【感想・ネタバレ】精神分析入門(上)のレビュー

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Posted by ブクログ

 やっと手を出した。そんで、疲れる読書を少しでも力にできるよう、読みながらメモったものを書く。


第一部錯誤行為
 序論だけに、科学的思考と精神分析を説明し、自己の体や意識の反応を『偶然』と切り捨てない精神分析の説明も兼ねる。この時代に今まで生きてきて「無意識が存在する」という知識があるためか、少しくどい。っつーことで内容は略。
しかしそれだけに、ここまでの反復が必要な時代であったことも感じられる。科学(と当時から認められていたもの)の道を通って得た科学的手法とその経歴を以て、曖昧なものを平易に、しかし数字を用いられずに十分な説得力を持った言葉で語る。この繊細なものを手に取ることができた天才と、実務的な能力を持つ有能な人間が同一人物であったこと。そのフロイトの凄さは、間違いなく人類を進めたんだろう。
 引用→「抑えつけられた意向は、語り手の意思に反して言葉となって口を衝いて出ます。語り手の承認した方の意向の表現を変え、あるいはその表現と入り混じって、あるいはこれと入れ換わって言葉に出てくる」

第二部夢理論
「夢は、眠りを妨げる(心的な)刺激(願望)を幻覚的な意思によって排除する」
 それが夢を歪曲し、理解しがたいものにする。脳中枢は夢を検閲し、歪めたり忘却させたりささやき声で抵抗し、我々が無意識の要素へと辿り着くのを阻む。しかし夢も、検閲から文章を守る新聞記者のように、メタファーや相似な状況などで検閲のチェックを素通りさせることもあるという。
 検閲対象となるものを「快感追求の努力――すなわちリビドー」が、すべての倫理的な束縛から解放された自我が好き勝手に選び、我々の美的感覚が非としてきた性的欲求やあらゆる倫理的な規制の要請に反するものだ。
 人間が持つ悪性は人間として正当でなくても。生物として正当であり、その個人の美意識や倫理観とは別個のものである。そういった生物であることに罪悪感を抱きたいというのは不当であり、ただそのままに受け入れるべきもの。プラトンの「善人とは、悪人が現実で行っている行為を、夢で見て満足している人間である」という言葉以外の、なにものでもない。
 この部は、まさに読む目的としていた「曖昧だった知識をより確かにする」ことに合致した部だった。すごく面白い。

・夢に登場する象徴的意義はほとんどが性欲であることについて
「フロイトは性欲に重きを置きすぎている」という言葉を何度か聞いていたせいか、最初はそう感じる。しかし、重ねて考えるべき「夢のルールと倫理観や社会的道徳は独立的」に視線を向ければ、違和感なく納得できる。さらに、性愛という根本を意識した労働体系は古代から考えられていたこと、その性愛を以て労働という生活に必要な作業に従事する中で、コミュニケーションの場となり、言語は飛躍的に発達したことも想像に難くない。多くの単語が男根や女性器を象徴することも、そう考えれば納得できる。

☆「(脳が)潜在夢を顕在夢に置き換える働きこそ、夢の作業である」
(夢の作業と逆の方向をたどり、顕在夢から潜在夢に到達しようとするのが、解釈作業)

・人間の原始性、動物性を幼児性から語る
 倫理観、社会的美的感覚を幼児は持っておらず、排泄物や近親への性愛にも嫌悪感を持たない。よって、兄弟姉妹の死をも望める。また、両親への愛も、最初に愛するのではない。自分に必要だから愛するという、エゴイズムから愛し、やがて自然に愛することが出来る。嫌悪感も身につける。

・悪夢や不安な夢も、願望充足で説明できるもの
 失敗や途中での覚醒(喉の渇きは起きなければ満たされない)もあり、そもそも顕在夢は潜在夢を歪曲したものであり、その歪める手法はすり替えや反転が多い。

第三部神経病総論
患者には特定の無意識的過程が存在しており、その過程こそ症状の意味を内包している。この意味が意識されていないことが必要で、意識的過程からは症状は形成されない。無意識的過程が意識されれば症状は消滅せざるをえず、それが精神分析の治療手法である。

 神経病の原因・成立=リビドー固着による素因+偶然的体験

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2013年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとなく難しいイメージがあったのだけれど、
タイトルに「入門」と書いてある通り、
大学での講義をもとにしてあるのでわりかし読みやすい。

