【感想・ネタバレ】あまたの星、宝冠のごとくのレビュー

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Posted by ブクログ

J•ティプトリーの宇宙人は相変わらず可愛らしく魅力的で、お話は少しブラック。
いや、自殺する少し前の作品らしいからブラック度はだいぶ増している。
それにしても各短篇のテーマは同じ人が書いたと思えないほどバラエティに富んでいて、宮部みゆきさんを思い出す

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2017年12月28日

Posted by ブクログ

2年ぶりのティプトリー作品は、装丁がこれまた印象的な「あまたの星、宝冠のごとく」。この作品、初訳にしてなんと2016年刊行。早川書房の創立70周年を記念する文庫企画「ハヤカワ文庫補完計画」の一環として発表されたようですが、没後30年を経過してなお読書を魅了し続けるティプトリーになんだか感動してしまったり。

本書は中期から晩年にかけての10篇を収録。2年前に読んだ「故郷から10000光年」に比べると、やはりどれも読みやすい作品ばかり。あのついていくのが大変な作風にちょっぴりの懐かしさを覚えつつも、とりわけ以下4作品が印象に残りました。

「ヤンキー・ドゥードゥル」
薬漬けの帰還兵を描いた作品で、なんだか現実世界でも起こりえそうな物語。本書はわりと後味の悪い作品が多く収録されていますが、本書もそんな作品のひとつ。躊躇ない展開が魅力。

「いっしょに生きよう」
本作品は『SFマガジン700【海外篇】』に収録されており、今回は再読にあたりました。初読の際はそんなにヒットしなかったのですが、今回なかなか印象に残ったのは、後味の悪い作品が多いなかで唯一(?)救いのある作品だからでしょうか。地球からの異星調査隊が奇妙な共生生物と出会う心温まる物語です。

「もどれ、過去へもどれ」
本書で一番好きな作品。
開発されたタイムマシーンは過去の自分と未来の自分を2週間だけ入れ替わらせることができる。いまや老いたドニーとダイアンは75歳の老夫婦。彼らは55年前、つまり当時20歳の自分と入れ替わることを決意。そして、20歳のドニーとダイアンは、彼らと入れ替わりに55年後の世界に到着する。驚愕の未来に当惑するふたりだが…
最後までハラハラドキドキしながら読み進めましたが、まさかあんな展開になるだなんて…後味の悪さは本書で随一でしょう。それだけに深く心に刻まれた作品でした。

「地球は蛇のごとくあらたに」
地球を男性として愛する頭のおかしな女性が主人公。女性のバカらしい言動に苦笑いしつつ、これまたなんだか救われない作品なのですが、バカな女のあの結末はむしろ喜劇なのかもしれないと思ったり。

さてさて、残るティプトリーの小説は、短篇集「老いたる霊長類の星への賛歌」と長編「輝くもの天より堕ち」のみ。読みたいけど、読み終えたくないという寂しい思いが胸中に。複雑な心境です。

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2017年11月27日

Posted by ブクログ

邦題がやたらと格好良いことで有名なティプトリーの短編集。SFもの、寓話もの、ディストピアもの、神話ものが詰め込まれており、かなりバランスが良いと思う。

個人的に面白かったのは、自分自身が、過去~未来の自分自身と入れ替わることのできるタイムトラベルものの「もどれ、過去へ戻れ」と、地球を男性として愛し、一生を地球のために捧げる女性の話の「地球は蛇のごとくあらたに」。

後者はティプトリーが別名義で書いた作品らしく、らしくない笑いの要素などが新鮮で楽しめる。

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2017年10月07日

Posted by ブクログ

SF。中短編集。
「いっしょに生きよう」は『SFマガジン700海外篇』で既読のためスルー。
SFっぽくない作品もいくつか。ガッツリSFのほうが好み。
良かったのは、ファーストコンタクトもの「アングリ降臨」と、残酷なタイムトラベルもの「もどれ、過去へもどれ」。
正直、「いっしょに生きよう」がベストで、それほど収穫は大きくなかった印象。
ティプトリーファンの人なら、晩年の作品ということで価値があるかも。

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2017年02月13日

Posted by ブクログ

人間の業や生々しい現実を突きつけながら、時には冷たく、時には優しく、未来への絶望と希望を同時に感じせてくるSF短編集。特に「もどれ、過去へもどれ」と「いっしょに生きよう」が好き。

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2017年01月08日

Posted by ブクログ

SF好きな方なら、ティプトリーについて今さら説明するまでもないと思います。
そんなティプトリーの中でも、飛び抜けてストレートな作品が集められた短編集だと思います。ティプトリーの作品には様々な暗喩が込められていることが多いですが、この短編集に納められた作品はどれもこれも「言いたいことがすぐわかる」ある意味シンプルな、その分グサグサ来る鋭さを持っています。

鴨的に印象に残ったのは、「ヤンキー・ドゥードゥル」「もどれ、過去へもどれ」「地球は蛇のごとくあらたに」の3編。
特に「もどれ、過去へもどれ」「地球は蛇のごとくあらたに」はどちらも「痛い」女の話で、ここまで痛い女性像を描けるのはティプトリーならでは。どちらの話も、後味が悪いんですよねー。この後味の悪さを楽しめるようになったら、SF上級者の仲間入りかもヽ( ´ー`)ノ

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2016年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「アングリ降臨」に書かれた、宇宙人の驚くほどの無邪気さと不理解さ、それに熱狂する地球人の様子が、一番彼女っぽい作風だと思う。
あとは…、残念ながら退屈。まどろっこしいというか、いつもの奔放さを失っているというか。全ての作品の結末が、なんだか小さく収縮してディストピア風味に終わっちゃってるのが悲しい。

読み終わって、本の帯に、「ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの最後の短篇集!」って書いてあるのを見つけて、「ああそうだったんだ」と納得して、それから切なくなった。

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2016年10月11日

Posted by ブクログ

「肉」「いっしょに生きよう」「もどれ、過去にもどれ」辺りが好き。
読後感を考えると「いっしょに生きよう」が一番好きかな。

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2016年07月16日

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