【感想・ネタバレ】山の霊異記 幻惑の尾根のレビュー

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山歩きの楽しみが増える

なんと生き生きと道中を描く作家さんだろう。登ったことのある山もない山もありありと稜線が見えてくるようです。
そこにふと訪れる怪異はとてもリアルで…私の憧れだったソロキャンプはこの先永遠に中止です。もし夜中に思い出してしまったら。
さほど怖いタタリや原因などないのですが、もし1人で山道で出会ったら、直感的に逃げ出したくなるような現実味があります。

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2020年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本当にあった山の怖い話を集めたもの。
作者が体験したものやら、山仲間から聞き取ったものまでとにかくたくさん。続編も数冊あるらしい。読み放題じゃん!

怖い話なんだけど、私は登山の経験がないので、やっぱり別世界の物語を読んでいるような感覚になる。山登りする人にとってはとても怖い、かもしれない。
どこかで聞いたことがあるんだけど、山の怪談って桁違いに怖いらしい。怖さに単位はないので、桁違いって表現が正しいのかは知らない。
ここで1つ選択を間違うと死んでしまってたな、ってエピソードが多すぎて、本当に山を登るってすなわち死にに行くようなものなのでは?って身震いする。なんでこんな恐ろしい思い(霊的にも、危険という意味でも)をして、人は山に登るのか!?そこに山があるから??1冊読んでも結局わからなかった。

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2019年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なかなか良いホラー短編集。
市街地や田舎とは雰囲気の異なる、山・登山独特の異界感や孤独が合わさってじわじわ怖い話が多いが、優しい気持ちになるものもある。ホラーというより山の伝説という方があっているかも。
話の最後にはある程度の種明かしのようなものが付いているので、理不尽すぎる(=意味が分からなさすぎる)話はない印象。はっきり言って作者の後書きが一番怖い。

風景の描写が上手く、話の所々に出てくる実在の山小屋や目印、天候・気候、登山の際の心理も相まって山を登っている感じが味わえる。
特に導入部では怪談の本体には影響しない細かな記述がなされていることが多いが、怪談に現実感や具体性を与えるフレーバーとしてや登山の爽やかさ・楽しさと気味の悪い怪異との対比として上手く機能しているように思う。
膝が痛いから登るのが億劫や「最初の1時間半が一番辛い」は実感できることで、作者の登山経験が生きているなと感じる。

序文からもこれが処女作なようで、作品をあらかじめ書き溜めていたようでもあるので、本当の評価は次回作を読んでからになるだろう。

作品の途中から山岳の名前や所在地をイニシャルで記すようになったのは、本作(あるいは雑誌 幽)のための書き下ろしを始めたためなのだろうか。
実名を出さなくなっても、実際にある山、県名をイニシャルに変えているだけなので、多少の知識があればすぐに具体的に思いつき、現実とリンクする描写の上手さは損なわれていない。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

とにかくこのシリーズは山の描写や雰囲気がありありと浮かんで来て登ったことも見たこともない山々の風景が見えるよう。しかしそのぶん、見たことも感じたこともない怪異がありありと、、、。
怖い中にもほんわりするお話があるのはありがたい。

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2023年03月11日

Posted by ブクログ

山の怪談集は何度か読んだことがありますが、こんな風に登山の楽しさ、美しさ、大変さを描写した本はなかったと思います。不思議な話がいくつも掲載されていますが、はっきり理由がわからないまま終わっていたりするお話も多くて、だからと言ってぞっとするよりはなんだか不思議な話だなという感じで、一味違った怪談で楽しめました。いろいろな登山コースが登場し山を趣味にしていたならもっとリアルに感じられたのではと思います。知らない自分が残念なほど、読み終わった後は山登りをしてみたくなるふしぎな霊異記です。

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2020年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白いことは面白いし、山ならではの怪談として楽しめるのだが、前半の山行の描写がちと多過ぎて冗長になっていた気がしないでもない。純粋に「怖い話」の続く中に、「不思議だけれどいい話(泣かせる話)」が織り交ぜられて、いい塩梅になっている。

前者は、理由も何も不明なままだが怖い「五号室」や「異臭」、「豹変の山」、ダメ押しがズルい「古の道」など。
後者なら、山に消えた者の遺された家族への思いを描いた「呼ぶ声」「息子」、亡き先達への畏敬が起こした不思議な邂逅「終焉の山」などか。
正直、実話怪談として読むならややフィクション色が強いようにも思えるが(例えば、幽霊がどれも実体感あり過ぎ!)、山という異界なら、あるいはそういうこともあるのかもしれないとも思えてくる……ってこともないか。著者自身「実話という骨子に、山の情景描写や登場人物の会話などを肉付けしており、書かれている内容の全てが実話ではない」と語っているわけだし。

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2020年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 先日読んだ「山怪」とは違い、こちらは人間が関わる山の幽霊話集の趣だ。

 今のところ、登山している途中で幽霊に出会ったことはない。
 シーズンでは月2回以上低山から高山まで立ち入っている俺からすると、山に幽霊なんていないよなぁと、読んでいてもあまり怖さを感じない。

 人は自分で体験しない限り、信じないものだ。


 登山中ではないがただ一度だけ、ここは明らかにヤバいという廃墟があった。

 2009年のゴールデンウィークの一日目は郡山から猪苗代湖、そして二本松へと向かっていた。

 土湯トンネルは自転車通れないから旧道を上る。

 夕方ごろ、日があるうちに野宿場所は見つけておきたいと土湯峠を登り始めた時、道路わきに潰れたペンションが見えた。

 ちょうどいい、軒下で寝るかと近づいたら、突然に悪寒がした。なにか、明らかに建物から視線を感じる。

 気持ち悪い汗が出てきて、ここはやめようとスルーして峠を登った。

 あとから調べてみたら、そこは「横向きロッジ」と呼ばれる福島県内上位ランクの心霊スポットだった。

 ちなみに、このとき野宿した土湯ドライブインも心霊スポットに載っているけど、こちらは真夜中にヤンキーが荒らしに来たのに怯えた程度でした。


 とはいえ、幽霊に直接であったわけでないから、やっぱりその存在を信じていない。

 本書には山で出会った幽霊について20編書かれている。

 その中では登ったこともあり、明確に場所がわかる場所もある。

 山に入り続けていれば、いつか幽霊に会うこともあるかもしれない。

 一度くらいはお目にかかりたいものだ。地獄に引っ張りこまれなければね。

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2016年10月22日

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