【感想・ネタバレ】寝ても覚めても 増補新版のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の置かれているその瞬間の情景と空気感を文章で伝えられる珍しいタイプの作家だと思います。
主人公が若い時は「若い」と分かる空気感と情景の表現であるため、昔を思い出し郷愁にかられる描写がいくつもありました。(当方トシなので)
しかしこれは甘い恋愛小説ではない!

主人公は(おそらく)守ってあげたいタイプの可愛い女の子で、自己中な性格でも友だちがいて男性にも好意を持ってもらえて…

若い女性特有の「根拠のない無敵感」が分かる描写が中盤まで続き、後半で30歳を超えた主人公を取り巻く現実が徐々に読者に開示されます。
これまでやってきた事のツケが回ってきており、職や友達を失い、貯金もない。

「根拠のない無敵感」が通用するのは若い時だけ。
人間性に難があっても若い時はノリで恋人や友達になれるけど、歳を重ねると付き合う人間を選ぶようになる。

しかしそのことに気づいていない主人公の未来が想像できるラストまで、秀逸でした。

0
2024年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

描写の精緻さ、爽快さに対して周りの人間への淡々とした無関心さが凄まじい。ただし、麦をのぞく。
主人公の目(さあちゃんずアイ)を通して見た話だと思えば、納得できるが、では主人公は何を考えて何をしてるのかほとんどわからない。
彼女の選択した仕事や行動に対する心理描写はほぼわからない。わかるのは麦の外見や行動、表面に出るところが好きということだけ。
その好きに至るプロセスもほぼわからない。最短距離で好きになるため、読者からすると理解できないため怖いとすら思う。
しかし、周りの人間や環境、風景の描写は綺麗で巧みなため、周辺の細部は浮き上がるが、主人公は空白という形で浮かびあがってくる。
浮かびあがってくるのは主人公の異常に見える行動(本人の中では好きに対して合理的)に対して、それを怖いと感じさせる積み上げと説得力があってすごい作品でした。

0
2023年12月09日

Posted by ブクログ

たんたんと凶悪
小説としての完成度は恐ろしいほどに高い。だからこその読んでしまった後悔。なぜ手に取ってしまったのか。寝たら、覚めたらでいいんだよ基本は!

0
2023年12月10日

Posted by ブクログ

再読した後の感想です。
これは好み分かれる作品だと思いますがわたしは好きです。
読んでる最中感性がキラキラして日常も輝いていました!
小説自体は初めて読んだ時にその展開に戸惑いを隠せなかったし、ラストに向かうにつれて得体の知れないザワザワに襲われて読み進めるのが怖かったです。
でも2回目に読む時は内容がわかってるからかすんなり読めました。
解説の方のお話もすんなりきました!
漫画小説も本編とリンクしてて良かったです!

初めて読む人には戸惑いを隠せないと思うけど好きな人は好きな小説だと思います!

0
2020年06月28日

Posted by ブクログ

再読。映画を観てから読んだ。麦と亮平はもう東出くんのイメージ。川の描写が出ると主題歌を思い出す。ラストのスピード感はやっぱり凄まじい

0
2018年09月30日

Posted by ブクログ

あなたを「あなた」たらしめているものは何なのか?

冒頭の一文の通り、脇役もエキストラも「ぼやけたり適当に雑になったりしないで細かいところまで手を抜かずにきっちり」描かれているから、この結末でも納得がいくと思った。

0
2018年09月09日

Posted by ブクログ

映画を鑑賞してからの原作。
主人公の周辺の描かれ方が全然違ってた。原作のがいいところもあれば映画のがいいところもそれぞれあり。

小説は完全にあさちゃん視点の世界、あさちゃんのセリフで構成されているので、映画で狂気に見えるあさちゃんの言動も小説の方ではすっと腑に落ちる。
普通に仕事して、職場のおばさんに気を遣い、ブランド物の洋服を試着して自分の似合う服を探し出す。結局ユニクロで服を買っちゃうことも。ある種普通の20代の女の子なんだ。
しかし映画でのあさちゃんは、そのようなセリフも少なくあまり私生活的なところは見えてこない。単純に二人の似た男に揺れ動いているサイコパス女のように見えるので、酷評する人も多いのでは。

小説の麦の方が自然で、広島で新幹線を下りて引き返すという選択が、あさちゃんの主体性をより感じさせる。帰ったら亮平が他の女の子と一緒に居たというのと、亮平をいたずらに「いい人」とはしないので、自然。そういう意味でも、映画では狙ったのかもしれないが、あさちゃんの狂気と可哀想な亮平という明確な構図ができており、原作との違和感は否めない。

