【感想・ネタバレ】陰謀の日本中世史のレビュー

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Posted by ブクログ

陰謀論や、脚色された小説やドラマはわかりやすくて楽しいけど、それを史実と勘違いしないようにしたい。一次史料を読み解くのが一番なんだろうけど、研究者でもない一般人にはなかなかできることではないので、複数の本を読んで知識をつけ、何が正しいのか自分で判断する力をつけるのが良いのだろうな。、

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2021年05月08日

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 日本史に興味があるなら小説家が書いたものや刺激的なキャッチフレーズ(「真実」とか「陰謀」とか「新発見」とか)のものを避けるべきである。そして、高校の日本史教科書又は高校日本史の参考書、もう少しやさしいのだと、『漫画 日本の歴史』あたりを読んだ方がよろしい。
 歴史研究書の体をなしたトンデモ本があふれていて大変危険なのである。
 司馬遼太郎みたいに「これは小説である」と書けばよいものを(作品名失念。)。

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2021年03月19日

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「応仁の乱」の著者による、中世史の大きな戦乱を、最新の学説を基に解説をした書。
例えば「本能寺の変」は、昔から様々な黒幕が挙げられてきたが、現在では信長の粛清を恐れた光秀が、軍事的空白をついた単独説が有力なのだとか(動機は長曾我部元親の勢力伸長による四国政策の変更)
文中で作者も書いているが、陰謀は関係者が多ければ多いほど情報漏洩の危険性が増す。勝負というものは双方が多くの過ちを犯し、より過ちが少ない方が勝利すのであるというのは、戦略論の基礎ともいえるのではないだろうか。
最終章で、前章までを引いて「陰謀論」が人々に受けいられる理由を述べている。「陰謀論」「オカルト」のみでなく、「ヘイトクライム」などについても当てはまるのではないか。警世の書でもある。

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2019年09月05日

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歴史書を読む時、人は得てして偉人達の行動や決断に「意味」を持たせる。

あらゆる時代の話に言えることだが、人間の取る行動に全て合理的な説明や解釈で成り立つならば、少なくとも我が国は戦ったら負けるはずのアメリカと戦争などやっていない。

その戦争にしても、アメリカの陰謀だの、ソ連の陰謀だのと理由を付ける。

無論、陰謀は確かに存在するが、全てがそうではなく、それに対してかならず理由をつけてしまう。

独断と憶測と共に「人間は合理的な生き物」という判断も、歴史を学ぶ上ではやってはいけないことだと思うのだ。

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2019年08月22日

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何となく思っていた日本史に対する思い込みを丁寧に正してくれる本。驚きや発見があり、非常に面白く読めました。

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2019年03月27日

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ネタバレ

日本史研究の最新の地検を紹介しつつ、様々な陰謀論を否定し、最後は現代社会における現在進行形の陰謀論についても触れている。

確かに、「結果から逆算」して構築した陰謀論の方が「因果関係が単純明快」になるよなw
現実がそのように「単純でわかりやすい」筈が無いって知ってるはずなのにさ。

あと、「日野富子悪女論」を誰が何のために持ち出し、どうして定着“しちゃった”のかについての考察はとても興味深かった。このあたりは「蒙古襲来と神風 中世の対外戦争の真実」や「興亡の世界史 アレクサンドロスの征服と神話」「秀吉の虚像と実像」にも通じるモノがあった。

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2018年10月14日

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歴史上の陰謀論がなぜ学会で論じられないのかといったそもそも論を皮切りに、陰謀論の様々な特徴を発見していき本丸の本能寺の変の陰謀論へと突き進んでいく
陰謀論の特徴についてはこのネット全盛期における陰謀論の氾濫に対する一種の防衛策になり得ると感じた

