【感想・ネタバレ】顧客体験の教科書―収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方のレビュー

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Posted by ブクログ

・めちゃめちゃ良かった。コールセンター以外でも全然使える。
・抽象的な意義づけから具体的な構造化までが揃っている。
・わかりやすいストーリー、構造化された論理、数値でのエビデンス、良書すぎる
繰り返し読んで学ぶ系の本

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2023年06月12日

Posted by ブクログ

・トラブルを体験してもクレームを申し立てない顧客より、クレームを申し立てて解決した顧客のほうがロイヤルティが高くなる。効果的な顧客サービスには、他社ブランドへの切り替えを防ぎ、顧客をつなぎ留め、利益を生む力がある
・顧客が不満を抱いた場合、満足した時よりも2倍以上の数の知人にその経験を口コミすることが分かった
・優れたCXを提供するうえで大切なことは、優秀なオペレーターをそろえることではなく、オペレーターが責任者から権限を与えられ、適切な情報へアクセスできる環境を整えることだ
・顧客の事前期待はとても単純だ。顧客は予期しない不快な出来事を嫌がる。サービスを求めるときは、自分にとって最も便利な方法で容易にアクセスしたい。最初に出た顧客担当者にその場でトラブルを解決してもらいたい。
・氷山の一角:1~5%は本社や製造者に苦情を申し立てる、~25%は小売店や支社に苦情を申し立てる、残りは申し立てない
・表面化していないが、顧客の事前期待が満たされていないことで収益上に重大な影響を及ぼしている。対策を講じれば、X MMドルの収益損失を回復することができる
・ザッポスは顧客に分かりやすい情報を与えて教育し、物事を最初に正しく実行することに徹している
・顧客損失は直接的な顧客損失の影響+口コミによる顧客損失の影響を併せて考慮する
・苦情を申し立てる割合を増やした場合の収益性を示す(潜在顧客を明らかにすることで副次的なネガティブ口コミ影響をなくす)
・会社に苦情として申し出なかったトラブルを経験したことがあるか という設問をベースに問い合わせ率を算出しよう
・物事は最初に正しく実行する:①顧客の事前期待の設定は誠実にすること、②個々の顧客の多様なニーズに併せながら約束通りのものを一貫して届けるような柔軟なシステムをデザインすること、③エモーショナルコネクションを大事に育てる組織文化を創り出すこと
・製品の限界や特別なオファーの条件の強調で誠実さを高く評価してもらう
・個々の顧客にとって何が最も大切な価値なのか、顧客自身に選んでもらう
・エモーショナルコネクションは、いつも必要ではないが、CXのどこかには意図的に組み込むべきである
・98%の顧客は正直である
・コールセンターの最大の過ちは、コスト分析をする際に放棄呼がもたらす収益への影響を見ていないことだ
・サービスが常に利用可能の状態になっているか。そうでない場合、いつまでに返答が届くという事前期待のレベルを設定しているか
・テスラモーターズでは、新車を納品する日に、顧客にウェルカムコールをかけ、さらに1~3分程度の長さの動画を16本使って合計28分間のプログラムを見せている。それにより、製品の機能性をより多く使いこなせるようになることで、顧客の知覚価値を強化している
・担当部署によって表記をずれさせない
・在庫切れに関するクレームを検討するとき、顧客がお目当ての商品を変えなかった場合、他の商品を購入したり、将来何かを購入するために再来店する可能性は低くなってしまうことまで加味する
・無駄の多いプロセスの自動化の前に、理想的なCXプロセスをベースにしてテクノロジーを構築する
・顧客から何も言われないよりは言われたほうがいい
・顧客を優先することで正しいことをする(自社の商品を売るだけでなく、トータルで顧客のためになることを提案する)
・顧客に不安を抱かせた李、ネット上のすべての動きが監視されていると感じさせずに、企業は親しみやすくて人間らしくなることが肝心である
・優秀なスーパーバイザーは、部下の行動を認め、毎日全員の前やグループミーティングの場で部下を認めてほめることを優先事項に上げている
・フィードバックの収集自体を効果的に行うには「フィードバックが寄せられることでどう変わるのか」をまず現場の従業員に伝えるべきだ。
・CXリーダーは失うかもしれない損失金を数値化し、特定されたCX上の問題点を解決するために、他の経営メンバーをサポートすべきだ
・グッドマンの法則:
1)不満を持った顧客のうち、苦情を申し立てその解決に満足した顧客の当該商品の再購入決定率は不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比較して極めて高い
2)苦情処理に不満を抱いた顧客の日好意的な口コミの影響は、満足した顧客の好意的な口コミの影響に比較して2倍も強く販売の足を引っ張る
3)企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり、好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する
・事前期待をある程度パターン化させて対応するやり方もある。レンタカー会社ではニーズを事前に分類し、顧客にオファーするサービスをカスタマイズできる
・日本の経営者は、サービスとは付加価値を提供することであり、極端な言い方をすると、企業がもうかってゆとりが出てから検討すればいいと思いがちだ。儲かっていない時期には店舗にお金をかけられないし、サービス向上に取り組めないと考えているのだ。しかし、「困っている人を助けること」をサービスの基軸とするならば、もうけが少ない段階でもできることはたくさんある。経済的に余裕ができてからロイヤルカスタマーの育成に着手しようというのではなく、発想を逆転させて方がよいのだ

