【感想・ネタバレ】明治三十七年のインテリジェンス外交のレビュー

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Posted by ブクログ

なぜ積ん読にしてたのかと思うほど良書でした。
外交は個人同士の関係が良好に導く事があるけど、国家戦略は個人を凌駕しない事をあらためて鑑みるべき。
ウィッテの述懐を読むと、小村の評価は下げざるを得ないかな。準備が足らなかったよね。

それにしてもウィッテと決まってすぐに電報送った伊藤のその勘の鋭さときたら!やっぱ予感めいたものがあったのかな。

しかし国としても対外経験の少ない中、よくあの有象無象な世界へ挑んで戦勝と講和を持ってこれたよね。この流れで黒岩本を読み返したい。

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2011年12月14日

Posted by ブクログ

日露戦争では、対ヨーロッパの「明石工作」も有名だが、本書は対米国の「金子工作」を取り上げる

明治天皇も伊藤博文も当初はナポレオンを絶賛崇拝していた。ナポレオンのような一人天才に指揮される一方、ドイツはモルトケが凡人集団でも三人寄ればなんとやらでしたのが参謀本部である。
川上操六こそ日本陸軍参謀本部の父にして知将。
モルトケ「常識と円満こそ軍略の真髄」。
クラウゼヴィッツの戦争論を訳して講義したのは森鴎外だった。

バルチック艦隊にもドイツ人無線技士が乗っていたが、軍紀の乱れに愛想をつかしマダガスカルで下船してしまった。しかしロシア兵たちはまったく気にしなかった。
金子と最高裁判事ホームズは友人だった。
ルースベルトは新渡戸「武士道」にいたく感動し、「天皇」を「合衆国国旗」に置き換えて読めば十分通用すると自分の子どもたちや有力議員たちに配った。自分は柔道のけいこまでするくらい日本びいきだった。
黙っていれば承諾したものとみなされる。反論すべきは反論すべし。
ルーズベルトは元海軍次官として、日本海海戦では丁字戦法をするべきではない、と進言してきた。
いよいよ講話となったとき、ルーズベルトは、日本がいち早く樺太を占領するよう忠告した。
イギリスが日露戦争では超然としいたのも無理はないかも。というのも、ロシアが負ければロシアはインド方面に進出してくる可能性が高かったから。
伊藤はウィッテに、自分が全権として行けないことを残念に思うと伝えた。
小村は風貌があまりよくなかったのも、交渉がうまくいかなかった一因かも。また寡黙だった。
米国企業が、南満州鉄道の共同経営を持ちかけて来たが、伊藤たちは安全保障の観点からOKしたのに、企業家が帰国する団に、帰ってきた小村が激しく反対し反故にしてしまった。

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2016年01月08日

Posted by ブクログ

この男も大したヤツです
「ポーツマスの旗」を読んで、日露戦争の終結に尽力した小村寿太郎に感銘を受けたわけですが、同時に、開戦直後に米国に渡ってルーズベルト大統領のバックアップを得ることに大活躍した金子堅太郎の存在を知って、とても興味を持っていました。そんな折にちょうどこの本を見つけ、さっそく手にしました。

この男も大したヤツです。米国の大統領と対等に親しく話し合える関係を持つ金子は、幾度となくアメリカ各地で講演会を開いては演説を行い、そのたびに拍手喝采を浴びて、アメリカ世論を日本に引き寄せ続けた人物です。いま日米関係に陰りが見えつつある中、金子のような人物がいまの日本にはいないという現実に気づかされ、現在の日本の存在感の低下は、ある意味必然の結果なのではないかという気にもさせられます。

金子がそれほどの説得力を持っていたのは、彼の信条が明確であったことにあると感じます。「東洋と西洋には文明観に違いがある。東洋文明は精神的文明であり、“正義”に原則がある。一方で西洋文明は物質的文明であり、“腕力”に原則がある。しかしどんなに正義を主張しても武力がなければ話にならない。だから日本は武力を高めている。ただし日本は武力で西洋と敵対しようというような傲慢な考えは持たない。東洋と西洋の文明融和の架け橋となって、世界みな兄弟となることを希望しているのだ」 これが金子の信念であったそうです。なんとも大きな思想ではないでしょうか。

ほかにも示唆に富む話が多々出てきます。例えばこれ。「軍事力による戦いが“戦争”であり、言葉による戦いが“外交”である。国家間の係争には、軍事力だけではなく外交力も求められる」 これは、いまの我々にはあまり意識されていない考え方ではないでしょうか。軍事力による戦争が悪であることが世界共通の価値観であるとしても、言葉や知恵による外交が否定されるべきという話は聞いたことがありません。外交が戦争に匹敵するほどの重みのある活動であるのなら、いまの日本の外交への取り組みは、まだまだ浅いのだと気づかされました。

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2015年03月21日

Posted by ブクログ

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2011年06月04日

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