【感想・ネタバレ】この世にたやすい仕事はないのレビュー

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Posted by ブクログ

読んでいてほっとするし、今の仕事も悪くないかなと思える。自分が何を仕事に求めるか、そんなことを少し考えさせられる話だった。

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

世の中にはいろんな仕事があるんだなー。どれも架空なんだろうけど妙にリアリティがあって、そこはかとないユーモアやささやかなやりがい等もあり、面白かった。

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2022年08月01日

Posted by ブクログ

タイトルと表紙にそそられて読んでみた。
救われる感じがした。

仕事や人生はいつもほとんどが大変で、おいしいことってのはほんと一握りなんだけど、その一握りのおいしさをお裾分けしてくれるかのような小説だった。

全然ほっこり小説とかではないんだけど。

むしろホラーっぽい感じさえあった。

主人公が淡々と築く人間関係や、それぞれの職場で出会う同僚の人間くささに何度も唸らされた。

専業主婦になって数年たつ私、結構そういうのを欲してるわ、と感じた。

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2022年07月13日

Posted by ブクログ

タイトルと装丁から、お仕事小説だろうことは(もしくはルポ)想像していたけれど、それのはるか上を行くどっぷり具合でした。


・みはりのしごと
・バスのアナウンスの仕事
・おかきの袋のしごと
・路地を訪ねるしごと
・大きな森の小屋での簡単なしごと

の連作短編5篇。
「おかきの袋のしごと」のサイケっぷりがヤバかったです。
敢えて言います、ヤバかった。

【本文より】
・みだりに人を軽く見ることが明るみに出るのもこっぱずかしいもんだと思わせることができたら幸いである。

・同僚の性格の良さというのは、あくまでエキストラなものと考え、まずは自分が合わせられる程度の集団を探しましょう。

・どの人にも、信じた仕事から逃げ出したくなって、道からずり落ちてしまうことがあるのかもしれない、と今は思う。

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2022年04月26日

Posted by ブクログ

辞めるのもったいない!と思う仕事ばかりで、ありそうでないところが面白そう。
お煎餅の仕事なんか特に続ければよかったのに〜とすごく思った。
あの工場ならどんな仕事でもきっと楽しく出来るよ。
でもタイトルの「たやすい仕事はない」という通り、どの職場もそれぞれ難しいところがある。 
お煎餅のラストは、私でもそうするかな…
悪い人ではないんだろうけどね、ということってどこにでもあって、それは現実も同じだな。

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2022年04月08日

Posted by ブクログ

地味といえば地味なのだけど、読み終えていい本だったなあと思った。
「仕事と愛憎関係に陥る」というのは、とても上手い表現でした。うん、うん、分かる…。身に覚えがある…。という気持ちがポツポツある。
主人公も淡々と仕事をこなして優秀だし、江里口さんを見て新卒の頃の自分がこんな風に仕事ができる若者だったらどんなによかったかなあと思った。
ポスター貼りの話が少しだけ他とは浮いているが、心にくる。ああー…、盛永さん…、って。社会には色んな人間がいて、それは当たり前のこととして普段は受け入れてるつもりだけど、ふと何かにぶつかったときにそれを生々しく痛感して、果てしない気持ちになる、そんな感じ。結局、上手く自分と現実の折り合いをつけていける人が強い人なんだろうな。
とりあえず、自分はみはりのしごとがとても羨ましい。次点で森小屋のしごと。非正規でも安くても、就職したいです。

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2021年08月06日

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ネタバレ

むっちゃくちゃおもしろかった
読み応えすごい
おばさんにカートつっこむとか、普段から悪い人なわけじゃなくて仕事のある一瞬だけ悪い人になるだけってとことか
さびしいをそうゆうものだと受け入れているかどうか、とか
すごくなるほどだったかなり読んでよかった
さびしいはそうゆうものって解釈でいいのか…

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2021年05月19日

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ほんとは…転職の方が大変だと思うんだけど。
人間関係を1から作っていくなんて私にはかなりのストレスだ。
たやすい仕事はないけど、自分の居場所を作るのもたやすくはない。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

