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Posted by ブクログ
遺作「ジャッカ・ドフニ」を読み終えたところであったため、アイヌ世界を描いた遺作の執筆動機が垣間見られる「アイヌ叙事詩翻訳事情」は、理解を深める上で重要なエッセイだと思えた。
マオリ、アイヌ、ブルターニュなど、少数民族言語の現在地点をめぐるエッセイ集ともとれる。東京で生まれ育った津島佑子にとって、周縁から中央を見る視点というものが重要な意味を持ったことが、本書を読むと理解できる。
巻頭の一章は、盟友であった中上健次を追悼する内容。中上は周知のとおり、日本を熊野という周縁から見つめた作家であるが、その中上文学への、おもねらない率直な限界の指摘もあり、興味深い内容。