【感想・ネタバレ】カラマーゾフの兄弟(下)のレビュー

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Posted by ブクログ

神とは、善と悪、罪への向き合い方、人を赦すこと、愛とは何か、そして家族や友人、恋人との関係などの本質が描かれています。
こんなに長い小説を読むのは初めてで、読み終わるまで2ヶ月くらいかかりました!
アリョーシャが好きです。

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ついに読み切ることができました!読みたいなと思いつつもなかなか手が出ていなかったけれども、読めて良かった。充実した読書時間を過ごせたし、ドストエフスキーの他の作品も読んでみたくなった。私の読書の世界が広がりそうな予感がして嬉しい。

下巻では、庶民や大地を肯定するところが印象的だった。ノブレスオブリージュ的な考えだろうか。農奴解放後の混乱という当時の時代要請だろうか。ドストエフスキーのお父様の事件とのリンクだろうか。特に庶民の底力を見た気がするが、判決についてはもう少し説明が欲しかった。ここは読者が想像の翼を広げる余地を残してくれたのだろうか。

また、ミーチャが、自分の悪いところや滑稽なところを認めていき、最後はこれまで自分が裏切って、そして法廷では裏切られたカーチャとも和解するところも印象的だった。やはりミーチャの中には、心の奥底では誠実でありたいという願いがあったことをより強く印象付けられた。

加えて、検察と弁護人の演説はどちらもすごく面白く、ぐいぐい読み進められた。ただ、人の一生を左右する刑罰についてこんなにも印象論ベースで語られるのかと怖くなり、「疑わしきは罰せず」の重要性を感じた。

イワンとスメルジャコフについては、未必の故意という非常に面白いテーマについて取り上げられていて、なるほど未必の故意でこういう小説が出来上がるのか、と興味深く読んだ。でも、あのイワンの行動でスメルジャコフにゴーサインを出したと意図に反して解釈されるというのは、悲し過ぎる。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

暴力的なまでに、
人間という存在の葛藤を暴いている!

人間は、神と愛を信じる良心的な存在なのか。
それとも、神は不在であり、我々はエゴイスティックな生き物なのか。

どちらかに傾けば、片方の声が聞こえてくる。
それ故、私たちは一喜一憂しながらも人生を謳歌するのだ。

我々は皆、「カラマーゾフの兄弟」である。


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2023年06月21日

Posted by ブクログ

基本的に登場人物は殆どがプライドが高い。誇り高いとは別で、侮辱や屈辱をなによりの怒りとしている印象。
農奴制度による格差や権利の問題を、カラマーゾフという卑劣漢たちの欲で包んだ濃い本でした。

一読しただけでも価値ある経験になった。
再読するときは、「大審問官」の部分を掘り下げたい。

ラスト意外な展開でお気に入りの章、心温まり愛に溢れて読んで嬉しくなった。
カラマーゾフ、万歳。

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2023年02月01日

Posted by ブクログ

裁判シーンが白熱。丁寧な人物書き込み。法廷小説としても面白い。結局イワンが真の犯人でドストエフスキー本人と重ねたのか。スメルジャコフが本当に良い役回りをしている。アリョーシャとコーリャの第二部が書かれなかったのが残念でならない。

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2023年01月22日

Posted by ブクログ

・ここまでが第一部で未完だったとは…たしかに「これだけ期待をもたせてここで終わるの?」とは思ったけど。
解説によると「書かれなかった第二部では、アリョーシャ・カラマーゾフが修道院を出て、リーザとの愛に傷つき、革命家になって皇帝暗殺の計画に加わり、断頭台にのぼることになっていたという説もある」とのことで、第二部、読みたかったなぁ…。
・私にはキリスト教的世界観は一生理解できないわけだけど、「キリスト教的世界観を外から見て感じ入る」という体験も貴重ではあるのかな、とも思う。「愛のむきだし」に感じたのと同種の静かな興奮・気持ちの昂りを覚えるし、語られる言葉の熱量に思わず涙する。この種の感情をおそらく「敬虔な」と表現するのだろうけど、これは古典日本文学からは得難い貴重なものだと思う。

