【感想・ネタバレ】コードネーム・ヴェリティのレビュー

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Posted by ブクログ

それぞれの心の動きを重視する的な物語として、凄い魅力がある。そちら専門方面から大々的に取り上げられたらイラッとしそうだけど、究極の百合と言えばそう。
けどそこで起こってることは存分に議論すべき事柄で、うーん、実際この中で議論や教訓は掲示されないんだけど。こうやって心的に惹きつけられないと、考えるべき題材として熱を持てないなあと。カズオイシグロの、わたしを離さないでと、凄いのタイプが同じ。って思った。

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2020年02月10日

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2 続いて、「ベルリンは晴れているか」の深緑先生がおすすめされていたこちらを。時は同じく第二次大戦末期。ナチスに捕らえられ、情報を書き記すことで尋問を逃れた特殊部隊所属のクイーニー。ところが手記は小説の体裁を取り、親友のマディとの出会いやこれまでの歩みを克明に記したものだった……というのが第一部。
第二部はマディ視点で、クイーニーを救出すべくレジスタンスと活動をともにするうち、真実(=ヴェリティ)が明かされるという構成。
イギリス補助航空部隊(ATA)とピーターパンを絡めたお話は過去に同人誌で読んだことがあったので、不思議な縁に首を捻ったものです(もちろん作者さんにはこちらも勧めました)。
聡明なクイーニーと、勇敢なマディ。ふたりの友情を無惨に引き裂いた戦争に憤りつつ、それをどこにぶつけてよいのかと持て余しているうちに号泣に変わる巧みな構成で、言葉を失います。「尊い」ってこういうことを言うんじゃないのかな……

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2019年01月09日

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第1部が三人称視点なので、読み進めるまでに時間がかかった。2部を読んだ後1部を読み返すと、あちこちに伏線があったことが分かる。最終的に彼女にとって望む結末を迎えたのではないかと思った。

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2019年01月05日

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しっかりとした読み応えがある。
謎や意外性はないけど、戦争と女性と決断の手触りがはっきりとある。
子ども向けと思わず、大人の小説として味わうべき作品。

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2022年12月31日

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女性2人の永遠の友情が描かれる戦争作品。

第一部はクイーニーの手記。親友マディのことを綴っているけど、クイーニーが捕えられている極限状態のせいか、文章も読みにくい。(あえて彼女は読みにくくしているのかもしれないけど。)
読みにくいと思いつつ、がんばって読み進めるしかない。
洋書だから読みにくいというより、そういう話なんだろうな。

第二部のマディの手記のほうが読みやすく、第一部の疑問を解消してくれる。
第一部よりジェットコースターに乗っているような疾走感のある第二部。

後書きを呼んで驚いたが、児童書、、、?!
内容を理解できるのか、と、刺激が強くないか?という疑問がある。私的には大人の作品かと。

柚木麻子さんが推薦していたため購読してみたが、納得のガールミーツガール小説。

キスして、ハーディ!
キスして、いますぐ!

ありがとうジュリー、マディ。

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2022年06月28日

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ネタバレ

第二次世界大戦を舞台に二人の少女の友情と成長と愛の物語が2部構成で展開する。
1部あっての2部でのマディの行動の切実さ、そして2部を読んで新たに嚙みしめるクイーニーの深い愛と経略が浮かび上がってくる。
二人の少女の成長物語であってほしかったが戦争がそれを阻む。拷問シーンなどの場面になるたび、戦争の持つ計り知れない闇を思ってゾッとした。

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2022年06月09日

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ヴェリティ=真実、
記録された歴史の裏にある人々の思いこそ、戦争の真実である。

「スパイと飛行士」ふたりの女性。
ドイツ占領下のフランス。

作者のあとがきでは「マディとジュディーは私の空想から生まれたフィクション、舞台の都市名もその他の登場人物も架空、でも、一つ一つのエピソードは真実」と、さまざまな文献等から探り当てて織り込んだことがらに、この物語にかける熱量が伝わる。
そのすさまじさにより、男の戦場には表されない現実の戦争の残酷さを、まざまざと見せつけてくれる。