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2021年04月04日

Posted by ブクログ

教科書のタイトルからどんなもんじゃいと手に取った。

〜理論、〜基礎みたいな本で、ただ事例をまとめただけやんみたいなのもビジネス書だと多いけど、これはそんなことはなかった。
そもそもの目的からどう言う順番ですすみ何を指標として測るのか、進める上で組織をどう説得してくのか段階的に書かれており、何回も読み直したいなと思った。

1回読んだ雑感としては以下のように飛び道具というより、誠実さが求められる仕事なんだろうなと感じた。
・DIRFT(最初のタッチポイントで期待に応えること)
・カスタマージャーニーを細かく調べること
・他部門との調整役になること

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2019年04月03日

Posted by ブクログ

おそらく、今年一番役に立った本。

CS部門の人間として、また、CXを追求して周りにインフルエンスさせたいと考える人間として、これから何回もこの本を紐解くことになりそう。

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2018年07月22日

Posted by ブクログ

第1章 なぜ良いサービスが素晴らしい体験につながらないのか
■CXの現実
①顧客の事前期待を理解することは比較的簡単だが、その事前期待を満たすことは考えているより難しい
②顧客の不満の原因は、従業員でないことが多い。
③顧客が何も言ってこないのは必ずしも良いことではない。苦情件数が少ないからといって、優れたCXを提供できているとは限らない。
④自社の現状のCXをそのまま放置していると、相当な収益を損失することになる。これを回復することは不可能ではない。
⑤テクノロジーは企業やCXに対する顧客の事前期待のあり方を変えたが、テクノロジーを効果的に使えば、とても安い投資だということに多くの経営者は気づいていない。

■本章のまとめ
・顧客の事前期待は、約束されたものを「不快な出来事がなく」受け取ることにある。しかし、これを実現することは、多くの企業が考えているほど簡単ではない。
・顧客の不満を引き起こしているのは、サービスに就くフロントの従業員ではない。原因は、企業の意図的な行動にあり、また、説明書やマニュアル、契約書を読まずに責任転嫁する顧客自身にある。
・顧客から何も言われないことは必ずしもよいことではない。苦情件数が少ないからと言って、最高のCXを提供しているとは限らない。 実際に耳に入る苦情の割合はごくわずかである。その結果、企業は自己満足に陥りやすく、素晴らしいサービスを提供していると自負していても、顧客を取り戻すことは難しくなるだろう。
・サービスが素晴らしいことと、最高の顧客体験とは同義語ではない。CXのダメージを引き起こしている原因の大半は、顧客が予期しなかった「不快な出来事」であり、顧客サービスにおいて対応する以前に、すでに収益損失が起きていることが多いのだ。
・現在のCXで取りこぼしている利益を数値化できれば、CXの強化に投資してもらうよう、自社のCFOやCMOを説得することができる。
・顧客に能動的に働きかけるサービスは、顧客体験をスムーズなものにし、顧客の記憶に残るものとなるはずだ。必ずしもサービスに人が介在する必要はなく、テクノロジーが適切に配備されていれば可能であるし、そのためにも投資もそれほど高いものではないかもしれない。


