【感想・ネタバレ】漢文入門のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

漢文を理解するための、訓読法を解説した書である。
仕組みをしるための書、漢文を読むためには、言語だけにひたすら試行錯誤するしかない
それは古代中国語の原文を、いきなり日本語として理解するための方法であった。

著書は、中国語の秀でた方のようであるが、もともと中国語を知らなければ、もともとの白文に訓読法を用いることはできない。
今も昔も訓読法を用いることは難しいことであると述べています、古典の訓読法はこれまでの経験といっています。
その方法が統一されたのは、ようやく、明治維新の時であったとのべているのがおかしい。

気になったのは、以下です。

■漢文とは
・漢文とは本来中国語であるものを、日本語でよんでいる。つまり、中国語で書かれた文を中国語では読まずに、いきなり日本語として読んだ時の名称である。

■漢字と漢語
・漢字は、表意文字だから1字に1つ意味があるが、2字に結びついて1語をなしているもの、などがある。それを熟語という。
・実字、つまり名詞に相当するもの、虚字、名詞以外のものがある。そのなかには、日本語として意味があるかないか微妙なものがある。
 夫(それ)、惟(これ、ただ)、蓋(けだし)、豈(あに)、安(いずくにか、いずくんぞ)
 也(なり)、矣(い)、哉(や、かな)、邪(や、か)
 以(もって)、使(しむ)、見(らる)、於(おいて)
 而(しかして) 等、訓読では読まない虚字であっても、軽くあつかうのは危険である。
・漢字には、日本でつくられた和製の漢字、国字がある

■訓読の方法
・同じ熟語でも日本と、中国で使われ方の違うものもある、意味が通じないものもある、汽車と自動車、農協など
・長い間、日本で読みがかわっているものがある。重箱よみ、湯桶よみ、訓読み、音読み
・漢字の音にも、時代がある。漢音、呉音、唐宋音。同じ漢字でも読みを2つ以上もっているものがあって、当然意味が違う
・中国語の四声を日本語では取り入れることができなかった。だが、同様、日本にもアクセントの違いで意味が異なる語がある。
・仏教の経文は、呉音でかかれているので、漢音で読むことは仏法の伝統に欠ける

 【送りガナ】忽⇒すなわち と呼ばせたい⇒忽チ と、チを送る
 【返り点】 レ点 一二点、上下点、甲乙丙、天地人と使っていく
 【再読文字】 宜再考⇒宜しく再考すべし 宜しくとすべしが再読 シ宜シク と書く  将 我将上京 われまさに上京先とす
 他に、当(まさに~べし)、応(まさに~べし)、須(すべからく~べし)、且(まさに~す)、蓋(なんぞ~ざる)、未(いまだ~ず)、猶(なほ~ごとし)、等
 【書き下し文】 白文 ⇒ 返り点をつける ⇒それを日本にしたものが書き下し文 君を思へども見えず滄州に下る
 また、書き下し文を、確認のために、漢文に戻したものが、復文

・句読点をつける 区切りを定めるために、句読点を打つ、これを断句という

■訓読の歴史

・奈良時代から、明治初期までに訓読の苦労の歴史をふりかえる、
 万葉仮名から、かな、カナが誕生 
 ヲコト点など、暗号化していく点図
 文選読み
 江戸時代の訓読法の改革

目次

まえがき
1 漢文とは何か
2 漢文と漢語
3 訓読の方法
4 訓読の歴史
5 むすび
解説(齊藤希史)

ISBN:9784480097095
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:224ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月10日第1刷
発売日:2023年04月20日第7刷

0
2023年10月09日

Posted by ブクログ

いわゆる漢文の学習参考書ではなく、日本における「漢文訓読法」の歴史と特質について解説した本。
読み応えのある良本。

中国の文化を吸収する過程で、いかに日本の先人たちが、違う言語で書かれた言語を読み解く工夫をしたか。
「訓点」「返り点」「ヲコト点」、そして、カナ文字の発明。必然的に生まれたもののように思えた。

0
2018年10月15日

Posted by ブクログ

1960年代に、講談社現代新書の一冊として出た本の、復刊ということらしい。
今、私たちが目にする「漢文」がどうやって出来上がってきたのかをたどっている。

前半は漢字の話。
漢語と和語、音と訓、漢音、呉音、唐宋音など。
後半の方が面白かった。
ヲコト点のことは昔聞いたことがあったけれど、文例とともに解説してあるのは初めてかも。
平安朝の訓読と江戸時代の訓読の文体の違いも具体的に文例があったので、イメージが湧いた。
先人の苦労の一端が、少し実体的なものとして感じられるようになった気がする。

0
2016年01月16日

Posted by ブクログ

漢文を読み下すための入門書ではなく、漢文の定義、訓読の方法、訓読の歴史を紐解く。大学入試で漢文は不要では?などの声も聞くが、私達が日頃使っている日本語は、漢文が深く関わっているのだと改めて認識する。

0
2021年01月11日

Posted by ブクログ

「漢文入門」というタイトルですが、受験参考書のように訓読法の基礎を解説している本ではなく、日本文化の中の「漢文訓読法」の特質と歴史について解説している本です。

日本におけるいわゆる「漢文」が、中国の伝統文化における文語文とは異なるものだということは、高島俊男の啓蒙的な著述によってわたくしのような門外漢でもどことなく理解したようなつもりになっているのですが、本書はその歴史を簡潔にたどり、「漢文」の形成されるプロセスをわかりやすく説明しています。

この国の人びとが、中国文化をどのように咀嚼してみずからのものにしようとしてきたのかを知ることのできる本だと思います。

0
2017年07月11日

「学術・語学」ランキング