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Posted by ブクログ
北方謙三先生も選評で言われていたが、舞台設定が独特で戸惑うところがあるSF冒険小説。アメリカのゾンビドラマのようなグロくて残酷な舞台設定で繰り広げられるドラマ。でも、そんな少し恐い世界に引き込まれてしまいまった。作家のオリジナル性を強く感じられる見たことのない世界の童話。
Posted by ブクログ
読みづらいという声も多いらしいが、サービス精神満点の大娯楽作だった。
登場人物の多さに辟易しないためには、バード、レイン兄弟、ジョアン周りの数名だけ把握してすいすい読めばよい。
私はモブであってもネーミングが面白くて、全員メモを取りながらゆっくり読むことを楽しんだ。
Ⅰではレイン兄弟を追うバードを通じて、荒廃した世界観を味わう。
「明日に向って撃て!」でブッチとキャシディが荒野を延々追われる場面があるが、その舞台を世界荒廃後の荒野に置いた。
人肉食がまだまだ廃れていないという背景もぐっとくる。
Ⅱは打って変わって牛腹と蔑まれたマルコが、蟲の流行から逃れつつ調査する中で、いわば救世主と見做されていく過程。
人間ではないので人生観も異なり、よい意味で冷酷。
蟲の流行した村は焼く。それがⅢへ。
Ⅰでは人生観にまつわるカッコイイ台詞が頻発していたが、Ⅱではカッコイイだけでなく宗教の発生といえるような深い思索が。
またアビアーダ村の移動とともにマジックリアリズムのテイストが入ってくる。ここも面白い。
Ⅲはいってみれば戦争。
ロストテクノロジーも活用して攻め込む討伐隊と、ゲリラ的に応戦する村およびインディアン。
みながみな荒くれでどうしようもない男どもだが、こうしか生きられなかった悲哀、といったものが戦場に美しく散る。容赦なく。
ここにおいて発生する抒情こそが、読書を通じて私が欲しているものだ。