第2章 CX=人+プロセス+テクノロジー

■CXを強化する4つのフレームワーク
①「物事は最初に正しく実行する(DIRFT)」
 CXにおけるトラブルの原因をたどっていくと、多くは満たされなかった顧客の事前期待にある。優れたCXを提供するには、企業は製品に対する顧客の事前期待を正しく設定し、プロセスはもちろんだが、ツールや協力会社など、約束されたものを届けるために配慮しなくてはならない。製品だけでなく、そのデザイン、販売、配送、そして請求に至るまでの全段階をCXの観点で計画的に行うことが求められる。
②顧客が利用しやすいチャネルとサービスへの容易なアクセス
 顧客が困ったり、疑問に感じた際にはサービスやサポートに簡単にアクセスできるようにすること。そもそも顧客の心理は、企業が助けてくれると思っていないし、企業に助けを求めようとしていない。そして、本当に助けを必要としたとき、パスワード、自動音声応答システム、コールセンターで待たされる時間など、顧客はテクノロジーの苦い試練にさらされている。
③すべてのチャネルを通して提供する顧客へのサービス
 サービスの強化は顧客を満足させるだけではない。顧客とのエモーショナルコネクションを効果的に作り出し、トラブルが起こらないように予防する。結果的に顧客の好意的なクチコミが広がっていくことになる。
④効果的なVOCシステムによるCXの傾聴と学習
 CXを強化する第4の要素は、DIRFT、顧客接点を促すチャネル、サービスからのフィードバックを収集し、プロセス全体の改善に役立てることにある。継続的改善を通じて付加価値は高まり、最初から物事を正しく実行できるようになる。

■顧客へのサービス機能の5つのゴール設定
①最初のコンタクトでの問題を解決する
②適切なタイミングでクロスセルを実施する
③顧客教育を通じて、不必要なコンタクトを回避する。
④適切な状況で、顧客とエモーショナルコネクションを作り、付加価値を高める。
⑤VOCのための情報収集を行う。

 電力会社の南カルフォルニア・エジソン(SCE)の事例を見てみよう。同社では、ワイヤレス通信を使って把握した月初10日間の電気使用量に基づき、請求額が著しく高額になりそうな顧客にはEメールを送り、節電方法を案内している。対象顧客の50%以上がEメールを開き(広告メールの通常の開封率が5%なので、50%以上は非常に高い)、エネルギー使用量も減った。さらに、SCEの環境保護活動に対する満足度も上がり、賛辞のメッセージも増えた。これらはすべて、悪いニュースを顧客にいち早く伝えたからなのだ。

■本章のまとめ
・常に最高のCXを顧客に提供するメカニズムには6つの要素がある。
・DIRFT(最初に物事を正しく実行する)。顧客の事前期待を適切に設定し、商品やサービスを約束したとおりに提供する。
・サービスに簡単にアクセスさせるような戦略が要る。顧客がサービスを求める際の障壁をなくし、顧客が必要としたときに、どのコミュニケーションチャネルにも容易にアクセスできるようにする。
・サービスにおいては、顧客の基本的な要求に応えながら、顧客とのエモーショナルコネクションを作り出す。さらに、顧客がトラブルに遭遇しないように、顧客に適切な情報を提供し、教育する。
・顧客の声に耳を傾けて、そこから学習する(L&L)。VOCシステムを活用することで、CXの起点から完了までの流れを検証する。効果的な改善策につなげるために、顧客体験の全体像を浮かび上がらせる。
・効果的なCXテクノロジーの導入によって、CX上の各プロセスを強化し、現場の従業員のパフォーマンスを向上させることができる。さらに、トラブルを察知し、能動的なコミュニケーションを取ることで、顧客よりも先回りしてトラブルの発生を予防する。顧客のニーズに合ったCXを提供するようなカスタマイズも可能になる。
・測定されていないものは改善できない。CX上の4つの要素を効果的に測定できている企業はごくわずかだが、CXのKPIを導入することで効果的なマネジメントが可能になる。


第3章 何もしない場合のコストを算出してアクションを起こす
■CXの強化で得られる収益を計算する
ステップ0:現状のままでは取り損ねる収益を数値化する
ステップ1:顧客満足度を高めた場合の収益性を示す
ステップ2:苦情を申し立てる割合を増やした場合の収益性を示す
ステップ3:問題解決度と苦情の申立て率の両方を上げることによって得られる収益を示す
ステップ4:トラブルを防ぐことによって得られる収益を示す