津村さんの本には本当にハズレがない。
センスと簡易な文章。
あまりスポットの当たることのない物事に焦点を当てているんだけど、そこが本当に絶妙に興味をそそってくる。デティールへの拘りから現実味を与えてくる。とても良い。

本作は、章ごとに舞台は変わるものの、新卒以降長年勤めた会社を燃え尽き症候群で辞め、短期の仕事を転々とする主人公にフォーカスを当て続ける連作小説。

モニターでひたすら執筆業を生業にする男性を見張り続ける仕事。
地元企業に行ったインタビューをもとにバスのアナウンス原稿を書き上げる仕事。
おかきやせんべいなど、商品ごとに企画・シリーズ化し、袋裏に掲載する豆知識などの原稿を作成する仕事。
官公庁から委託され、店舗や民家などを訪ねて交通安全や緑化、節水などを啓発するポスターを張り替える仕事。
公園の管理事務所で、公園内の見回りをしたり、博物館の展示イベントのチケットにミシン目を入れたりする仕事。


絶妙にマニアック。だけど目が離せない。
最近津村作品にハマっていて、段々作者の好きなことや詳しいことがなんとなくわかるようになってきて嬉しい。(サッカーとスペイン語の要素は特によくでてくる)

個人的には、雑学好きなので"おかきの袋のしごと"に従事したいな…。時給が低くても、"大きな森の小屋での簡単なしごと"も捨てがたい。
装丁も可愛すぎて、本当に絶妙にツボを押さえられてしまう。

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2024年05月21日

Posted by ブクログ

有機農家の久松達央さんが「仕事で悩んでいる30代の方などに」とおすすめしていた本。
小説はあまり読んだことがなかったが、面白いと思った。なんだろう、読み進めていく中で小説中の物語が頭の中でどんどんイメージが膨らんでいくのが楽しく、読み進めるほど面白かった。

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2024年05月13日

Posted by ブクログ

時々、他の仕事をしていたらどんな感じかなあと考えることがあります。
この本は、そんな妄想を叶えてくれます!
どんな仕事にも良い面と悪い面があるという当たり前のことを、
少し現代のホラーっぽい部分も含めて書かれています!

しばらく今の仕事で頑張ろうかな、と思います。

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2024年04月14日

Posted by ブクログ

ただ今、私自身も求職中なので
これから出会う仕事と人間関係を
少し身に染みながら(笑)読んでました!
ハローワークの方から私も本のように仕事を紹介されたいです(笑)アシュトンカッチャ~のくだりらへん好きです。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

いくつかの職業でのお仕事小説とそれにまつわる、プチミステリー謎明かし。謎が少しずつあって、飽きずに読めた。

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2024年03月01日

Posted by ブクログ

『そういうものだろ、仕事っていうのは』を読んで、津村さんの作品をもっと読みたくなって、どうせなら仕事つながりの本にしようということで読んでみた。

登場人物がみんな、こういう人いるなぁ、って思えるからこそ、どんどん読み進めてしまう。
主人公はどんな仕事に落ち着くんだろうと思わせつつ、最終章でちゃんと回収されている。
こんな仕事してみたい、この仕事は自分には無理だな、こんな人と働いてみたい、正門さんに仕事紹介してもらいたい、って最後まで楽しみながら読めた。

また違う作品も読んでみよう。

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2023年04月26日

Posted by ブクログ

ストレスに耐えかね前職を辞めた36歳の女性が転職を繰り返す。
その仕事場での短編集。
こんな仕事ある?笑 から、実際ある仕事。
ちょっとミステリアスなとこもあって面白かった。

そして、共感できまくる"辞める理由"。
結論"この世にたやすい仕事はない"
そうだよね。と思った(´・ω・`)笑

でも主人公の女性みたいに色んな職を転々とできるのがちょっと楽しそうとか思ってしまった笑

自分自身で仕事へのモチベーション上げるのって大切だなと思う。
熱入れすぎて燃え尽きちゃう主人公の気持ちもよくわかるけど(´・ω・`)


こちらの1冊と出会わせてくださったブクトモ様に感謝\( ´ω` )/

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

あなたは、『簡単な仕事』という言葉にどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?