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2024年05月21日

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日本史の中世時代といえば戦国時代の信長や秀吉などにスポットが当たりがちでその他はよく知らず、それ故にあまり興味も持てない私でしたが、一昨年の大河ドラマの“鎌倉殿や個人的な調べ物から「観応の擾乱」などに行き当たり、この時代の目まぐるしい展開に底知れぬ物を感じたのでした。
ですから、王族に貴族と武士が入り乱れ覇者を争う時代の流れにおいて、「応仁の乱」を上梓した作者には陰謀というテーマは、無視できないテーマだったようです。
作者が言うように事件の裏に陰謀論が必ずと言っていいほど渦巻いています。(最近では大谷くんの元通訳の銀行詐欺問題でも!)
かの有名な本能寺の変などでも陰謀論があり、それらに飛びつく輩も多いという状況の中、歴史学者はまともに取り上げず検証も当然なし。それ故にトンデモ説が大手を振ってまかり通っている現状に“釘を差したい”という歴史学者としての作者の矜持が見受けられます。
歴史小説や以前の歴史書から悪いイメージのある足利尊氏や日野富子などは歴史資料を読み解くと実際はどんな人物だったのか。様々な争乱はどんな背景、経緯があったのか、作者の丁寧な検証から答えが導かれます。
「結果から逆行して原因を引き出す」
「最終的な勝者が全てを予測して状況をコントロールしていたと考えるのは陰謀論の特徴」…
各章で有名な陰謀場面を挙げ、太字で強調し陰謀論のテクニックを明かしていきます。
これを読むと、確かに私たちにはわかり易く面白い陰謀論を鵜呑みにしてしまう前に、待てよ!と胸に手を当てる賢さが求められます。

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2024年04月28日

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保元平治の乱、源平合戦、鎌倉幕府の権力闘争、足利尊氏の幕府設立、応仁の乱、本能寺の変、関ヶ原合戦の7つについて、最新の歴史研究をもとに俗説を打破する一冊。

必ずしも陰謀論の法則性が導けているとは言えないが、安易にわかりやすい結論に飛びつくのを戒める意味はあるだろう。

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2024年01月08日

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全ての歴史愛好家にお薦めしたい一冊。
タイトルからすると一見、日本中世が陰謀に満ち、それを紹介する一冊のように思えるが、逆に、著者は、日本中世史における数々の陰謀・トンデモ説を、歴史学の手法に則って分析し、痛快に切り捨てていく。
中世史だけでなく、検証もされない陰謀論が氾濫する現代に警鐘をならす一冊
終章「陰謀論はなぜ人気があるのか?」では、「田母神論文」「藤原正彦」「渡辺昇一」も俎上にあがる。

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2023年12月15日

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安元三年(一一七七年)に鹿ケ谷の陰謀が起きた。後白河法皇を中心とする反平氏勢力が結束した謀議とされるが、平清盛が後白河院の近臣勢力を潰すための冤罪事件との見方がある。

「平氏一門に批判的な西光・成親を延暦寺問題で別件逮捕しておいて、陰謀の罪を着せ、死刑に処すことこそが清盛の狙いだったのではないだろうか」(呉座勇一『陰謀の日本中世史』角川新書、2018年58頁)

「当初、西光は明雲を後白河に讒言したという理由で逮捕され、その後の拷問の中で「入道相国を危ぶむべき」計画を白状したという。別件逮捕でとりあえず身柄を拘束し、取り調べの過程で「謀議」の件が出てきたのだから、自白の内容自体が清盛によってでっちあげられた可能性がある」(中丸満『源平興亡三百年』ソフトバンク新書、2011年、140頁)。

鹿ケ谷の陰謀では藤原成親(ふじわらのなりちか)が逮捕され、備前国に流罪になる。配流先では食事を与えられず、殺害された。「死人に口なし」とばかりに病死として処理された。

