【感想・ネタバレ】人間とは何かのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

私たちの思考や言葉は、外的な力によってもたらされた結果でしかない。自己は形成されるものである。
利己も利他も形状が違うだけで中身は一緒。
人間の共通目標は主衝動に基づき、自己満足、自己陶酔することだけ。
教育は、欲望のベクトルを正しい方向に向ける。
著者のこのペシミズムは、さっぱりとした考え方で気質的なものなのかもしれない。

0
2021年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間は教育をはじめとする外因からできた機械にすぎない
すべての行動は自己是認を求める。他者への思慮も、自己犠牲も、自分が納得するかどうかが最大の基準となる。

晩年のトウェインがペシミスティックな面を露わにした作品、との解釈が多い。同意であるが、それ以上の解釈の可能性を見出したい。青年の台詞を書いたのもトウェインであるなら、老人がどんなに説得にかかっても何とか食いつこうとする姿勢を見せるのはなぜだろう。


機械にすぎない人間がここまで「進歩」してきたのはなぜだろう。歴史は繰り返す、しかしそれは螺旋階段だと聞いたことがある。

キーは「想像力」と「創造力」に在るかもしれない。


せっかくならば、良い素材をインプットし人類の進歩に寄与していけるようなアウトプットをする機械でありたい。


自分の幸せが中心にあってもいい。

0
2015年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 個人的に何度も読み直したいと思った本。


 例えばです。
 私の身の回りにはもう亡くなった人も含め、何人か認知症を患っていました。

 そのとき、「日常生活でできなくなってしまったこと」が数多くある中でさえ、人を選んで攻撃をする姿を幾人も目にしました。

 大体、人により、(八つ当たりなど)攻撃する対象は限られてるのですよね。弱者に向かう。もちろん当人が一番の弱者なわけですが、当人が元気だった頃の認識で弱者と思われる人間が攻撃対象になる。強い人間にはあまり向かわない。


 わたし、何となく見ていたり、その対象になったりして、
 「あぁ、自分に対する弱者強者を見分ける力って、結構人間の根源的な能力なんだなぁ。」なんて思っている。


 そこで、いかにうまく取り繕おうとして、勉強したり訓練したりしたところで、


 そんな努力なかったかのように身包みはがされる。


 それが、人間の性質なんであろうとすると、


 自分の性質は、決して素晴らしいものとは言えない。本当に。

 今までひたかくしにしているものが、いつしか決壊して漏れ出る可能性を考えると、

 自分の性質ってやつについてよく考える。

 まだよく見えていない部分も多いのだけど、

 せめて「そんなにひどくない」くらいだったらありがたいのですが…。

0
2013年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・本の内容紹介(本書表紙より引用)
 老人と青年の対話の形で書かれたマーク・トウェイン(1835‐1910)晩年の著作。人生に幻滅している老人は、青年に向かって、人間の自由意志を否定し、人間は完全に環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎないことを論証する。人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、著者はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。当初匿名で発表された晩年の対話体評論。

・感想
 人間は外的環境に影響を受けながら自身の欲望に従って動く機械にすぎない。老人は青年との問答を通じて、このような人間機械論とでも呼ぶべき悲観的な人間観を訴える。私はこのような人間観に共感できるところが多かった。このような前提に立ったうえで、自分の行動が社会や身のまわりの人の役に立つことが出来ればそれでいいと思う。「情けは人の為ならず」という言葉には、この本で訴えるような人間観が背景にあるのではないだろうか。
 経済学でアクターとしての人間を、自己利益(インセンティブ)のみに従って行動する完全に合理的な存在と捉えるが、これも似たような考え方だと思った。

 また「創造」について言及した問答が18ページや126ページなどに出てくる。これらの箇所で述べられている老人の創造に対する考え方が興味深いと思ったので引用する。

青年 つまり、人間なんてものに創造の能力はない。創造は無だと、本気でそうお考えになっているのですか?
老人 そうとも。人間はただ知覚するだけの動物。知覚されたものを自動的に結合するのは、つまり、その頭脳という機械なんだな。それだけの話さ。
青年 じゃ、蒸気機関みたいなもんで?
老人 そう。だが、それを発明するのに、何十人って人間が百年間もかかった。発明ってことの一つの意味は、発見だな。わしはその意味でこの言葉を使う。無数といってもいいほどの部分品を、少しずつ彼等は発見し、応用し、結局完全な機関をつくり上げた。蒸気を閉じこめると、急須の蓋を持ち上げる力があるってことに、ウォットがまず気づいた。だが、別にそんな考えを創造したわけじゃない。ただその事実を発見したってだけにすぎん。
(本書 p126,127より)

 無限に近い事実に対して観察を続け、その中からある事実の関係性を発見する。そして、それをさらに発展させ、あるいは適切に事実を抽出し、ひとつの成果に行きつく。老人によると結局それは無から何かを作りげるのではなく、すでに存在する事実の模造にすぎないのだという。ゼロから何かを生み出すことは出来ないという意味で、老人はこれを創造ではないとする。
 老人の「無から新しいものを生み出すことはできない」という考え方には共感する。しかしだからこそ、私は、観察可能な事実からこれまで着目されていなかった何かを発見することを創造的な営みだと呼ぶようにしたいと思っている。