この世には数多くの仕事があります。2011年の厚生労働省の職業分類によると、この国にはなんと17,209もの職業があるというから驚きです。そんな調査から10年以上の年月が流れ、恐らくはその数も増えていると思われる昨今。一方で終身雇用制が崩壊し、転職する人も数多いる状況にあっては、それぞれがそれぞれにとってのベストな仕事に就きたいと考えるのは当然のことだと思います。

では、あなたが転職をしたいと思った時、そこにはどんな優先順位をつけるでしょうか?給与額でしょうか?勤務地でしょうか?それとも仕事内容でしょうか?人によってそんな職業選択の中での優先順位は千差万別です。だからこそ、この世には数多くの職業があり、またそれぞれに就く人がいるのだと思います。

一方で転職をする人には、その前に前職を辞める決断をした理由というものが存在するはずです。職業選択の理由が千差万別であるのと同じように、退職理由だって千差万別だと思います。それは、給与額への不満だったかもしれません。仕事の内容だったかもしれません。そして、人間関係だったかもしれません。会社を辞めるという大きな決断に至る背景にはそれ相応の大きな理由が存在したはずです。

さてここに、そんな風に会社を辞める決断をした一人の女性に光を当てる物語があります。その女性は『大学卒業以来十数年続けた』仕事を『燃え尽き症候群のような状態になって』辞めた過去を持ちます。そして、短い期間にさまざまな理由で転職を繰り返していきます。この作品はそんな転職理由に光を当てる物語。そんな決断をするに至った女性の心の動きに光を当てる物語。そしてそれは、そんな女性の決断の先に「この世にたやすい仕事はない」という書名がふっと浮かび上がるのを感じる物語です。

『左右のモニターには同じ人物が映っている。左が昨日の二十二時台の映像で、右がおとといの二十時台のものである』と、二つのモニターの画面を見るのは主人公の『私』。そんな『私』は、『在宅で仕事をしている一人暮らしの小説家の生活を監視する』仕事をしています。『監視は同時ではなく、前日までに録画したものを確認す』れば良いものの、『対象者の在宅時の映像は、すべて確認』しなければなりません。『明け方の六時に寝て、昼の二時に起きる対象者』を『一倍速』で確認するため、『一日のほとんどを、このブースで過ごしている』という『私』。『燃え尽き症候群のような状態になって』辞めた前職の後、『療養のため実家に帰っ』ていたものの、失業保険が切れてやむなく職探しを始めた『私』は、『家からできるだけ近いところで、一日スキンケア用品のコラーゲンの抽出を見守るような仕事』を相談員にリクエストしたところ、『あなたにぴったりな仕事があります』と紹介されたのがこの仕事でした。『小説を書くことを生業にして』いるという監視対象者の山本山江(やまもと やまえ)は、『知人からそれとは知らずに密輸品の「何か」を預かっている』とされています。『非公式なガサ入れ』で見つけることが出来なかったために『カメラを仕掛けて、知人が受け取りに来るのを見張っている』という状況。そんな山本山江を長時間監視する仕事を『家には帰れないわ座りっぱなしだわ退屈だわと、悪いところを挙げればきりがない』と思う『私』ですが、一方で『同僚と話すのは最低限』で良いなど『人間関係が単純である』ことにメリットを感じています。そんな『私』は、『だんだん、自分が山本山江と生活をともにしているような気分になってき』たのを感じています。そんな中、山本山江が『カメラの方を妙に見るようになってきた』ことに気付きます。『見張られていることに気が付いたのだろうか?』と『モニター越しに目が合う』状況を不気味に感じる『私』。そして、山本山江はある行動に動き出しました…という〈第1話 みはりのしごと〉。ただひたすらに他人の生活を監視するという一見『簡単な仕事』に隠されたその仕事の真実に、「この世にたやすい仕事はない」という書名をなるほどね、と感じさせてくれた好編でした。

