【感想・ネタバレ】マインド・コントロール 増補改訂版のレビュー

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マインドコントロールとは、宗教団体や会社のような組織化された集団が、個人ないしは複数人に対して心理状態をコントロールして思うように操ることだ。

自分自身上記のような定義付けをしているが、キチンとした洗脳やマインドコントロールの仕組みについて考えたことはなかった。なんとなく心が弱ってるなと思うとき、自分の行動に確信がいまいち持てなかったり、自信がないといった心持ちのとき、普段なら絶対引っかからないことにも飛びついてしまったり、飛びつきそうになった経験が何回かある。このような脆弱性をついてくる詐欺行為が日常に溢れているにも関わらず、マインドコントロールに無関心なのはよろしくないと思ったため、この本を一通り読んでみた。

結果として、マインドコントロールの事例から心理状態を操作する方法、解除方法までが具体的に示されていて非常に楽しく参考になった。

マインドコントロールは人の心理状態を巧みに操作することが本質なので、何分特別なことではなく、人とのコミニュケーションをとる日常生活でもさり気なく使用している場面はある。ただマインドコントロールを意識して行っている人間は、人の理性をスキップして無意識に働きかける術に長けているだけなのだ。あからさまな詐欺行為はともかく、明示的に法規制により取り締まる術がない以上、マインドコントロールは過去の遺物などではなく、ますます形を変えて日常生活を侵食していくと思われるので、いっそう心の脆弱性を突かれないようなマインドコントロールを自分自身に施す必要がある。

ただ、マインドコントロールも使い方次第で毒にも薬にもなるので、自身に良い反応が起こる条件付け、つまりトリガーとなる刺激を活用するのは薬になる使い方と言える。


【以下引用】

何となくうまくいきそうだとか、何か不吉な気がするという場合、過去に条件付けられたサインを感じ取って、成功と失敗の兆候を感じていると言える。成功を信じることで実際に成功しやすくなり、失敗するのではと弱気になることで、実際に失敗してしまうことは、しばしば起きることである。こうした条件付けをうまく利用することで、気分や意欲をコントロールすることができる。そのためのポイントは、成功や良い結果と結びついた条件を、積極的に生活に取り入れることである。行動の記録を取り、物事がうまくいっていたとき、していたことを特定し、それと同じことをするように心がける。うまくいったときに聞いていた音楽を聴くのもいいし、服装や筆記用具などにこだわるのもいい。せっかく物事がうまくいっているのに、そのやり方や生活習慣を変えてしまったために、成功パターンを見失ってしまうということもある。

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2023年10月28日

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何度でも読もう。騙す方が悪いが、騙される方も原因があることが科学的に分析されており、刺さる。奪回の鍵は調査と行動で、予防には考えること、自由に考えをしゃべれる環境、鵜呑みにしないこと、忖度は楽だけど、危険。戦前、敗戦を通じた反省がいきていない。そういう土壌を狙われた。猛省した。

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2023年10月11日

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どういう人が、どういうプロセスを経てテロリストになるのか、それはもう少し踏み込んだ姿を教えてくれる。  一つは、理想主義的で、純粋な傾向を備えていたことである。また、もう一つは、彼らは社会でうまくやっているように見えていても、実際には、社会で生きることに苦痛や困難を感じており、あるいは、社会に対して不信感を抱いていたということだ。不適応が顕在化して、すでにドロップアウトしている場合もあるが、潜在的な不適応を抱えているものの、周囲は問題に気づいていないという場合も


ところが、純粋な理想主義者が抱えやすい一つの危うさは、潔癖になり過ぎて、全か無かの二分法的な思考に陥りやすいということである。二分法的思考においては、完全な善か、さもなくば完全な悪かという両極端な認知に陥って



だが、霊感商法において不可解だったのは、多くの人が騙されて不当に高額の商品を買ったこと以上に、それを売った側の人たちもまた、それによってほとんど報酬を得ていなかったということである。  売り上げ金の一部は、手数料として本人に割り当てられたが、それらも結局献金したり、さまざまな名目で他の用途に用いられたので、実質的に彼らは無給で、過酷な仕事をしていたことになる。ノルマが達成できないと、深夜まで販売をしたり、断食を強いられることもあった。奴隷以下の待遇だと言えるだろう。ある意味、彼らは進んでその立場を受けいれたので



