【感想・ネタバレ】マチネの終わりにのレビュー

2019年秋、福山雅治、石田ゆり子主演で映画化!大人のための恋愛小説。
主人公のギタリスト蒔野と、ジャーナリストの洋子は、わずかの時間話しただけなのに一瞬で恋に落ちる。仕事や、人の嫉妬、戦争など複雑に絡み合い二人を引き裂こうとする。その後二人はそれぞれ別々に結婚して家庭を築き、でも忘れられない二人が再会するとき…というお話。
全体的に著者の言葉選びが秀逸で美しいです。直接的な好きだという表現をしなくても、会話の端々から「それって好きってことだよね?」とわかってしまう感覚が何とも大人だなと思えます。
また、著者の平野啓一郎さんは、他の著作で分人(状況や相手によって異なる自分になる)主義について書かれています。自分の中の複数の人格を認めてあげる(例えば「あの人と話している自分が好き」)。その観点でもう一度読むとまた違った見方ができるのではないでしょうか。おすすめです。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

平野啓一郎さん大好きなので
恋愛小説としてではなく
奥にあるテーマをずっと探しながら読みました

「過去は書き換えられる」
時間の概念についての小説だと思うと
めちゃくちゃおもしろいです、天才!

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2023年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ



"自由意志というのは未来に対してはなくてはならない希望だ…だからこそ、過去に対しては悔恨となる…運命論の方が慰めになることがある"p426

時間の経過と共に過去の行為を振り返って捉え直していく登場人物たちに共感しました。
こんな風に時間とともに人として成長できたらいいなと思える作品でした。

0
2021年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現実はままならない…

《読者は、直接的な共感をあまりに性急に求めすぎると、肩透かしを喰らうかもしれない。》
と(序)にあるが
すっかり肩透かしを喰らった私です

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2024年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋愛を描いた小説が読みたいと思い手に取った本。

読み切るのに少し時間がかかったので、あまり話に入り込めなかったというのが正直なところ。
独特な言葉の表現方法が私にはなかなか難しく、ことばのひとつひとつを心の中にスッと溶け込ませることができなかったので、物語への没入感は少なめでした。

内容は恋愛小説ではおなじみのすれ違いが二人の運命を狂わせてしまうというもの。
しかし、最後のシーンはついウルっときてしまいました。

高貴な(私にとっては高貴な存在です)2人が最後に公園でフッと笑い合えたらそれは素敵な結末なのかもしれないなと思いました。

この話のキーワードとなる以下のセリフは、私もなんだか心に響くものがありました。
メモとして残します。

→本を読んだ後映画も鑑賞しました。
だいぶ内容が変えられていましたが、私は小説の方が好みです。
ただ、石田ゆり子さんはキャストにぴったりだなと^ ^

________

人は変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は過去を常に変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?

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2023年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1冊の本を読むのに2週間近くかかったのは久しぶりでした。いつもはだいたい2〜3日。
3冊くらいを同時進行で読むって事も理由だけど、文章も好きで続きも気になっているのに、何故か手に取るのは別の本。という日が少なからずありました。ただただ恋愛小説が苦手なんだなと痛感…。こんなに魅力あふれる本でさえ。

プロのギタリストの蒔野と映画監督を父に持つハーフのジャーナリストである洋子。メインの2人は私からみれば雲の上の2人で、その存在と愛は崇高と形容したくなるほど。実際会ったのはたった数回だけ。この本の最後まで肉体関係もない2人が、どうしてここまでお互いに共鳴し理解し信頼できたのか…。大人で色んな経験をしてきたからこそ、抗えない引力を感じたって事でしょうか。
どの本だったか、別の本で「2番目に好きな人と結ばれるカップルなんてやまほどいる。でも、それは必ずしも悲しいことでも不幸なことでもない」って感じのコトを読んだ気がするなぁと思い出してました。過去に忘れられない人がいるなんて良くある話で、その大切な人を胸の奥底の鍵のかかる箱にしまって目の前の人を大事にする。過去に縛られる事の愚かさに気付いて過去を踏み台にしてでも飛び上がろうとする強さがある人だけが、本当の意味での幸せを手に入れることが出来るんだと思います。私は。
忘れられない人がいるなら忘れなくても良いとも思うけれど。ただ、忘れないなら他の人を選ぶべきではないのでは。潔癖な考えだとは重々承知してますが。思い出だけで1人で生きていけるほど人って強くないから苦しいし辛いだろうけど、選んだ人に'1番ではない'というその辛さや苦しみを一緒に負わせるような事はあっていいんですかね。

蒔野と洋子は、第三者の悪意によって別れてしまったからその意味では2人の意思ではなかったし悲劇でしたよね…。お互い子供が出来て取り返しがつかない程時が経っていたにしろ、真実を知った後三谷を罵倒して全てを捨てて洋子の元に飛んで行かない蒔野が大人なんだかいくじなしなんだか優しいんだか残酷なんだか分からないなと思いました。

最後再会した2人はどうなったんでしょうか。


-引用-
過去は変えられる。
ーそう、そして、過去を変えながら、現在を変えないままでいる、ということは可能なのだろうか?

↑この文が2人らしいと私は思うけど、
リルケの悲歌の一節↓

天使よ!私たちには、まだ知られていない広場が、どこかにあるのではないでしょうか?そこでは、この世界では遂に、愛という曲芸に成功することのなかった二人が、……彼らは、きっともう失敗しないでしょう、……再び静けさを取り戻した敷物の上に立って、今や真の微笑みを浮かべる、その恋人たち……」

が再会場面で引用されてるあたり関係は戻ることの示唆に思える。
私には恋人関係に戻るのか、大切な人との和解に留まるのか、理解が浅いからなのかはっきりとは分からないけど、どっちにしろ2人がまた出会えた事が私はとても嬉しいです。2人の未来に幸あれ!

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2022年03月13日

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感想

正直スッキリしない終わり方でした。
ご想像におまかせします的なのはよくある手法ですが、この作品で?と
思ってしまいました。
登場人物達の精神状態が不安定すぎて、私のように想像力が貧困な人間には
「その後」を想像するのは難しいです。
でも2人の「愛」については、とても共感しました。
あんなに深く人を愛し愛されたい!片思い中の身には羨ましい限りです(笑)

作品に流れる空気感はとても好みです。
一定した静かさと、ロウソクの明かりの中にいる感じがしました。
「実話を元に」とのこともあり、リアルな人間性も感じました。
読後スッキリしなかったのが残念です。

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2017年04月01日

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