成親は鳥羽院第一の寵臣の藤原家成の息子で、鳥羽院と後白河院の近臣になった。成親は久安二年(一一四六年)に讃岐守になる。家成と成親は親子で讃岐守になった。

成親は後白河院の近臣として活躍したため、崇徳院の怨霊の祟りと噂された。鹿ケ谷の陰謀が清盛によるでっち上げの冤罪ならば成親は冤罪で殺されたことになる。後白河院側には思いもよらぬ理不尽な話になり、当時の感覚では怨霊の祟りと考えたくなるだろう。

鹿ケ谷の陰謀は平家に対する反感を持っている人々が存在するという事実を公然に明らかにしたという効果が生じた。平家は逆に追い込まれていった。

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2023年01月26日

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中世を中心に歴史上の陰謀論・俗説・珍説を検証。さらに陰謀論の発生の仕方、パターンまで検証していて面白い。自分も一時井沢元彦とかハマってた時期があるので耳が痛い部分も。
まあ、本能寺の変秀吉陰謀説とか、義昭陰謀説とか、朝廷説とか、家康説とか、イエズス会説とか全部無理があると。歴史学者は普通そういうのは放って置くらしいが本書は丁寧にどう無理があるのか教えくれる。

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2021年05月25日

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本能寺の変をはじめとする日本中世史における数々の陰謀・謀略(があったのではないかとされる事件)について、最新の研究成果も踏まえた先行研究を抑えつつ、歴史学の手法に則って客観的・実証的に分析し、陰謀論の誤りをただしている。
「足利尊氏は陰謀家か」「日野富子は悪女か」「本能寺の変に黒幕はいたか」といった陰謀論の検証を軸に、日本中世史(政治史)の様々な最新学説を瞥見でき、知的な面白さがあった。20年ばかり前になる高校時代の日本史の教科書の記述も、だいぶ古びてきているんだなということを感じた。
本書は、陰謀論に引っかからないための耐性を身につけるのに有意義な本であるといえる。当時の人々も未来が完全に見通せたはずはなく、試行錯誤の中で歴史を歩んできたのであり、現在の結果を知った状態から逆算して歴史上の因果関係を考えることには、慎重にならなければならないと感じた。

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2020年09月01日

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陰謀論とは、「世の中(又は自分)がこんなにダメなのは、どこかで誰かが邪魔をしていて、それを取り除けばすべてうまくいく」という考え方だと内田樹の本から学んだ。最近のマスク不足にしても、需要超過(供給不足)が原因なのに、誰かが買い占めて高値で売っているのが理由だから転売禁止にすればいい、という考え方も一つの陰謀論だと思う。
本書では、歴史の陰謀論について「誰かがあらかじめ仕組んだ筋書きどおりに歴史が進行した」という取りあえずの枠組みを提起し、保元の乱から関ヶ原の戦いまで、様々な大事件についての陰謀論について、それが世の中に受けていても、事実はそんな単純なものではないということが論証されている。その論証が正しいかを正確に判断する素養は持っていないが、陰謀論の方に証拠不足や論理の飛躍があることは理解できた。
終章に書かれているが、歴史学の陰謀論でも、似非科学でも、専門家は黙殺して関わろうとせず、それがゆえに否定されてないから一般に信じられるという憂うべきことが多い。アカデミズムの人が時間と労力を割いて、こうした陰謀論の否定を解き明かしてくれたことに感謝したい。

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2020年05月27日

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日本史好きな私にとって
第一章~第七章の内容も非常に興味深い内容でしたが,
終章の『陰謀論はなぜ人気があるのか?』
が一番勉強になりました。

陰謀論の特徴を
①因果関係の単純明快すぎる説明
②論理の飛躍
③結果から逆行して結論を引き出す
という3つに分類した上で、
何故陰謀説が人々に受け入れられるのか
という問題に対して納得のいく回答が得られ,
満足しました。

「フェイクニュース」「ポスト・トゥルース」
といった言葉に代表されるように,
誤った情報が蔓延る現代において,
ここで記載された情報を
自らのリテラシーとして吸収したいと思いました。

