感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ストーリー性が良いというよりかは、ギミック小説としてとても面白いと感じた。
前半は幾つかの言葉がなくなっていても違和感なく進み、後半も違和感はあるが置き換えて物を表したりと表現法がとても良かった。
Posted by ブクログ
世界から言葉が消えてゆく
文字の音(おん)が徐々に消えてゆく小説
それに伴い物質も失われていく世界
そのルールを登場人物が把握しているメタ要素が面白い
天才の発想
読み始めて2度ほど声を出して笑った
これは満点評価だなと思っていたが読者サービスのつもりなのか、エロシーンのあたりから雲行きが怪しくなった
読み終わってみれば、やはりその直前までがピークだったかなと
その後に面白いのは飲食店での描写だけ
注文に苦労した挙句に額面の消えた白い紙幣で支払う様は容易に想像できて笑えた
あとは講演会の様子やラストシーンまで、テンションは下降する一方
文字制限があるから仕方がないしそれを楽しむべきなのだが、それにしても残った音で成り立つ単語の列挙を読むのは厳しい
巻末には、この小説を卒論にした方の音分布データ
すでに消した音が使われている違反箇所が挙げられていた。作品の評価に関わる重大事項だと思うのだが教えなかった?直さなかった?
初出は1989年
2024年でも充分に楽しめた
途中まではね
Posted by ブクログ
現実は虚構であるというという理論のもと、佐治勝治と津田得治が対話する場面から小説ははじまる。
もしひとつの言語が消滅したとき、惜しまれるのは言語かイメージか。
佐治の理論においては現実がフィクションであり、小説はメタフィクションである。
私がこの小説を読んでいる間、ひとつの言語が消滅するごとに私の世界からもひとつずつ言語が消え落ちていく感覚を覚えた。
ただ私と彼らとの異なる点は、消えた言語やその言語が織り成すイメージを思い出すことができるか否か、ということ。
何かを失ってしまったという事実はどうしようもなく寂しい。
次々と言葉が消えていき、表現に制約がある中でここまで物語を紡ぐことが出来るということに感動。
言語の可能性を感じた。
Posted by ブクログ
・筒井康隆氏の本をはじめて読んだ。
・有名な作品。ひとつずつ音が消失していく世界で、どう物語を展開するか。
・途中やや展開が単一で飽きる部分もあったが、最終章の音の少なさからの怒涛の表現は、圧倒される。
・登場人物が物語を展開しながら、自分が小説の中の人間だと自覚しメタ視点で話しかけてきたり、降りた笑いをしたりするのが斬新であった。
・実験的な作品を数多く世に出していることもわかったので、今後別の作品も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
文字が無くなっていく、という事実をこんなにもゆるやかに感じることが出来ると思いませんでした。1ページ目から1文字失われた状態ではじまる物語は驚くほどに違和感のないものでした。
私たちの生活は、以外にも今現在使用している言葉が少し無くなったって成り立つのだと実感したと共に、文字や言葉がより生活や芸術、コミュニケーションを豊かにしてくれていると思います。
先ほど違和感がないと記載しましたが、違和感があるべきはずなのに違和感がないという違和感が今じわじわと襲ってきております。
Posted by ブクログ
小説(物語)というよりも言葉遊び的な側面が強いが、本書で言及されているように小説は自由なものだし、こういうのもいいのかもしれない(多分こういう反応を予想してあえて同書内で言及したものだろうが)。
ちょっとやってみたくすらある。
妻子の消失、情事、伝記はそれぞれ使える文字がどんどん減っていっているのが演出効果になっているし、ラスト部分の疾走感も良かった。
ただ、流石に技巧が前面に出過ぎている感は否めない。
Posted by ブクログ
発想と実行はすごいと思う。
ただ物語として面白いかと言えば正直否である。
娘はいなくなるのに切符は言えないだけのような
設定の矛盾も気になる。
一文字でもなくなれば存在がなくなる方の設定に従えば
きがなくなった時点で切符どころか地球や空気もなくなるのでは。
主人公が小説家という設定自体は自ら実験的に
悲痛に思いつつも淡々と事を進めていくのが面白いとは思った。
Posted by ブクログ
実験小説なのだ。そういう認識で読まなくてはいけない。純粋にストーリーのおもしろさを期待する人には向かない。あと、子供にも(中盤に濃厚なエロスがある)。
どんなことができるかを作者が模索し、楽しんでいるから、
『日常の場面でことばとそのことばを使う物事が消えていく困惑と不便』のストーリーだけではなく、
『文字不足縛りで情事を書くならどう表現するか』
『さらに言葉を絞った上で短編小説への私観を述べるならどう言葉を使うか』
『自伝を書くなら〜』
とさまざまな試みのために場面が度々飛んでしまう。
内容も、とっ散らかったり、気分が良くない機能不全家族の過去だったりとそんなにはおもしろくないし、爽快感もない。
これは、文字がなくなっていく中で、「残された文字でこの物事をこんな言い回しにするとは…」とか「本当は何を表現したかったんだ?」と、ひとつひとつを楽しむものなのだと感じた。
50音表を用意して、文字が消えるたびに消していくと楽しめると思う。
そうでないと、作者の語彙力が素晴らしすぎて、わりと終盤まで不足なく(何がなくなったかをあまり意識することなく)読めてしまうので、ことさらに内容がつまらなく思えてしまう。
それにしても、最終盤の最後はさすがの回収ぶりで、少ない文字数で無理やり気味にでも話を進め、見事に畳んだ感動がある。最後、2文字や3文字になったらどうするんだろうという不安を、見事に収めて見せてくれる。
さすがだった。
あと、文字がなくなるごとに、その文字を使う動物の絵が切り取られていくのだけれど、切り取られた身体の部分がいちいちその文字のカタカナの形になっている遊び心が気が利いていた。