【感想・ネタバレ】国語教育の危機 ──大学入学共通テストと新学習指導要領のレビュー

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Posted by ブクログ

共通テストでの入試「改革」での国語の扱いを知り、愕然とする。試されようとしているのは「資料」なるもののスキミング。「読解力」や「思考力」とはほど遠い。

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2019年01月21日

Posted by ブクログ

国語の教科書編纂に携わった経験のある著者。
その経験があってこそわかる文章の取り扱いや策問の難しさについてわかりやすく書かれている。
これから正に行われようとしている共通テストや来年度からの国語教育について不安を覚えると同時に、現場の先生方の苦労も思いやられる。
一体将来どんな子どもたちが育っていくのだろうか。しっかりと検証し、修正が必要な場合にはそれを求めていくのが大人の役割だろう。

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2020年09月23日

Posted by ブクログ

「思考力・判断力・表現力」を測るあまり大学入学共通テスト・学習指導要領の内容が大きく変わりすぎているという筆者の主張はその通りである。

また、筆者が在籍している麻布高校の例を通じて「思考力・判断力・表現力」を身につけることがどれだけ労力を要するかが述べられている。

これを踏まえ大学入学者選抜試験で国語教育を変えるのではなく、初等・中等教育の内容から変更すべきであると論じている。

英語でもそうだが、プログラミング教育等の導入もある中で学校教育をこれ以上改善することは困難ではないだろうか。そうであれば入試制度を変革する『上からの改革』が真っ当なものと思われるが、今回の一連の騒動でこれも難しくなってしまった。

教育改革に惑わされず、今後どういった能力をどのような手段で身に着ければよいのか、ヒントを与えてくれる点ではよい本だと思う。

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2020年01月26日

Posted by ブクログ

共通テストに対しての批判をしつつ、国語教育はどうあるべきかを示している。
国語を教える人には必読の書。

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2019年03月02日

Posted by ブクログ

去年の今頃、プレテストの分析やったの思い出した。
言い方は悪いが、最低な問題だと思った。
今の時点で何かできるかという問いに
「何もできない」という意見で一致したのが印象的。

改めてこの本を読んでぞっとした。
もう教員を続けていけるか不安。
でも、どうせ5年もすれば元に戻るんだろうとも
思っているのだけれど。

変わらなくちゃいけないのは重々承知。
でも、このやり方ではないと思う。

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2018年12月23日

Posted by ブクログ

PISAショック、AIの脅威とも絡めて、読解力低下が起きていると論じられてきたこの十年。
2021年度からの「大学入学共通テスト」の開始、つまり大学入試改革と、22年度からの高校新指導要領実施を控え、今、大きな転換点を迎えている。
そういう現状に向けて、新指導要領と、現在公開されている新テスト試行調査で用いられた問題を分析したのが本書である。

指導要領の分析は、比較的コンパクトにまとめられている。
テクストを情報と同一視することへの批判は、文学研究者ならではだなあ、と思う。
ただ、ロラン・バルト流のテクスト概念が、どこまで社会に受け入れられているか疑問に思う。
一つの意味、一つの主体の意図に収斂しない読みを称揚し、多様性を尊ぶことは、理念として理解できる。
ただ、その理念が実現された社会、あるいは個人像がどのよようなものかが具体的には想像できない。
それは私の想像力が足りないからなのか?

それから、古典は、古典を論じた現代文と抱き合わせにされるようになり、実質的には縮小されるであろう、との見解だった。
ベトナムが漢字・漢文を廃したために、自国の歴史書を一般の人々が読むことができなくなったということはよく知られているが、日本もやがてそんな時代が来るのかもしれない。

さて、本書の大部分が、公開された新テスト試行問題の分析だった。
問題を取り上げ、丁寧に解説されていく。
問題ありというものも、良問とされるものもある。
ここで指摘されるのは、新形式の問題を作る難しさであり、持続的に作ることがほぼ不可能と予想されることだ。
そして膨大な「資料」を読んで、瞬間的に必要な情報を抽出することを要求するこれからの形式で、狙いとする論理的な思考力、創造的な能力を問うことができるのか、と。
ここに関しては、納得。

新指導要領も、新テストも、もう止められない。
けれど、著者、紅野さんには、確実にできることがある。
紅野さんは教科書の編集委員なのだから、良質な国語教科書を作ることだ。
それを期待したい。

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2018年11月10日

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