「錯誤行為」
まず気付くことは、
フロイトは非常に科学的な人間であるということ。

反証例をことあるごとに提示し、
それをひとつひとつ検証していくのは、
ある側面においてはくどくもあるのだけれど、
科学者としては正しい姿勢なのだろうと思う。

有名な「無意識」「欲動」というワードは、
本書の冒頭ですでに登場している。

精神分析には一般解はない、
ということを肝に命じておかなければなぁ。


「夢」
夢は眠りを妨げる、
潜在思想(無意識)の活動を和らげている、
という解釈は新鮮。

人生の1/4~1/3を占める、
眠っている時間について熟考することは、
目覚めている時には決して顕在化しない、
無意識を探るうえでの大きなヒントになるのだろう。

わたしが何の気なしに夢の日記を綴るのも、
こういう直感によるところが大きいのかもわからない。

フロイトの論理的な推理は、
プラトンの描くソクラテスを彷彿とさせる。

対話的な語り口も似ている。
とても面白い推理小説を読んでいるようでもある。


「神経症総論」
夢の分析は神経症の分析にまで広げられる。

「外傷(トラウマ)」「抑圧」「抵抗」といった、
概念の説明はこの部分になる。

幼児期の記憶がほとんどないのは、
こういった無意識的な操作が行われているから、
というのはとても面白い指摘。

ほとんどの原因が
「リビドー(性の欲動)」に帰せられるのは、
少々納得しがたいところではあるけれど。

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2012年05月03日

Posted by ブクログ

自我とは自分の意識のことであり、意識は理性でコントールできる。自分の行動は自分の意識で理性的に決めている。デカルト

意識された部分(理性や合理性など)は表層的なものに過ぎない。自我の意識の活動にのぼらず、自覚されていない心の奥底がある。無意識。潜在意識。無意識の内容は夢などに現れ、起きているときは意識の底に沈んでいる。▼幼い子供にあるのは本能的な欲動だけ。成長するにつれ本能的な欲動を抑える道徳・社会規範を身に着ける。「自分」という意識(自我)が生まれ、本能的な欲動と道徳・社会規範とのバランスを取れるようになる。本能的な欲動が充たされないとき、人は社会的価値の高い欲求に置き換えて昇華させる(芸術など)。▼男性が母を愛の対象とし、父親を殺そうとする願望(エディプス)。女性が父を愛の対象とし、母親を殺そうとする願望(エレクトラ)。兄弟間の敵対感情(カイン)。人を救済することで自分の存在意義を得ようとしたり、相手よりも優位に立とうとする(メサイヤ)。ジークムント・フロイトFreud『精神分析入門』1916

西欧の錬金術の図は曼荼羅に似ている。各国に似たような模様がある。各国の神話も共通点が多い。人間ひとりひとりの無意識のさらに奥底に全人類に共通した集合的な無意識があるのかもしれない。ユング『自我と無意識』1934

雨が降っているとき、雨と闘ったり、負かそうとしても無駄だ。今、あなたは雨と闘って時間を費やしている。雨に勝っている、と思っている。しかし、他の誰よりも、あなた自身を害している。アルフレッド・アドラー『人生の意味』1932

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2021年07月23日

Posted by ブクログ

錯誤行為、夢判断、神経症総論の前半を収録した上巻であるのが本書。それにしたって、分析によって突き止められるのは大体において性にまつわることだっていうのが、本当かなという思いとそうだそうだという頷きが半々に生じるようなことでした。100年前のものだけれど、性に対して現代的に取り組んでいて、いまもなお古びていないです。それはわいせつ性だとかタブー視とか、現在にもそのまま残っているものだし、そんななかでこれ以上進展しないところ近くまで研究した、フロイトの先鋭性があるからだと思いました。性は、生殖の妨げにならないようなバランスのとれたところでは、その分析は完成しているのかもしれないです、そう思いました。

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2015年01月12日

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夢に関する部分がほとんどでこの部分はあまり興味は無かったけど精神分析に必要なステップだと言い聞かせてなんとか読み通した。全体を通じて性的な事柄の記述が多かったので驚いた。

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2014年09月04日

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心理学や精神のほうに進もうと
考えていた時期が会ったので、これも
高校のときに読んだ。大変だった。
逆にユングのことを知っていけたのは
自分にとって幸運だった。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

往年の名著、精神分析入門です。
難解としか言いようがない・・・
大家でなければ読もうとも思わない作品ですね。
ただところどころ「なるほど」と思わせる場面がありました。
そういう意味でも原著に当たるのは価値があるかと

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

上下巻 いうまでもなく必読書。
ただし、フロイトは性的虐待は幻想であると言っています。時代の限界かな。

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2009年10月04日

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言い間違いとは如何なる場合においてもその人の無意識の本心を表しているという事らしいが、本の中で示されている例がたまたま何れもそのような事例であると言うだけのような気もする、反例の検証がどの程度されているのか不明。それに、本心と言うのがどのような条件下で成り立つものなのかも具体的に検証してあげないと間違えた人達が可哀想。
フロイトも触れているように、抽象化すれば、どのような言葉であっても本心という定義に該当し得るのではないか。例えば、馬車でどこかへ向かう女性にドイツ語でお供しますと言うはずのところを卑猥な言い間違いをしてしまった事例について、その個別の女性に対して卑猥な気持ちを抱いていた訳でなくても、たまたま前日の夜にそのような仲間内での恋愛話の中で聞き齧った卑猥な話題が印象に残って居ただけでも該当し得るのでは、等。