人を信じやすい人や人の関心や愛情に飢えている人は、マインド・コントロールを受け



実際、破壊的カルトと呼べるような危険な宗教的、政治的組織の場合、その主宰者は、過去に犯罪歴をもつという場合が少なくない。その典型は、オウム真理教の麻原彰晃である。彼が松本智津夫と呼ばれていた頃、一度は二十一歳のときに傷害罪で、もう一度は二十七歳のときに薬事法違反で、二度の有罪判決を受け、罰金刑を科せられている。反社会的性向は、教祖となる前からすでに存在していたと



何者にも頼らない本来の自分の人生ではないかもしれないが、もっと強く、揺るぎない存在やもっと大きな意味に自分を同一化することで、このちっぽけで弱い自分にも、生きる確かな意味があると感じたい。そうした願望が、ユングの愛人となってでもそばにいるという選択を生んだであろうし、カルト宗教や反社会的集団、ファシズムなどの政治運動にすがる人々を生み続けてき



リフトンの著作が図らずも明らかにした重要な事実は、全体主義やファシズムというものが、カルト宗教と極めて似た特性をもつということだ。そして、大きな共通点は、善か悪かの二分法的価値観であり、その独善性で



共産主義や社会主義に、社会の救済を見出そうとした若者たちが、治安維持法により数多く逮捕され


それは、決して他人事ではない。日本やイタリアでも、ファシズムに熱狂的な支持を与えたのは、知識人を含む普通の市民だった。多くの人が、強い確信をもって希望を約束されると、その言葉を信じてしまう。なぜなら、多くの人は、現実の世界では満たされない願望やフラストレーションや不安を抱え、希望や救いを求めているから


カルト宗教であれ、反社会的仲間であれ、薬物であれ、問題のあるパートナーであれ、それをおおっぴらに攻撃したり、否定したりするという姿勢はとらず、むしろ本人が、そこに惹かれていった経緯やその気持ちを共感的に受け止める。そうして、さまざまな出来事を回想し、語る中で、自分がおかれていた状況や、自分に何が起きていたかを、客観的に振り返れるようになる。  本人が信じ、依存していたものを否定するという立場に立ってしまうと、その人は、相手に対して心を開くという気持ちを持ちにくいし、自分の信じていた存在を守ろうとして防衛的になり、余計に頑なになることで、結局、冷静な視点で事態を振り返ることができなくなって


外からもたらされる情報や空気を鵜吞みにするのではなく、自分の頭で考え、体験のみならず過去の歴史に照らし合わせて判断し、冷静さを忘れずに行動することはできる

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2023年07月18日

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 相手の心理状態を操作して、一方的に支配できるように仕向ける。このような恐ろしい現象が、カルト宗教、ブラック企業などで度々目撃される。本書はマインドコントロールをくまなく解説し、その罠にはまらないための対処法を指南してくれる。
 全体的な構成として、前半にマインドコントロールにはまりやすい人の特徴を挙げて、読者に意外な真相を突き止め、マインドコントロールが成立する構造と、その時の双方の心理状態を具体的に解説してくれる。後半では、その手法が至るところで利用されていること、また、それを発揮できるためのプロセスについて注目する。その後、それまで見てきたことを総括し、著者が5つの原理としてまとめて、それぞれの手法がおおまかに理解できる。最後に、既にマインドコントロールの罠にかかってしまった人を、洗脳から解除するまでの苦難な道のりが記述されており、著者が考えた対処を提示して本書を締めくくる。
 以上から、人間同士のやり取り、とくに集団となると、絶大な力を発揮し、その渦中にはまると、とんでもない自体に巻き込まれて、最悪、取り返しのつかないことになるのだ。したがって、本書はより多くの人が読むべき本であり、自己責任が要求される昨今ではなおさら読む必要性があるだろう。
 初めに意外な主張をする。それはこのような洗脳に陥る人は至って普通な人がはまりやすいのだという。社会的に不信感を抱く人や理想主義的な人ほどはまりやすいのである。このような人たちが結果的に、主体性を失わせて、善か悪かといった二分的思考に陥ってしまう。そのため、単に見た目だけで判断したり、一見して優秀な頭脳、経歴の持ち主だからといって、問題ないと片づけてはならないことがわかる。
 次にマインドコントロールの具体的な手法に注目すると、これが特別カルト宗教などのような一見自分たちに馴染みのないコミュニティに発生すると思われる。しかし、本書を読むと、日常的な場面で至るところが用いられていることがわかる。そのため、自分には無関係だと思っていると、後で大ごとになるという。
 さらに、著者がこれらのマインドコントロールの原則を簡潔にまとめている。
人間は情報を欲する生き物である。極端に情報が供給されない状況が続くと、通常ではありえない行動をとり、まともな思考、判断ができないのだという。とはいえ、反対に情報を過多に与えると、情報の多さゆえに判断に迷う。これは急速に情報量が増えた現代社会を照らし合わせると想像がつく。
 これ以外にも本書にはマインドコントロールの手法が記述されているが、どの部分を読んでも、洗脳の罠にはまらないための知識があるので、部分読みでも何かしらの良い情報を得られるだろう。