二人の主人公の語りの世界
第一部、とらわれたスパイのゲシュタポのための手記に描かれた“小説のような”独白は、いつまでも溺れていて出口のない夢のようなできごとに、奇妙な感覚を覚える。
一転して、第二部では占領下のフランスでのレジスタンス活動の緊迫感が押し寄せ、夢を見ている暇はない。

そして、二つの物語が出会い、
一瞬の笑顔と叫び声「キスして、ハーディー、今すぐに!」……。

言葉にならない……。

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2021年12月06日

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読み応えのある話だった。もう少しミステリー要素があるものかと思っていたけど、戦争を舞台とした登場人物たちのライフストーリーの様な感じだった。

最後の手紙で全てが救われた気がした。

ただ、この時代の背景を理解していないと難しい箇所があるかも。

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2020年11月01日

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ネタバレ

とても哀しい友情小説である。

この本はミステリーとして紹介されることが多いようだ。確かに謎に満ちた第1部の手記を第2部の手記で伏線回収していく手法は、ミステリー小説として一級品だとも思う。

しかし、ミステリーの醍醐味である「謎が解明してすっきり」とはいかないのである。謎の解明は哀しさにつながり、二人の主人公の友情は美しいのに、その再開は悲劇なのである。

あとがきによると、出版された際は、ヤングアダルトだったらしいが、この小説をティーンエイジ対象にするという辺りが、反戦に対する断固たる姿勢にうつる。

戦争は悲劇、武力や暴力による争いは絶対にアカンのだ、ということ。
人間は、ここまで優しく温かい反面、ここまで冷徹に残酷になれるんだということ。

連合国だから正義、ナチスだから悪人…と単純に割り切れるものではなく、どこに所属していても人間は二面性をもち、正義のためだと言い訳をもてば、どんなひどいこともしてしまいがちだということ。肝に銘じておこう。

正義の名のもとに鉄槌をふるうより、嘘でもエエ人間を演じようとする偽善者の方に、俺はなろうと思う。

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2020年05月04日

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本書は二部構成で、どちらも手記のような体裁で話が展開する。第一部の最初は誰が語っているのか分からず、我慢の読書となる。ゲシュタポに捕まったスパイのクイーニーが秘密を書くように強制され、しかも二週間でやれという。二週間後は想像できる悲惨が待っている。第二部は、クイーニーをフランスまで飛ばした女性飛行士のマディの語りとなる。こちらも手記のような体裁となる。二人は違う場所にいながら、相手を信じて書き続ける。衝撃なのは、マディとクイーニーの再会シーンだ。究極の信頼関係を築いているかのように、クイーニーの望みを叶える。自分にはこれはできない。相手のためを思っても。で、このような物語が実は大人向け小説ではなく、YA(ヤングアダルト)だと聞いて驚く。

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2019年07月10日

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 第2次世界大戦中に、ドイツのとある場所にイギリスからのスパイの女性が囚われる。彼女は激しい拷問のうえ、暗号を伝え、さらにイギリスのことを書き記すように紙を与えられる。
 彼女はそこにマディと呼ばれる女性飛行士の物語を3人称で語り始める。1週間という期限内に書くこと。その間は生きられることが保証される。しかしながら、彼女の状況は過酷であり、最後まで書き進めることができるか非常にあやうい。

 彼女の手記と彼女の状況が挿入されるのが1部、そして2部と読みすすむと、なんというか、奇跡だなぁと思う。実にフィクションだ。
 物語の中で彼女らが生きていたこと。戦争という非日常の世界で日常があったことを考えさせられる。
 しかし、実に魅力的なヒロインらだ。

 正直、1部は読みつらくなかなか読み進めにくい、けれども2部に入ると一気に読みやすくなる。そして読み終えると1部から読み返したくなる。そんな物語。

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2017年08月16日

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第二次世界大戦中、イギリス特殊作戦執行部員の女性スパイがナチスに捕虜となった。彼女はイギリスに関する情報を手記とすることを強要される。
その手記には親友であるマディのことが丁寧に綴られていた。

