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地政学とは
50年来のミリオタで、道具・兵器マニアだが、「戦略」というものを意識し出したのは、30才くらいから。その戦略策定の重要なファクターに、「地政」があり、「地政学」という学問があることは、40才くらいから知ってはいたが、関連書籍を手に取ったのは初めてなのだ。
星五つなのはそのせいもあるが、やはり著者の経歴から、頷かされる事が多々あった。それに、地球規模の戦略策定は、基本的に海洋地政学的アプローチがベースになるのは、妥当な考え方だろう。
半分偶然だが、良書に出会った、と思っている。
それに、ハードカバー版のレビューにあったような誤訳も、この文庫版には見受けられない。
Posted by ブクログ
NATO軍最高司令官を務めたことのある著者が、豊富な経験と深い知識により世界の7つの海について語ってくれる。
世界史が個別の国の歴史ではなく、7つの海それぞれの単位で語られると、違う角度から世界史を見ることになりとても勉強になった。全ての海に実際に行ってそこで仕事をしている経験に基づいているので、机上の伝聞記述ではなく、直接経験記述が書けるのが著者の強みだ。
最後に「無法者の海」ということで、
1. 海賊行為
2.漁業
3.環境
を取り上げているのだが、世界の海はとても深刻な問題を抱えている。特に世界の海が急速に汚染されている現実を私たちはまだ十分知っていない。
全ての汚染は、最終的には海へ流れる。人間が生み出す余分な熱の90%以上が最終的には海に影響する。海水温度に上昇は、海底と海面の海流(湧昇流)を減少させ、そのため深海の栄養分を表層に運んでこないばかりか、塩分濃度も減少して酸性度が高まりオゾンの枯渇を招いている。
世界中の魚種の60%以上が再構築を必要とされている。
Posted by ブクログ
覇権国家振り返り記的な。
歴史経済政治地理の観点から、海戦とその背景を知ることができる。地政学の面白さは、この歴史と地形的優劣がかみ合わさることにあると思う。
筆者の引用のうまさにも驚かされる。シェイクスピア、テンペストからの引用で始まることからわかるように、文学的要素も楽しめる。また軍司令部にいたような歴戦の猛者のエピソードも出てきてよかった。
南シナ海への執着、北極協議会、マハンアプローチ、サイバー空間と海軍のつながりの話は知れてよかった。
ただ、シーパワーを強める根拠の多くは北朝鮮への憂慮だったのは結構ショック。時間の問題か。