【感想・ネタバレ】新しい時代のお金の教科書のレビュー

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時は金なり

・人間とは、分業と取引によって栄え、違いと社会によって補完しあうことを選択した種

・価値=(専門性+確実性+親和性)/利己心

・二〇世紀のビジネスの基軸は標準化・画一化・習慣化の三つ
・二一世紀のビジネスは多様化・個別化・肯定化へと向かっていく

・お金を集めるというのは、信用を外部化するだけでなく、コミュニティを形成するということ

・二一世紀の半ばから後半にかけて、時間通貨と記帳経済が中心となる


・時間は二つの意味で用いられる主要な生産資源。一つは、自身の基礎的な価値基盤の形成と維持のために使う。例えば、自身の健康の増進や知識の吸収・ネットワークと信頼の構築のために使われる。もう一つは個別の仕事・プロジェクト遂行のため

・資源として投入するものの中心は健康(余裕)。健康が時間を生み、時間が知識と信用、ネットワークを作る。それを通して、財ができ財を継続的に生み出すしくみ、すなわち事業が創造される

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2022年09月01日

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ネタバレ

お金とは何なのか、お金とどう付き合っていけばいいか

この本を読むきっかけは、
1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法 山口揚平
を読んだからです。
山口さんの他の本も読んでみたいと欲しました。

「文脈の毀損」と言葉にして指摘されたところに共感、いや共鳴する感覚がありました!
そう!お金で交換するとそれで済まされてしまう感じ!

私は目標設定に対して疑問を持っていて、調べています。
この本はその点で私にとってはとても良い参考になりました。
ありがたいです。

「好きなことをしましょう」
啓発書でもビジネス書でも、アドバイスでもこの言葉は耳にタコができるぐらい聞きます。
本質を突いているようで、実は好きなことができる人は少ないのではと疑っています。

これは私の主観的な感覚です。
私はいわゆる良い子に育ちました。
そこで大事なのは、言われたことを「済ませる」ことです。

この「済ませる」は調味料に例えると焼肉のたれと同じぐらい万能です。

例えば、食事を済ませる、掃除を済ませる、仕事を済ませる。
済ませると言う言葉でしっくりきてしまう時、みんな大好きフレーズ「行動」はしたことになります。

では、「好きなこと」は「済ませる」でしょうか?

昨日は友達と一緒にBBQを済ませて、めっちゃ楽しかった〜!
とは言わないでしょう。

好きなことを「した」と言う時、無意識で嬉しい感覚があった、実感があったと確信しています。

文脈の毀損が起こるのは必然になってしまって、済ませることほどお金には結びつきやすい気がします。
なぜなら、そこに実感があろうがなかろうが、手順が示されていて、同じようなものができれば同じような価格になるからです。
気持ちをこめようが、手だけ動かそうが結果は同じ。
それならば最初から、済ませる範囲でできることで価値を最大化したらお金として最大化するはずです。

本文中に
文化や背景といった物語のような営みの文脈からお金で交換できるものへとなっていくことで、文脈は毀損する。
と書かれていました。

私はこう考えました。
お金に交換される地点ではなく、そこに近づくにつれてグラデーションで徐々に毀損が起こっている。
こうすればこのぐらいの値段で売れる、この仕事をすればこのぐらいの収入が得られる。
そのような「済まされること」になっていく時点でゆっくりと、ものやサービスにこめられる思いや文脈は薄れていく。
理念や想い、文化や背景、歴史からの流れは徐々に毀損されていくとイメージできます。

この本を読んで、「才能を貢献に変える」のような一見してよくわからない考えは、自分の好きなことを「する」
想いをそのまま貢献にすれば、それは必然的に価値に一番近いから嬉しいはずだと感じました。

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2019年09月18日

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資本経済から時間、記帳、信用と進化していく。これまでの働き方の価値観が変わると知った。ちょうど吉本問題の渦中も、芸能人の在り方の転換点だとうなづく。より、個人の活躍が重要。