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2022年10月12日

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 読み終わってうれしいような悲しいようなところが正直なところですが、未完で終わるののがよかったようにも思えます。

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2022年09月23日

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「少年たち」の章、続編への布石か。「兄イワン」の章、「神がなければすべてが許される」という自身の思想にイワン本人が押し潰されている。スメルジャコフの悪意、憎悪は彼を指導したイワンを圧倒して立場が逆転。彼が首を吊るのはご都合主義的、そんなタマじゃない。悪魔との対話は何言ってるのかわからず退屈。「誤審」の章、くるみの挿話は感動的。カテリーナの言動に人間の不可解さを見る。結局、フョードルとカテリーナが事態をややこしくした張本人のような。論告は長すぎ。最後のアリョーシャの演説の場面はこの小説の締めくくりに相応しい。この小説を読むたび、真人間になろうとの思いが湧いてくる。

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2022年08月16日

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「カラマーゾフの兄弟を読破した側人間になりたい」というだけの極めて不純な動機で読み始めた本作だったがその初期衝動だけでこれだけの大著を読み通せるわけがない。単に面白かったから読んだ、それだけのこと。
不死がなければ善行もない、ゾシマ長老の説法、大審問官、フョードルとドミートリィの確執、スメルジャコフとイワンの不思議な絆、フョードルの死をめぐるミステリー、ドミートリィとカテリーナ、グルーシェニカの三角関係、少年たちとアリョーシャの掛け合い、法廷での危機迫る証言、検事と弁護士の白熱の舌戦。これら全てが単独のテーマとして10本の小説が書かれていてもおかしくはない。まさに総合小説。
キリスト教のあり方をテーマとして扱っている点が現代を生きる日本人には馴染みにくいとされがちだがそんなことは全くないと感じた。同じ宗教を信仰していない分、切実さが少し異なるだけでドストエフスキーのメッセージはひしひしと伝わってくる。信仰の対象を持っていようといまいと罪を携えて神の前に立つ人間の心中がどうあるかをこの小説を読むことで追体験できる。
エピローグのアリョーシャが子供たちにかけた言葉には思わず涙がこぼれた。少年時代から大切に保たれた神聖な思い出をたくさん集めて人生を作り上げればその人は救われる。今この瞬間の素晴らしい出来事がずっと続くことなんてあり得ない。でも、大切に取っておいた思い出のひとつひとつが優しく、同時に強く燃える炎となってその人の心を温めてくれる。

結論。世の中には二種類の人間がいる。『カラマーゾフの兄弟』を読破したことのある人と、読破したことのない人だ。

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2022年04月10日

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通勤電車でちまちまと読み進め、上巻から半年くらいかけて読み終わった。取り掛かっている時間が長かっただけに、読み終えた際の喪失感も一入だった。
半年近くかけて読んでも面白さが持続する長編小説、なんていうのはそう多くないのではないか。小説は時間をかければかけるほど、感情の揺さぶりが希釈され、感動が小さくなるものだと思っている。だから、時間をかけると飽きとの戦いになったり、話の粗探しを始めたりしてしまう。しかしながら、この本に関していえば、感情の揺さぶりが薄まってもなお十分なパワーを持っている。半年の間、この話を読んでいて退屈な時間は少しもなかった。
ひとつの長編小説としてもすばらしいけれど、場面場面を切り取っても、それぞれが完全なものとなっており、短い話の寄せ集めとして見たとしても、すべてが面白い。というか、細部が完全だからこそ、その総体としての一個の長編小説が、まったく間伸びしたところのない素晴らしいものになっている、ということかもしれない。
その長さや、ドストエフスキー特有の、捲し立てるような文章の熱量から、勢いでどんどん読み進めてしまいそうなものだけれど、毎朝通勤電車の10分くらいの時間でゆっくりちまちま読む、というのもありだと思う。

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2022年04月08日

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徹夜で読む気なんてなかったのに、読み終えて時計を見たら早朝だった。これが偉大な古典文学マジックか…

この話は2〜3回は読んでるはずなのに、イリューシャのお葬式で、アリョーシャがイワンの死を予感してる台詞に今回はじめて気づいた…あの意地っ張りな天邪鬼は死んじゃうの?