■本章のまとめ
・最初からCXに積極的投資をする財務担当者はいない。なぜなら、CXを強化することによって期待できるロイヤルティとクチコミへの影響を数値化することが難しいからだ。最高のCXがもたらす収益へのメリットには、顧客の維持、ポジティブなクチコミの増加、ネガティブなクチコミの減少、そして利益率の向上がある。さらにCXへの投資のROIは通常100%以上だ。
・特定のトラブルが与える収益への影響を算出する大まかな方法は、「顧客がトラブルに遭遇した場合、典型的にはロイヤルティが20%下がる」と考えればよい。つまりトラブルを体験した5人に1人が再購買しない、と考える。
・期待できるコスト削減としては、サービスを求める需要が減る、サービスの対応が効率的になる、トラブルを解決するコストが下がる、製品&サービス保証関連の経費が減る、トラブル解決にかかわる管理者の工数が減る、訴訟やPRにかかるコストが減る、そして優秀なスタッフの離職に伴う人材コスト(採用と育成)を防げる、などの効果がある。
・CXが作り出す収益貢献やコスト削減を数値化できても、懐疑的な人はなくならず、そのデータに異議を申し出る人はいるだろう。本章で紹介した議論の事例を参考にして、彼らを納得させる準備をしよう。
・すべてのトラブルが同じ影響を与えるわけではない。通常、2つか3つのトラブルがロイヤルティに最も深刻なダメージを与えるのであり、中には改善しなくてもいいトラブルもある。勝てる戦いをしよう。


第4章 物事は最初に正しく実行する
 顧客はデリバリーがいつ完了するのかという点で確実性を求めている。たとえば修理サービスの訪問でも、よりきめ細かい枠で約束時間を設定するようになってきた。8時から17時の間では顧客の期待に沿えない。8時から正午の間でも受け入れてもらえない。多くのサービス会社では2時間の時間帯指定で約束している。
 ブリティッシュ・ガスでは2時間以内の到着を保証し、遅れた場合の賠償金を約束している。フェデックスはさらにその先を行き、配達便をネット上でリアルタイムに追跡できる機能を提供することで不確実性をなくしている。同社はモバイルとGPSテクノロジーを活用し、顧客の配達物の位置確認、温度管理の必要な内容物の温度チェックを可能にした。これによって「配達トラックはどのあたりにいるのか」「いつ到着するのか」といった問合せの電話がほとんどなくなった。フェデックスは「Be the First to Know!(最初に知るのはあなた)」と名づけたマーケティングキャンペーンの中核に、付加価値の高いこのサービス機能を位置づけている。

 顧客教育のベストプラクティスは、消費者の学習スタイルが多様化しているため、できるだけ多くのチャネルや形式を使って、ワンポイントに絞った情報を少しずつ提供することだ。新規顧客向けのウェルカムパッケージには、録音テープや動画を補足資料として付け加えるのも効果的だ。

■本章のまとめ
・DIRFTは顧客による製品やサービスの認知に始まり、マーケティング活動、製品の利用、メンテナンスに至るまでの全活動を網羅しなければならない。
・人、プロセス、テクノロジーを組み合わせ、ブランドプロミスからコミュニケーション、雇用に至るまで、顧客中心の組織文化を作り出す。
・CXのプロセスマップの「あるべき姿」を作成し、DIRFTを実現するには、ほぼすべての活動やプロセスにおいて柔軟性を持たせるテクノロジーを導入する。 深刻なクレームであっても、現場のスタッフが柔軟な解決策を講じれるような権限と裁量を付与する必要がある。
・エモーショナルコネクションは、いつも必要ではないが、CXのどこかには意図的に組み込むべきである。
・CXに影響を及ぼす活動のすべてにおいてDIRFTの指標を設ける必要がある。指標の多くは、テクノロジーが活用されているプロセスにも適用される。


第5章 マルチチャネルからのアクセスを実現する
■顧客アクセス戦略を構成する要素
①セグメント
②作業量
③コミュニケーションチャネル
④営業時間
⑤サービスレベル
⑥ルーティング方式
⑦必要なリソース
⑧必要な情報
⑨分析と改善
⑩新しいサービス導入のための戦略

