【感想・ネタバレ】「御宿かわせみ」ミステリ傑作選のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「平岩弓枝」の短篇時代小説集『「御宿かわせみ」ミステリ傑作選』を読みました。
ここのところ時代小説が続いていますね。

-----story-------------
「平岩弓枝」の「御宿かわせみ」は江戸人情だけじゃない、ミステリも侮れない!

物理トリックに心理トリック、フーダニットにホワイダニット……「御宿かわせみ」には、びっくりするほど秀逸なミステリ作品が多い、と書評家「大矢博子」が、トリックを切り口に七作品を厳選。

かわせみシリーズの傑作『矢大臣殺し』は、「アガサ・クリスティ」へのオマージュか?
巻末の著者インタビューに、創作のタネあかし、あり。
-----------------------

2018年(平成30年)に刊行された「御宿かわせみ」シリーズの傑作選です、、、

書評家「大矢博子」が悩みに悩んで7作品を厳選… 巻末には選者「大矢博子」による7作品の解題と、著者「平岩弓枝」への創作の種明かしインタビューも収録されている貴重な作品です。

 ■はじめに 大矢博子
 ■「御宿かわせみ」登場人物
 ■倉の中(『御宿かわせみ』所収)
 ■風鈴が切れた(『水郷から来た女』所収)
 ■藤屋の火事(『白萩屋敷の月』所収)
 ■矢大臣殺し(『雨月』所収)
 ■残月(『かくれんぼ』所収)
 ■三日月紋の印籠(『佐助の牡丹』所収)
 ■築地居留地の事件(『新・御宿かわせみ』所収)
 ■解題 大矢博子
 ■著者に訊く「御宿かわせみ」とミステリ

江戸時代末期を舞台に、大川端の小さな旅籠・かわせみを舞台としたシリーズが始まったのは1973年(昭和48年)、、、

その「御宿かわせみ」と、舞台を明治初頭に移して第二世代が活躍する「新・御宿かわせみ」は、あわせて40巻を超え、作品数は300を超えるそうです… その中から選び抜かれた7篇ですからねー どの作品もクオリティが高く面白かったです。


伊勢屋のご隠居が首を吊ろうとしている現場に居合わせた「るい」と「お吉」… 自分の嫁いびりのせいで嫁と奉公人が駆け落ちしたのを気に病んでのことだろうと息子は語るが、後日、奉公人は殺されているのではという話が飛び込んできて、、、

遺体をどこに隠したのか… が焦点となる『倉の中』。


殺人事件が起き、「東吾」の知り合いの女按摩の夫が下手人として捕らえられる… 妻が別の男と同衾していることに怒り、現場に踏み込んで間男を殺したのだ、、、

しかし、女按摩には身に覚えがなく、何のことだとわからないという… 証言が食い違う中、疑わしい人物はいるものの、どんな手を使ったがわからずハウダニットが愉しめる『風鈴が切れた』。


旅籠の藤屋が火事になり、今日から来た若い娘のうち、ひとりが逃げ遅れて亡くなった… 生き残った「お幸」は、江戸の大店・近江屋の川内が若い頃に京の女性に産ませた娘で、父を訪ねてきたというが、、、

ミステリ慣れした読者なら、あのパターンだな!と見当がつくトリックでしたが、謎解きのメインはそこではなく、中盤で起きる殺人事件… 犯人が動機を吐露する場面が印象的な『藤屋の火事』。


飲み屋の店内で、嫌われ者の名主の息子が殺された… ちょうど近くで仇討ち騒ぎがあり、人々の注意がそちらに向いた間の出来事だった、、、

ところが「東吾」と「長助」のもとには次々と自分が下手人だと名乗る人物が現れる… 「アガサ・クリスティ」のあの名作を想起させる展開に、さらにひと捻りが加えられ全体的にコミカルな風味づけがされている『矢大臣殺し』。


20年前に人を殺して遠島になっていた「おきた」が、御赦免で江戸に戻ってきた… 当時「おきた」を取り調べたのは「源三郎」の父親、、、

しかし「おきた」は動機を語らないままだったという… 真相があまりにも衝撃的で、強い余韻を残す『残月』。


旗本の屋敷で印籠がなくなり、妾腹の少年「徳太郎」が疑われた… ところがその印籠は、、、

ちょっとほっこりできる日常の謎を描いた『三日月紋の印籠』。


「東吾」の兄夫婦の養子で、実は「東吾」の実の息子である「麻太郎」がイギリス留学から帰ってきた… 引き続き居留地の医者の家で医学を学ぶ予定だったが、その屋敷でダイアモンドの指輪が紛失し、使用人が疑われ「麻太郎」は解明に乗り出すが、、、

文明開化当時ならではの道具立てや外国人への事情聴取等、江戸ものとは異なる味わいが楽しめる『築地居留地の事件』。


ホントにどの作品も愉しめましたねー 敢えて選ぶなら『倉の中』、『藤屋の火事』、『矢大臣殺し』、『残月』が印象に残りましたね、、、

『著者に訊く「御宿かわせみ」とミステリ』を読んで、このシリーズは、『グランドホテル』×「アガサ・クリスティ」×"捕物帳"を「平岩弓枝」という作家で割った作品なんだなー と感じました… そりゃ、面白いはずですよね。

0
2024年01月04日

Posted by ブクログ

有名なシリーズ。おそらく読むのは初めてだがミステリ傑作選という事でトライ。ミステリとしては期待外れだったが、そういう分類を別にすれば読んで損は無い面白さ。

0
2020年05月22日

「小説」ランキング