【感想・ネタバレ】橋本治のかけこみ人生相談のレビュー

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気持ちが楽になりました。

色々な悩みに、どの悩み相談にも的確にユーモアのある回答で楽しく読めました。
そもそも、人は悩むのが好きなんでしょうね。解決する事など少なく、また、解決しても次の悩みが出てくる。あとがきにあった通り、解決しない事は悩まない、バカになって楽しむのが一番と言うのが正しい気がします。
下手な考え休むに似たり、ですね。参考になりました。

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2020年02月24日

Posted by ブクログ

なぜ、この人は、こんなにも人間のことがわかってしまうのか?と、
ふと、思います。作家の想像力というか、橋本治氏の凄みというか。
現存いる人間で、恐らく最も、知性を持っている一人でしょう。
人に生き方をレクチャーできる数少ない人間です。

あらためて読むと、橋本治氏の人生相談への回答は、
相談者が書かれた文章を正しく理解しようとするアプローチから始まります。
というか、それだけです。

あなたの相談文には、こう書いてあるけど、
少し論理がおかしいから、こうですよねとか、
なんで、この状況と、あの状況を一緒に考えてしまっているのか、
ほんとは、別々に考えることですよねとか、、、、
相談者からすれば、そうなんです、
本当は、それを悩んでいるんですと、、、思ってしまう。

全ての答え(解決策ではありませんよ)は、文章の中にある(自分の中)です!

悩みなんて、そもそも根本的に解決できないものであることは、誰でも知っているのに、
それでも、悩んでしまう、なぜか?
橋本治は、「知らないよ」という。
実は、はっきり、言ってくれた方がいい。
はっきりと、お前の悩みなんて、俺が解決できないし、
自分も、解決できないからと、言ってくれた方がいい。
できることは、「理解すること」だけです。

ただただ、橋本治氏は、悩みの正体を明らかにしていく、、、
そうすると、悩みの輪郭がはっきりしてくる。
どうやら、悩みというモノは、本人が思っているより、
よくよく観察して、きっちり理解してあげないと、
「扱いにくい」モノというとことがわかってきます。

なぜ人は悩むか、それに対しては決して回答しない。
だって、悩みなんて、そもそも、そのものが、あってないようなものだからです。
まるで、悩む→反応する→さらに悩む→さらに反応する
の根本的なスパイラルの元である、悩みに対して、
橋本治氏は、輪郭をはっきりつける行為をおこなっているだけで、
あとは、やはり、橋本スタイルで、「あとは、自分で考えてね」と軽く突き放す。

ちなみに、橋本治の『青空人生相談』も、この本と同じスタイルですが、
かれこれ20年以上の前とは思えないほどの出来栄えです。
つまり、今読んでも、十分に面白い。
人生相談本としては、異色の出来というか、
このスタイルを超える、人生相談本は、これ以降も、出ないかなと思います。

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2019年01月18日

Posted by ブクログ

正論すぎてぐうの音も出ない!鮮やかな文章プロファイル芸に舌を巻く。たいていの悩み相談ごとはその内容に相談者の人物像が顕れてしまう怖さよ。弱ってるときに読んだものだから沁みる沁みる。はい、残りの人生はちゃんとした「バカ」を目指そうと決意するなど。

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

自分は何が好きなんだろうと考えることは、自分の
幸福を探り求めることと同義。
問題解決の肝は事実とそれ以外を分けること。

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2022年05月03日

Posted by ブクログ

「相談なさる方の多くが、自分で、自分の悩みがどんなものか、理解なさっていることです。また、その悩みの多くが、対人関係にかかわるものです」

 親子関係、兄弟関係、職場関係、友人関係。そういう悩みを選別しているからなのかどうかは分からないが、本書に書かれている悩みはすべからく対人関係である。

 本書の秀逸な点は、質問文から、人となりを論理的に推測し、解決策を展開していくという点である。

 例えば「43歳無職の弟。職探しをする気配もなく、家族でもてあましている」といった趣旨の質問に対して、
「弟さんは、“自分に欠点がある”ことを自覚しているのです。だから、“たわいもない会話には応じますが、肝心の話をしようとすると貝のように口を閉ざします”になるのです。自分にとって都合のわるいことを突っつかれたくないのです」