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2023年06月27日

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とても怪しげで現実には無さそうなタイトルではあるが、日常的にありふれた問題が描かれている。
マインドコントロール、洗脳に関する研究や実験を丁寧に挙げ、それらが現在でもあり得るもの、してしまいがちなもの等に繋げて話をしている。
分かり難いものや、縁遠い話かと思われる話題ではあるが、何のことはなく、とても身近に溢れた問題であると気づく事があった。
自分がこの本を呼んで、“洗脳”されないようにと同時に、自身がそのような言動をしないように意識しようとも思えた本であった。
知識の整理の為に再び読み返したいと思えた本であり、色んな方に呼んでほしい本である。

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2022年03月23日

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 大学に進学して間もない頃、田舎の高校を卒業した右も左もわからない若者(私)を密室に連れ込み洗脳しようとした奴ら。今思えば怖くなって逃げ出したからよかったけど、あのまま残って奴らの話を聞かされてたらどうなってたことやら。
 先が見えず誰もが不安な昨今。誰かに頼らないと生きていけない不安な人々とその隙間に乗じて隙に入り込む悪い輩。30年前と変わらぬイタチごっこやってるね。

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2021年09月23日

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時間をおいて何度でも読み返したい

人は大なり小なりのマインドコントロールを受けて生活をしている、常に情報や状況を疑ってみることを忘れずに、ですね 

しかし誰かの洗脳を解くのは文字で理解するより遥かに困難を極めるでしょう

頑固な身内がいるが、あれを疲れるまで説得しようとしても、真っ先にこちらが疲れて潰れてしまう

相当な切れ者をぶつけない限り、非力で知能レベルが知れてる家族には、相手の思考力を奪うほど矢継ぎ早な論破などいくら愛があっても無理

書いてある通り、犯罪でもおかさなきゃ放っておくほうを選びますね

しかし現代のインフルエンサー的なやつの構造も危険だよね、少なからず扇動されてる心当たりもあるし

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2021年03月04日

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この著者の本はたくさん読みました(精神科医が書いていることもあり、機能不全家族をどのように捉えたらよいのか、私なりに大変参考になりました)が、特に本の後半で精神保健福祉法第22条について書かれていたことが目からうろこでした。
私なりに法律には詳しいつもりでいましたが、これまで精神的に大変な人と関わることが少なかったので盲点でした。多読で知識を増やすことも大事だということを、この本を読んで感じました。

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2020年04月15日

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マインドコントロールについて分かりやすくまとまっている本。
国家レベルやカルトが使う洗脳というイメージが強かったが、一般の生活や企業活動にも広く使われていることが分かる。内容を知ることで対策も立てられる。良書。

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2019年07月07日

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動機付けと操作性、洗脳と脱洗脳、そしてパーソナリティーこと などなど。医療や教育そして宗教の裏表。歴史も細かく記述してありよく整理がデキた。タフな仕事ですな、これに対峙するのは。

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2018年02月18日

購入済み

教養として一読は必須の書

是非を短絡的に決めたがるなど、小さな自己思想の放棄は身近ですよね。遠い話ではない可能性も感じてゾッとしました。ゾッとした事による視野の拡がり方を感じるためだけにも、オススメ。