“面白いけれども、きつい仕事に燃え尽きてしまった36歳の女性主人公が、1年で異なる5つの仕事を経て、自分と仕事との健全な関係を取り戻すまでを描く連作短篇”と紹介されるこの作品。五つの短編が連作短編の形式を取りながら、五つの仕事に就いては辞めを繰り返す主人公の『私』視点で展開していきます。そんな作品に登場する仕事は多種多彩です。現実にもあるだろうなと思う仕事からファンタジーをまたぐような仕事までが登場する物語。では、そんな五つの短編を、登場するお仕事とともにまとめてみたいと思います。

・〈第1話 みはりのしごと〉: 『左が昨日』、『右がおととい』という二つのモニターに映るのは山本山江という小説家の暮らし。主人公の『私』は『一倍速で』そんな山本山江の生活を監視し、彼女が『それとは知らずに』知人から預かっている『密輸品の「何か」を』知人が取りに来る瞬間を待ちます。

・〈第2話 バスのアナウンスのしごと〉: 廃線の危機にあった『循環バス「アホウドリ号」を存続させる』ために、停留所近辺の店の広告を車内で流すためのアナウンスを作成するという仕事に就いた主人公の『私』。そんな『私』は、『片方は不動産屋で、もう片方は耳鼻科』と、アナウンス原稿の作成を次々行っていきます。

・〈第3話 おかきの袋のしごと〉: 『創業四十年』のおかきの会社で『おかきの袋の話題を考える仕事』に就いた『私』。『鬱病で休職中』という前任者に代わって、『製品を袋まで楽しめるものにしたい』という社長の意向を受けて、おかきの袋の裏側に『国際ニュース豆ちしき』、『あのことばの由来』などの豆知識を作っていきます。

・〈第4話 路地を訪ねるしごと〉: 『店舗や民家などを訪ねて、ポスターの貼り換えをする』という仕事に就いた『私』。『営利目的』でもなく『新規開拓』も不要という一方で、『住民についての簡単な調査も兼ねている』という仕事で街に出た『私』は、『さびしくない』と書かれたもう一枚のポスターが貼られているのに気付きます。

・〈第5話 大きな森の小屋での簡単なしごと〉: 『公園の管理事務所からの求人』という『簡単なしごと』に就いた主人公の『私』は、『西の端から東の端』まで三時間という巨大な公園の中に立てられた小屋で1日を過ごします。『小屋の周りをうろちょろ』するという基本的に暇な仕事の日々の中で、『私』はある異変に気付きます。

以上ご紹介させていただいた仕事の内容を見てあなたはそこにどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?第2話や第3話、そして第4話の仕事は現実世界に間違いなく存在する仕事です。一方でどこかスパイを思い浮かべる第1話や、『西の端から東の端』まで三時間という巨大な公園の中の小屋に実質いるだけという第5話の仕事はどこかファンタジーの世界に片足を突っ込んだ印象も受けます。しかし、間違いなく言えるのはそれらが”お仕事”であり、主人公の『私』は、そんな”お仕事”に従事していく姿が描かれるものであるということです。そんな風に”お仕事”を物語の中心に配するのが”お仕事小説”であり、私がこの上なく愛する小説の分野でもあります。しかし、ひと言で”お仕事小説”と言っても描かれる内容は多岐に渡ります。分類すると以下のような感じでしょうか?

① 一つの仕事に真摯に向き合う人に光を当てるもの: 三浦しをんさん「舟を編む」- 辞書の編集者、宮下奈津さん「羊と鋼の森」- ピアノ調律師、原田マハさん「本日はお日柄もよく」- スピーチライター

② 一つの施設内に働く複数の人たちに光を当てるもの: 寺地はるなさん「ほたるいしマジカルランド」- 遊園地のスタッフ、畑野智美さん「シネマコンプレックス」- 映画館のスタッフ、村山早紀さん「百貨の魔法」- 百貨店のスタッフ

③ 国際貢献の舞台で働く人に光を当てるもの(短編): 森絵都さん「風に舞いあがるビニールシート」: - UNCHR、湊かなえさん「絶唱」- 青年海外協力隊

④ 多種多彩な職業に光を当てる短編集: 山本文緒さん「絶対泣かない」- 15の職業、三浦しをんさん「ふむふむーおしえて、お仕事!(ノンフィクション)」- 15の職業