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2020年04月26日

Posted by ブクログ

『応仁の乱』で有名な呉座勇一による一冊。

保元・平治の乱から関ヶ原の戦いまで、主に武家が台頭して以降の中世史について。
いわゆる陰謀論の大半を否定してるので面白みはない。

ただ、以下の2点は陰謀論に与しやすい自分にとっても勉強になった。

・加害者(攻撃側)と被害者(防御側)の立場が実は逆である可能性
・最終的な勝者が全てを予想して状況をコントロールしてると考えるのが陰謀論の特徴

つまり、陰謀論は結果から逆算してるから、後付けで何でも言えてしまう。
陰謀論は単純明快だし、何よりロマンがあって面白いのですが、安易に信じないように気をつけねばと思った。

P.S.疑似科学との類似性というのも目から鱗。
 いずれにしても、知識がないと騙されやすいので、気を付けないといけない。

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2019年08月24日

Posted by ブクログ

陰謀論で溢れかえる巷のトンデモ歴史観を、歴史学の視点からバッサバッサと痛快に斬って捨てる歴史マニア向けの心得本です。
以前より私も歴史のトンデモ話には眉をひそめていた一人ですが、何で歴史学からの批判が無いのかなあと思っていたら、やはりアホらしくてまともに取り合ってられないということでしたね。
ですがたとえアホらしくても、学界と一般大衆をつなぐ共有観念としてこのような取り組みは必要だと思っていたのですが、氏のようにある程度名が通った学者が徹底的に斬って捨ててくれたことで、とても良かったと思いました。

日本中世の話がメインテーマなのでいまひとつ一般の人にはわからないトンデモ歴史もあったと思いますが、この時代はNHK大河ドラマでよく取り上げられる戦国時代を除き、あまり知られていない部分なだけに割と言いたい放題の分野であったとも言えます。
なので、トンデモ歴史自体が少なくて言った者勝ちのようなところがあるのですが、あと学界自身でも学説としてそういう傾向がよく見受けられるようで、『第六章 本能寺の変に黒幕はいたか』より前の時代ではむしろ研究史整理的な論述も結構あって、これはこれで割と楽しまさせてもらいました。

氏が言う陰謀論には法則があって、いちいちもっともなことだと頷けることばかりなので、歴史オタクや小説とかからのニワカファンの方はよくよく注意した方が良いでしょう。
・最終的な勝者が全てを予測して状況をコントロールしていたと考える。
・結果から逆行して原因を引き出す。
・事件によって最大の利益を得た者が真犯人と考える。
・挙証責任を批判者側に転嫁する。
・因果関係の単純明快すぎる説明。
・論理の飛躍            などなど。

私も山岡荘八原作の小説とかドラマとかを観ていて、たいがい全てを予測した動きをとっている人がいるので、苦笑してしまったことが結構あります。まあ小説だからいいですけどね。
井沢元彦なんかはもっとひどくて(結構、氏とバトルしているようですが)、「学説」ぶって古い古い学説をこれでもかといたぶり、最新学説をさも自分が考えた説のように振る舞い、怨霊と最大受益者だけで歴史がまわっていて、細部の証明は批判者に求めるということで、歴史学者はアホらし過ぎて誰も相手にしていなかったのですが、こんな非生産的な相手にも世の中全体の情報リテラシーのレベルアップに向けてよく付き合っているなあと感心してしまいます。
あと、氏がよくやり玉に挙げていたのは、立花京子とか明智憲三郎とかですが、自分も立花京子の『信長と十字架』を読みましたが、確かにあまりにもアホらし過ぎて沈黙が支配してしまうのですが、これを誰も批判できない会心の学説だと思ってしまうところが、トンデモ歴史を唱える人たち共通の快楽なんですね。
ちなみに『信長と十字架』では信長の盛衰の背後でシナリオを描いていたのはバテレンだったという話ですが、当時私はそれならバルカン星人黒幕説を唱えようかなと思っていたのですが(笑)、氏もそれなら宇宙人黒幕説でもよいのでは?と書いてあったので、やはりこのあたりの感覚は共通だと思い少し嬉しくなりました。(笑)