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2017年06月07日

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ネタバレ

きちんと増補改訂されている。参考文献も使える。この手の本の入門書としては現時点で一番まともか。というか、ネット上の情報を取るために本が必要になるという現状は結構ややこしい事態では。

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2017年01月03日

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なるほど…佐藤優氏の言う通りの本。
背筋に寒気を感じながら読みました。マインド・コントロールとは典型的には新興宗教にハマってしまった信者のことなどを思い浮かべますが(そして実際この本もそういった事例に多くの紙幅を割いていますが)、いや、ある意味我々皆が何かしらのマインド・コントロールを受けていると言えるでしょう。

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2016年10月07日

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1年以上前に読んだ。近々、再読しようと思っている。
友人に「マインドコントロール」という本面白いよと勧めたら、私が誰かをマインドコントロールしようとしていると勘違いされた。

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2023年03月19日

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マインドコントロールされやすい人の特徴や、されやすい環境、洗脳の流れなども書かれている。
この方法を読むと、会社員や現代社会は、洗脳されやすい環境にあると感じられた。

マインドコントロールには長い歴史があり、催眠術などもその1つのようだ。
催眠術をかけられた人が犯罪を起こしたり、
冤罪の記憶を「思い出した」り、
人の意思や記憶が、いかに薄弱なものかを実感した。

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2023年02月13日

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洗脳についてよくまとめられている。洗脳先進国の冷戦時代のアメリカ、ロシアについての情報がまとめられているのは、非常に有益。

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2022年07月17日

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X JAPANのtoshlさんの洗脳を読み、マインドコントロールの恐ろしさを知る。より深く知りたいためにこちらを読んだ。

読んでいく中で、恐怖を感じた事は自分も経験した事があるという事実。
いや、自分だけではなくこの日本で生まれ育ったなら学校や会社で確実に日々起きている事だ。

会社や学校という小さなトンネルの中ではそのトンネルの中の人しか見えない。
その閉鎖された空間が全てだと思うのはとても危険なんだと改めて感じた。

人民寺院の集団自決の事件はこの本で初めて知った。
日本のオウム真理教もそうだったが、カルト宗教には多くのエリートがいたという理由も本書を読んでわかった。
自分で物事を決める意思が無く、親などに促されるがまま良い大学、良い会社に入った者ほど誰かに依存しやすい傾向があるようだ。

何事にも100%信じず疑う心を忘れず、自分の意志を自分で自問自答して整理する癖をつけようと思った。
マインドコントロールとは決して遠い世界の出来事では無い。
この本は自己防衛のためにも絶対に読んだ方がいいと感じた。

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2022年07月03日

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マインド・コントロールについて、そのメカニズム、実践や研究の歴史、対処法など、多角的に解説。
マインド・コントロールについて、とても理解が深まった。思っていた以上にマインド・コントロールや催眠に威力があることを知り、驚くとともにちょっと怖くなった。マインド・コントロールに陥らないためのワクチン的効果も期待できる良書である。

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2022年02月28日

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宗教や捕虜に対するマコ(略)えげつない。善意でも、例えばうつ病患者の脳に幾度も通電(激痛なので強制的に眠らせつつ)し記憶を失わせ、良い思考法を強制する治療もあった。マコされてみたいが意思の強い者を取り込むまでの工程がなんせえげつないから無理そう…断定しないで仄めかす&ABどちらを選んでも同じ方向になる選択肢を提示する、くらいは実用したい。マコは良い方向に導く為にも使える、脳をビジーにすると主体性がなくなる(子の教育に言及)、孤立&情報に溺れる現代人に自らの運命を選ぶ主体性はあるのかという問いにハッとした。

ほか。私は幼少期に与えられないものが多かったせいで、常にハングリーな人間になってしまったのかなと思ったりもした。

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2019年11月25日

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支配は中毒する。

主体的に考えることを許さず、絶対的な受動状態を作り出すことが、マインドコントロールの基本なのである。

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2017年07月29日

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誰かに頼らないと生きていけないのが人間。依存と自立のバランスが崩れた時にマインド・コントロールされてしまう。
自分自身でマインド・コントロールされているということが分からないのが怖いと感じた。いつぞやの女性タレントのように、自分では大丈夫と思っていても側から見ればそうではない、ということが自分にも起きてるかもしれない。
この分野も軍事力の発達と共に研究されてきた。驚いたのは肉体的精神的な圧力なしに、電磁波で影響を与える研究がなされているそうです。人が人をコントロールしてしまうのは、もはや神の分野で触れてはいけない気がするのですが。