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2019年07月29日

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ネタバレ

一般に評価されるのはずっと後かも知れないねぇ~Ⅰお金は記帳を起源に始まりました。そしてお金の定義は,譲渡可能な(外部化された)信用であると言うことです。また社会性と個性を軸とする人間によって,効率的な社会的取引のためにこのお金というのは重要な発明でした。お金の本質に戻った時,それは信用であると言うことであり,「お金は稼ぐのではなく,実は“創るもの”である」ということです。21世紀で大事なことは,人(や国家)がつくた二次的な生産物であるお金をもらう,というスタンスではなく,自分が自らお金(信用)を創り出すと言うことなのです。この世界に万能のスーパーマンは存在しませんし,存在してはならない。人間は個性と社会性の二つをもって分業し合うことで繁栄することを生存戦略とした生物種だからです。人生の早いタイミングで自分の個性(天才)を見つけ,伸ばしていきましょう。その自分固有の能力を人と分かち合い互いに分業しましょう。この世にはコモディティ(一般的)な人間など一人もいないのです。Ⅱお金を構成するのは「信用」と「汎用」です。信用とは「価値について説明がいらないこと」であり,価値=(専門性+確実性+親和性)/利己心で成立します。信用は価値の積み上げで形成されます。汎用とは,信用の適応範囲でアリ,広さ×深さで成り立っています。信用と汎用を高めていこう。具体的には貢献を通して価値を創造し,ネットワーク(業界)を横断してつながりを創っていく。すべてが記帳されていく21世紀では隠し事は出来ません。信用を創るのは10年,失うのは10分。やるべきはネットワークを広げ,その中に信用を編み込んでいくことなのです。Ⅲ国力の低下によって信用の母体が国家から個人へと変化し,技術に関してはブロックチェーンによって個人の取引と信用が記載されるようになります。経済は,人々の欲求が生存欲求から社会的欲求に変化することで財の形態がモノからコトへと変化していく。社会はタテ社会からヨコ社会へと変化しつつある。必要なのはタテ社会(貨幣・権威)と,ヨコ社会(信用・ネットワーク)を両立させて生きていく術を身につけることです。両者を融合してはいけない。タテ社会の大企業相手に契約や報酬を怠ってはならないし,ヨコ社会において安易に信用をお金に換えてはならない。二つの世界は隔離して適応していきましょう。クラウドファンディングなどのまねたライズツールが浸透すると社会的信用をためる方が有効だが,21世紀,人々が欲しがるものはモノから承認(社会的信用)に移ってしまい,承認はお金で直接は買えず,承認はすぐにお金に換えられる。しかし賢い人は,このお金をうまくつかってまた新たな信用を創り出すのです。Ⅳ欲求と仕組みの二軸で見ると,社会的な欲求を時間というお金で満たすのが時間主義経済,衣(医)食住など生存欲求を信用という直接的な方法で満たすのが記帳式経済です。20世紀までは人々が欲しがるのがお金であり,それをやりとりするツールもお金であるという不思議な世界だった。手段が目的に化していた。21世紀の半ばから終わりには求めるモノが信用であり,それを求める手段も信用という統一が起こるのです。そこにきてお金もなくなります。人々が求めているものが承認やつながりへとシフトしてゆき,中間物であるお金などが少ないほど純度が高まる。つまりお金と社会的な欲求はトレードオフの関係にあるからです。今十代から三十代の人は完全な信用主義時代の前にやってくる時間主義経済と記帳主義経済の生き方を学ばなくてはならない。空間は制覇しつつあるので,時間は意識が追いついていかないので,自らの時間単価価値を意識して生きていく必要があるでしょうし,記帳主義では人を外見・主張・行動で評価されるので,一貫性を持ちましょう~ふーん,そうかぁ…なるほど・なるほど

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2018年07月31日

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お金の過去、現在、未来について、めちゃくちゃ分かりやすい説明がなされている本。構造化がとても上手でその分かりやすさに惚れた。単なる旧概念を示すだけでなく、インターネット、ブロックチェーンというテクノロジーに触れ、「信用」が重視される中でどう振舞うべきかについても言及されてるのが良かった。すごい作品。

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2018年02月12日

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お金の歴史、仕組み、そして未来。ちくまプリマー新書ということでの読みやすい文章で、貨幣の本質から現代社会の分析、そして有り得る未来へと客観的な分析と適度な煽りも盛り込んだ良書。フィンテックだビットコインだ信用経済だのキーワードはやりで同じような言論は溢れているが、何が違うのかこの本が一番説得力あると思う。

