【感想・ネタバレ】英米哲学史講義のレビュー

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Posted by ブクログ

哲学という静かな楽しみを味わうには最適な本である。ただ、哲学的議論を学んで得々としてしまったら哲学の先人たちは顔をしかめるだろう。哲学は学ぶより、その議論を体験し、ゆくゆくは自力で哲学することが本筋であり、そもそも自分の生活課題とは別に既存の哲学的議論を披露することなどできやしない。つまりは、立論するにあたって、己の問題を核に据えて初めて、その人の哲学が始まる。そういう意味で、私がこの本を読んでどう応答するのか、私自身の課題として浮上しているのである。これはこの場で一言で済ませてしまう訳にはいかない。学んで時に習うという言葉があるが、読書したら私なりに反芻して自分の立場を明確にしなければなるまい。この学習プロセスは私の中で肯定されている。学ぶなしに思索ばかりするのは危険だから、今後も読書して時折考えるという知的経過を繰り返そう。

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2018年01月27日

Posted by ブクログ

ベーコン、ロックから、ヴィトゲンシュタイン、ジェームズ、ノージックまで英米方面の経験主義、功利主義、論理実証主義、正義論までの流れを説明し、最後はベイズ主義まで。広い範囲に亘って難しすぎず、易しすぎずという、放送大学テキストらしい充実した内容だ。

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

著者の放送大学での講義をもとにした本です。イギリス経験論と功利主義の倫理学、そしてプラグマティズムと分析哲学のおおまかな流れが解説されており、さらにロールズの正義論やベイズ主義についても簡潔な紹介がおこなわれています。

著者は、「功利主義と分析哲学」というテーマで科目の担当を依頼されたときに戸惑いを感じながらも、やがて「経験論哲学」という共通の源泉をもつことや、ともに「計量化」を志向していることに気づき、これらの観点を軸に本書のもとになった科目をおこなったと語っています。

著者は「経験的」ということを、「努力し試みることの中において」という意味で理解することができるという見かたを打ち出しています。「経験的に知る」とは、なにかを努力して追求していくことにほかならず、さらにその行為主体である「パーソン」が背景にあるテーマとして浮かびあがってくると論じています。

とりあつかわれている範囲が広いため、個々の哲学者たちの議論についてはそれほど多くの内容が解説されているわけではありませんが、「経験的」というテーマを軸にして現代へとつながっていく哲学上の重要なテーマが示されており、興味深く読むことができました。

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2021年06月21日

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