#読書 #読書記録 #読書倶楽部
#マインドコントロール
#岡田尊司
#2016年75冊目

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2016年08月23日

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☆マインドコントロールの原理
・情報入力を制限する、または過剰にする。
・脳を慢性疲労状態におき、考える余力を奪う
・確信をもって救済や不朽の意味を約束する。
・人は愛されることを望み、裏切られることを恐れる。
・自己判断を許さず、依存状態に置き続ける

〇ミルトンエリクソン

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2016年08月02日

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精神科医・作家の岡田尊司氏が、文字通り「マインド・コントロール」について、その歴史や医学・心理学的な分析を包括的に著したもの。2012年に単行本で出版され、2016年に新書化。
マインド・コントロールというと、真っ先にカルト集団が思い浮かぶし、更には、9.11米国同時多発テロを起こしたアルカイダや、がいまだに世界中でテロを繰り返すIslamic Stateといった過激な思想に染まったテロ集団のことが想像され、本書においてもそうした典型的なマインド・コントロールの恐ろしさを感じたが、最も強く印象に残ったのは、広義のマインド・コントロールというのは日常の生活にも少なからず入り込み、我々も知らず知らずのうちに影響を受けている、即ち、マインド・コントロールされているということであった。
著者は、まず、典型的なマインド・コントロールについて、以下のように分析・説明する。
◆マインド・コントロールされやすい主な要因は、1.依存的なパーソナリティ、2.暗示にかかりやすい傾向、3.不安定で歪に肥大した自己愛、4.現在及び過去のストレスと葛藤、5.支持環境の脆弱さ、である。
◆その技術の源泉のひとつは、「暗示」や「催眠」によって無意識にアプローチする方法で、18世紀に医学的に用いられるようになった「催眠」は、その後、フロイトやユングの精神分析学・心理学においても利用された。
◆その技術のもう一つの源泉は、「行動」に働きかけるアプローチで行動心理学と呼ばれる。これは、アメとムチによって望みの行動パターンや思考パターンを自在に作り出すもので、既成の価値観や人格を消し去るという意味で「洗脳」と呼ばれる技術と直結していた。米ソ冷戦時代には、政府主導で洗脳についての技術が非常に高まったが、冷戦終結後は、その研究の担い手は政府から民間に移り、信者や顧客、選挙の票の獲得のように大衆をターゲットに利用されるようになっている。
◆その原理は、1.情報入力を制限する、又は過剰にする、2.脳を慢性疲労状態におき、考える余力を奪う、3.確信をもって救済や不朽の意味を約束する、4.人は愛されることを望み、裏切られることを恐れる、5.自己判断を許さず、依存状態に置き続ける、である。
そして、現代においては、マインド・コントロールが冷戦時のように兵器として使われることはなくなったものの、改めて非常に重大な問題を突きつけていると言う。即ち、膨大な情報と孤立というバランスの悪さを抱えた現代人は、主体的に選択してアクセスしているつもりが、いつの間にかそこからの情報によって思考や行動を左右されることになり、自ら主体的に判断し、その生き方を選択していくことが困難になっているのである。
オーウェルの『1984年』やハックスリーの『すばらしい新世界』が脳裏をよぎり、現代社会のあり方を否応なく考えさせる一冊である。
(2016年5月了)

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2016年05月28日

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情報社会で暮らす疲れた人たちは、洗脳されやすい状態であり、洗脳のエッセンスはそこら中で活用されていると知りました。新書らしく歴史から知れるのもありがたい。
脱洗脳のために、洗脳と同じ方法を取ることがあるという解説が面白かった。洗脳の上書きとも取れ、正しいって何だろうと薄寒い感じがします。
健康に生きるには、よく寝て食べて休む。そして良好な他者との繋がりと自分で考える力が必要なのでしょうが、どれも難しいんですよね。

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2023年04月26日

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ズバリなタイトルの本。どのようにマインドコントロールはされてしまうのか。また人類の歴史の中でどのように活用されてきたのかが書かれたダークな一冊。オウム真理教からCIAまで。