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2017年12月16日

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ネタバレ

貨幣の存在の本質について語った名著。

メモ
・お金とは譲渡可能な信用。お金は稼ぐのではなく、創るもの。人間は個性と社会性の2つを分業して繁栄することを生存戦略とした生物。
・価値は文脈を保全するが、貨幣は文脈は引き継げない。貨幣の本質的な課題は格差ではなく、文脈の毀損なのでは。
・世界はネットワーク、企業、国家の3層構造。
もはや一部国家より企業の方が経済的に大きくなっている。
・信用母体の変化。国家から企業や個人へ。
・インターネットは移動する、ブロックチェーンは世界を上書きする。時間を刻む。インターネットは空間を広げる
・標準化画一化習慣化のビジネスから、多様化個別化肯定化のビジネスへ
・これまでの需要と共有で決まる価値から
個人の文脈によって決まる価値へ。
・社会的欲求は憧れ、承認、つながり。
・幸福の本質は一体性。周りの人や自分の期待値の一致性。幸福とは解釈から生まれる。自分がどう思うか。
・タテ社会からヨコ社会へ(ネットワーク社会)
・人々の欲望が生存から、社会的欲求にシフトすると、お金で購入できなくなる。得るためには、お金でなく、時間が必要になる。

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2018年12月25日

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著者の修論を発展させた一冊とのこと。
ただ、経済学部の院だったら正直この内容では厳しいのではなかろうかと思った。
しかし情報学環の修士ということで納得。
図解による大雑把な分類は多分にコンサル的でわかりやすいが、本質を切り取っているとは限らない。
それは、既存の院であれば学術論文を書く際、一番はじめに指導されるところだが、軽やかに無視されている。
無論、それはこの本の内容が面白くないとかいう話ではないので、自分の指摘は本質的では無いといえば無いのだが、論の進め方が仮説を立ててはそれを検証していくという学術論文の体裁とは相容れないので、論文発表の席でも教授陣と議論が噛み合わないことが多々あったんじゃないかな、という気がした。
研究室内での発表会などでも、まわりは「この人はコンサル出身で自分で起業もしてその会社を売却もして、そういうすごい人だから」みたいな感じで遠目で取り巻いて、プレゼンも一方通行気味だったりしたかなーと。
著者は、自身の会社を売却した後、海外の大学も渡り歩いた末、自身の会社を買い戻しビジネスの現場に戻ってきたとのこと。
著者自身の自分探しの旅が一区切りついた中での著書で、なぜ学術の世界で居場所を見つけられなかったのかについての回答は、著者によっても説明が為されているが、それ以外にもあるということが、よく読むと分かるという意味でも面白い本。
理論と実践は違う、というのとも違う。強いて言うなら、学者と哲学者は違う、ということか。

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2018年09月05日

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仮想通貨は、2030年代くらいをピークにした短期的なもの。次に時間主義経済がやってくるってピンとこない。その考え方自体がよくわからないんだよね。

Facebookの仲間分けが終わって、次はそのコミュニティを支える仕組みや規範作りっていうのは分かる。福祉、教育、通貨のインフラ整備に入る。ここで必要なのは、異なる業界を結ぶ人。

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2018年08月13日

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将来的にはお金はなくなっていく。信用と信用でやり取りして社会が成立するようになる、だから信用を積み上げる行動が大事になる。

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2018年04月15日

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お金の教科書と書いてあるが
”教科書”といったかたさはない
また、お金といっているが
貨幣のことというわけでもないし
お金持ちになる方法や、節約方法が
書いてあるわけでもない

国が信頼を担保していた中央集権の貨幣経済から
個人が信頼を担保する世界に変わってきている
標準化、画一化、習慣化での経済発展から
多様化、個別化、肯定化という流れ
必需品の需要から承認欲求へ
といった、社会の変化について紹介してくれる

そして、貨幣から時間、そして信頼が
中心の経済へ という予測

これからの社会の変化について
知識をつけられる本としてとっつきやすくていい
(似たようなことをいっている本はほかにもあると思うが)

