【感想・ネタバレ】シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理のレビュー

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Posted by ブクログ

面白かった!
読みやすく学び多い、会社員的に嬉しいコンセプトの本です。
ニュースで触れる米国の「極端さ」を、今後は一段深く観察できそう。

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2023年12月31日

Posted by ブクログ

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シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理 (NHK出版新書)
by 森本 あんり
それは、アメリカという国がさまざまな側面において、宗教という 鋳型 で作られているから

なぜいまポピュリズムがアメリカを席巻している

人びとは思い思いに書いたプラカードを掲げ、Dump Trump, Racist, Sexist, Anti-Gay!(人種差別・女性差別・同性愛差別のトランプを追い出せ!)と、調子を合わせてスローガンを叫んでいます。子どもも老人も、白人も黒人も、女性も男性も、家族連れも同性カップルも。歩道にいた人びとも「一緒に声を上げよう」と誘われて、次々に加わっていき、デモはどんどん膨らんでいきまし

もともと知性は権力と結びつきやすい性質をもっています。そしていったん結びつくと、それは自己を再生産するようになる。つまり、知性は固定化し、固定化すると堕落するのです。  トマ・ピケティの『 21 世紀の資本』( Le Capital au XXIe siècle)が日本でも評判となりましたが、この本が突きつけた問題も同じです。金持ちは金持ちを再生産する。上流階級は良い教育を受けて、その子どももまた良い学校に入る。すると、彼らもまた良い仕事について、良い収入を手にする。逆にそうでない者は、いつまでもチャンスがなくて浮かび上がれない。  こういう階級の固定化に腹を立てているのが、現在のアメリカなの

いつもそのたびに候補者から福音派の願いを 叶えてくれるかのようなリップサービスを受けながら、候補者が当選し、いざ政権を担当する段になると、ほとんど恩恵はなく、裏切られてばかりでした。  そんな彼らからすると、トランプは、確かに下品で乱暴ですが、心の内にあることと口から出てくる言葉が 甚だしく違っているということがない。それは政治家としてはまずいけれども、福音派から見ると、彼こそ「正直な人間だ」ということになるわけ

もしアメリカがこれまで「偉大」だったとしたら、それは国内だけでなく世界中に正義や人権や民主主義を普及するといった目的理念を掲げていたからです。その姿勢は、いつも独善的ではた迷惑だったかもしれません。 高邁 な理念の下には、 怜悧 な国益の計算もまた 潜んでいたことでしょう。  しかしそれでも、こうした大義名分があってこそ、アメリカのパワーとヘゲモニー(覇権)は曲がりなりにも国際的な認証を受けてきたのです。アメリカを「偉大」にしてきたのは、経済力や軍事力だけではない。それによって何を達成しようとしているのか、という目的の正統性でし

次章で詳しく考察するポピュリズムは、陰謀論と非常に相性がいい。アメリカは、ポピュリズム発祥の地でもあり

ポピュリズムのもつ熱情は、本質的には宗教的な熱情と同根

政治とは本来、妥協と調整の世界です。一方的な善の体現者もいなければ、一方的な悪の体現者もいませ

だからポピュリストの発言は、妥協を許さない「あれかこれか」の原理主義へと転化しやすいのです。   市井 の人びともこれを歓迎します。善悪二元論的な世界理解は、日頃抱いている不満や怒りを、たとえ争点とは事実上無関係であっても、そこに集約させてぶつけることができるから

つまり多数者といっても、全体ではなくあくまでも部分にすぎないのです。そして統治者もまた、全国民の代弁者ではありません。  部分が全体を僭称するとき、正統性は内側から 蝕まれてしまいます。そしてこの構図は、宗教において正統から異端が生ずるプロセスとまったく同じです。このことは終章でくわしくお話ししましょ

アメリカは、過去も現在も、一貫して「アメリカ・ファースト」だし、日本も一貫して「日本ファースト」です。たとえ他国への恩恵を強調して見せるとしても、その裏にはしたたかな国益の計算があり

一般に、「正統」というと、折目正しくきちんとしていて厳格なイメージですが、歴史をふりかえると、じつは正統はいい加減で大雑把です。逆に、異端となるのは、知的にもすぐれており、道徳的にも立派な人びとばかりです。  第2章で説明した「チャーチ」と「セクト」の区別を思い出してください。正統は「チャーチ」です。いわば、誰でも入れる寛容で大きなテニス部のようなものです。それに対して、異端は「セクト」です。入会資格も厳しく、明確な目的をもった精鋭部隊です。正統は言うならばデフォルト(初期値)で、異端はそれに対するアンチテーゼ

その先にあるのは、理念や目的を欠いた場当たり的なポピュリズムの支配です。会社で言えば、利益だけしか追求しないマネジメントということになるでしょ

人は、金儲けのためだけに働いているのではありません。自分が社会の役に立っている。尊敬される意義のある仕事をしている。そういう意識をもっている人は、志気も高く熱心に働くことができ、結局は会社全体の評価も

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2023年07月21日

Posted by ブクログ

『反知性主義』と『異端の時代』のエッセンスを凝縮した講義録。ポピュリズムの視点からみたトランプ、オバマ、サンダーズの共通性など、挙げられている事例も興味を惹く。森本氏の議論に関心のある人は、まずはこの本から手に取るのがよいと思う。

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2020年12月23日

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アメリカにおける政治と宗教、それから社会について、建国まで遡って解説した本。途中、アメリカ社会は自由意思を尊重し、その延長で意志の力を過信する傾向があるとの指摘があるが、これは「為せば成る」の日本と通じるものがあるのではないか?

