【感想・ネタバレ】夜叉萬同心 親子坂のレビュー

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親の敵討ちをする三姉妹

六百石の旗本、疋田家に仕えていた河野佐治兵衛は、10年前、疋田豪軒の息子、籐軒の供をして柳橋の書画会に出掛けた折、船宿の澤田屋で籐軒が若衆を斬り殺す事件を起こした。
佐治兵衛は、籐軒の身代わりとして奉行所に出頭して八丈遠島の刑を受けた。
そして御赦免により、10年経った今、江戸に戻ってきた。戻ってみると妻は労咳で病死していて、三人の娘で長女の椿は吉原の花魁に身を落としていた。
佐治兵衛と疋田家との約束では、刑を受けた後も、河野の禄高は保障され、不自由無い生活が送れたはずだったが、実際は刑の宣告を受けた直後に破られていたのであった。佐治兵衛はこの違いに抗議するために、籐軒こと現在は大垣藩江戸上屋敷、留守居役、根津籐軒に日々通うのである。しかし、佐治兵衛は籐軒に邪魔者扱いにされてしまい、彼の悪ガキ時代の仲間の浪人に殺されてしまう。
そこで、佐治兵衛の娘三人が父の敵を討つために立ち上がるのである。
萬七蔵は、彼の探索で様々な事実が証されて、三姉妹の敵討ちに正当性を加えるのであるが、あくまで彼は脇役である。三人姉妹は見事に敵討ちを成し遂げた。江戸の町に明るい話題をわき起こしたのである。
物語の筋書きはこんなものだが、吉原の風景や花魁の豪華な衣装、きらびやかな部屋の様子などが物語に細かく紡がれていて、とてもきれいである。柳橋の花街の情景では、江戸節と言われる長唄や常磐津が流れる風情に、物語を読んでいて癒やされる。また、敵討ちの場面では、見事な殺陣が見られてとても鮮やかである。読んでいて飽きない物語だ。
それにしても、幕藩政治のがたつきようにはあきれ果てる。特に武士階級の不祥事が多いのには、時代の末期症状が出始めているのかもしれない。大変残念な事だ。

#感動する #カッコいい

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2023年07月14日

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