■本章のまとめ
・顧客が必要と感じたときにはサービスやサポートを積極的に使う、ということを顧客に促すべきである。ほとんどの顧客は「コンタクトを取っても意味がない」「コンタクトを取るのは面倒」「担当者と対立したくない」「自分が使いたいコンタクトチャネルがない」と感じているからだ。
・顧客のコンタクト件数は、顧客が抱えるトラブルや疑問の数、アクセスの見つけやすさや使いやすさ、各チャネルで約束しているサービスの範囲、そして利用しやすさがあり、つながりやすいか、フレンドリーか、などの要素が影響する。
・アクセスの整備するための計画を、顧客のセグメントごとに正確に予測した需要に基づいて立案すること。予測の需要に対して、必要な要員数、コンタクトを処理するためのルーティング、そしていつ、誰が、どんな知識とスキルを備えて対応するか、新製品の導入においても同様の計画プロセスがもとめられる。
・アクセスへのつながりやすさ(コールセンターにおける平均応答速度、放棄呼率)などの指標以外にも、アクセスできなかった不成立の件数、つながりやすさを示す「待ち時間」の中で最も待たされた顧客のアクセス件数(待ち時間分布におけるテールエンドの5%)、チャネルごとの不成立の件数などとその原因を明らかにすることがCX上の取組みにつながる。


第6章 常に顧客を満足させ、時には驚かせる
■すべてのサービスに共通する5つの目標
・第一次解決
・エモーショナルコネクションの創出
・将来的なトラブル発生の防止
・クロスセルとアップセル
・VOCシステムへの入力

■ETDBW
①情報やヘルプの見つけやすさ
②サービスへのアクセスのしやすさ
③煩雑な手続きの最小化
④徹底的なFCR
⑤最後までのフォローアップ

■5つの目標すべてを確実に達成するための6つの機能
①サービスニーズの予測
②サービス要求の受入れ
③回答
④フォローアップ
⑤履歴
⑥評価

■サービスを測定するための指標
・FCR、顧客満足度、そして他人に薦める気持ち
・コンタクトリーズンごとの第一次解決と満足度
・フォローアップ
・コネクションとトラブル防止
・クロスセルとアップセル
・VOCシステムへの入力

■本章のまとめ
・顧客対応のサービスにおいて、顧客からの苦情や問合せは最初のコンタクト時点で解決する、エモーショナルコネクションを作る、トラブルの予防に取り組む、クロスセルを実行する、そして顧客の声をVOCシステムに入力する、という5つのゴールが不可欠である。
・サービスの5つの目標を効率的に達成する6つの機能として、予測、受入れ、回答、フォローアップ、履歴、評価がある。
・顧客が使いやすいチャネルを通じてサービスを提供したいが、顧客が使うチャネル自体が変化するので、テクノロジーを活用して効果的なサービス環境を構築すべきだ。
・サービスシステムが5つの目標のすべてを達成できていることを確認するための指標を設定して活用すべきだ。

第7章 統合されたVOCを傾聴する
■本章のまとめ
・VOCシステムは、現在起こっているCXの、経営陣らも気づいていない重大で新しい問題点を特定し、その取組みの進捗を明らかにするものである。
・VOCシステムで扱うデータは、顧客アンケート、顧客のコンタクト履歴、CXに影響する取引処理の結果などのデータ、さらに従業員やソーシャルメディアからのインプットを含むデータを組み合わせることによって、それぞれのトラブル件数やそれらがロイヤルティやクチコミに与える影響を推定できるものでなくてはならない。
・CXに影響する種々のデータを統合し、統一されたCX全体像を作り出せることが重要である。各カスタマー・タッチポイントで集められたデータを用いて、過去1か月にあるトラブルを体験した顧客数の推定値を的確に割り出す必要がある。
・さらに、急速に普及する携帯端末、ソーシャルメディア、メール、加えてウェブサイトへの投稿などをVOCを総合的にマネジメントするには、CRMと通話分析ツールを効果的に活用する必要に迫られている。VOCマネージャーは社内やベンダーのテクノロジーを駆使して、どのチャネルから届いた顧客の声でも同じ顧客IDに基づいて統合的に管理することで、顧客体験の起点から完了までのCX像を作り出せるようになる。
・VOCの収集・分析、そして経済的影響を考慮してトラブルの改善策の優先順位を調整する。VOCの社内的影響力を維持するには、改善活動の推進役を必ず誰か1名を任命すべきだ。改善活動の効率性を考えれば、各現場に改善活動を任せる「分散型」が望ましいが、最も効果的なアプローチを取るには「集中型」が望ましい。推進役には、問題解決プロセスの成果検証までをやり抜いた経験のある上級アナリストが望ましいだろう。
・VOCの基本的アプローチは、些細なことでもマネージャーが解決すべき問題を特定し、トラブルやその解決策を立案する際にマネジャーの理解を助ける情報やデータを提供し、具体的なアクションを取る経済的ロジックと必然性を明らかにしなくてはならない。


