【感想・ネタバレ】痴女の誕生のレビュー

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Posted by ブクログ

ピンク映画、ロマンポルノが終焉し、家庭用ビデオが普及しAVの時代が始まってから今日、その時代時代で男たちが性欲の赴くままに、次々とその嗜好や女たちの属性(「タイプ」と違うのはルックスや性格よりも性的な役割やジョブなのが重要というのが面白い)を表明し、それに忠実にダイレクトに反応する作り手たちが、どんなジャンルやどんな女性の属性を開発・発見してきたのかをまとめたクロニクル。それは、とにかく欲望に対し忠実なので、流行ったり廃れたりまた流行ったり、あっちにいったりこっちにいったり、マーケティング「論理」など歯が立たない、川の蛇行のようにその向かう先がわからない、まさに欲望の赴くままという面白さがある。清純派、人妻、ロリ、素人、熟女、そして痴女に男の娘。新しい性感帯を開発するように、欲望を顕在化しては消費してきたが、次なる未開拓のジャンルや属性はまだあるだろうか? それが見いだせなくなった時、AVというサービスがその役目を終えるのだろう。

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2020年04月30日

Posted by ブクログ

他に類のない本、といえます。

アダルトを扱いながら、分析は事実に基づき正確かつ冷静です。一冊で、日本のアダルト(ビデオ)業界の変遷を理解することができます。

一方、読んだ側としては、業界が転換するポイントになった作品をみてみたくなる気持ちにもさせられることでしょう。

他の追随を許さないエロ先進国の日本だからこそ、この先の世界のエロカルチャーを引っ張ることができるような気持にもさせられます。

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2017年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「美少女・熟女・素人・痴女・男の娘」をどのようにジャンルとして確立したのか、まとめられた歴史の教科書みたいな本。マニアックな分野をどう売れ線に持ってくかは普通にマーケティングだし、ギャルの話でもあったようにいかに求められているニーズに近づけるか、といった視点は商業作品なんだなあと。他ジャンルは幻想に近いが、痴女だけ現実を侵食していったのは面白いなと。

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2022年04月10日

Posted by ブクログ

AVにおける「美少女」「熟女・人妻」「素人」「痴女」「ニューハーフ・女の娘」という五つのジャンルをとりあげ、それぞれのジャンルにおける流行の変遷をたどっている本です。

著者は「はじめに」で、「アダルトメディアでえがかれた女性像の移り変わりは、男性の欲望の変遷そのものである」と述べ、その変化を明らかにすることで男性の欲望のありようを明らかにすることを本書のねらいとしています。なお著者は、AVをはじめとするアダルト・メディアを題材にライターとして活動をしており、本書の叙述も基本的にはジャーナリスティックなものとなっています。そのため、「男性の欲望」そのものについて社会学的な考察が展開されているわけではありません。もちろん、業界の内側を知る著者だからこそ書くことのできた内容は興味深いのですが、二村ヒトシなどのクリエイターによって領導された性意識の開拓に好意的で、「S1的」と形容されているような緊張感をうしなったAVのありかたに対しては、著者はあまり関心がないようです。

このジャンルにかんする事実をていねいに追っているので、そうした関心のある読者にはおもしろく読めるのではないかと思います。

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2021年01月15日

Posted by ブクログ

期待していたほど面白くはなかったが、しかし 2000年代、2010年代と華々しく展開するアダルトメディアの歴史を 1980年代からの一貫した流れの中で把えたという意味では第一級の史料だろう。「美少女」の登場から「熟女」「素人」「痴女」を経て「男の娘」に至るまで各年代でブームとなったトピックを歴史の流れの中に置いて整理した。

もともと一次史料が散逸しやすいアンダーグランド、サブカル領域の中にあって、ことAVだけは DMM-R18 などのインターネット・アーカイブが史料保管庫としても機能しているという事実も面白い。

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2017年12月10日

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