⑤ 不本意な人事異動にあった主人公に光を当てるもの: 大崎梢さん「プリティが多すぎる」

⑥ 就職活動に光を当てるもの: 三浦しをんさん「格闘する者に○」

⑦ 転職をサポートする側に光を当てるもの: 瀧羽麻子さん「あなたのご希望の条件は」

以上のようにひと口に”お仕事小説”と言っても切り口が違うと読者が心惹かれる内容も随分と変化していきます。ここに”お仕事小説”という分野の懐の深さが伺えます。そして、そんな”お仕事小説”に分類できるこの作品は上記のいずれにも属さない一つの新たな視点を取り入れています。それが、

⑧ さまざまな理由で転職を繰り返す主人公に光を当てるもの: 津村記久子さん「この世にたやすい仕事はない」- 5つの仕事に転職を繰り返す

この作品では、5つの仕事の現場が垣間見れるという魅力がある一方で、そんな仕事に主人公が就き、業務を行い、そして契約を継続しないという選択に至る過程が描かれていくのが何よりもの特徴です。仕事を辞める決断を繰り返していく主人公には、当然に理由があります。昨今、終身雇用制が崩壊し、この国でも転職をする人は決して珍しくなくなりました。そんな人たちには、やはりそれぞれに、それぞれの転職理由があるのだと思います。この作品では、主人公の『私』が意図しない中、不本意な中、そしてはっきりとした意思の元、短期間で仕事を辞めるという決断を繰り返していく姿が描かれていました。そんな主人公の『私』は、『大学卒業以来十数年続けた』仕事を『燃え尽き症候群のような状態になってやめ、療養』を経た後の身でもありました。そんな『私』は前職で受けたダメージから、『簡単な仕事』という言葉でイメージされる仕事を求めていきます。あなたは、『簡単な仕事』という言葉にどんな仕事のイメージを思い浮かべるでしょうか?それは、仕事の内容自体が単純であることでしょうか?ノルマを課されるようなことがないということでしょうか?それとも、煩わしい人間関係から無縁であることでしょうか?人によってそこに思い浮かべるイメージは当然に異なるでしょう。だからこそ、この世にはさまざまな仕事があり、それぞれに就く人がいるということなのかもしれません。この作品の主人公の『私』が就いた仕事はなかなかに幅の広さを感じさせるものです。そして、退職を決意する理由も異なります。ある時は『悪い仕事ではないのだが、業が深くて、自分の器ではそれを受け入れられない』と感じ、またある時は『苦手なタイプの人に仕事を奪われる恐怖感に勝てず、逃げ出した』といったように、異なります。仕事は人が生きていく中では大きな位置を占めるものです。しっくりこないと感じる仕事は心身に不調を招きかねません。主人公の『私』は、かつてそんな不調に悩まされた経験があるからこそ、仕事選びに慎重になっているとも言えます。しかし一方で、『簡単な仕事』と探し求める先に答えはないのではないか?そんな思いも抱きます。そう、そこに浮かび上がるのが

「この世にたやすい仕事はない」

この作品の書名です。生きていく中で欠かせない仕事、そんな仕事に苦労はつきものです。たやすく高給取りになれるのであれば誰も苦労はしません。この作品では、”お仕事小説”として描かれる作品の中で、退職を決意した理由に光を当てた物語が描かれていました。人が退職を決意するということは人生の中での大きな決断です。それでもその先に進みたいと決意する瞬間、そんな決意に秘められた思い、この作品では、転職を繰り返す主人公の『私』視点で仕事に対する違和感がどこに芽生えるのかという視点が描かれていました。主人公の『私』が感じるとても納得感のある転職理由の一方で、「この世にたやすい仕事はない」という書名が頭の片隅をよぎる、そんな作品でした。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