こういう物語で、前半は彼女の記した手記がつづく。
何故彼女は、手記を小説のような形にしたのか。

わたしは戦争の特にナチスを扱ったものは見つけたら読むほうなので、今回作品の存在を知って、読みたくて堪らなかった。

この作品では、手記の部分が大変長い。また、手記に挿まれるように捕虜としての生活を窺わせる内容も記されている。
長い手記が、全て真実なのか空想なのかわからないまま読み進めていく。そのためなんとも心許ないまま物語は進む。

長い手記のあと二部が始まり、物語の全貌が見えてくる。
そうなると彼女がどんな思いでこの手記を綴っていたのかと思い、物語の途中であるのに手記を読み返したくなる。
最後まで読むと、勿論手記のはじめから読み返してしまう。

物語が非常に丁寧に綴られており、情景が目に浮かぶようだ。そこは素晴らしい。
ただ、この作家の文章自体なのか翻訳の文章のためか、わたしには手記の部分が少し読みにくい。文章のリズムが合わないというか、単純に好みの問題だとは思う。
それでも、戦争でなければ出会うこともなかったふたりが友情を深めていく様が、とても上手く描かれていた。静かに心が通いあい、互いを大切に思いやる様子が心に沁みてくる。

手記の終わり辺りから二部にかけては展開も良く、見えていなかった部分が見えてくるため一気に読みやすくなる。

戦争中に出会ったふたりの女性の友情が、とてもあたたかいものを残す。
第二次世界大戦とナチスを扱っているが、ナチスとドイツ国民やユダヤ人という構図ではなく、ドイツと敵対するイギリス、ナチスとイギリス軍という物語であり、ナチスを扱う作戦の中ではやや珍しいかもしれない。

戦争を扱うため、それなりに残酷な描写はあるが、そこが中心ではないため、そういう描写の苦手なかたでも問題なく愉しめる。
青少年向きの作品をよく書かれているようだが、大人が読んでも十分読み応えがある。

この作品は著者の日本語訳されたはじめての作品らしい。
この作品の次にも同じ頃を舞台にした作品を書いておられるらしく、そちらも是非読んでみたい。

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2017年04月07日

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一部と二部に分かれており、一部はちょっと読みにくかったかなーと。
二部は読みやすく、一部での謎というか、いろいろ種明かしされてよかった。
つらいなー、戦争はつらい。

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2022年10月19日

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友人に薦められて読んだが、シンプルに面白かった。

前半は歴史の知識がないせいか読みにくいところもあったが、第二部で伏線回収、真実が明らかになるにつれ、戦争という過酷な状況にのまれていくふたりの女性の強さや絆の深さに感動した。

真実を知った上でもう一度読み直してみたい。



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2022年04月14日

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読み進めながら一部と二部も何度も行き来してしまいました。でもミステリーというよりも悲しい戦争小説、そして美しい青春小説でした。
同著者の『ローズ・アンダーファイア』も購入してあるのでそちらも楽しみです。

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2020年03月03日

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普通に面白かった。その言葉が1番しっくり来るだろうか。

舌を巻く味の濃いメインディッシュでも、贅を尽くしたデザートでもない、お口直しのシャーベットのような作品。 シンプルだけど不思議と心に残るのだ。 訳者の訳しわけが見事で、これまた静かな感動に一躍買っている。

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2019年03月20日

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なかなか評価の難しい小説。
第二次大戦時のイギリス。偶然巡り合った二人の若い女性。一人はパイロット、もう一人はスパイ。
物語はナチス占領下のフランスでナチスの捕虜となってしまったスパイの女性が、拷問の末の、情報提供として書き始めた小説形式の独白として描かれる。
これが第1部。
第2部はパイロットの女性の視点で描かれる捕虜になった女性を救出するための話。
当然ながらこの第1部の奇妙な小説が第2部の展開の伏線となり、話は展開していく。
なぜ評価が難しいかというと、第1部が結構長いのだ。若い二人の女性の青春記みたいな感じもあるが、それでも長い。
第2部で伏線など回収されていくが、そこまで第1部が長くなくてもと思う。はっきり言って第1部は途中から単調に感じてしまう。
一方で解説を読んで知ったのは、これがヤングアダルト小説、つまり10代など若者向けの小説として書かれて、ヒットしたということ。
米国の書評では、若者だけでなく、万人にとっても面白い作品とあるが、まさにその通りで、主人公の二人が若いという事を除けば、ナチスの捕虜となった女性の独白や、第二次大戦のイギリスの女性パイロットの話が、どうしてヤングアダルト小説なのか、よくわからないのだ。
ただ想像するに、これは第二次大戦をアメリカとの大平洋戦争と捉えるのが普通の日本人と、連合国対ナチスドイツの戦いと捉える欧米人との感覚の違いかもしれない。
でも、気になる作品であることは確かで、次作も読んでみたいと感じる。

