【感想・ネタバレ】モテる構造 ──男と女の社会学のレビュー

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Posted by ブクログ

「モテる」とは何を元に成り立っているのかを書いた本
タイトルから考えたイメージよりも面白い、性別にアイデンティティを掘り下げていて良い
人は何によって自分の価値を感じ取るか、それが男女によってどう違うかが書かれている。

男男:力の上下関係、男女:美による序列、女男:気は優しくて力持ち、女女:謎
転換手術を受けた元男性はより女性らしくなる。
男性は女性的に振る舞うと男性であるという確信がゆらぎやすい
女性らしい男性は社会的に認められにくい

市場労働:社会から評価され競争にさらされる=従事している人が男性的とみなされる。家事労働:家族に評価され競争がない=女性的
男性であると確信するために、家事労働よりも市場労働を好む

アイデンティティ、自分の居場所があり貢献が評価されている感覚:①職業:仕事世界②結婚相手:性的魅力(③居住)
男性:①と②が直結、オール・オア・ナッシング
女性:①と②が別々、ダブルバインド

男性がほぼ全て定職につき格差が小さい場合に性別役割分業の社会が持続可能となる
イギリスでは結婚相手に年収を聞くのは失礼という認識がある
男性:からかいのシステム、力を試す、女性:陰口のシステム、親密性を確認
男性:親密性と性的欲求の一致、女性:性的関係無しで親密性の充足が得られる

男性からのケアは忌避され、女性からのケアが望まれる

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2021年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性が男性的な行動を起こすことは許容されるのに対し、男性が女性的な行動を取ることは奇妙な目でみられるという非対象性の謎を、仕事能力に関するアイデンティティ(=「できること」)と性的魅力に関するアイデンティティ(=「もてること」)から考察した本。
男女の性自認の形成の在り方を、近代社会において子育てに関わるのは‘母親(女性)’であり、子供は母親と同じか否かという点において性自認を身に付けるという観点がとても面白かった。実際に子供が接する大人は圧倒的に女性が多いという現実において、フロイトの理論よりもよほど筋が通っていると思う。
また、女性らしさ/男性らしさというステレオタイプが消えきれないのは、女性らしさ/男性らしさというものが存在しているからこそ、それを真似るだけで性自認が容易になるからだという指摘も面白い。単純に女性らしさや男性らしさという概念を消してしまうのではなく、女性らしく/男性らしくありたいと望む人と、そんなジェンダー規範から脱却したいと望んでいる人が互いに認め合える世の中になっていければいいと思う。

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2017年01月31日

Posted by ブクログ

タイトルで買ってしまったが、内容は、きわめてまじめな社会学。「できる男はモテるが、できる女はもてるとは限らない」ということを、男女の非対称性を論じながら説く。じつは、ちょっとはモテたいと思って買ったが、この本を読んだからと言ってモテるようにはならないと思う。

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2017年01月18日

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男性と女性とは、様々な場面で平等に扱われるのではなく、非対称な判断基準を持たれる対象である。性別の事故認識とは決して先天的に決められている者ではなく、その性別らしさを社会的な文脈の中で徐々に認識させられていくものである。自分が男性であるか女性であるかという、規範意識を証明するための様々な社会学的な行動を説明しているので、とても興味深い。ジェンダー論として深いところまでいかないかもしれないが、私たちが生活している中で表面化している性別の非対称性や悩みどころを分かりやすく分析してくれている。

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2016年12月12日

Posted by ブクログ

男は女から認められないと生きていけないが女は同性からの関係性だけでも自尊心を損なわず生きていける事が本書での1番の気づきである。
男は仕事ができる事でしか周囲から認められずそこを損なうと社会的な存在価値がなくなってしまう。女性はキャリアでも家庭でも居場所を見つけることができ、男よりも生きる術があるように感じた。これからは男性らしい女性らしいという概念は崩れていくだろう。だが根源的に残っている男女の性は自認して前向きに生きていきたい。
女性は同性から養育を受ける為に性的な欲求は低い。男は母親以外からの異性の承認が必要であるから性的にも血気盛んである。これもなるほどなぁと思わされた。

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2021年05月22日

Posted by ブクログ

題名はかなり狙ってる感じだけど、内容はしっかりとジェンダー学、それに関する言説について説明されている。

男女の非対称性を理論的に正すことが困難だと納得させた上で、その不平等ともいえる非対称性が、現実味を持って解説されていて興味深かった。
性別の非対称性を語っているものの、不思議と前向きな気持ちで読み進められる。