仕事に迷ったら読むべき本なのかと思ったら、ちょいちょい笑かしてくれる本だった。パンノキチップス食べてみたい

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2021年10月28日

Posted by ブクログ

津村記久子さんのお仕事小説は好きで何冊か読んでいるのだけど、この小説は正真正銘のお仕事小説だった。そしてとても面白かった。

主人公は明言はされていないけれど恐らく30代半ばの女性。大学卒業後からずっと続けてきた仕事を離れ(その仕事についても最初は触れられていないが、最後に分かる)、疲れ切っていた彼女が「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はないですかね?」とハローワークの担当になった正門さんに相談して、紹介された仕事に次々に就いていくかたちの短篇集。
「みはりのしごと」「バスのアナウンスの仕事」「おかきの袋のしごと」「路地を訪ねるしごと」「大きな森の小屋での簡単なしごと」の5篇。
タイトルだけで少しは想像がつきそうな仕事もあるけれど、全く想像がつかない仕事もあり、実際読んでみるとどの仕事も一癖ある。
だけど、意地悪をしたりする嫌な人間は出てこないから、その仕事のあれこれだけを純粋に楽しみながら読めてとても良かった。

色んな理由から主人公は最後に仕事を辞めて次の仕事へ移っていくのだけど、どの仕事にもなんだかんだで適応していく有能さを持っていて、元々長年していた仕事を辞めた理由が最後に分かった時に、真面目に取り組みすぎる主人公にとって色んな職を短期間で転々としたこの時間はとても意味があったのだなと思った。

「路地を訪ねるしごと」はとくに一癖あって、ハローワークに求人が出ていたものの普通の仕事とは言い難い。
住宅街を訪ね廻って交通安全だとか街の緑化だとかのポスターを貼ってくれるお家を探す仕事なのだけど、とくに貼る必要はなさそうなこれらのポスターを普及させようとした雇い主の男性の想いと意図が意外だった上にとても深くて驚かされる。

世の中には本当にたくさんの仕事があって、自分には到底できないだろうと考えつく仕事もあるし、普段意識していない部分で支えてくれるような仕事もきっとたくさんある。
今操作しているスマホや、目の前にあるこの小説、座っている椅子、この記事を載せているブログ、すべて誰かの仕事によって成り立っていると考えるととても感慨深く、ありがとう、という気持ちになる。
見るからに大変そうな仕事、一見わりと楽そうに見える仕事、力仕事、頭を使う仕事、技術を要する仕事…色々とあるけれど、それぞれに種類の違う大変さや苦労があって、まさに「この世にたやすい仕事はない」のだと思った。
そして何より読み物としてとても面白かった。

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2021年06月02日

Posted by ブクログ

およそ存在しない仕事についての内容かと思ったが、どれも職業名では「会社員」になるであろうピンポイントな一仕事がテーマだった。
主人公が器用なので仕事自体は進んでいくのだが、周りの環境や雇い主の都合なんかで短期の仕事を転々とする。パンノキチップス食べてみたい。
短編集の映像としても見てみたい。

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2021年05月23日

Posted by ブクログ

真面目なお仕事小説かと思いきや、どこもかしこもシュールでリアル。仕事って内容よりも人間関係が影響するのかなぁ。何だかんだ疲れたと感じる人は共感せずにいられないはず。

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2021年05月02日

Posted by ブクログ

これを読んでちょっと日常を面白く見るようになった気がする。想像が膨らむ。

色んな人が色んな方法で、社会のあらゆる部分をつくってくれているのだなとしみじみ思った。

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2021年02月01日

Posted by ブクログ

こんな仕事ある?というお仕事に少しの謎が混ざった話。
違う仕事を経験して最後には元々していた仕事に戻る。
謎が少し盛り上がったかなというところで終わってしまう感じがありもう少し謎に踏み込みたかったなという感想。

仕事辞めたいーって思ってもやっぱり戻っちゃうんですかね。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