ドミートリーは流刑の判決に従うの?それとも弟たちの望み通り逃亡するの?
普通の人間なら逃亡するけど、ドミートリーのモデルになった流刑囚の運命に従うなら、ドミートリーは逃亡を拒否して流刑を受け入れるのかも…普通の人間ならしないけど、ドミートリーならありえる…グルーシェニカに振られたら、ドミートリーは悄然としてシベリアへ行くだろうな。しかし、この恐ろしいまでのトラブルメーカーは一体何なんだ?

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2022年01月26日

Posted by ブクログ

言葉は偉大だ。発する事で他者に想いを述べられる。逆に発しない事で魂の矜持を誇示できる。貴方にだけは届く。それだけを信じて苛烈な運命に立ち向かい、狂い、絶叫し、胸を張る誇り高き人生達が、私の胸を掻きむしった。強く生きようと誓った。

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2022年01月15日

Posted by ブクログ

とにかく重厚な内容で、読むのに1ヶ月以上を要した。
ここまで人間のエゴが剥き出しの本は初めてで、良い意味で衝撃を受けた。名著と言われるのに値する。

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2021年11月04日

Posted by ブクログ

やっと、読み終わった。ほぼ一ヶ月。
何十年前に読んでいたのでほとんど忘れていて、初読み状態。

長年に渡って論じられてきた奥の深い文学であるが、こんなにもエンターテーメント性がある作品だとは思わなかった。親殺し&幼児虐待&女心と秋の空。あらすじは複雑。盛り上がりは抜群。

噛めば噛むほど味が出るというわけで時間がかかってしまった。

19世紀末の文学の特徴、自然主義的洞察からリアルを超えて暴き立てるような描写と、わき道にそれてこれでもか、これでもかと言わぬばかりのくどくどしさ。

加えて私の実家のごたごたが同時進行、身につまされ、TVでは「若貴」が派手にやってくれて、どこんちも大変だなーと思いつつ、「カラマーゾフ」は文学だから味わえばいいのだなと妙に納得したのだった。

親が子を産む。当たり前のこと。(もちろん産まれない人も、産まない人もいる。)産めば親にはなるが、育てるのが親とは限らない。育てなければ親ではないかというと、血のつながりでは親であり、DNAはしっかりつながり、結果は原因があり逃れられない。

私にはこの血のつながりが哀しくて仕方が無い。人間は一人では生きられない生物、種の存続を否定はできない。突然変異はほとんどないのだから、無いに等しい。ああ、でも異なり、違いたい!

ドストエフスキーは実際の事件からヒントを得たのだろうが、昔も今もこんな事件はありふれている。今日的に読み応えがあるということである。

しかし、文学的に優れていてももうこんな本はしばらく嫌だ。

私の感想は一面(物語として)からのみ見ているのだ。思想については感想は書かない。

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2021年09月11日

Posted by ブクログ

約半年がかりでついに読破。いやぁ、長かった。
下巻は一番スリリングで、のめり込んでしまって最後は一気読み。イワン兄さんあんなにクールだったのに。。。

最後の裁判での判事対弁護士の論議バトルは手に汗握る、法廷で直に観覧してる生々しさや白熱の空気感が感じられたよ。うーん、有り体な感想は心の内にしまっておいて、こういう破滅的な人生観って今の時代にも脈々と流れる不滅な価値観なのだろうな、というコメントで結びといたします。

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2021年06月09日

Posted by ブクログ

続編がある予定だったことを解説で知った。その後が気になるのであったら読んだだろうけど、なくても全く問題ないほど完成された作品だと思う。イワンが好きだな。アリョーシャは今後の成長が楽しみだし、ミーチャはなぜか憎めない。それにしてもカラマーゾフの兄弟というタイトル、ぴったりで良い。

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2020年12月31日

Posted by ブクログ

盛りだくさんだな。
中盤以降になって、おや、これはミステリーでもあるな!と思い当たった。
スメルジャコフはクリスティの「カーテン」を思い出す。

もう少しドストエフスキーの作品を読んでみないとな。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カラマーゾフ家の悲劇。上・中・下巻からなる長めの小説だが、これでも本当は二部構成の内の第一部にすぎないらしい。

