感情タグBEST3
Posted by ブクログ
作者の作品は初めて読んだがすごいSFだ
宇宙最強の銃「禅銃」と退廃する銀河帝国の崩壊という話ではなく
後退理論などの小道具が素敵
ファンタジー小説としては楽しみにくいが
そうあるべく書かれた話でないから仕方がない
Posted by ブクログ
ワイドスクリーン・バロックなる術語はブライアン・オールディスがそのSF史書『十億年の宴』でチャールズ・L・ハーネスの作品を評して作り出した言葉だが、件のハーネスがほとんど訳されないまま、この術語が日本では一人歩きして、やれこれはWSBだ、いやそうじゃない、といったことになっている。
ここでオールディスがバロックという言葉を使ったところがミソで、17世紀の芸術をロココの時代の人々が、悪趣味、品がない、装飾過多、複雑で難解、節度がないと腐したのがバロックなる言葉なのだ。
で、ワイドスクリーンのほうは、地球から事象の地平線まで、宇宙開闢から終焉まで、とにかく大広敷を広げたといった意味で、大長編や連作でワイドスクリーンな世界を緻密に構成していくのではなく、1冊で一気に宇宙の果て、時間の果てまでいてしまうほうがWSBらしい。などとWSBの定義を述べ出すと収拾が付かなくなる。
とはいえ、これがWSBといわれる作品はいくつかあって、この『禅銃』もそうである。
まず登場するのが、銀河帝国宇宙軍の提督アーチャー。彼の副官がミニサイズの象。もうこの辺りからずっこけているのがよろしい。彼は年貢を納めない惑星を懲らしめに来ているのだ。年貢とは何かというと、芸術的才能を持った人間たち。彼らを帝国中心に連れて行くのが使命。というのも出生率の低下で、人間が少なくなり、動物の知能を高めて、二級市民にしているのだが、動物には創造性がないので、創造的な人間は辺境から搾取してこないと、帝国の芸術的水準が維持できないという、大変頽廃した帝国なのだ。コードウェイナー・スミスみたいな設定だが、あんな華麗さはなくて、まるで動物農場。人間の兵士も人材難で幼児が砲塔を操っている。
さてスケールがでかいWSBでは、個人など消し飛んで主人公もはっきりしないが、重要な登場人物の一人が〈小姓〉池松八紘、伝説の戦士、もののふである。といっても彼は全身に火器を装備したガンダムみたいな出で立ちだ。そして、禅銃は木製のちっぽけな銃だが、どうやら詫び寂びを極めた〈小姓〉にしか十全には扱えないらしい。禅銃の力は最後になって明かされる。
他方、禅銃の機能は本書のトンデモ宇宙論と関係している。つまり宇宙の粒子間には引力ではなく斥力が働いているという理論である。2つの粒子が一見引き合っているのは、宇宙の他のすべての粒子から押されているからだというのである。等々のアイディアを投入し、帝国の覇権、銀河帝国の興亡などが、伏線をあやなして、あれよあれよと話は終わる。最近の分厚いスペースオペラよ、反省せよとばかりに。
Posted by ブクログ
タイトルとか背表紙の粗筋とか、スケールデカそうな予感がするけど、全然そんなことなくて身構えて読み始めたら肩すかし。でも、スゲー面白かったよ。宇宙船同士の艦隊戦もあるし、別次元の知性体もいるし、超兵器も超人も出てくるし、そうやっていろいろ詰まってるわりにはどれもあっさり描いちゃってて展開がスピーディー。気軽にSF読みたいときにはおすすめ。