【感想・ネタバレ】自動運転で伸びる業界 消える業界のレビュー

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Posted by ブクログ

現在、急速に進行している「所有から利用、モノからサービス」をいくつものレイヤーから構成される「複層的な価値形成」と定義して、自動運転を支える様々な技術の解説から自動運転が既存の自動車産業や関連する他の産業にどのように変化をもたらすかを考察します。
エレベータで低層と高層の価値が逆転した話が特に興味深く読めました。地方では駐車場の必要性から、駅前の商店街の価値が低下して、広い駐車場が確保できる、ロードサイド(郊外)の価値が高くなって、間延びした街が形成されています。また、東京のような都会では、まだまだ駅近に価値があります。それらが、自動運転で駐車場が不要になると、街の形態がどのように変化するのか、これからのビジネスや生活を考える上で、とても興味が尽きないところです。

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2017年10月15日

Posted by ブクログ

自動車部品業界に勤務していますので、自動運転がいつごろ実現するのか、また自動運転は人間が行う運転と比べて何がどう変わるのか、特に自動車部品に与える影響についてとても興味があります。

特に私が社会人になってからの30年は、私の取り扱っている部品(潤滑油)の高機能化・性能化・耐久性向上が開発のテーマであったといっても過言ではありません。この本では自動運転が進むことで影響が受ける業界を、二つに分けて、伸びる業界と消える業界に分けて解説しています。

オートフォーカス・フィルム自動巻き上げのカメラができて、特定の技術は不要になりましたが、今でも多くの人が写真を撮ることは続けています、カメラで撮ることは激減しましたが。以前は「写真を撮ること」と「カメラを使う」ことは同じことでしたが、近い将来に「好きなところへ移動すること」と「自動車を運転すること」は異なる、もしくは一部の人たちのものになる可能性になることを、この本で感じることができました。

自動運転も、最終的には一般道も車庫入れも完全自動できるのかもしれませんが、当分は人間がメインもしくはアシストすることになると思います。その時期がどのように変遷していくか、今後の動きを注意深く見ていきたいと思いました。

以下は気になったポイントです。

・本書の狙いは、将来を当てることにあるのではない、本書が描き出す将来像の中に必ずしも読書の携わる産業にとって好ましくない未来もあるだろう、そんなとき、その将来を回避するにはどうすればいいのか、自社に都合のいい未来を招来するには何をすべきかを考えていただきたい。未来は変えることができる。未来は、いわば「こういう未来にしたい」という意思の集合体である、起こるがままに未来に身を任せていたら、それは誰かにとって都合のいい未来になる公算が大きい(はじめに)

・「モノ」に「ソフトウェア」や「ネットワーク」といった様々な要素を組み合わせることで「モノ」だけでは実現できない価値を実現する「複層的な価値形成」がこれからの大きな変換である、音楽配信サービス「Spotify」、動画配信サービス「Netflix」といったストリーミング配信サービスがある、リコメンド機能が高い支持を得ている(p13、p18、20、26)

・スマートフォンの登場は、携帯電話機の定義から、個人のコミュニケーションのやり方、買い物スタイル、チケットの予約など、我々の生活様式そのものまで変えてしまった(p15)

・スマートフォンの登場は、その周辺に様々な産業・市場を作り出した、これと同様のことが、自動車産業でも起こるのは確実である(p16)

・Itune Sroreは、音楽映像市場に二つの画期的な変化を起こした、1)音楽が形のないデータとして流通するようになった、2)欲しい曲だけ購入できるようにした(p17)

・ロールスロイスは、ジェットエンジンを販売するという「モノの販売」から、「空を飛ぶための手段を提供、利用時間に応じて課金する」という「サービスの販売」にビジネスモデルを転換した(p24)

・すべての「モノ」が「モノ+ネット」に変わり、新たな価値を生み出そうとしている動きこそが、現在「IoT」と呼ばれているものの本質である(p33)

・ウーバーでは、顧客がドライバーを評価するだけではなく、ドライバーもまた顧客を評価して、その結果が公開されている。ソフトウェアとネットワークを組み合わせることで、ドライバーの質が確保され、目的に応じた車種選択ができ、既存タクシーより低料金で利用可能となる(p38、40)

・ウーバーのようなサービスを無人車両で実現できれば、人件費がいらない分、サービス料金を大幅に引き下げられるはず。こうした車両は「無人タクシー」といえる(p47)