この第一部では、カラマーゾフ兄弟が長男のミーチャとその父フョードルの間の、ある女性を巡る争いに焦点が当てられている。
ミーチャは、この争いの最中に起きたフョードル殺害事件の被告人となってしまい、彼の無罪を主張する兄弟と1人の女性の努力虚しく、最終的には有罪となってしまう。


しかし、これではあまりにも雑すぎる。
この小説の醍醐味は、宗教や人生の価値観に対する哲学的な問いを読者にもたらしながら、事件をめぐるミステリー性や、兄弟が三男アリョーシャの純真さが世俗の人々を癒していく過程を楽しむことができると言う点で、純文学的な要素とエンタメ的な要素がうまく融合している点にあるのではないだろうか。


私がこの本の中から得た問いの中に、「どう生きるか」というものがある。

大雑把にいうと、不安と孤独を抱えながら真の「自由」に生きるか、良心や生活を外部に委ねて楽に「自由」に生きるかである。
イワンの話では、この二つの生き方しか人間世界には存在せず、それに絶望した彼はカラマーゾフ的な堕落しか、人生の最後に待ち受けるものはないと語った。

また、それに対し弟のアリョーシャは、その話の中でキリストも行っていた、接吻という形で人生に絶望した彼を無条件に受け入れ、許した。
(罪と罰でも言えたことだが(そしてミーハーな私はこの2作しかまともに読んでいない…)、愛はこの作品の中で、特別の地位を与えられているように感じられる。他の作品も読んでみないことにはわからないが、愛はドストエフスキーの作品の根幹を成すものなのかもしれない。)

大抵の人がそうだろうが、私はイワンのように真面目な人間でも、アリョーシャのように純粋な人間でもない。ミーチャのように素直な人間でもないし、フョードルほど貪欲なわけでもない。
このような人は、フョードルのように嫌われることも、ミーチャのように破滅することも、アリョーシャのように人々から好かれることも、イワンのように精神を病むこともないだろう。

つまり、当然の結果だが、私は彼らとは違う人間であり、対立を恐れなければ、違う生き方や価値観を選ぶ権利があるということだ。なので、元も子もないことを言うと、私はそもそもイワンの話に共感しかねている。

長くなってきたので簡潔にまとめると、私はそもそも、自己の人生に大きな価値を見出すこと自体が誤りであると感じている。これは命を神からの贈り物と考える、キリスト教的な価値観と対立しているように思われる。この時点で、真の「自由」に耐え難い不安や孤独を感じることもないし、楽な「自由」のために良心や生活を外部に委ねることもない。「まあ、なんとかなるさ。」と毎日をそれなりに生きていくことに、なんの疑問も感じないのだ。

もちろん、これは快楽に溺れることを意味するものではない。一日一日を大切に、それでいて謙虚に生きることを旨としているに過ぎない。
この生き方は、上の四人のどの価値観にも適合しないように私には思われる。


難解かつ退屈で、一般的に苦行とも呼ばれているカラマーゾフの兄弟を読んだ後に、このダラダラと長くて面白みのない感想をここまで読むような、酔狂で我慢強く、暇な人間はほとんどいないだろうが、公開記念がてら最後に一つだけ書き残す。

「君たちはどう生きるか」

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2023年08月02日

Posted by ブクログ

初めて読んだドストエフスキー。ロシア文化や宗教、時代背景などはほとんど知らずに読んだので、よくわからない箇所もあったが、下巻はするすると読むことができ、面白かったです。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

感想とか評価のレベルには至らず、とにかく読み切ったという達成感。上巻の最後の大審問官から突然話が面白くなってきて、サスペンスありの恋愛ありの話になって、読むスピードが上がりました。この長さも読んでいる時には納得。確かにこの話をするためにはこのページ数、文字数は必要だと思うのだけど、とにかく長かった。今度読む時にはもう少し内容を考えながら味わいたい。