結末についてもあさちゃん視点で描くという特性上、さらっと流されて終わる。だからこそ今後のあさちゃんと亮平の不穏な様子がリアルに想像されるラストになっている。

0
2021年03月14日

Posted by ブクログ

増補新版で再読しました。
面白かったです。とてももやもやします。
旧版→映画→増補新版と接してきたのですが、ずっとヒリヒリしました。
運命だ、と思った相手がふたり。同じ顔で。
登場人物たちのあれこれと共に風景が執拗とも言えるほどに描かれていて、人は視覚で生きている、ということを感じました。
朝子が一目惚れするシーンも、麦のときも亮平のときも一度に全身を見ているし。
でも朝子の友人の春代は、麦と亮平は同じ系統だけどそんなに似ていない、と言ってるので、好きだから似て見えるのかなと思ったりします。
消えていた麦が朝子の前に現れてからはもう怖かったです。そっちに行ってはダメだ、と思いながらも、でもきちんとお別れも出来ず、ずっと会いたかった人が迎えに来たら行ってしまうことあるのかも…と思いました。
わたしは朝子は責められないです。責められるほど、健全な恋愛はしてないです。
亮平はいいやつだ…朝子と亮平、溝を抱えたままふたりで生きていくんだろうなと思いました。
増補新版で増えた部分はよくわからなかったです。。
人を好きになるのは、端から見るとこんなに訳がわからないことなのだ、と思います。
朝子は心に正直に行動してますが、理解されることではないです…怖いけれどリアルでした。

映画を観てからなので、春代は完全に伊藤沙莉さんでした。ぴったり過ぎです。
東出昌大さんは、麦と亮平だったら麦だと思います。亮平の空気ではありません。
朝子の唐田えりかさんはこちらで初めて拝見したのですが、どこか得体の知れないところが朝子でした。でも、あれから他の作品で見ても、彼女は深いところでは何を考えてるんだろう?と思います。
映画はすごく風景が綺麗で好きでした。また観たいです。

0
2019年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝子は優柔不断でひどい人かもしれないけれど、恋愛の局面でそういうのが出てこないだけで、誰にでも(私にも)そういうずるさはあるだろうから、朝子のことを責められないなぁ…と思った。誰に何を言われても、何もかも失っても、自分を貫く強さを見習いたいと思う。

0
2018年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何でこんな映画を観たのだろう、とまず思いました。
一人でどこか遠くへ行きたくて、久しぶりに何か映画を観に行こうと決めました。
映画は内容は本当に何でもよかったので、当てずっぽうでこれにしました。
内容を知っていたらむしろ観なかったと思います。

ストーリー云々より、主人公たちは、みんな若くてきらきらしていました。
まぶしかったです。
やっぱり若者の恋愛映画なんてやめておけばよかったのかな?と悲しくなってしまいました。

帰りのバスの中から見た街中のクリスマスのイルミネーションの夜景までとってもまぶしすぎて、見ていて淋しくなってしまいました。

0
2018年11月12日

Posted by ブクログ

主人公・朝子の視点を通した物語であり、それ以外の描写は一切出てこないので、読み続けるうちになんとなく嫌な気持ちが生まれて、読み続けるのがしんどくなる。が、あえてこの作風を評価したいとわたしは思います。

解説でラスト30ページくらいからの弩級の衝撃がすごいと書かれていたけれど、感覚的に言うと爆弾の紐に着火されていた火花がじわじわと迫ってきていたことに気付かず爆発したって感じ。とにかく気持ち悪いのです。

恋は盲目、恋に恋すると人間腐ります。

0
2018年10月28日

Posted by ブクログ

途中まで読んで、映画観て、そして読み終えた。総括感想としては、映画と小説は表現手法において同じではないってこと(当たり前ですが)。すなわち映画も独立して面白く(そうでなくっちゃ!)、小説もなんかこう不思議ワールドに引き込まれる感じで読んでいてとても心地よかった。(鉛筆線いっぱい引いたよ。) 内容に関しては、映画には映像の現実的なリアリティが描かれ、小説には文章による夢見るようなリアリティがあった。そのいずれにも、人とは何か? 人が正直に生きる、あるいは愛するということはどういうことか? そんな根本命題を否が応にも考えさせる迫力がありました。小説の文章表現の新鮮さに驚き、かつ愉楽した。

