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シンデレラ伯爵家の靴箱館
靴箱にこんな機能がついていたら楽しいけどでも、その先に在るのが大変かも!真面目な主人公が、変わっていくところが面白かったです。
性格描写が稚拙すぎる
西欧のおとぎ話に素材を取ってそれをシンデレラの靴でつないでみせるプロットはよくできている。ただ人物の描き方にまだ立体感が足りない。辞典の項目解説のように描いてみせるだけで、それを現していることになっている会話文はまるで禅の公案。つまり所詮項目解説のような地の文での描写がないと説得力が無い。要するに会話で人物を描こうという試みは、原則として全部、失敗していると言って良い。
とりわけ主人公の、気の弱さというか自信のなさを、会話文はもとより独語パートでさえ、冒頭の吃音で描こうとする手法が全巻を通して同一であるために、これだけの巻数を重ねて描き出しているはず(というより、結果としては成功していないから、ただの「つもり」)の、主人公の精神的な自立とか成熟とかが、却って実感できないで終わる。 相方のヘタレぶりも、ぶっ飛びすぎているだけでまったく必然性がない。
それどころか、主人公の性格描写として「どもり」の連発に頼る手法は、読んでいてただただ鬱陶しいだけだった。筋立ての興味が無かったら、たぶん半分も読まずに捨てた。それくら鬱陶しい。著者は会話文を音読するトライアルをしたほうがいい。どれほど鬱陶しいかわかるはずだ。TVドラマだったら演出が無能と言われるレベル。
背景はとても良くできているのに、登場人物がまるで子供会のペープサートみたいなのは、とにかく会話文にせよ人物描写にせよ、語彙と工夫のレベルが低すぎるから。
全体の編成は星5で良いが、文章そのものの筆力は良くても星3、ところにより星2。全体評価は大負けに譲っての4。