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2022年12月01日

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洗脳、マインドコントロールの実際と問題点が一通りわかる。テロからカルト、共依存など。
その仕組みの全てが悪いわけではないが、その仕組みを悪用する危険があるのだ。
今のこのネット社会、社会からの隔離、考えることの遮断、過度な情報と、確かに洗脳されるに十分な環境が整っている。
ネットで炎上するのも、そう言うことも一因ではないかと考える。
キレやすい大人、子供、自分勝手で視野狭窄な人間も増えたしな。

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2022年02月08日

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マインドコントロールは、カルト教団のように完全に洗脳されてしまうようなものから、暗示なように側から見ても分からないレベルでのものまで様々ある。

古くは古代ローマ時代から駆使されており、その発展はもともと精神病の治療目的であった。この研究が特に東西冷戦期に軍事目的で活用されることで大いに発展してまった。

以下、主な学び。

マインドコントロールされやすい人は
①依存的なパーソナリティ(愛情への飢え)
②高い被暗示性(人のことを信じやすい)
③バランスの悪い自己愛(自信過剰)
④現在及び過去のストレス、葛藤
⑤支持環境の脆弱さ(孤立)

マインドコントロールの原理は、
1、情報入力を制限する、または過剰にする
2、脳を慢性疲労状態におき、考える余力を奪う
3、確信をもって救済や不朽の意味を約束する
4、人は愛されることを望み、裏切られることを恐れる
5、自己判断を許さず、依存状態に置き続ける

マインドコントロールは、
つながりへの欲求
自己価値への欲求
の隙を突いてくる。洗脳を解くにも、ここが鍵となる。

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2021年10月09日

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人を自在に操るマインドコントロールというものがよく理解できた。
テロなどの凶悪犯罪の背後にはこういったものがあるということを知っていると、解決するためにどうすればいいかが見えてくるのではないか。

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2020年05月23日

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自分には関わりのないことと思いながら読み始めたが、CMや広告もマインド・コントロールの一種だと知り、急に自分事となった。

さらに、子育てにおいては自分が子どもに対してマインド・コントロールを行う側になり得るとは、想像してもいなかった。
確かに親子の関係においては、親の立場が圧倒的に強く、子をマインド・コントロールすることは容易かもしれない。マインド・コントロールにより子どもの人生を狂わせることもあるが、やる気を引き出す方向に持っていければ、子の成長にプラスになることもわかった。

自分は子どもをマインド・コントロールしようとしていないか?を確認するためにも、時間を置いて再読したい。

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2020年02月07日

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ネタバレ

マインドコントロール。
今までにたくさんの人から怪しげなマルチ商法のビジネス話をされた経験がありますがああいう人たちを見るたびに完全に洗脳を受けてはるんやなぁと思ってました。
その人に悪気はなく、むしろ僕のことを思って言ってるのにみたいなノリで。
冷静に話を聞いてると話し方とかうまい人もいますしね。
こりゃアホやったらハマってまうやろなぁみたいな。
何言ってるかわけわからん人もいましたが。w
で、思ったわけです。他人をマインドコントロールできればビジネスにも繋がるし自分の思うままにできると。
この本にもありましたが主体的に考えることを許さず、絶対的な受動状態を作り出すことがマインドコントロールの基本であって、会社、団体に属することで狭いトンネルに入り視野を奪い、他の選択肢のないところまで狭めていく。
そのトンネルの中が世界のすべてになるわけです。
経営者は少なからずそういう心理があると思います。
テロリストの心理とかにも触れてたのでおもしろかった。

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2018年01月26日

Posted by ブクログ

玉ねぎの皮むきではないが、自己決定の真芯には、何があるのだろうか。
自己決定の基盤である価値観は、言葉すらを持たぬ時期を出発点として、言葉、この他様々な情報を受け入れ、形成されるものだろう。
その形成過程において、情報の取捨選択が行われていない、ということはありえないとしかいえない。
とすれば、マインドコントロールとは、一般にイメージされる、カルトの取る手段などという以上に、教育に近いものなのかもしれない。
社会生活、家庭生活に不可欠な技術としてのマインドコントロール術と危険なマインドコントロール術、というようなものの境界線に興味があるのだが、そこが明瞭になるような印象は、この本にはなかった。

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2017年01月17日

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