・諸経費込で250万円の車を購入した場合、一キロ走るのにかかるコストは91円(年間1万キロ走行)、これが年間5000キロなら、170円程度である(p57)

・車の私有が維持されるかどうかで保有台数は大きく変わる、私有が維持される場合は、1-8%減少、大幅に減る想定では、46-59%減少(p65)

・電動化による変化、1)年間の走行距離が現在の有人タクシー並みになれば、部品には現在以上に高い信頼性・耐久性が要求されるだろう、2)車両の多くがEVとなる、燃費がエンジン車の1/4、ハイブリット車の半分、3)車が生産財に変わり、これまで以上に少量多品種生産への対応が求められる(p74)

・自動運転化は、まず先進国から、ブロードバンドの無線ネットワークが不可欠であるから(p77)

・車の所有の中心が私有であり続けるか、それともモビリティサービスの提供者が中心になるかで、今後の車の保有台数が大きく左右される(p81)

・グーグルはクルマというハードウェアも無料で提供し、できるだけ多くのユーザーにグーグルが提供するサービスを利用してもらうことを究極的には目指すことになる。これは完成車メーカにとって悪夢である(p83)

・ダイムラーがモーターショーで発表した「ジェネレーションEQ」は、前輪と後輪をそれぞれ独立したモーターで駆動する4輪駆動車である(p90)

・自動運転車のハードウエアだけではなく、自動運転ソフトウェア、ネットワーク、サービスまでカバーできる実力を備えているのは、1000万台クラブの4グループ(VW、トヨタ、GM、ルノー日産)だけだろう(p93)

・無人タクシーへの移行が進むのは先進国のみ、新興国では2040年まで見通しても従来車が主流であろう(p94)

・EVではエンジン関連部品がコストに占める比率は、大幅に低下し、変わってEVの性能を左右する「モーター」「インバーター」「電池」が重要な部品となるだろう(p97)

・多品種少量生産に対応するには、プレス成形・鋳造・樹脂射出成形といった大量生産技術ではなく、3Dプリンターのような新しい製造技術を磨くことが必要だろう数千台、規模であればこちらのほうがコストが低い(p100、102)

・自動運転で必要な半導体は、1)FPGA、2)GPU、3)ASSPが、本命争いをしている(p104)
・自動運転用センサーで必須とされているのが、カメラ・ミリ波レーダー・レーザーレーダー(LiDAR)である(p106)

・トラックへの自動運転の導入は乗用車よりも遅れる見通し、システム信頼性の面で、乗用車よりも高い水準が要求される、物流センター間から導入され、当面の間は人間ドライバーがいなくなることはないだろう(p113)

・日本ではドライバーの保険等級が、異なる保険会社に乗り換えても引き継がれるという世界的に見ても特異な制度が普及している(p120)

・充電方式では、非接触充電が主流だろう、地面に埋め込んだ送電コイルからEVの床面に取り付けた受電コイルへと電極同士を接触させることなく電力を送り込む技術である(p123)

・初期のエレベータは、かごを吊っているロープの切断による落下の危険性があった、ロープが切れると自動的に停止するブレーキが発明され安全性向上、動力は電動化、ボタンを押せば自動的に目的階に連れて行ってもらえるようになった。内燃機関の車に自動ブレーキ装備、パワートレインが電動化、さらには自動運転になるという流れは、まるでエレベーターの進化の軌跡を見ているようだ(p138)

・ダイムラーは2020年までに高速道路での自動運転、2025年までに公道・一般道で自動運転、またトラックでも2025には隊列走行(先頭のみドライバーが乗り、2、3台目は自動的に追従走行)機能を搭載したトラックの市場投入を計画している(p147)

・グーグル自身は自動運転車を製造することには興味がなく、スマートフォンと同様に、自動運転ソフトウェアを完成車メーカに提供し、代わりに情報を獲得する、というビジネスモデルを展開することを想定している(p184)

・スマートフォンの主要価値が「通話の音量」ではなくなったように、車の評価軸の中心も、近い将来に「運転の楽しさ」でなくなる可能性が高い。現在の若者の「車離れ」と呼ばれる現象を見るにつけ、その感を強くする(おわりに)

2018年3月4日作成

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2018年03月04日

Posted by ブクログ

自動運転で変わる産業全体をまとめています。
ニュースや記事で聞いたことおる内容がほとんどでした。
伸びる業界はよくわかりましたが消える業界は結局よくわかりませんでした。

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2018年12月30日

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