今後は氏の専門外になるとは思いますが、最後に触れていた近現代史における歴史修正主義者どもの与太話もバッサバッサと斬ってみて欲しいなあ。

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2019年08月25日

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ネタバレ

日本史の様々な事件を、確実性の高い資料を丁寧に読み込んで陰謀論の可能性を排除する。何よりも陰謀論が何故受け入れられるのかを述べていた部分が面白い。

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2019年08月22日

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「応仁の乱」で有名になった呉座先生の本。この本は陰謀論の本が書きそうなことを、その陰謀論が根拠としているものの脆弱性(同時代の記録ではない、そうでないことの根拠となる史料のほうが多い、など)を順に指摘して丁寧に粉砕してくというもので、叩き潰し方の丁寧さが見どころかと。

なるほど、物事を単純化した陰謀論を唱えるのは簡単でも、それを否定するのはこんなに骨が折れることなのか!という思いが残る本です。

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2019年08月20日

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読むのはなかなか骨が折れますが,歴史に対する知的興味を大いに刺激されました。

一番目からうろこだったのは,「応仁の乱」というのは,実はそういう争いだったのだということ。
室町時代は,ぱっとした印象がこれまでなかったのですが,「観応の擾乱」といい,愛憎激しく,複雑でドラマティックな時代だと認識を新たにしました。

著者のベストセラーである「応仁の乱」も手に取ってみようと思います。

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2019年04月24日

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平安時代末期の保元の乱から関ヶ原に至るまでの、
有名な乱や事件をたどりながら、陰謀論や諸説の誤りを論破する。
第一章 貴族の陰謀に武力が加わり中世が生まれた
第二章 陰謀を軸に『平家物語』を読みなおす
第三章 鎌倉幕府の歴史は陰謀の連続だった
第四章 足利尊氏は陰謀家か
第五章 日野富子は悪女か
六章 本能寺の変に黒幕はいたか
第七章 徳川家康は石田三成を嵌めたのか
終章  陰謀論はなぜ人気があるのか?
参考文献有り。重要なことは太字で強調。
世に様々な“陰謀論”が溢れていますが、それらの誤りを指摘し、
論破するという内容です。これがなかなか痛快(^^♪
が、それ以上に、そもそもの乱や事件の状況がわかりやすく、
簡潔に説明されているところが良いです。
人物の相関関係、時系列、地形と場所の他、史料の読み方も。
“陰謀論”における、思い込みや検証の不足、反証の拒絶等、
疑似科学との類似性の指摘も面白い・・・なるほどトンデモ本ね。

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2019年04月20日

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陰謀に繋がる考え方の実例・パターンを知ることができて面白かった。
状況証拠に基づいているから、どうとでも解釈できてしまう。