 また、19歳になる女性の、「勉強が嫌いです」に対しては、
「あなたは勉強より、両親のいいなりになることの方が嫌いなんです」

 解決策も様々で、質問者に合うと思うであろう、解決策を示している。

「人間の悩みは全て対人関係に帰する」はアドラーの言葉だが、著者も同じ考えなのだろう。

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2019年09月04日

Posted by ブクログ

普段購読している新聞にも週に1回人生相談がある。複数の回答者がいるのだが、一読してその質に優劣があることがわかる。優秀な回答者は、(通常視野の狭くなっている)相談者が気づかない側面から新しい視点を提供し、「なるほど」と思わせる気付きを与える。そうでない回答者は表面的な回答に終始し何の役にも立たないアドバイスで締めくくる。
橋本氏の場合は明確に前者であり、「何でそんなことまで読み取れたの」というものが多い。この差はいったい何なんだろう。文章を編み出すことを職業としているから読解力はもちろん桁違いなのだろうが、それだけでもないような気もする。

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2019年08月04日

Posted by ブクログ

ウェブマガジン「幻冬舎plus」で著者に寄せられた人生相談に対する回答をまとめた本です。

著者はかつて『青空人生相談所』(ちくま文庫)という本を刊行しており、そこで同様の企画をおこなっていたのですが、本書はその約三十年後におこなわれた企画で、年をかさねて以前より多少はやさしくなった著者の回答を読むことができます。といっても、「ストレートに言ってしまうと、あなたのご主人は「他人のことなんかよく分からないスポーツバカ」です」といったように、遠慮のないことばが記されています。ただそのばあいでも、相談者の文面を読めば、相談者自身がたしかにそのように考えているであろうことが浮かびあがってくるので、まずはそのことを明確にしておく必要があるというのが、著者の回答の基本的なスタンスのように感じられます。

さまざまな悩みに対して単刀直入な回答をあたえるというよりも、悩み相談の文面を手がかりに相談者のかかえている問題の中核をたぐり寄せていくような議論の運びかたは、この著者ならではのものだと思わされます。

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2021年11月18日

Posted by ブクログ

相談者全員に対してではないのだけど、ときにびっくりするくらい相手を斬る。斬るといっても、それは相手が相談してきた内容について、「あなたはそれを悩んでいるというけれど、私から見て悩んでいるようには見えない」という次元できびしく切り込んでいるという意味で、相手の人格を否定するとか、傷つけるという意味ではない。そこは整然と、ぶれず誤解を与えない直球で持って行っている。

 それが実は難しいと思うんだよなあ。

 大学院で勉強し、資格を取り、一応は相談の仕事をしたことのある身としてはさ。問題は別のところにありそうだ、と思っても、直球ではなかなか切り込めないよ。そんなことしたら、引っ込んじゃうもの。

 これは面談ではなく、文章上でのやりとりだから、まだできるのかもしれないけど。

 橋本治って、やっぱりおばちゃんなんだろうなぁ。ポンポンストレートにきついことを言って、イヤミがない。イヤミなおばちゃんはいるだろうけど。橋本治はイヤミではないと思う。

 言葉と論理を上手につかっているのだろうな。

 面白かった。

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2020年06月02日

Posted by ブクログ

橋本治氏が人生相談に答えている。

人生相談の本というのは,相談内容の中に突拍子もない相談が含まれているのが面白くて私の好きなジャンルでもあるのだけれど,この本も例外ではない。

共感を呼ぶ相談もあるし,相談者が何を悩んでいるのかよくわからない相談もあるが,橋本はこれらひとつひとつに正面から向き合って回答をしている。彼の回答には人間に対する温かさと優しさがある。そのことが,この本の救いになっている。

時を経て再び読み返したい本である。

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2019年06月08日

Posted by ブクログ

20190325 回答がすっきりしていて楽しい。相談相手の悩みを細かいところまで読み込んだ上での回答だからだと思う。残念ながらもう相談することはできないが自分の悩みにはきっとこんな風に回答してくれるだろうと思うのも楽しい。

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2019年03月25日

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