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2022年02月02日

Posted by ブクログ

大学生の時に挑戦し挫折。
2010年にも読んだ記録はあるが人間関係と名前が頭に入らず内容についての記憶は薄弱。
3度目の挑戦は、同時進行で登場人物相関図とキーワードを書き留めストーリーの経過を把握しつつ何とか1か月で完読。

テーマは父親殺し。肉親同士による恋愛と金を巡る愛憎や「父フョードルを殺したのは誰か」を裁く審問を通じて露になるカラマーゾフ一家と彼らを取り巻く人々の欲と心理の葛藤。

翻訳文独特の読み難い文章はハードルが高く乗り越えるにはとにかく忍耐が必要。「神は存在するのか」などの宗教論争や「善と悪」「理性と欲望」など二面性がコロコロ入れ替わる心理描写などのパートはどう頑張っても消化不能で、理解度は50~60%程度かと感じるが、少しはロシアとドストエフスキーに近づけたと自覚し、学生時代からのやり残しを一つ解消。
別の翻訳版でもう一度読んでみよう。

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2022年01月26日

Posted by ブクログ

とにかく読み切った。
大長編ながら、父親殺しの犯人は誰なのかというミステリの要素が軸となっていて、最後まで読み飽きない。登場人物の会話が多いからか、100年以上も前の作品なのに、臨場感もたっぷり。
犯人は、やはりと思えるものだが、もはやそれは問題ではない。裁判の場も、二転三転。
古典的名作と思って敬遠してきたが、こんなにも面白い小説だとは知らなかった。

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2022年01月10日

Posted by ブクログ

アレクセイの人への対応が素敵すぎる

苦悩がなかったらたとえどんな喜びがあろうとすべては一つの無限なお祈りと化してしまうことだろう。それは清らかではあるけどいささか退屈だよ。

読み終わった達成感半端ない

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2021年12月04日

Posted by ブクログ

20代の時に読むが、文字やストーリーが重厚。
想像力を必要とする。

30代以降で再読を試みるも難しい。
こういう本はホント若いうちだけだなと思った。

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2021年08月30日

Posted by ブクログ

この作品を読むコツは時間をしっかり作って一気に読むことだと思う。二回目以降の再読についてはメモをとりながら少しずつじっくり読んだ方が楽しめそう。

自尊心と破滅願望とは表に出さないだけで多くの人が持っている気がする。自尊心が大きすぎると破滅を招く(行き着くところは自殺?)から、人間は自分は周りから愛されているということを認識して謙虚に生きないといけない。愛し愛されることで人間らしくいられる。『誰かに愛される』ということに関しては神がやってくれているので自分は愛すだけでもいい、愛されている存在(自分も含め)は尊い、ということかな?
二回目はまた時間をあけて上巻からじっくり読みたい。

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2021年05月31日

Posted by ブクログ


とうとう下巻である

注)軽くネタバレ有


これまたアクの強いコーリャ少年の新登場
自尊心が強く、知性はあるものの突拍子もないふるまいをしたりと、度の過ぎたブラックユーモアを好む傾向にある
またことさらクールにみせたり、マウント取りに行ったり、知ったかぶりしたり、大人をからかったり馬鹿にしたりさえする
…と、まぁハッキリ言えば子供らしさを欠いたかわいくないガキだ

元二等大尉(以前カラマーゾフ長男ミーチャが大衆の面前で、腹を立て引き回すなどの暴行を加えた)のスネギリョフの息子のイリューシャ君
上巻でのイリューシャ君は父のスネギリョフの「仇をとるんだぁ!」と一人で悔し涙をこらえて頑張っていた少年だ
コーリャ少年との関係は、イリューシャ君はどうもコーリャ少年にとても憧れているようだ
が、コーリャ少年は持ち前の嫌らしさでイリューシャ君を教育という名の「シカト」みたいな態度を取ったり、複雑奇怪な行動をとり、とうとう父親を「ヘチマ」とからかわれたイリューシャ君がキレてしまいアリョー少年にペンナイフで脚を刺してしまうのだった
そしてイシューシャ君は結核で残念ながらもう先は長くない