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2018年12月04日

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『陰謀』、そう、モワモワとして空気を包むような縮れ具合で、最近は男性でもツルツルに剃ると言われているそれではなく、ぶら下がった2個で1セットの袋の部分ではなく、『陰謀』です。
陰謀好きは多いですよね。私も好きです。なんか夢がありますよね。そうであったら面白いとか。弊社の売り上げいまいち上がらないのはユダヤの陰謀とか、まさにそれです。
そんな奴らに喝を入れたのがこの一冊。
結果から逆算した陰謀論。
最終的な勝者が全てを予測して状況をコントロールしていたと考える陰謀論者の特徴で、本能寺の変は豊臣秀吉の陰謀だとか、徳川家康が黒幕とか、まあ、勝者を基準にしたら何でも言えますわな、陰謀か黒幕がそうではないという証拠がないんですからね。まさに悪魔の証明。
でも、丹念に一次資料を読み込み、当時の様々の事実を徹底的に突き合わせていきますと、すぐ論破されてしまうもんなんですね、筆者の呉座氏に感服致します。
事件によって最大の利益を得た者が真犯人であると言う陰謀論者さん、お前はどこのコナンだよ。死角のない完璧な犯罪計画など存在しないと筆者様のお言葉、まさにのそれ。歴史は偶然の結果であってもっとお前ら落ち着けよと。
まあ、そういう方々がホメオパシーとか水素水とか、疑似科学に簡単に引っかかってしまうんですよね。最近話題になった水素の粉末には全日本が泣いたもようですし。
前著『応仁の乱』のように、一次資料に基づいた、またそれに近い資料を基に淡々と事実を描かれておりますので歴史に詳しくない方にはちょっと読み辛いかもしれませんが、結構有名な歴史上の陰謀論を論破して頂いておりますので、私としては非常に面白い内容だっと思います。

因みに地震兵器なんてないからなw

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2018年09月26日

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人は物事に意味を持たせたがる。
短絡的に関係を見い出したがる。
好みのストーリーを作るために、家康が小野小町に書いた手紙を見つけ出してくる。

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2018年09月17日

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プロの研究者は、トンデモ科学やトンデモ学説を撃墜している暇はないところ、よく頑張ってこういうのを書けるな、と感心する。インターネット文化はトンデモを定着増産してしまう、という危険はよく指摘されるところ。ふつーの人とアカデミアをつなぐコミュニケーターが必要だということかも。この本もベストセラーということは、歴史のことなら呉座のような学者がちゃんと説明すればふつーの人もわかってくれるのに。科学・技術の領域は、こういうコミュニケーターの育成はまだまだ手薄かな。

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2018年10月14日

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源平の時代や、鎌倉・室町時代は個人的には馴染みがなくてついていけなかった。
本能寺の変の各種陰謀論や、秀吉亡き後の徳川家康や西方の動向に関しては面白かった。

明智光秀の話に必ず出てくる、家康饗応時の失態で信長が激怒した話や、光秀が母親を人質に差し出して結局はりつけにされてしまった話は、江戸時代の創作だそうだ。それに基づく本能寺の変の怨恨説を否定している。

関ヶ原関連で必ず出てくる小山評定で、福島正則が東軍への参戦を表明し、秀吉恩顧の武将がそれに倣った、というのも創作としている。家康が西方の蜂起をさそうために会津征伐を行おうとした、というのも否定している。

トンデモ陰謀論がはびこっているので、歴史研究者として警鐘を鳴らした、ということのようです。

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2022年02月28日

Posted by ブクログ

視点を変えれば事件の裏が見えるのかもしれません。
本能寺の変や坂本龍馬暗殺についてはもっと色々知りたいです。

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2021年06月15日

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巷に数多ある歴史上の陰謀説に対して、状況証拠を駆使して反論していく。

結果を知るものからすれば必然に思える出来事も、結局は偶然の積み重ねに過ぎないということか。

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2019年03月23日

Posted by ブクログ

さまざまな陰謀論にさまざまな証拠を上げて反論していく作スタイルで、その明晰さからたぶん著者の方が正しいのだろうと思うのだけど、いかんせんきわめて限られた史料しかないという現状があるので、科学の世界でよくあるように「完全に叩き潰す」ことってできないなあと思った次第。
だから歴史には非専門家がはびこるっていう理由が一つあるかもしれないなあと感じる。

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2018年09月22日

Posted by ブクログ

前著「応仁の乱」ですっかり時の人となった著者が、主に日本の中世史で見られる陰謀論を丁寧に検証した一冊。あとがきによると、これを機に歴史学の研究手法についても学んでいただければという思いもあったらしい。陰謀論に引っかからないためにどうしたらいいか?を考えるヒントもたくさんみられ、面白く読めた。

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2018年09月22日

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