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2018年02月04日

Posted by ブクログ

米国だけが 異質な理由。宗教史の観点からの解説。
現世での成功を持て囃し それを軸に国家を作ってきたこと、 その裏には繰り返される平等主義からの権威への挑戦がある。それが反権威主義となって繰り返される。
ひとつの軸

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2021年04月30日

Posted by ブクログ

アメリカを知るためには、アメリカ人の宗教観への理解を深めることが不可欠だと思う。
その意味で、この本はアメリカという国の本質を理解する上で、とても興味深い本だった。
アメリカの反知性主義を知ると、ヒラリーがトランプに負けたことにも合点がいくし、今年の選挙で民主党が勝つことも懐疑的になる。

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2020年02月15日

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反知性主義がなぜ発生するか、ポピュリズムとは何か、そして日本は何故、「半」知性主義なのか、筆者の言葉で一般読者向けに語られており、非常にわかりやすい。参考文献も豊富で、初学者には良いエントリーとなった。

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2018年07月15日

Posted by ブクログ

アメリカは「敗けを理解できない」というのは、私も感じていたが、それは戦争の歴史だけでなく、宗教の歴史からも説明できるんですね。
アメリカだけでなく、世界的に「異端」の種が蔓延している中、良く考えて、慎重に、世の中を見ていく必要がありますね。

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2018年03月03日

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おもしろかった!
「宗教は、ウィルスが宿主の中で適合して亜種を生み出すように、その土地に適応して変化する。」

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2018年01月16日

Posted by ブクログ

アメリカは言わずと知れた超大国で、芸術も音楽もスポーツも優れたものがいくらもあります。
ノーベル賞の受賞数だって300以上あり、2位のイギリスの3倍と圧倒しています。
それなのに、大統領選となると、稀に頭がちょっとアレで思慮に欠ける人を選んでしまうのは何故だろうと、これは長年の素朴な疑問でした。
うまでもなく、直近ではトランプさんですが、少し遡ってブッシュさん(特にジュニア)、かなり遡ってアイゼンハワーさんも結構なアレだったと物の本で読んだことがあります。
中でもトランプさんなんて、我が邦のどこの村にも1人はいる、尊大で金持ちの保守オヤジと大差ないですもんね。
個人的には、こういうタイプの人は愉快で気を遣わなくて済むので好きですが、国のトップとしては果たしていかがなものかと…。
で、私の長年の疑問に答えてくれそうな本が、読みやすい新書で書店に並んでいたので購入した次第。
森本あんりさんなら信頼できますしね。
結論から言うと、トランプさんみたいな人が大統領に選ばれるのは、ある種の宿命だということ。
日本では、一代で成功した成り上がり者やにわか成金には、どこか冷ややかな視線が注がれますが、アメリカでは「アメリカンドリームの体現者」として尊敬されます。
トランプさんもその価値観で評価されています。
では、その背景に何があるのかというと、キリスト教がアメリカに土着する中で生まれた「富と成功」の福音があるというのです。
三段論法で言うと、①神は、従う者には恵みを与え、背く者には罰を与える②ところで、自分は成功し、恵まれている③だから神は自分を是認している。自分は正しいのだ。―というわけです。
何だか無茶苦茶な論法ですが、アメリカでは自然と受け入れられているようです。
さらに、森本先生お得意の「反知性主義」がアメリカ社会に広く浸透していることも大きい。
反知性主義とは、知性そのものを蔑視する態度ではありません。
知性と権力の結びつきが固定化することへの反発です。
つまり有名大学を卒業したエリートだけが重用される社会に敵愾心を持っているのですね。
有り体に言えば、「エスタブリッシュメントはいけ好かねぇ」というわけです。
その背景には、ハーバード大卒の牧師が幅を利かせていた時代に、ろくに学歴もない巡回説教師が各地で説教し、大衆の支持を集めたことがあります。
説教師によっては圧倒的なパフォーマンスで大衆を熱狂させたそうで、その様は今の大統領選の熱狂ぶりにも通じるものだと、森本先生は分析しています。
トランプさんみたいな人が支持される素地が、アメリカには十分にあるわけですね。
さて、トランプさんの率いるアメリカと同盟国である我が邦の政権の担い手は、安倍さんをはじめ大半が2世、3世のエスタブリッシュメントです。
そんなことも頭の片隅に置きながら、アメリカとの付き合い方を考えていくといいかもしれませんね。

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2018年01月08日

Posted by ブクログ

宗教と社会の一般的関係を考えたくて、手に取りました(日常的に思考の基本的枠組みを提供している、ということなのかなと思いました)。土着化したキリスト教という所が面白かったです。アメリカについて、少し変わった視点から眺めることができました。

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2020年12月31日

Posted by ブクログ

トランプ大統領を誕生させたアメリカの背景を述べた本であるといえる。
アメリカンドリームと結びついて、キリスト教は土着化し、自分が努力さえすれば神が祝福し成功するという考えを生み出した。これは、プラグマティズム、アメリカの幸福と正当性を約束する幸福の神議論、反知性主義、自由意志力への崇拝などとつながっている。
上記の要因が絡み合って、エリート政治家よりたたき上げのトランプを自分たちのトップに選んだのだ。
詳しくは、この本を読んでもらいたいが、最後の章は白けるなあ。とってつけたような章であるよ。

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2019年10月17日

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