そして一筋縄でいかないコーリャ少年はカラマーゾフ三男の好青年アリョーシャのみを慕っているみたいだ(みんな大好きアリョーシャ君)
というわけでアリョーシャはイリューシャ君のお見舞いにコーリャ少年らと一緒に行くのであった
(またこの厄介な少年に対してアリョーシャが大人で善良な立派な態度をみせるのだ 決して卑屈にならず遣り込めるわけでもなく上手に少年の心を導こうとする)

ここはイリューシャ君の悲しい死と絶望を通して、コーリャ少年の成長、父スネギリョフら人間臭さがガッツリ描写されている
コーリャ少年は子供らしさを少し取り戻せた
そしてアリョーシャは少年たちに別れを告げ、イリューシャ君が葬られる石のそばで少年らにお互いのこととこの日のこと、イリューシャ君のことを忘れずにいよう…と熱く語る
そうアリョーシャは彼らのためだけではなく、自分の悪い部分を牽制するために、この純粋な皆の気持ちを忘れないでいたいと切望するのであった

一方、上中巻でアリョーシャと両想い(うーんまだ正式な恋人なのか微妙な関係なので…)の足の不自由で小悪魔的な少女リーザ
彼女はかなり情緒不安定だが、なかなか頭の良い少女だ
個人的にリーザは好きだが、アリョーシャがなぜリーザを気に入っているのかはちょっとよくわからない
ここでのリーザは病的な負のエネルギーが炸裂する
家に火をつけたい欲求やみんながどれだけ貧乏でもアイスクリームは誰にもあげない意地の悪さ(笑)
悪事の限りをつくしたい!人間は犯罪が好きなのよ!
そう言ったかと思うと、アリョーシャに救いを求め、自殺してしまいそう!と訴えるリーザ
そんなリーザに理解を寄せるアリョーシャ
そしてリーザの悪魔の夢の話を聞き、自分も同じ夢を見るという
アリョーシャの中にも負のエネルギーがあるのだ
だからアリョーシャはリーザに惹かれるのか…

いよいよ父親殺しの長男ミーチャの公判

われわれはみなすべての人にたいして罪がある
俺はみんなの代わりに行くんだ
と流刑囚の覚悟とその中でも喜びを見出せる
そして神を愛している…
とずいぶん立派になったミーチャである

とする一方、次男のイワンがミーチャに脱走を進めている
ミーチャの弱い心はすでに脱走に傾いている(というか大好きなグルーシェニカと離れたくないから心は決まっている)
イワンはミーチャが父親を殺したと思っている…とミーチャは思っている
しかしアリョーシャはまったくそう思っていないのを聞いて、ミーチャは救いを見出す
一方アリョーシャはそんな兄ミーチャの想像以上の深い不幸な心を知り、心が激しく痛むのだ

ここでとうとうイワンが精神が崩壊する
真実に近いところを把握しているアリョーシャはイワンを全く責めないどころか、同情さえしているのだが、イワンには伝わらない
イワンはアリョーシャの勘繰りに対し(怯え…なんじゃないかなぁ)、絶交だと言い放つ
歪んだ心とある種二重人格の精神から徐々に自らを追い詰め気が病んでいくイワン
ミーチャの脱走も、複雑な罪滅ぼし的な感情が焚きつけた計画だ
そして父親殺しの真犯人を知ったイワンはとうとう気が狂ってしまう(理由を書くと完全ネタバレのため伏せるにする)
この真犯人を知る場面からイワンが気がおかしくなってしまう描写はなかなかのサスペンスである
追い詰められていく様子とイワンの心の乱れがじっとり広がってなかなか不気味に仕上がっている
昔の「ジキルとハイド」のようなモノクロサイレント映画を見ているようで、かなりの見せ場だ