第8章 テクノロジーを使いこなす
■理想的なCXのプロセスマップに含めるべき主要な活動
製品設計/マーケティング/情報検索/売込み/購入/提供/使用開始/現行の使用と請求書作成/サービスへのアクセス提供/顧客サービス/顧客の声に耳を傾けて学習する/顧客の声に耳を傾けて学習することへのフィードバック

 顧客教育、そしてトラブル防止に最も役立つテクノロジーの1つが動画であり、企業と顧客のコネクションを作り出すうえでも効果を発揮する。CXにとっても、まさに「百聞は一見にしかず」なのだ。
 …
 ただし動画は、長すぎるのも、必要以上に見せようとするのも禁物だ。効果的な長さは通常1分以下である。登場人物は、俳優を使うよりも、普段から顧客と接しているサービス担当者のほうが誠実さや信頼感が伝わるようだ。たとえば、ホームセンターのロウズ者では、「Fix in Six(6秒で解決)」というごく短い動画を使って、住宅リフォームのヒントを効果的に伝えている。

■本章のまとめ
・プロセス改善を促進し、CX部門、マーケティング部門、IT部門の協力体制を強化するには、CXのプロセスマップの「あるべき姿」が欠かせない装置として機能するだろう。
・テクノロジーを導入する際に、社内を通じて共通に使える同一の顧客IDを義務づけるべきだ。また、顧客と従業員の詳細なフィードバックを集め、テクノロジーの活用に役立てるために、常に予備テストを実行すること。
・テクノロジーを導入するメリットとしては、将来の予測ができること、柔軟に活用できる複数のチャネルを統合できる、サービスに対する需要を削減する、顧客や従業員の手間を削減する、エモーショナルコネクションを推進できる、そしてVOCの効率的な運用を可能にする点である。
・CX環境でテクノロジーを使ううえでのよくある過ちを挙げると、従業員と顧客に同じシステムに基づいた同じ情報を提供しようとしていない、ウェブサイトが、利用する最初のサービスチャネルである」という認識に立っていない、コミュニティサイトを開発するうえで小規模なものから始めていないこと、サービスの公開に先駆けてテクノロジーの予備テストを行っていないことがある。 ・CXにおけるテクノロジー関連の重要指標には、セルフサービスを使おうとして顧客が選んだ割合、しかし、その利用において失敗したり、最後まで完結できなかった取引や応対の割合や発生頻度がある。


第9章 CXの組織文化を作るマネジメント
■本章のまとめ
・顧客中心でエモーショナルコネクションを重視する組織文化を作るには、現場スタッフが少なくともトラブルの95%に対処できる権限が与えられているべきだ。権限委譲を効果的に進めるには、利用しやすく、柔軟な回答ルールと情報が必要だ。
・エモーショナルコネクションを実践するための投資はほとんど、あるいは全くがかからない。現場スタッフの時間を費やすだけで、顧客のロイヤルティを大幅に向上させることができる。
・経営陣は、権限委譲やエモーショナルコネクションを強く支持していることを示す。管理者は、コネクションや権限委譲を積極的に支持サポートするように訓練されてい なければならない。
・エモーショナルコネクションの作り方や権限の使い方については、現場のスタッフに対する教育が必要である。
・権限委譲やコネクションの実践面をマネジメントするには、適切な指標で測定しなければならない。


第10章 事例で読み解くCXのストーリー
■本章のまとめ
・CXリーダーの主要な役割は、CX強化の促進、問題点の特定、数値化、そしてゴー ル設定と実行計画におけるサポートにある。さらに、他の経営陣との間に責任を定義することである。
・CXリーダーは、顧客満足度、品質やサービスの問題点、そして指標に対する総合的な責任を負うべきではない。
・CXリーダーは、失うかもしれない損失金を数値化し、特定されたCX上の問題点を解決するために、他の経営メンバーをサポートすべきだ。
・CXの道のりは厳しく長いが、現状のCXの数値化、プロセスマッピング、ゴール設定、実行計画、結果検証、成功の賞賛、さらに組織的、経済的な変化は常に起こりうるので、CXリーダーはこれらのリスクに備えると同時に効果的なマネジメントをしなければならない。
・成功への秘訣は、物語ることにある。顧客の口から物語られる内容を明らかにすることだ。そしてCFOの賛同と支持を得る。最後は、他の経営陣の協力や功績を称えることだ。