0
2019年03月06日

Posted by ブクログ

映画を先に見てたから、仲本工事の演じていたキャラクター出て来るの待ってたのに、出て来なかった。残念。

0
2022年11月11日

Posted by ブクログ

急に出会い急に自らの元を去って行方不明になった男性を巡る1人の女性の恋愛物語、というのが一言でまとめた筋書きであるが、単純な筋書きには収まりきらない奇妙な小説。

主人公の一人称で語られる本作では、主人公のあけすけな性格もあり、主人公の思いが比較的ストレートに語られているかのような印象を受ける。しかし、実際にはそこで語られているのはごくごく一部でしかなく、主人公の本心は全く別のところにあるという事実が、ラスト30ページでのドラスティックな物語の転換によって明らかになる。

ラスト30ページに至るまでは極めてふわふわとしてつかみどころがない主人公の内面にやきもきしつつ、その曖昧さが心地よかったりもしたのだが、ラスト30ページでの主人公の行動とその背後にあると思しき心情の動き方には少しゾッとさせられるところすらある。そういう点で、一人称小説の型を破るような実験性を感じるし、それがuncomfortableな読者も一定数いるように思い、読み手を選ぶ作家であるとも感じる。

0
2021年08月15日

Posted by ブクログ

ファションに対する執着とか、朝子のエゴを分かりやすく描いている分、小説は分かりやすく、ひたすら登場人物やモブのちょっとしたエピソードを書き込んで行って世界を構築する筆致も凄みがあるんだけど…
いかんせん完璧な脚本と役者、ショットでこの小説のというか人の訳のわからない怖さを最大限描き切った映画が凄すぎて、読んでても映画のことばかり考えてしまう。

0
2020年12月05日

Posted by ブクログ

先に映画をみたせいか、この女子は唐田えりか以外有り得ないなと思った。
配役した人凄い。
話はかなり改変されてたのに印象は全く同じなのが凄い。
主人公はこれまでの人生、ただ黙ってるだけで周りが自分の都合のいいように解釈してくれてたんじゃないかな。
だから起こす行動に皆が思ってたのと違う!ってギョッとするのかも。
人はいい人より理解できないいびつなものに惹かれるんですね。

0
2020年10月09日

Posted by ブクログ

その時々の気持ちで動いてしまえる主人公が凄いと思った… その点で麦と主人公は似ている…… 気持ちが切り替わるきっかけになるのは、レンズを通して映し出された現実の似姿、それをみて世界の真実にハッと気づいたみたいになって急転直下動いてしまう。
冒頭、大阪の某展望台から見た景色の描写が独特で、これが「小説家の目」なのかと思ったけど、朝子の視点をここで端的に表していたということなのかも。
主人公と麦、ふたり以外の人は割とまともに思えた。

0
2019年11月20日

Posted by ブクログ

正直文体が頭に入ってきづらくて読みづらかった。が、最後の豊崎由美の書評でそういうことだったのか、とハッと箚せられた。

0
2019年03月05日

Posted by ブクログ

映画化してて、雰囲気に惹かれて読書
優しくて辛い恋愛
あんまり現実味がないな
主人公には共感できない
しおりは身近な人を大切にしたいな
それか、この主人公を理解できるくらい全てを捨ててついて行きたい人を見つけられたらそれはそれで幸せなのかな

0
2019年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

合わないのかな、、、。☆2と迷った。ほぼナナメ読み。
だって軽い会話文が多すぎて、内容に重みを感じない。うーん。

0
2018年11月15日

Posted by ブクログ

朝子の視点で切り取られる街のにおいや音。現在よりも遡ったところから始まるので、おそらくその時期だろうと思いながら読む。当時の空気を感じながら。物語の進捗をテンポよく感じるというより、じっくり一枚一枚絵や写真を眺めるような小説。『フランスの港町でパステルカラーのお揃いの服を着た美人姉妹の恋物語』のタイトルが何であるか、そしてこれがマイベストムービーのひとつであること、外国のサッカーリーグの『しましまのユニフォーム』はもしかして、白黒?とかそんな部分がふと楽しい。後半はどこか夢のような印象がずっとあった。

0
2018年10月01日

Posted by ブクログ

映画を観た後読んだ。映画を観た人は朝子に感情移入できないと言い、嫌いだという。俺は感情移入出来ていなかったと思うけど、感情の流れは把握出来て、こういう考え方の人もいるんだくらいだった。でも原作ではめちゃめちゃ嫌いになった。特にばくからパンを奪って勝手にフェードアウトするところが最悪。服とかも私に似合うと思って着たとかエゴ・自分中心感が凄い。途中途中の景観文章とかも本文とのリズムに対してノイズだとしか感じなくて合わなかった。映画がどれだけ人に対して真摯に向き合って対話している作品なのかが分かった。本だと映画以上に主観だから、感情移入したしないの観点が大きくなる?
本だから果たしてばくと亮平が似てる似てない分からないというカラクリは良かった。

0
2018年09月22日

「小説」ランキング