【感想・ネタバレ】いのちの使いかた【新版】のレビュー

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Posted by ブクログ

日本の未来に希望を抱けなさそうな、不安がよぎる本を買ったのでその不安を中和したくてこちらの本を手に取りました。

日野原先生のことは、地下鉄サリン事件の際の話で多分知ったと思います。
地下鉄サリン事件の時、自分たちで処理をし、乗客の犠牲を出さなかった駅の駅員、リン系の農薬を生産し続ける限り責任として赤字になっても解毒剤を生産し続けた住友化学、新幹線の各駅の停車のたびに在庫をかき集めたスズケン、の話と並んで胸が熱くなるエピソードです。
その人たちのような心意気を持って生きたいと密かに思っています。
利益だけを追求するのではなく道義的責任を大事にする。

この本を読んで、鬼滅の刃が頭に浮かびあがりました。
私がファン、という欲目があるからかもしれませんが、鬼滅の刃に描かれていることと、日野原さんが伝えてくださったことには共通するものがある気がします。

責務、使命という単語が出てくると、ただ単語繋がりというだけでなく煉獄さんや瑠火ママが思い出されましたし、P52からの章では鬼滅の最終巻、最後の方のコマに描かれていた「幸せの深さ」が呼び起こされました。
誰かの死を周囲が哀れ悲しんで惜しいだろうと思うのは違っているのではないか。
例え世間一般からして若く命が尽きたとしても、当の本人は命の花を咲かせ切って、本人の使命を尽くした、その受け止め方は心が一部分ですんなり理解できます。

ただ世の中では理不尽に命を奪われる被害もあるわけで。そこでそうやすやすと、その通りに納得できるわけもなく…とてもセンシティブなので私がどうこう言ったら、「じゃあお前は身内が殺されても文句言わないのか」となじられそう。
なぜそんな小さな言い争いのフィールドを生み出そうというのか。

前述した寿命の章の話と、理不尽な命の奪われは交差するところはあるかもしれないけれど後者は社会の責任もあると思って別物の考え方も必要ではないかと思う。
無差別殺人の事件が起きて、動機で仕事でうまくいかなかった/死刑になりたかったというのを見てニュースサイトの「勝手に死ねばいい」というようなどうしようもないコメントを見てつらい。
その段階を超えたい。そう思うのは『ケーキの切れない非行少年たち』を読んだからより強くそう思うのかもしれない。
そういった社会に絶望して他者に攻撃性が向いて実際に尊い命が奪われる事件が繰り返されるのをもう止めたい。
そういうとまた「じゃあお前は身内が殺されても(略」と言われそう不毛。

日野原先生の柔軟な思考に感服しました。
物忘れと思い込み、与えられた第二の人生、聖路加病院の運営、拡大などの展開。
持つことではなくあること。
偉人の格言や書物から得た知恵を今に繋げて思考し役立てているところ。
感銘を受けます。

自分の年齢がまだまだ若いと思えてきました。
それにこれから長く生きれば生きるほど新たに発見や気付きがあると思うと、知的好奇心が旺盛な私はワクワクしてきます。
ただ不安なのは、日野原先生のような表立って今の日本で思い浮かぶ道徳的な方がいないような気がしてしまっています。
私がネガティブなものに目がいきがちなせいもあるのか、いま日本で話題になるのは私利私欲に走る人、マナーも倫理観もへったくれもなく目立ったもん勝ちな人、そういった人たちが思い浮かびます。

でも、ハートフルなあとがきを書いてくださった方のように、日野原先生のエッセンスは受け継がれていて、この本を読んだ自分も日野原先生の恥じないよう少しでも行動していくことで何か変わっていくかな、世の中。

長く長くかかるかもしれない、長い目で見なくてはいけないかもしれない
諦めてはいけない。弧の一部分になり得るかもしれないですよね。うん。

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2021年11月02日

Posted by ブクログ

要所要所に哲学者など偉人の言葉があります。
これが身にしみます。著者のような人たちはよく勉強されているのでしょう。

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2018年02月09日

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