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2018年04月09日

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ネタバレ

嫁の妹から面白いよと紹介されて流し読みしたが、確かに面白い。お金に関する本だが、単なる経済の本とは違う。
ピカソが他の画家と違ってお金持ちだったのは、人との繋がりを大切にし、単に絵を描いて売るだけではなく、その絵のストーリーまで伝えて売ったというのが序盤では楽しかった。
中盤では、現代人は基本的な生存欲求(衣食住など)はたやすく満たされてしまう為に、その上の段階である承認欲求を求めているので、お金の使い道が変化しているというところが面白く感じた。
お金について考えているはずが、人間について考えさせられるところが、この本の面白さであった。

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2018年04月01日

Posted by ブクログ

いやぁ、20世紀に成功した先進国が、21世紀の経済に一番乗り遅れる、的なことを聞いたことがあるが、まさにx21世紀の経済はこうだ、と思わされることがたくさん書かれている。

まず、
そもそも「お金」とは何かから紐解いていく。

最後はお金の起源の話から、今世紀後半にかけてのお金の変遷まで、幅広く描く
仮想通貨に使われている記帳のブロックチェーン技術の日々の進歩を見ていると、お金を介在させない「時間主義経済」や「記帳主義経済」の可能性も無くはないな、と思える。

完全にそうなるのかどうかは、例えば「所有」という概念1つとっても、現在の既得権益からすると面白くないことがあるだろうし、国家権力が権威を持ち、それに伴う制度と相反することになるのではないか(そこに摩擦があるし、著者のいう「信用」をベースにした「人間をやめる」段階にほぼ全員がなるってのはちょっと今の政治状況を見ているとかなり難しい世代間の問題もある気がする。)

とは言うものの、理想の形も理解できるし、あとがきにも書かれているように、もはや資本主義とか社会主義って言う状況でも無いし、資本に対して抵抗して諦めモードに入っちゃうのでは無く、それを受け入れて(資本によって有機物を無機物にしながら)、その上で有機物を創造すると言うのは、これからの時代に本当に世界で生き残って行く上で非常に大切なことだと思う。

この本を読むと、正直、若干難しいところも出て来る。でも、それ以上に、得られるものが大きいのでは無いでしょうか。
一読の価値あり。

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2018年03月05日

Posted by ブクログ

お金に関する哲学書。
前半は新しい視点が得られて、わりと納得感あり。
後半の結論部分が、夢想に近いのでは、と感じました。
理想はわかりますけどね。そうそう格差は無くならないと思うのです。

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2018年02月24日

Posted by ブクログ

モノカネの資本経済、コト時間の時間経済、モノ信用の記帳経済そしてコト信用の信用経済へ。21世紀のビジネスは多様化、個別化、肯定化。プリーマーなのに(だから?)レベル高い。

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2018年01月02日

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2017年12月に発行されたこの本。
私が読んだ2022年には、2017年よりも、だいぶ世の中、経済の動きが変わってしまった気がする。
それでも、今のところ仮想通貨バブルは継続している。著者が話す仮想通貨の終焉はそのうちに訪れるのだろうか?

この本は、いわゆる「貯金だけじゃだめ、積立NISAで投信買いなさい」みたいな指南本ではない。
お金の歴史と、今後についての筆者の見解が書かれた本。興味深く読んだ。

著者は、将来的にお金はなくなり、信用がお金に取って代わる…と言う。
そうなると、税金はどうなるんだろう?お金以外で取り立てる事が可能なんだろうか?という疑問が湧いた。
もしかしたら、国家(税金を徴収する者)自体が破綻すると言う意味が込められているのだろうか。
「信用で飯を食う」というと、昔ながらのお中元お歳暮などの贈り物文化を思い出した。世話になってる、頼りにしてる、という意味合いで贈られるものは、その人の信用を表している気がする。
若い世代、特に都会暮らしの人の間では、お中元お歳暮文化は浸透してない。若い世代は、確かに衣服にお金をかけず、IKEAのコットントート持って、ユニクロでも良いという人も多いかもしれない。でも逆にお金かけたいところにお金をかける(推し活とか)。それに、若い人全員がカジュアルを好んでいるのではなく、若い人の中にも、良いスーツ着て良い車に乗ってこそ得られる羨望を求めてる、つまり、お金を必要としている人だって一定数存在する。
逆に、年配者や地方暮らしの人は、仕事で得た信用で次の仕事のお誘いがあったり、口コミやネットワークで広がっていく世界を生きていると思う。年配者や地方が時代の最先端とは思わないけど、筆者が言うところの将来の世界というのは、都会の若者より、地方の年配者の方が、当てはまっているような、信用が物を言う世界を生きているとも言えるのではないか?と思ったりしたよ。
将来=時代の最先端、と思いがちだけど、意外にも将来は、今で言う年配者や地方暮らしの文化的なところにシフトしていくのかな。