男性は〜、女性は〜、という語り口に、今まで嫌悪感を持っていたけど、これを読んで社会構造的に仕方がないことと腑に落ちた所も多く、勉強になった。
フェミニズム、ジェンダーに関心がある人は、新しい視座を得られると思います。

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2020年04月12日

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キャッチャーなタイトルの割に中身は重厚な社会学のテキスト。同僚の方から勧められた一冊。山田さんの本を読むのは3冊目になるが、日本における男女の恋愛、家族観に対してとてもわかりやすく説明してある良本が多い。

端的に言うと、モテる男性はできる男性である。男性にとってモテることとできることはリンクしている。一方で女性の場合はできることとモテることの関係性は薄い。日本社会はこのバランスを社会に積極的に取り込んできた。結果、未だに男性優位な社会が多く、女性の社会進出は進まないと筆者は述べる(筆者はこれを前近代的と言っている)

生物学的にも男性は競争の生き物であるけれど、それがどの局面でも如実に現れる。結果、一部の持てる人間と、持てない人間が生まれてしまう。現代日本では賃金の低下、非正規雇用の増加により後者の男性が増加傾向にある。
女性の場合はできる女性でもそれがモテることに直結せず他の方面でのスキルが必要とされる。具体的には家庭的な面が強調される。結果、多様な生き方は許容される(キャリアの道、専業主婦、女性同士の共同体)が、男性のように仕事だけで評価されないジレンマがうまれている。

第7章 ケアは女性の役割か?は興味深く、ケア労働(看護師や保健師、介護士)は女性の割合が圧倒的に多い。それを自分は今までは社会的なバイアスがさせているのかと思っていたが、実際は感情が関わっているようである。女性からのケアは男女共に気持ちよく受けられるが、男性からのケアは男女共に嫌悪感をいだくというものだ。
感情が関わるということは生物的な本能や生存に必要な要素が関わってくるということだし、性区分といかに社会が付き合っていくかは本当に難しい問題だと感じた。

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2017年09月22日

Posted by ブクログ

キャッチーなタイトルとは裏腹に、中身はとことんがちな社会学の本。男/女が同性/異性を判断する際のクライテリアとは何か、そのベースになっている3つの社会規範とその非対称性。結果的に、できること(仕事能力)とモテること(性的魅力)の二大アイデンティティに集約される社会的課題が男女それぞれに与える影響など、根源的な解説にはじまり、女性の社会進出が活発になりつつあるニューエコノミーにおける趨勢や、フロイトやチョドロウとの関連にも触れている。日本とその他の国の違いに係るリーズニングには若干疑問が残ったが、その他は大変興味深かった。

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2017年05月01日

Posted by ブクログ

企業にいると、仕事がデキる=モテる の図式は
身に染みて感じる。

ただ、会社に肩まで浸かった男性って定年後は相当悲惨だと思うよ…

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2017年01月11日

Posted by ブクログ

山田昌弘『モテる構造ー男と女の社会学』

「できる男」と「モテる男」は一致するのに「できる女」と「モテる女」は互いに独立関係という「非対称性」を社会学的に考察

本書を読むと、女性として生まれたことはラッキーだったかも、と思えた(性自認、チョロドー)

らしさ規範
近代社会のアイデンティティ問題
性の性的アイデンティティの脆弱さ

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2017年01月07日

Posted by ブクログ

背が高くてスポーツに優れている男性は女性に好かれる一方、背が低くて運動おんちであっても男性に好かれないということはない。できる男性は女性にもてるが、できる女性が男性にもてるとは限らない。本書では男女に関わる非対称的な感情に焦点を当てながら男女それぞれの生き難さを考察する。たとえば自殺率、ホームレス数、ひきこもり人数などは圧倒的に男性が多い。中高年の男性の自殺が多いのは、リストラや事業失敗などで、できると評価されていたその評価を失ったことが原因。近代社会における男性の生き難さは、彼らが「できなければモテない」という世界に生きることにある。常にできなければいけないというプレッシャー。女性より男性の方が生き難いというのは、このプレッシャーが大きな要因となっている。他方、女性には女性独自の生き難さがある。こちらの方もしっかり検証されている。男女それぞれのモテる構造を理解しがら自らの処世に活かしていきたい。

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2017年10月09日

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