0
2012年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キリスト教観の中にあっても、“人間は機械である”という一貫とした考えは、キリスト教観から離れている日本人にとっても、スッと入ってくる考えだと思う。

ただ、読むのは難儀した。

0
2021年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本に登場する人物は2人。1人の青年と1人の老人。物語は、人間について老人が自身の考えを語り、それに対して青年が疑問をぶつけていく形式で進行していく。
著者マーク・トウェインの死後、本書を読んだ彼の妻がひどく泣いたというエピソードからも理解できるように、本書の内容はそう簡単に受け入れられるものではない。

以下、内容をあとから想起するため、岩波書店HPから要約文を引用する。
「人生に幻滅している老人は,青年に向かって,人間の自由意志を否定し,人間は完全に環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎないことを論証する」

老人は「人間機械論」を唱え、人間は所詮外部から受けた影響をもとに行動する機械でしかないと説く。このような、人間の自由意志を否定する論調は馴染みのないものであり、現代人からは大きな反感を買うことが容易に想像できるが、それでも本書が長く読み続けられている理由は、この主張が人間の一側面を鮮やかに描き出しているからであろう。個人的には、この考え方は受け入れられないが、一方で完全に無視することもできない。
ただ、あえてこの主張に反論すると、これは「反証不可能」な主張である可能性が高い。つまり、人間の行動を理解する際、それがどんな行動であろうと「その原因は外部環境から受けた影響にある」と言ってしまうと、とたんに誰も反証ができなくなってしまう。なぜなら、外部環境を受けない人間などいないのだから。一般的に、反証不可能な知識はその後の議論につながらず、相対的な価値が低いと言われるため、反論をすることは可能である。

ただしかし、やはり人間が外部の影響を多分に受ける存在であるという主張もまた真理なのだろう。問題は、影響を受けながらも、自身の人生の指針を定め、そこに向かって努力を続けることができるか。本書の中で、老人が「せっせと君たちの理想を向上させるように努めることさ。そしてみずからがまず満足すると同時にだな、そうすれば、必ず君たちの隣人、そしてまた社会をも益するはずだから、そうした行為に確信をもって最大の喜びが感じられるところまで、いまも言った理想をますます高く推し進めて行くことだな。」(p.105)と語っているように、どれだけ理想を追求できるかが問題であると思う。自分は外部の環境からの影響を多分に受けるということを念頭に置きつつ、その環境すらも好きなように変えていけるような、緩やかな意志を持って生きたいものだ。

0
2020年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間は自己を満足させるために生きている。

「人間とは何か」、このシンプルなタイトルとBOOKOFFで100円だったので購入。
登場人物は青年と老人の二人だけで、彼らの会話が描かれている。青年は人間には意思決定をする力があると信じている、対して老人は人間は自己を満足させるために生きていると信じている。青年は、老人の「人間は自己を満足させるために生きている」という考えを打破するために試行錯誤するが、決して破ることが出来なかった。

私自身、この老人の考えに納得せざる得ない。「人間は自己を満足させるために生きている」という理論は、言い換えると全ての人間の行動原理は自己満足であり、自己犠牲すら自己満足のためなのだ。そして、自己満足は当人の気質や性質からなっており教育や訓練はそれらに若干の影響しか与えることができない。こういった考えを知って正直今、反応に困っている。なぜなら、私は読書から生きるために役に立つことを学ぼういう姿勢で臨んでいる、しかしこの本から得られたものはなんだろうかと感じている。この読書から何を学べたかは今後わかってくると思う。

0
2013年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む年代により感想が大きく分かれると思う。
10代、20代の方がこの本を読んで感じられるのは虚無感だと思う。
まさに作品中に出てくる青年の心情が投写される気がする。
ただ、年齢を重ねた方が読めば作品に書かれていることは一種の免罪符になり得る。

人は形成するものは産まれ持った気質と教育であり自由意志など持たないと言う事実を延々と突きつける形で進んでいく。

ただ、その事実に対する著者の成否や判断は作品中一切行われず読者に委ねられる。唯一、著者の心情を表してそうなのは最後の一文のみである。

事実を提示するのみで、論理展開が行われないため単調な進行となり、読む人によってはつまらないと言った感想抱くと思う。

人は自由意志を持たない、これをどう捉えるかによって作品の感想が大きく変わる。

若い方は否定的になるであろうし、ある程度経験の積んだ方なら、なるべくしてなった心配するなと言う思いを感じるのではなかろうか。

千差万別あると思いますが、ある一つの価値観に触れる機会を与えてくれる名著だと思います。

0
2021年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作品を間違ったっっ
“それがまちがいなんだ。行動ってものは、なによりもまず自分のためじゃなくちゃならん。そうでなけりゃ、決してやらんね。なるほど、そりゃ一にも二にも他人のためにやっているつもりでいることはあるかもしれん。だが、実際はそうじゃない。まず第一には、自身を満足させてるんでー他人のためなんてのは、つねにその次なんだ。”p24l10~23

0
2011年10月20日

「小説」ランキング