側室があったからこそ続いた、男尊女卑の野蛮な因習なのだ。

男系固執派の論客は旧宮家の、今や一般人のことを4人も皇室に入れて宮家を4つ作り、眞子さまや佳子さまと結婚させて、男子を
産ませれば皇統は安泰などと言っている。
そのために今の天皇の「直系」であり「男系」でもある
愛子さまを皇室から追い出すというのだ。
なんという暴挙。
そこまで無理して4つの宮家を作っても嫁にされた皇族女性が「男子を産む機械」扱いされることには変わりなく
側室がいないのだからたちまち行き詰まるのも目に見えている。

現天皇から600年も離れた男系一般人を聖域に育った皇族女性に競走馬の種付けのようにあてがうとは何事か!
男系固執は男尊女卑であり、イスラム国なみの悪習でしかない
共同通信の世論調査(2019年10月26日、27日調査)では「女性天皇」を認めることに賛成が81.9% 反対は13.5%「女系天皇」に賛成が70% 反対は21.9%

国民の圧倒的多数が女性天皇も女系天皇も賛成しているのだが安倍政権のコアな支持者、ノイジーマイノリティに阻まれて実現しない

安倍政権に食い込んだノイジーマイノリティは男系が伝統と言い張るが男系主義はシナや韓国の伝統であって、その本質は単なる男尊女卑である。
日本は古代、母系社会だったが、シナの儒教に影響されて男系主義が皇室の中にいまだに残ってしまっている。

愛子さまは天皇陛下の「直系」であり、しかも「男系」なのだがそれでも女性天皇は許さないというのだから、
もはや男系固執派はカルトの域に達している。

側室とセットの男系継承はすでに死んでいる。
捨てなければならない。

秋篠宮殿下は天皇になる気はない。
当たり前だろう。5歳しか違わないんだから。
仮に天皇陛下が上皇陛下と同じく85歳で退位されたら
秋篠宮殿下は80歳の天皇ということになる。

一刻も早く国民待望の愛子皇太子殿下をつくり、
女性宮家をつくる。
そのために皇室典範を改正するべきだ。
安倍政権と男系固執カルトは皇統を断絶させる極左だったのか

2019年12月4日中村哲氏がアフガニスタンで殺害される
2003年の小林よしのり氏との対談の中で

私はあの国で20年ほど仕事をしていますが、はっきり言って今が最悪の状態です。(中村哲 2003年)

2019年12月9日ワシントン・ポストがアフガニスタンペーパーズをスクープ
これはアメリカ政府高官らはアフガニスタンでの軍事作戦や復興支援が完全に失敗していることを認識していながら国民に隠蔽していた。その事実を記した内部文書
これは1971年にニューヨーク・タイムズがスクープした
ペンタゴン・ペーパーズの再来

大統領や軍の指揮官らはアフガニスタンで「成果を上げている」「これは闘う価値のある戦争だ」と長年繰り返した。
だが実際には、不利なデータの隠蔽や改ざんを繰り返し、アメリカが勝利に向かっているかのように見せかけ意図的に国民を欺いていたのだ。

アフガニスタン・ペーパーズで明らかにされた証言

ダグラス・ルート
(退役軍人中将。ブッシュ政権とオバマ政権で、ホワイトハウスの軍事顧問)
アフガニスタンに関する根本的な理解が欠けていた。
我々は何をやろうとしているのか分かっていなかったし、何の考えも方向性もなかった。

ジェームズ・ドビンズ
(国務省元特別代表、アフガニスタン政策担当)
我々は紛争の絶えない国家に侵攻し、平和的な国家に
つくりかえようとしたが、アフガニスタンでは明らかに失敗した。

ボブ・クローリー
(退役陸軍大佐。2013~2014年の間アフガニスタン現地部隊の顧問)
真実が歓迎されることはほとんど無かった。
統計調査は自分たちが正しいことを補強するために使用された。
我々は自分たちがやっていることを続けることだけが目的になっていた。できるだけ最高の絵を見せられるように、全てのデータに手が加えられていた。

マイケル・フリン
(陸軍情報将校としてアフガニスタンでの軍事作戦に参加、後にトランプ政権で大統領補佐官)
私が朝、現場から得た情報で良かったものなど無かったが情報は上に上がるほど骨抜きになる。
誰もが「素晴らしい仕事をしている」と言うが、本当か?もし、我々が本当にそんなに素晴らしい仕事をしているのなら、なぜ負けていると感じるのだろうか?

ジェフリー・エガーズ
(米海軍特殊部隊出身、ブッシュとオバマ政権下でNSC上級担当部長)
1兆ドルを投じて、私達は何を得られたと言うんだ?
果たして1兆ドルの価値があったのか?
ウサマ・ビンラディンを殺害した後、私はこう言ったよ。
「ウサマは海の墓場で、アメリカがどれだけアフガニスタンにカネをつぎ込んだかを考えて、笑っているだろうよ」と。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

本書は、コロナパニック、韓国併合、伊藤さんの裁判、天皇陛下についての作品が中心である。筆者がコロナについてどう考えるか興味があって購入した。特に印象に残っているのは、専門家と言われる人が世論を動かし、政府を動かすほどの権威になっている現状に対し、痛烈に批判していることである。専門家は、専門知はあっても、総合知がない、専門バカの原理主義が国民を洗脳し、恐怖が極大まで膨張してしまった、というのである。確かに、専門家会議の発表をメディアがどんどん報道し、過剰反応してしまったところはある。コロナとうまく付き合いながら、どう経済を回していくかを考えていくべきだと思った。上記のテーマに興味がある人にはおすすめです。

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2020年06月28日

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