私は、お金!お金!の暮らしはしたくない。生きてくのに支障がなければ、余分なお金はなくて良いかなと思ってる。身軽に生きていたいのだ。
他方で、同級生の中では、タワマンに住んで外車乗って…をステータスに置いてる人もいる。
後者にとっての「信用」とは、つまり「お金」でしかないと思うのだ。
何がいいたいのかというと、「信用」とは、多様な意味を持つ。お金によって作られる信用もあるし、お金があるから得られる信用もある。
そういう多様な価値基準の中で、一律の価値をもつもの、一律の信用をもつものとして誕生したのが「お金」だ。
「信用」とは一義的なものではない以上、信用がお金に取って代わり、お金がなくなる、というのは、現実的に想像ができないな…と私は思った。

他方で、将来的にお金がなくなれば良いという筆者の考え方は、一定程度支持ができる。
お金がなくなれば、お金をめぐる様々な犯罪(振り込め詐欺とか、給付金詐欺とか)、そんなことにアイデアを出して頭使うなら、もっと社会貢献しようよって思うような犯罪が減るのではないか、と思うからだ。
そう考えると、本当に「お金」って罪な存在ですね。

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2022年06月20日

Posted by ブクログ

本書はお金の歴史を振り返るところから始まる。
驚いたのは、近年の研究ではお金の起源が、物々交換ではなく、信用と記帳のシステムであったと説明されているとのことだ。
(なんだが、「今は鎌倉幕府成立は1192年じゃないんだってね」と言われた気分。)
ヤップ島の巨石貨幣フェイは、持ち運ぶのではなく、そこに取引したものを刻み込んで記帳した。
これが貨幣の起源の一つだというのだ。
つまり、ビットコインのような形態が、すでに古代社会にあったということになる。

お金の「信用」を保証するのが、君主から国家に移り、やがて企業や個人になっていく。
このあたりは経済がグローバル化し、国家がすでにそれを統制できなくなっている現状、ビットコインをはじめとする仮想通貨が出てきた流れと符合する。
この十数年来、私たちが目にしてきたものだ。

しかし、筆者は、仮想通貨も過渡期の形態で、いずれはなくなると考えている。
その代わりになるのは、「時間通貨」なるものだという。
21世紀になり、人々は物質にではなく、承認に価値をおくようになった。
モノからコトへ、財の形態が変わり、人々が時間を資源として経済活動をするようになる、というのだ。
そして、記帳技術の発展で、やりとりにお金が不要になり、人々が求めるものでもある信用をツールに取引するようになる、ということらしい。
が、このあたりからが、若干飲み込みにくい。
こちらの頭が、現状のシステムに凝り固まっているせいもあるのだろうが。

筆者の、資本主義が貨幣の力で世の中のあらゆるものを文脈から切り離し、均質化したことへの批判意識は共感できる。
そのアンチテーゼとして、すべての人に与えられている時間を価値とすると考えたいのも、受け入れてみたい気もする。
(ただ、筆者の言うように時間がすべての人に平等に与えられているとは思えない。)
2017年の刊行時に本書を読んだなら、もっと共感したかもしれない。
でも、その後、パンデミックの世の中になった。
そして、ウクライナ侵攻を見ていると、人間の生存に物質が必要で、それを軽視することはできないことを再確認させられる。
筆者に言わせれば、それすら、一時的な揺り戻しなのか?
刑務所でタバコが通貨となるように、今のウクライナでも人々のつながりで経済が動いている、のか?