訳者解説
■グッドマンの法則
・第1法則:不満を持った顧客のうち、苦情を申し立てその解決に満足した顧客の当該商品の再購入率は、不満をもちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比較してきわめて高い。
・第2法則:苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的なクチコミの影響は、満足した顧客の好意的なクチコミの影響に比較して2倍も強く販売の足を引っ張る。
・第3法則:企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり、好意的なクチコミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が強まり、かつ市場拡大に貢献する。

 しかし、「困っている人を助けること」をサービスの基軸とするならば、儲けが少ない段階でもできることはたくさんある。それほどお金をかけなくても、顧客をサポートしたり、ロイヤルカスタマーを育てることは思っている以上に簡単である。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

1.顧客体験という言葉を始めて聞いたので、なんとなく予想しながらも著者の主張を知りたくて購入しました。

2.自社の顧客体験を充実させることが、ロイヤリティを上げることになる。そのためには、4つの要素があります。
1物事は最初に正しく実行すること
2顧客が利用しやすいチャネルとサービスへの容易なアクセス
3全てのチャネルを通して提供する顧客へのサービス
4効果的なVOC(顧客の声)システムによる傾聴と学習
これらをフレームワークとして活用し、顧客の体験を理解し、本音を理解していく必要があります。
顧客はカスタマーセンターに苦情を言わないからといって不満がないわけではなく、ただ声を上げるのが手間だと思うだけです。その声を見逃さないためにはどのように実践していけばいいのかを理論と事例を備えて述べられている一冊です。

3.この本を読んでみて、「顧客体験とは、顧客がサービスを受けた時の本音」という理解でいます。顧客満足度では、受けたサービスの良い面を数値化することを目的としがちです。しかし、「顧客の本音を可視化する」ことが企業にとって本当にやらなければならないことだと思います。実際どの企業も実践していますが、なかなか難しいところです。似たような企業が多く、競争が激化する現代では、経営課題に匹敵するくらい大切なことだと思いました。

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2019年07月21日

Posted by ブクログ

A.自社の顧客が体験していること ――「 カスタマーエクスペリエンス( CX )」が企業の想像以上に悪いことは十分にありうる。だが、経営者のほとんどは自社のCX に満足しており、経営に与える深刻なダメージに気づかないでいる。

B.CX においては、例えば、次のようなことが重要である。
・顧客の「事前期待」を理解する。
・顧客が予期しない、不快な出来事を起こさない。
・顧客の不満と不安の原因を見極める。

C.常に最高のCX を提供するための要素は、次の4 つである。
①物事は最初に正しく実行する
顧客の事前期待を正しく設定し、約束したものをきちんと届ける。そのためには、現場の担当者に権限委譲し、適切なプロセスとテクノロジーを現場に落とし込む必要がある。

②サポートへ容易にアクセスできるようにする
顧客が困り、疑問に感じた際には、サービスやサポートに簡単にアクセスできるようにする。

③すべてのチャネルを通してサービスを提供する
サービスを強化するため、次の5 つを目標とする。最初のコンタクトでの問題を解決する/適切なタイミングでクロスセルを実施する/不必要なコンタクトを回避する/顧客と感情的なつながりを作り、付加価値を高める/VOC(顧客の声)のための情報収集を行う。

④顧客の声に耳を傾けて学習する
顧客体験の起点から完了まで、すべての過程で顧客の声に耳を傾けて学習する。

D.CX を強化する上では、顧客の不満や疑念が生じそうな箇所はあらかじめ特定し、トラブルが起こる前に予防的な措置を取ることが重要だ。
例えばケーブルテレビ会社であれば、「技術者は明日の8 時から9 時までの間に伺います」と約束の再確認コールを入れる。飛行機のパイロットなら、「滑走路が混雑のため、30 分遅れます」などときめ細かくアナウンスをすることだ。

E.ザッポスがこのような方針を打ち出せるのは、「フィットサーベイ」という仕組みを使って、販売の時点で顧客に情報を伝えて教育し、返品が例外となるように努めているからだ。フィットサーベイには、靴のサイズに関する情報、顧客からの質問に対する回答、商品を購入し
た顧客のアドバイスが満載されている。買い物客は、商品が表示サイズに比べて大きめなのか小さめなのかといった、多数の利用者から実際の体験に基づいて収集された具体的な情報を確認できる。

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2016年12月28日

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