さて、フョードルおとんの私生児スメルジャコフ
そう忘れてはならない!ある意味彼もカラマーゾフの兄弟なのだ
その役目を充分感じる存在感だ
彼のイワンに対する歪んだ好意とカラマーゾフ家に対する憎しみの複雑な感情
そしてスメルジャコフはイワンがプライドが高く、名誉もお金も女も大好きで、平和に満ち足りた生活をし、誰に頭を下げたくない…
誰よりも大旦那様(フョードルおとん)にそっくりだと言い放つ
スメルジャコフの本心がはっきり表れるのはここくらいだ
彼の心の奥底は我々の想像を越える暗闇と憎しみが広がっている
自身の不遇な出生や世間に対する激しい憎しみが見え隠れし、カラマーゾフの血の「暗」の部分をガッツリ持っている

そしていよいよミーチャに最後の審判が下される

うーん
下巻の後半残念ながら法廷での検事と弁護人の証言や尋問、弁論などのやり取りが多く、カラマーゾフの面々の登場がちと少ない
そこが物足りなかった
しかしながら相変わらず一人一人の個性あふれるキャラクター達の多様な人間性と、単純に善悪などで計り知れない人の心の微妙さを見事に描いている
個人的にドストの好きなところだ

そして残念ながら
未完…(それなりに完結してるようにも感じるが…)である
もっとも気になるのはアリョーシャ!
ところどころカラマーゾフの血を窺わせる描写があった
どうもこのままいくとアリョーシャはテロリストになる…⁉︎なーんて解説もあったりして私達を脅かす
だってみんなアリョーシャのことを大好きなんだもの(他のメンツが疲労感を覚えるほどアクが強かったので、アリョーシャに何度癒されたことか…)
でもアリョーシャ自身も、自分はカラマーゾフの血が流れている!と口にしているからなぁ…

他にも
アリョーシャとリーザとの行方は(うまくいななさそう)
イワンは回復するのか(しなさそう)
ミーチャは脱出できるのか(ちょっとどうでもいい ごめん)
あれほど描かれたコーリャ少年が引き続き出てこないはずもない…(出てくるだろうなぁ)

と妄想するしかないんだけど…
ちょっと悶々としてしまう

というわけでかなりの大作であるが、思ったよりも読みやすかった
ただ理解の足りない部分も多いので、いつか再読が必要であろう
そして、読み応えあり過ぎて最後には消化不良になった(汗)

数年前まさかドストエフスキーを読むことができるなんて思っていなかったのでそういう意味では満足度は高い
ドストエフスキー作品がなぜ素晴らしいのか、自分なりに少し理解できた気がする
(まだまだすこしだ…)

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2021年02月25日

Posted by ブクログ

『罪と罰』を挫折したので、この『カラマーゾフの兄弟』を読み終えて、自分の成長を感じ、嬉しかった。自信、体力、集中力がついたと思う。ドフトエフスキー節がおもしろかった。一回ではなかなか理解出来ないので、再読したい。また『罪と罰』にも再チャレンジしたい。

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2021年02月16日

Posted by ブクログ

いや、むずいわ
途中から文字追ってるだけだった、、、

この身、朽ち果てる前にもう一度読んでみたいと思った本。

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2021年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わるのに本当に4,5年かかった シンプルに長いよ 話が
・ゾシマが亡くなったあとのシーン、腐臭がし出して民衆が手のひら返して批判しだしたのめっちゃ印象に残ってる 人間を感じた
・子どもが苦しんだりそのことで親が悲しむシーンシンプルに胸糞悪い
・血を分けたから父親というわけではない 父親を父親たらしめるのはその役割を果たしてこそ 
子どもに愛してもらえる理由もそこにある
というところ 共感する
・苦しいときには誰も手を差し伸べて枯れなかったくせに、ことが起きたら有罪だと切り捨てるのはお前も罪があるだろみたいなところ ここもめちゃ共感するし、現代に通ずるものがあるよね
新たな加害者や被害者を出さないためにも社会ぐるみで、また個人単位でもでできることがあるはずよね この百年くらい人間は何をしていたんだ

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2023年03月04日

Posted by ブクログ

恥ずかしながら、最後の最後まで面白く読むことはできなかった、、、
歴史/宗教/思想/ロシア社会などを理解していないと、面白いと感じることはできないのかなと思った。解説を読んで、読むべき観点を知った。
最後のイリューシャのパートはとても良かった。

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2021年06月16日

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