理想的な形で時間経済を享受できる人と、資本主義経済の世界に取り残される人に二極化していくのではないか、と考えるのはあまりにも悲観的すぎるのだろうか。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

「おかね」って一体何なのか、改めて問われると実はうまく定義できないし、今後、お金の役割や価値が変わるような予感もあり、勉強のために購読。著者が主張するお金の将来予測(時間主義、信頼主義)は、今ひとつ理解できない概念もあるが、持っているだけだと価値が増えない(むしろ減る)という取り組みは一部実現していて注目したい。もっとも感じ入ったのは「格差の本質的な問題は文脈の崩壊。単なる数字で判断したり比較することで格差が生まれるが、本質的にはそれぞれの事象に文化や文脈=価値があるはず」。これをよしとしている人間側の問題ということか。

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2020年09月14日

Posted by ブクログ

時間通貨について、著書は年齢とともに価値も変化するとあるが、若くても賢い人やユーチューブなどで稼げる人がいる一方、40〜50歳になっても親の脛をかじって引きこもってる人もいるため、年齢とともに成長という仮定は必ずしもイコールではない。

p.178
お金にうまく色をつけよう。とあるが、そもそもうまく色をつけるとはどういうことを指しているのか。また色をつけることにより、どんなメリットがあるのか不明。

・信用を作ることが大切で、その為には誠実さ・コミットメント・スキル・成果をあげること。また、利己心を抑えること。


途中から概念が飛び過ぎてややSFっぽく感じる。言わんとすることは分からなくもないが、二十一世紀として本当に起こりうることなのか。現実味がない。

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2019年12月29日

Posted by ブクログ

お金は信用を外部化したもの。うん分かる。そして汎用性があること。これも分かる。
信用さえあれば、紙幣や通貨の形である必要もない。敷衍して資本主義から信用主義へと移行すると予言する。どうかな。
信用を担保するものは何なのか。これがどうも著者の言い分に同意できない。でも未来のお金との付き合い方として「お金でお金を増やすのはやめよう」という提言には賛成だ。ここが現実には受け入れられないと思うけど。人は貪欲だし利他主義にはなれないよなぁ。

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2019年06月06日

Posted by ブクログ

そういう可能性もあるなと思いつつ、細かなところはよくわからない。信用を中国みたいにある企業や国家が数値化しだすのだろうか。信用と承認はそんなにイコールだろうか。

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2018年07月26日

Posted by ブクログ

昨今流行りでもある「ポスト資本主義の新しい時代の生き方」において、特に「お金」の捉え方について書かれた本。概ね主旨の方向性は他と同じだが、専門的というよりは、初心者にも分かりやすく広く浅くまとめられた内容。エピソードや図解はとっかかりやすいし、理解しやすい。
それと、ヒッピー的な思考に行き着くことなく、あくまで経済というシステム(資本主義のメリット)、事業の必要性はベースに置いている考え方。

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2018年04月17日

Posted by ブクログ

お金の歴史的な位置付けを振り返る本としては、スッキリした二軸で表されていたりで、わかりやすさの点で良書。
ただ、将来を見通す本としては信用主義経済や時間主義経済の分析は腹落ちしない。

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2018年01月22日

Posted by ブクログ

お金に関する話だけでなく、価値を創るとはどういうことか、とか、これまでとこれからのビジネスのあり方とか、今まではお金中心に回っていたことがどう変わっていくのか、が分かって面白かった。
信用やつながり、っていうキーワードはよく言われているけど、その基準というかベースそのものがこれから変わっていくのかな、と。
コミュニティデザインとかの分野で言われていることを、経済学の視点から書かれているような、そんなイメージの本だった。

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2018年01月13日

Posted by ブクログ

まず資源として投入するものの中心は健康(余裕)です。健康が時間を生み、時間が知識と信用、ネットワークを作ります。それを通して、財ができ財を継続的に生み出すしくみ、すなわち事業が創造されます。事業は可視化されたエネルギーであるお金を生みます。お金は予防医学や先端医療、食材や良好な人間関係という形で健康の資源となります。健康はミッション/パッションを生み、それは継続的な価値を産み出す仕組みである事業の源泉です。

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2017年12月11日

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