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2018年11月10日

Posted by ブクログ

悲しい。でも読むのを止められなかったです。
ナチスに捕らわれたジュリーが、拷問の末に書かされるようになった手記は、親友マディの日々でした。
ジュリーとマディの、戦時下でも害われない友情と、それを読んできてからの、第二部の「キスして、ハーディ!キスして、いますぐ!」が泣けました。
戦争さえ無ければ…と思うシーンがたくさんあって、もうこんな世界にしてはならないという思いを改めて感じました。

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2018年09月19日

Posted by ブクログ

さまざまな謎が第一部の手記、驚愕の事実が判明する第二部の手記。そして慟哭の結末、という内容紹介。
ナチス占領下のフランスで捕虜になった若い女性スパイとその親友の女性飛行士が主人公だが、第一部の謎というのが、どこが謎でどこがカギなのか私にはわかりにくかった。第二部でこういうことか、とうなづけるところもあったが、第一部を三人称にした意味がどうもよく理解できないままだ。
だからと言ってこの作品の価値を否定するつもりは毛頭ない、ないのだが。
ヤングアダルト向けに書かれたそうだが、十分に読みごたえはある。
ハッピーエンドにせず、二人が自分に課せられた使命を担って逃げない、その雄々しさに胸が詰まる。
ただ、二人の少女、と言えばキャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』をつい思い出し。戦争ものではないのだが、驚愕と慟哭ではこちらに軍配を挙げてしまう。

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2018年09月13日

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ネタバレ

前半読みにくくてちょっと読み進めるの大変だったけど(暗号化されてるからなおさらなのか)2部のキティホークの章は読みやすくなった。エンゲルに驚いた。みんな分からない。一体誰が敵で誰が味方なのか…
夜と霧という言葉が何度も出てきたが、かの有名な夜と霧のタイトルはここからなのか?

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2018年01月29日

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第二次大戦中、女性パイロットのマディと女性無線技士のクイーニーは親友同士。クイーニーはスパイでもあり、マディの操縦する飛行機でフランスにもぐり込むが、ナチスに捕まり拷問をやめる代わりに、知っている情報を書くように紙とインクを渡される。残された時間の中で、クイーニーは生きているかどうかわからない親友マディについてを小説のように書き始める。この紙が無くなり、与えられた時間が過ぎればクイーニーは実験材料として収容所へ送られるであろう。

第二部は、フランスにもぐり込んだクイーニーがレジスタンスとともに活動する場面が描かれる。そして、第一部の真実が明かされる。
戦時寺中の過酷な状況の中、お互いを信頼し続けたクイーニーとマディ。第一部でさりげなく書かれていることが、実は伏線で第二部を読み進むうちに明かされていく。ひきつけられてしまうストーリー運びだった。

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2017年12月16日

Posted by ブクログ

タイトルと装幀だけでレジに持って行ったので、あらすじやジャンルは分からないまま読み進めた。創元推理文庫なのでミステリか?とあたりをつけるも、それにしては色んなことがあからさまなので、不思議に思いつつ。

解説まで読んで、児童書なのだと知って納得した。本書は2部に分かれており、秘密が散りばめられているが、浅く土がかけられている程度だ。分かりやすいと行っていい。

誤解しないでほしいが、児童書は好きだ。私の読書体験の原石だから。飛行中の景色ーー緑色の月の光や、心の底から邪悪な人間としての描写がないことーーあの親衛隊大尉すらーーなどは、懐かしさを覚える。子供の頃、この本を読んだらきっともっと胸の奥まで針が刺さっただろう。

今年発売の新刊に本書の登場人物が出るという。邦訳が出てほしい。楽しみに待っています。

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2017年04月23日

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