【感想・ネタバレ】良き社会のための経済学のレビュー

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Posted by ブクログ

経済学者として産業組織論や電力・通信・鉄道等のインフラ産業における規制政策論、ゲーム理論など広範な経済学に関する業績が認められて2014年度のノーベル経済学賞を受賞したジャン・ティロールが、日常生活において経済学とさほど関わりを持たない一般人向けに、経済学の意義を解説する一冊。タイトルが示す通り、本書は経済学という学問を「人々が良い社会を創出しようとする”共通善”の実現にどのように貢献できるか」という基本思想に基づき、様々な社会課題とそれに対する経済学の方法論がまとめられている。

驚くべきことに扱われるテーマは、ほぼ現在の経済学が取り扱う全ての領域といって良いほど広範であり、どのテーマから読み進めても、経済学という学問が明らかにしようとしている社会への課題認識とその解決の方向性にハッとさせられる。

・現代社会における経済学の意義
・経済学者の研究生活の実態と政策提言との良い関わり方
・市場主義経済の行き過ぎを是正するための国家の意味合いとそのバランスの取り方
・気候変動、失業、ギリシャ危機を踏まえた今後の欧州統合の在り方、金融政策等のマクロ経済的トピック
・競争政策、デジタル技術/プラットフォーマーがもたらす社会課題、イノベーション、インフラ産業における望ましい規制政策等のミクロ経済的トピック

個人的には、今年を締め括るにふさわしい一級の知的刺激を得られた一冊。500ページを超える大著であるが、経済学に縁のない人でも読めるような語り口であり、すらすらと読めてしまう。年末年始のお供にぜひお勧めできる一冊。

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2018年12月30日

Posted by ブクログ

広範囲にわたる経済政策のトピックについて、経済学者はどう考えるのかを論じた対策で、読みごたえがある。フランス国内向けに書かれたのか、金融危機を除いてフランスの国内制度についての論考が大半だが、制度そのものというより、問題へのアプローチに主眼があるので、参考にはなる。ただ、一般向けの著作ということになっているが、この大部はちょっと厳しい気がする。すごくやる気のある学部生むけ?

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2020年03月31日

Posted by ブクログ

強く興味を惹かれた1〜5章のみ読んだ。
ノーベル経済学賞を受賞した大家による、一般向けの大著。

経済学者の仕事に興味があり、そのテーマに関連の深いところだけを読んだが、経済学がどういう学問か、経済学者に何が求められているか、わかりやすく書かれていた。
「経済学者がどんなふうに仕事をしているか」について書かれた本はそう多くないと思うので、そういった点でも面白い本。

・経済学者に求められるのは政策提言。
・経済学は変貌しつつある。今後さらに進歩するためには、他の社会科学や人文科学との再統合を進める必要がある。
・我々が十分に賢くないが故に、経済学者は数学を用いる。
・経済学者にできるのは、現時点での知識でわかっていることを述べるだけで、ある選択肢が他よりマシだというのがせいぜい。
・学者は謙虚であることと決断することの難しいバランスを取らなければならない。

こうした内容が印象的だった。


全編通して読むと、著者の知の広さと深淵さをもっと感じるのだろうな、と思ったり。


【2020.3.1 追記】
金融に関する第11、12章も読んだ。
金融の役割や問題点、さらには複雑を極めつつあるバーゼル規制について、驚くほど分かりやすく書いてあり、勉強になった。

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2020年03月01日

Posted by ブクログ

【良き社会のための経済学】
普段アメリカ発の本読んでると、本全体からそこはかとなくマッチョな雰囲気伝わってきて、好きなんだけどちょっと分かり合えないような気持ちになる。意見そのものは別として。
国際的な経済学者としては稀有な?フランスで活躍するノーベル賞受賞者による著作。
フランスどうにかしないといけないわ感が節々から伝わってきて、日本と通じ合うところがあるんじゃないかと思いながら読めた。
幅広いテーマを取扱う内容だったから物足りないところもあったけど、俯瞰も良いかなと。産業政策特にインフラ整備に関する経済学の貢献については、興味持って読めた。
経済学ができることとは。
#読書 #経済学

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2019年08月08日

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