なお、フロイトの分析はあくまで感情なり夢を見る本人の無意識がどのように影響するかという話で、外部要因については想定しておらず、一切分析していない模様。

とは言え、精神分析の重要古典であることは間違いないので、ちゃんと記憶に留めておきたい。

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2022年12月10日

Posted by ブクログ

今月の4冊目。今年の11冊目。

大分前に買っていた本を読み終わりました。
正直下巻は読む気はおきません。フロイトの言っていることは面白いのかもしれません。また、同時代的にほかの著名な人と比べてみると面白いかもしれません。しかし、読んでいて、共感ができないところがあったので、最後のほうはじっくり読むことなく、目で追っていく感じでした。

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2017年11月05日

Posted by ブクログ

最後にリビドー登場。
夢の解釈について表も裏とも解釈できるのであれば、解釈者の主観によっちゃうんじゃないかと思いつつ、曖昧な人間の夢の解釈だからそれも致し方なしなのかな。
解釈者はあくまで補助者としてしか役割しか与えられないどいうことかな。

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2015年03月12日

Posted by ブクログ

小さな兆候から物事を読んでいく姿勢には好感が持てるが、夢に出てくる様々なものを性的なものと解釈するのには少し抵抗があるし、リビドーによってすべてが成り立つとは思い難い。が、ものを考える姿勢としてはとても役に立つ一冊であると思う。

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2014年04月21日

Posted by ブクログ

精神分析入門

小学生や中学生でも聞いたことのあるフロイト。
とうとう手を出してしまいました。

この一冊はフロイトの熱が込められていて、
わかりやすいように解説してくれているのがよくわかります。

晩年には彼の言うリビドーの意味は変化するも、
彼の考え方がよくわかる、
入門にはおすすめの一冊。

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2013年04月07日

Posted by ブクログ

いつか読みたい、と思っていて手にした本。
思い当たる節とか、そういうところに付箋付けていったら付箋だらけになって読みにくい本になってしまった、、、
まだ上巻の1/4ほど残っている。

上巻は主に夢の解説なのだけど、結局全部そこに行くんですか?そうなの?人間て?みたいな、ちょっと受け入れたくないような気もする。。

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2011年12月04日

Posted by ブクログ

かの有名なフロイト先生の本。
無意識の話題はもちろん出てくるが、私が特に着目したのは夢の部分。
何故夢を見るのか。夢は不安に悩む人に眠りを誘うために起こる現象だという考えが興味深い。要は寝るための麻酔ということか。
ざっと読みであまり頭に入っていないからこの評価に自信はない(笑)

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2010年06月23日

Posted by ブクログ

この著書は精神分析の父、フロイトの本です。
上下巻あるので両方一緒のことを書きます。

まあ、やっぱり難しいですね。一応最後まで読みましたが、夢診断やリンゴの木などは何とか理解できましたが用語や考え方がまだよく理解できませんでした。
でも夢診断などは面白いので少し読む分にはお勧めです。

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2009年12月11日

Posted by ブクログ

フロイト全集の中の一冊。フロイトのなかでも代表的な著書です。
卒業旅行のウィーンでフロイトの家にも行ってきました。

全2巻 所有

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

フロイトが、大学の講義の広義の前半をまとめたもの。あの有名な、エス、エゴ、スーパーエゴはまだ出てこない。

大学の講義形式だが、先に自分の理論を成立させて、なぜそう成立したかをあとから肉付けしていく感じになっていて、難しくて読みにくい。

無意識や、夢の中での象徴、リビドーなど、その具体例を読んでいくのが楽しいです。たとえば、普段の生活でのうっかりした言いまちがいや、読み違いなどはすべて無意識の働きに因るものらしい。夢の中での物体の非常に多くのものが性器を象徴しているとか。

高校の倫理で習ったものが出てきます。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

フロイトや精神分析を知るにはこの本が一番だと聞いて読みました。
なんでもリビドーのせいにできる気がします。(笑)

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

そんなに小難しいことが書かれまくってるわけではなく、ユングみたいにいやみったらしくもなく、意外とポップな感じ。中身としちゃあ、今では基礎。のこと。でも偉大。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

自由連想という画期的方法による精神分析の創始者がウィーン大学で行なった講義の記録。フロイト理論を理解するために絶好の手引き

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

フロイトの広い学問に触れることができる。言い間違いや勘違いという身近な例から始めて、人類の文化や世界観について語っていく所はなかなか迫力があります。中国語やエジプトの言語などについても語っているところがあって、驚嘆しました。下に収められている続精神分析入門も読まないと、フロイトが行った軌道修正が分かりません。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

フロイトによって実際行われたという講義形式で書かれているため、比較的読みやすいとは思う。しかし、その内容は深く、気軽に読める類の物ではない。
しかし、内容には大いに共感・納得出来るものも多い。
下巻はまだちゃんと読んでいないので割愛。

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2009年10月04日

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