どんな仕事でも主人公のように真剣に取り組んだら面白くなるんだろうな。
愚痴ばかり言ってないで、今の仕事をしっかり頑張ろうと思えた。

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

大学を出て14年間働いた前職で燃え尽き症候群になった36歳の彼女がハローワークで様々な仕事を紹介される。
短期間のうちに5つの職を体験して何かを感じ取ったって感じの作品でした。
あっ、でもこれダメなやつでした。
ありそうで、なさそうな架空の仕事なんですよね。
特に意味もなさそうな主人公の趣向回路に流されて、
波長が合わなかったみたいで興味が出ませんでした。
そんななか次第に飽きてくるんですが最後まで読み切ろうと大好きな山関連のワードを拾ってました。
1話目では、監視の対象者の名前が山本山江ってフルネームで終始語られてたことと、
2話のバスのアナウンスで出会った江里口さんが全然自分語りしないなか唯一証した過去が女子大時代に山岳部に入っていたこと
3話のおかきの袋の一口ためになる話に、100名山を候補にしてたとこ
そんなところでなんとか集中切らさずに読んでこれたんですけど、4話と5話では山関連のワード出てこなかったんです。
仕事とかもそうだと思うんですが、興味ないことするのって地獄じゃないですかぁ。
少しでも興味あること見つけて、飽きないようにしなければ退屈すぎて死んでしまいそうでした。彼氏とか友達もいなさそうだし、趣味もなし。
あっ転職が趣味だったかも・・
大体、主人公の36歳の女子最後まで名前明かさず終わってしまうなんて、読者に対して距離取りすぎで平行線のまま感情を表してくれないんですよ。まぁ、仕事に取り組む姿勢は真面目で落ち度がないんですが、彼女に興味持てませんでしたぁ。

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(2024/03/26 2h)

さまざまな職種のリアルな内情を明かす系の小説かと思ったら、世にも奇妙な物語系のファンタジー小説だった。

サクッと読めておもしろい。
バスのアナウンスと路地の話が好き。

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2024年03月26日

Posted by ブクログ

今の時代、こんな仕事内容はないだろう!とツッコミたくなる。転職重ねて最後は始めの仕事に戻る気になれてよかった

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2024年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まさにタイトルの通り。
一見、簡単そうかな?と思えても、実際やってみると何でも難しい面は出てくる。それが仕事、労働というものだと思う。

それにしてもこの世にこんな仕事があるとは。。本当に、この世の中は自分の知らない色々な仕事があって初めて成り立っているのだなと感じた。
子どもが高校生大学生とかになったら読ませたいな。

短期間で色々な仕事を経験し、最終的にはもとの職種に戻ろうとしている主人公にも、なんだか共感が持てた。

心に残った一節↓
「でも、何ヶ月も森の中でただ一人で暮らしてみて、自分が食べるためだけに一日中行動し、眠るという生活は、安らかでそんなに悪くはないけれども、物足りなくもあるんだな、と思うようになった」

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2023年04月28日

Posted by ブクログ

津村記久子さんらしい
ゆるゆるっと読める本。
最後に主人公のもともとの仕事がわかる
なるほど、そういう仕事もあるのかな、
って思いながら読みました。

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2023年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヤマシタトモコ先生の今読んでるというツイートをきっかけに読んだ。
最初の1,2章は非現実と現実の間にあるような内容で不思議な感じがあったが、3章で主人公が直面したことには感情移入してしまった。
仕事で周囲の期待に応えられない焦り、会議に呼ばれないなど自分を軽視される怒り、ポジションを奪われる恐怖が淡々と書かれていてそれが逆に生々しく感じた。
すごく嫌な上司とか、大失敗とかがなくても、こういう些細な出来事の積み重なって、追い詰められて逃げ出してしまうことになるんだろうなと思った。
主人公はいろいろな職を転々として、最終的に元の仕事をまたしたいという気持ちを取り戻せたのがよかった。
ずっと同じ職場で熱意を持って働き続けることもよいけれど、ある仕事をしながら別の目的を持つことや、一方で逃げだしても、それもまた一つの道なんだなというある種前向きな気持ちを持てた。

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2023年01月06日

Posted by ブクログ

長く務めた仕事に心が折れて、けれど食べていくためには働かねばならない。
紹介された仕事(短期だたり長期予定だったり)をしながらその都度辞めていく。(けれど最初の仕事と違って心が折れてやめるわけではない)
謎解き要素がありながらも自分と向き合い再生していく様が描かれている。
そう、この世にたやすい仕事もないし、みなプライドを持って生きているのだ。
本筋(元々いた職種)と違う人たちと出会ってその広がりを感じる様は何だか人生って感じがしてそこはかとない希望が持てる。

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2022年07月23日

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